6293.ウ軍は遅いが着実な前進



ウ軍は、バフムト、ザポリージャ、ヘルソンで前進している。プリ
ゴジンの反乱で勝機がウ軍に傾いたようである。この現状と今後の
検討をしよう。   津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、2022年10月10日は
29,202ドルで安値となり、2023年6月30日は34,407ドルで、7月3日は
10ドル高の34,418ドル、5日は129ドル安の34,288ドル、6日は366ド
ル安の33,922ドル、7日は187ドル安の33,734ドル。

先週、株価は下落である。米国の景気指標が全般的に予想値より高
く、景気後退になっていないし、6日の雇用ADP統計も大幅な雇用増
加であり、FOMCでの利上げが確実になり、それも2回の利上げではな
く、複数回の利上げが必要であると思われ、10年債金利が4%台に上
昇したことで、6日の株価は大きく下げた。

そして、7日の6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比
20万9000人増と、2020年末以来の小幅な伸びにとどまったが、平均
時給は前年比4.4%増なり、予想より高い。

もう1つ、雇用動向において人種格差が広がっていることも浮き彫
りとなった。黒人の失業率は6%に上昇し、昨年8月以来およそ1年ぶ
りの高水準である。ADP報告とは逆の結果であり、米金融当局がイン
フレ抑制に向けてタカ派姿勢を強めるとの懸念を和らげる内容とな
ったが、7日の株価も下落した。FRBは、賃金の上昇圧力がなお脅威
を感じていると見たことによる。

利上げでも米企業は、日本で低金利の資金を借りて、資金需要を満
たしているので、米国の金利上昇は問題がないという。日本の銀行
も貸し出し金利を上げているが、2%とか3%レベルである。非常に低
い。

一方、米庶民にはインフレが襲い、ローン金利だけが高くなり、資
金繰りに窮して、質屋に駆け込んでいるという。

貧富の差が益々拡大しているようである。

もう1つ、気になることは、台湾の輸出が6月に急減した。2009年以
来最も大きな前年割れとなり、世界的な電子機器需要の低迷と景気
への影響に対する懸念が強まっている。

そして、韓国サムスン電子が7日発表した2023年4-6月期の連結決算
速報値でも、営業利益は約660億円と前年同期と比べて96%減だった
ので、世界的に電子機器の需要が落ちているようだ。

一方、中国の地方政府債務は、1885兆円に膨れ上がっている。しか
し、政府は救済する方向にはないため、デフォルトは時間の問題で
あり、連鎖の地方債デフォルトはつぎに銀行を襲い、中国の銀行は
日本の1990年以上の金融危機になる。

この事実を誰か習近平に言ったのであろうか。対応策が遅れると、
その分、金融危機の大きさが増すことになる。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、2023年6月30日は33,189円で、7月3日は564
円高の33,753ドルでバブル崩壊後高値であり、4日は330円安の
3,342円、5日は83円安の33,338円、6日は565円安の32,773円、7日は
384円安の32,388円。

先週、株価は下落した。7月中旬に向けてEFTの分配金捻出で株を処
分しているので需給バランスが崩れた。その上にソシオネクスト株
の大量売却が出て、需給バランスの崩れで、株価を下げた。

植田日銀総裁は、2024年まで金融政策を維持するというので、円安
の進み、1ドル=145円台に一時なったが、財務省の神田財政官が、
強力な為替介入を匂わせたことと、日本株や米株が下げたことでリ
スクオフとなり、142円台になっている。

バブル生成を止めることが必要であり、介入も必要であるが、金利
を上昇させないと、バブル生成は止まらない。しかし、金利を上げ
るにも限界があり、介入と同時に利上げを行う必要がある。介入の
効果を高めることができるからだ。

1ドル=150円程度で両方を行うのであろうか。

一方、総務省が7日発表した5月の家計調査によると、2人以上の世帯
の消費支出は28万6443円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同
月比4.0%減少した。インフレで、庶民の生活は苦しいようである。

インフレを止める上でも、利上げと介入で円安を止める必要がある。

もう1つ、ソフトバンクが進める生成AI(人工知能)開発向けの
スーパーコンピューターの整備に対して、約53億円の補助を決定
した。経産省は先月、クラウドサービスを手掛けるさくらインター
ネットが北海道石狩市で整備するスパコンへ68億円の拠出を決め
ている。

この政策は良いと思うが、エヌビディア製のGPUを使用する。日本は
AI用GPUの国内設計社の育成を早期に行い、AI社会を構築するすべて
のソフト、ハードを揃えるべきである。

人口減少社会では、労働力を極限までスリム化するする必要がある。
特に単純な頭脳労働分野での人員削減は急務であり、手を使う労働
は当分ロボットではできないので、そちらにシフトする必要がある
し、もう1つが創造性分野にシフトすることである。

2.ウクライナ戦争の推移
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ウ軍は、本格的な攻勢のフェーズで、バフムト、ドネツク市北部、
ザポリージャ州、ヘルソン州で地雷原を抜けて前進している。

それと同時にウ軍は、ロ軍後方奥深くにある補給庫、燃料施設、司
令部などを狙って、ストームシャドーで攻撃している。その効果が
徐々に出いるようだ。

クレミンナ方面には、7万人から9万人のロ軍兵がいる。リシチャン
スク方面は、1-2万人のロ軍兵、クピャンスクとスバトバ方面には、
2-3万人のロ軍兵という配置であり、10万-15万人が配置されている。
バフムト方面は5万人のロ軍がいる。

ドネツク・ザポリージャ方面には、20-25万人であり、ドネツク市が
危機的になると、5万人規模のロ軍が配置されることになる。

一番手薄なのがヘルソン州であり、1万人以下の状態であり、ここを
ウ軍は狙っているように見る。しかし、ロ軍も増強するはずであり
、本格的な渡河が遅れると、ロ軍の再配置が完了してしまう。

ロ軍の全体規模は、30万ー35万と見込まれている。メドベージェフは
、今年新規に18.5万人がロ軍と契約兵になったと。

また、ロ軍の戦車部隊の損害が大きく、とうとう、ウ軍が戦車保有
台数でロ軍を逆転したようであり、今後もウ軍には戦車が供与され
るので、その差は拡大することになる。

このため、ロ軍は古いT-54/55戦車を前線に投入して、防衛目的に利
用するようである。

もう1つ、劣勢になり、ロ軍は化学兵器を使用し始めたようだ。

・バフムト方面
ウ軍は、ザリジネンスクに攻撃すると同時に、M30号線沿いに南東パ
ラスコビウカ方向に攻撃している。ロ軍は5万人の部隊でバフムト地
域を防衛している。

ウ軍はベルキウカ貯水池の北側一部奪還して、ベルキウカに迫って
いる。ヤヒドネにも攻撃している。

ロ軍はボダニウカ方向に攻撃して、ウ軍をけん制している。

バフムト南西のウ軍独立第24突撃大隊と第3突撃旅団はクリシチウカ
方向に攻撃しているが、第22機械化旅団を新規に投入して、クリシ
チウカの北側で活動している。そして、クリシチウカ市街に進行し
て戦闘になっている。

ウ軍はクデュミウカとオザリャニフカに対して攻撃している。

ウ軍砲兵隊は、オザリャニフカ南東にあるザイツェベ郊外にある砲
兵陣地を破壊した。ウ軍は対砲兵戦を強化して、火砲の破壊を優先
している。

・ドネツク市北側
ウ軍は、クラスノホリフカとベゼルとオプトネの一部を奪還した。
それと、ウ軍はドネツク市近隣のマキイフカの弾薬集積地と燃料倉
庫を砲撃して、続いて、6日も爆発と火災が起きている。

それと、近隣ヤシヌバタの鉄道貨物の操作場も砲撃されて大きな被
害が出ている。ウ軍はドネツク市の奪還を目指しているようだ。

ロ軍は、アウディーイウカ要塞とプレボマイスクを攻撃したが撃退
されている。

・ザポリージャ州方面
1.ベルカノボシルカ軸
東側のノボマイロスクやノボドネツクにウ軍が攻撃中であるが、ノ
ボドネツクを迂回して南側の道路を制圧した。しかし、まだ、ノボ
ドネツクは陥落していない。

中央では、ウ軍はストロマイオルスクとウロジョイナでも攻撃で前
進している。ロ軍もウロジョイナからダトネの方向に逆襲をしてい
るが、ウ軍に撃退されている。

西側では、ウ軍はプリュトネを奪還しようとしているが、まだ、ロ
軍は粘っている。

2.カムヤンスク軸
ウ軍はピアトハーティキーを奪還後、南東にジワジワと前進して、
ジェネビヤンキーの北で激しい戦闘が起きている。

・ヘルソン州方面
ドニプロ川の東岸、アントノフ橋付近のダチに、ウ軍は橋頭保を確
保して、工兵隊、砲兵隊、機械化歩兵部隊を送り込んで300人体制に
なっている。戦車も数両、送り込んだようである。ダチの南側に拡
大させている。オレシキの1kmのところにウ軍は迫っている。

しかし、まだ形成作戦段階であり、本格的な機械化部隊の渡河作戦
を行っていない。

これに対して、ロ軍が機械化部隊をコンカ川の橋からダチに向けて
逆襲をしたが、橋上で砲撃されて失敗した。

ロ軍は、イスカンデル弾道弾で再度攻撃したが、ウ軍の橋頭保を潰
すことができないでいる。

・その他方面
スバトバ方面では、ロ軍はノボセリフスク付近やカルマジニフカ西
側ののウ軍陣地を攻撃したが、撃退されている。

ウ軍はノボボジャネからセレブッツ川の西側に撤退したことで、ロ
軍が占拠した。

クレミンナ方面に、ロ軍は人員を集めている。リマン攻略を目ざす
のかどうかであるが、セレブリャンスクの森を大規模攻撃したが、
結果が出ていない。

リシシャンスク方面でも、ロ軍はビロホリフカへの攻撃をしている
が、撃退されている。

ロ軍は、マリンカとノボミハイリフカに攻撃したが、ウ軍に撃退さ
れている。

トネツク市周辺の爆薬庫が破壊されているが、ルハンスク州スホド
リスクのロ軍弾薬庫も破壊された。ルハンスク市クラスノドンスキ
ーでも大きな爆発があり、ここにも弾薬庫か燃料庫があったようだ。

ロシア中部サマラ(Samara)州の爆薬工場で爆発があり、6人が死亡
している。占領地やロシア領内の多数の箇所が攻撃されている。火
災も多い。軍需工場は、労働不足の上にフル生産であり、事故が発
生しやすくなっているようだ。

逆に、ロ軍は、リヴィウへの夜間ロケット弾攻撃で、ウの民間人の
死者5人が出ている。キーウ以外では防空体制が脆弱であり、どうし
ても損害が出てしまう。

また、ロ軍はドネツク州ライマンの町を砲撃し、少なくとも8人が死
亡、13人が負傷した。  

・ウクライナの状況
ゼレンスキー大統領は、進まない攻勢の解消のため、米国製の長距
離兵器が必要だと述べた。しかし、米国は、7/7発表のウクライナ支
援最新パッケージに、クラスター弾の供与を明記したが、ATACMSの
供与はなかった。具体的には、155mmDPICM(対人・対装甲クラスタ
ー砲弾)である。

クラスター弾は広範囲に「子弾」をまき散らす。このため、塹壕で
ウ軍反攻に備えるロ軍に対して効果的だ。一発でサッカー場30個分
を焦土化できる。

昨年2月の侵攻以降、ウクライナ、ロシア両国ともクラスター弾を使
用しており、最近ではウクライナがトルコから供与されたクラスタ
ー弾の使用を開始している。

サリバン米大統領補佐官は、「ウクライナが十分な砲弾を保持でき
ずにロシアが進軍し領土を奪ってウクライナ国民を支配すれば、一
般市民に被害が及ぶリスクが大きい」とし、かつ「ウ軍に都市部で
使用させない」ことを条件としたと表明した。ウクライナが自衛を
目的としてクラスター弾を使うのは正当化できると言及した。

ウ軍としては、ATACMSの供与が欲しかったが、バイデン政権は、
ATACMSでウ軍がロシア領内を攻撃する危険性を考慮して、クラスタ
ー弾の提供でお茶を濁したようである。

このクラスター弾供与に対して、ドイツ外務省、スナク英首相と国
連事務総長が反対を表明した。

もう1つ、ウ軍が望むものはF-16の供与であるが、まだ、パイロッ
トの訓練も始まっていないことがわかっている。

その訓練であるが、ルーマニア国防最高評議会は「ロッキード・マー
ティンや同盟国と協力して設立されるF-16訓練センターはウクライ
ナや同盟国のパイロットにも解放される」と明かしたため、ウ軍パ
イロットの訓練はルーマニアで行われる見込みのようである。

やっと、訓練が開始される見込みがついた段階で、11月以降しかF-16
はウ軍に提供されないことになる。今回の攻勢には間に合わないか
、攻勢を冬場まで続けて、F-16を活躍させるよう長丁場にするかだ。

ウ軍の前線で、攻撃ヘリを撃ち落すための携帯式地対空ミサイル「
スティンガー」が不足している。この不足がウ軍反攻の足を引っ張
っている。このため、製造元の米レイセオンではウクライナにステ
ィンガーを送るため、引退した技術者たちまで駆り出して増産して
いるという。

それと、ゼレンスキー大統領は、トルコを訪問して、エルドアン大
統領と会談した。エルドアン大統領は、ウクライナはNATO加盟に値
するした。また、ロシアが拒否する黒海経由の穀物輸出合意(黒海
イニシアティブ)の延長について、話し合われたようである。また
、トルコにいるアゾフスタールを守った5人のウ軍アゾフ連隊司令
官を祖国に連れ帰った。

NATO のストルテンベルグ事務総長は、「ウクライナが将来的にNATO
のメンバーとなるという見解を再確認し、NATOは結束し、ロシアの
侵攻は許されないという明確なメッセージを送る」と言明した。
NATO首脳会談が7月11日-12日にリトアニア・ビリニュスで開催され
る。日本の岸田首相も参加する予定である。

このように、ウ軍は着実に前進していることで、ゼレンスキー大統
領は、ズィミーニー島(蛇島)に上陸訪問した。戦争開始500日に、
奪還したこの島は、クリミア奪還を象徴しているからだ。

ポドリャク大統領府長官顧問は、「ウクライナとロシアの戦争は何
年も続かない。ロシアの資源は徐々に減少している。敵は戦前に持
っていたものをほとんど使い果たしており、新たな武器やミサイル
を生産する必要があり、その材料を集める必要があるが、制裁で苦
労しているので、量を確保できない。」

ということで、勝利後のウクライナは戦後の体制を考え始めている
。経済復興のために、ウクライナは、TPP加盟申請を行った。農業生
産物の多いウクライナは、日本などの食糧自給の少ない国への輸出
が必要であるからだ。もう1つが、日本が戦後復興事業で中心とな
るので、それとの見合いであろう。

・ロシアの状況
プリゴジンの乱は、ルカシェンコ大統領の仲介で、大きな内戦にも
ならずに終結したが、プリゴジンはベラルーシには居ないで、サン
クトペテルブルグにいると、ルカシェンコ大統領は述べている。
この件を質問したが、ロシア大統領府のペスコフ報道官は6日、事実
の認否を避けた。

そして、衝撃的な発言があった。ポドリャク大統領府長官顧問は、
「私の理解では、計画したのは(創設者)プリゴジン氏ではない」
「軍参謀本部の将校らが計画したと思う。(大統領の)プーチン氏
が連邦保安局(FSB)などに賭けて失った物を、取り戻したかったの
ではないか」と話し、FSBの情報を信じてウクライナ侵攻に突き進ん
だプーチン氏への反発が軍の将校らにあった可能性を指摘した。

ロシア軍事ブロガーは、ロシア政府の兵器増産努力について、主力
の戦車工場が2022年秋から完全3交代制の24時間操業になるなど、生
産力を増強しているという。しかし英国国防省は「ロシアの戦車生
産は増えていない」と評価するが、弾薬使用量を見ると、ロ軍の砲
撃数は、落ちていない。イランからの輸入もあるとは思うが、軍需
企業の生産は増加しているようである。

ウ軍の後方破壊で、食糧や弾薬が不足している上に、給与も6ケ月も
未払いで、前線の部隊交代もなしで、ロ軍の部隊では戦闘作戦への
参加拒否の数が増加している。例として、ザポリージャ州のロジウ
カ地域では、約20人のロ軍兵が前線での戦闘任務の遂行を拒否した。 

ベラルーシ駐留ロ軍動員兵も、年初は最大1万8千人いたが、1ヶ月
前には2千人になり、現在は、ほぼ「戦術核」要員以外ゼロとなり、
前線での兵員不足を隠しきれない状態になっている。

ここでも負け戦の様相をロ軍は呈している。

このように戦争に負け始めていることを感じているのか、メドベー
ジェフ安全保障会議副議長は、ウクライナ侵攻に関し「全ての戦争
は即座に終わらせられる。平和条約を結ぶか、1945年に米国が核兵
器で広島と長崎を破壊したのと同じことをするかだ」と述べ、核兵
器が使用される可能性に触れて威嚇した。

この発言は絵空事ではないかもしれない。英紙デイリー・スターは
、「プーチン大統領が核爆撃機2機を緊急発進させて12時間飛行し、
第3次世界大戦が起こるのではないかという恐怖を引き起こした」と
報じた。

一方、クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋で、避暑に向
かうロシア人観光客が交通渋滞を引き起こしている。このため、軍
事物質の輸送にも支障をきたしている。このため、プーチンは、観
光客を迂回させるよう地方当局者に命じたという。

戦争中にもかかわらず、ロシア人がクリミア半島で休暇を過ごした
がっていることを、ロシア政府は正しく分析していなかったようで
あり、ウ軍の攻撃危険性をロシア政府は周知していない。

・世界情勢
ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、スウェーデンのNATOへ
の加盟を支持するとした。残すはトルコのみであるが、コ−ランの
毀損を許すスウェーデンのNATO加盟に反対するとトルコは述べてい
る。

イエレン米財務長官が8日に北京を訪問し、中国の李強首相などと会
談した。米中対立を緩和するために、ブリンケン米国務長官に続き
、イエレン米財務長官も訪中した。

しかし、中国はイエレン米財務長官をどう扱うのかが見物である。

このイエレン訪中と同時に、習近平国家主席は6日、台湾方面を管轄
する人民解放軍東部戦区の将兵に対し、「恐れずに戦い、うまく戦
うすべを知り、国家の主権と安全を断固守らなければならない」と
し、さらに「今や世界は混乱と変化の新時代に入り、わが国の安全
保障情勢は不安定さと不透明さを増している」「戦争と戦闘の計画
を深め、実戦に備えた軍事訓練に集中し、勝利する能力を加速的に
向上させる必要がある」とも述べた。

そして、キーバで開催したBRICS+は、24カ国の閣僚しか参加しなか
ったが、米ドルに対抗するために、金を裏付けとした新しい通貨を
導入する予定だという。ペトロダラー崩壊で、ドル基軸通貨制度は
崩壊していくが、その代替通貨をグローバル・サウスが作るという。

それも、為替市場での取引禁止であり、貿易だけに新通貨を利用す
るという。通貨の在り方が変化して、金本位制に近い通貨制度にな
るようである。固定相場であり、金にリンクするので、価値も固定
になる。

今の基軸通貨制度は、ドルの金リンク停止から崩壊過程に入り、と
うとう、ここまで来た。そして、今後はまた、元に戻すことになる。

変動相場制の崩壊も近いことになる。金融資本主義も終焉を迎える
ことになるようだ。すべては金にリンクされるので、両建て経済は
ありえないことになる。

国が国債を発行・借金をして、その分、企業や国民の富が増える構
造は、何かがおかしい。このため、バブル生成も起きてしまい、時
々バブル崩壊で経済が破綻するのである。実物経済にシフトするべ
きなのであろう。

しかし、この通貨の中心にいるべき中国経済は、崖っぷちである。
人民元の国際化も十分ではなく、その上に、新しい通貨は実現可能
かどうか、疑問ではある。

さあ、どうなりますか?


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