6283.ドニプロ川東岸に大攻勢か



ウ軍の大攻勢が開始しドニプロ川東岸に橋頭保を作ったようである
。しかし、現地は雨で泥濘、まだ装甲車での行動に制限がある。今
後、どうなるのかを検討しよう。    津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、10月10日は29,202
ドルで2022年年初来安値となり、4月21日は33,808ドルで、24日は
66ドル高の33,875ドル、25日は344ドル安の33,530ドル、26日は228
ドル安の33,301ドル、27日は524ドル高の33,826ドル、28日は272ド
ル高の34,098ドル。

先週、株価は上昇した。米中堅銀ファースト・リパブリック・バン
クの経営不安で2日間120ドルから6ドルと急落し、金融不安から米株
全体も大きく下げたが、救済に向け、米当局が緊急協議の開催を調
整していることで、株が上昇に転じた。2日分の下げを取り戻し上昇
している。米GDP成長率は1.1%であり、景気後退にはなっていない。
米10年債金利は3.5%と低く、長短金利は逆イールドになっている。

ファースト・リパブリック・バンクは、破綻したシリコンバレー・
バンクを救済合併したが、それもあって、経営不振になり、株価が
急落し、資金流出が止まらないことになったのである。2008年リー
マンショック時の損失飛ばしが米銀各行にはまだあり、簿外債務が
大量にあることで安易な救済合併は、経営不振になりえる。このた
め、安易な救済は、合併した銀行を倒産に追い込む。

このため、とうとう、米銀ファースト・リパブリック・バンクを米
連邦預金保険公社FDICの管理下に置くとの予測で、株が50%以上急落
して、2.9ドルになった。そして、JPモルガンとPNCが共同でファー
スト・リパブリック・バンクを買収する方向になったようだ。

このような米地方銀行の破綻は、前トランプ政権下で大手地銀に対
するセーフガードや監督が緩められた結果であり、銀行システムを
強化し米国の雇用と中小企業を守るためには、常識的な規制の強化
が必要になっているとバイデン政権はみている。

この状況で、米国の大・中小銀行で預金流出が継続し、かつ中小銀
行の貸出増加率は急落している。銀行の貸し渋りが起きている。
アップルの預金に金利4%という銀行業務で、大手銀行でも預金流出
という事態になっている。

ということで、バフェットも「金融危機は終わっていない」という
。米銀行の問題は、簿外債務が見えないことである。

一方、市場では、マイクロソフトとメタの決算が良く、金利上昇で
IT企業の不振と思われていたが、その不安を押し戻したようである。
アップルは、銀行業務に乗り出し、預金に年4%の金利を付けること
で、膨大な資金を集めることになりそうと、株が買われた。
続いて、エクソンモービルやインテルなどの決算が予想を上回った
ことも好感された。

AIブームとリストラによる経費削減で、巨大IT企業の利益は増加す
るようである。その上に、景気指標が思ったほど悪くなく、リセッ
ションは後倒しになるとみて、買戻しが多い。

利上げ中止から利下げになるまで、株価は大きく上がるということ
が知られている。この時期が来るようだ。1-3月期(第1四半期)の
雇用コスト指数は前期比1.2%の上昇や、PCEコアは2ケ月連続で前月
比0.3%上昇であり、5月利上げは行うことが確実であり、そこで利
上げ停止であろうか、物価が収まらないと6月もう1回ある可能性も
あろう。しかし、近々利上げ停止であり、その前倒しでの株価上昇
が、起きているとも見える。

しかし、5%を超える高金利や銀行の貸渋りなどで、数か月後、景気
後退になり利下げになったら、暴落になるので気を付ける必要があ
る。年利5%は、株の配当利回りより大きいので、株から短期国債の
買いに回ることになる。確実に景気後退になる。それがいつになる
かだけである。

これが見通せるために、家計は不況を前に貯蓄を続けている。個人
貯蓄率は4.8%から5.1%に上昇し、2021 年以来の高水準になった。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、4月21日は28,564円で、24日は29円高の
28,593円、25日は26円高の28,620円、26日は203円安の28,416円、27
日は41円高の28,457円、28日は398円高の28,856円で年初来高値。

先週の株価は上昇し、年初来高値になった。日本株は強い。その理
由がバフェット氏の日本株推奨と、植田新総裁の金融緩和継続の効
果が大きい。海外投資家が1兆円の日本株買越になっている。現在の
政策を見直すのは、1年から1年半程度の時間をかけて多角的なレビ
ュー後で最大1年半も掛かることになった。このため、ドル円相場で
136円台となり、株高になったようだ。

もう1つが、金融庁が進めるPBRが1倍以下の企業への行政指導であり
、これに海外投資家は期待しているようである。企業業績を上げる
か株価を上げるために配当性向を上げるか、自社株買いをするなど
を行うことになると期待しているようである。

日銀金融政策決定会合が開かれたが、植田日銀新総裁も、金融緩和
継続であり、YCCの変更はしないとした。その上で、賃金上昇伴う2
%物価目標の持続的安定的な実現を目指すとした。

それは、利上げして金利2%にすると、日銀保有国債の損失は50兆円
になるというが、日銀は国債の50%を持っている。ということは、金
利2%にすると、民間銀行などの持つ国債の損失も50兆円になり、日
本の民間銀行や生命保険などの企業損失が膨大になり、現実を見れ
ば金融政策を変えることは、すでにできないことになる。

このため、日銀は国債の貸し出しをしていたが、海外投資家が、そ
の債券で空売りをしていたが、突然、日銀は国債の貸し出しを止め
た。

空売りで金利上昇になり、国債保有企業の損失を止めるためであり
、特に年度決算時になり、企業の損失を押さえるために、金利を低
くする必要があるからだ。

というように、日本は、当分統制経済で、行くしかない。

これを解決するためには、赤字国債発行をしないことであり、支出
の削減か増税かの2つが必要である。しかし、現時点でも収入の50
%近くを税金と社会保障費で天引きされている。これ以上の増税は、
国民が怒ることになる。

維新の会の飛躍は、増税反対の姿勢に評価が高まっているからだ。
日本の人口減少の将来を見て、日本を改造して、その上で支出の削
減をどうするのかが、問われている。これに自民党は答えがないこ
とで、関西の国民は、維新の会を支持し始めている。

自民党が、増税を掲げて総選挙したら、それは維新の会が全国でも
勝つことになる。

それを避けるためには、人口減少で縮退の日本をどう改造するのか
の青写真が必要である。日本の縮退をスムーズにするための改造で
ある。同じ税率では税収が落ちるので、どうしても縮退に対応した
国家構造を考えることである。

もう、社会全般の統制を国がしないと、新自由主義で民間に任せる
ことはできない。国が主導して、国の構造を変えることである。

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が2020年の国勢調査を基
に、新たな将来推計人口(=2023年推計)を公表したが、2070年の
総人口は8699万6000人、2120年には4973万3000人にまで減るという
厳しい未来図だ。

総務省の人口推計によれば2022年の総人口は1億2494万7000人なので
、2070年は約3割減、2120年に至っては約6割減となる。

現時点でも、人口減少は地方で急速に進んでいる。このため、ロー
カル線は巨大な赤字であり、経営ができない。しかし、今後、人口
減少でトラック運転手も不足する。しかし、鉄道幹線での赤字で廃
止になりそうだ。

特にJR四国やJR北海道がひどい。JR貨物も黒字化したが、線路の保
守がないことで、黒字化している。この3社は上場もしていないこと
で、今なら国有化できる。JR四国とJR北海道は客貨両方で維持する
しかない。貨物便のないローカル線は廃止でもよいが、貨物便があ
る幹線を中心に国有化して維持するしかない。

それに合わせて、鉄道とトラックの輸送分離をしていくことである
。物を運べないと部品を地方で生産できなくなり、地方の就職先が
なくなるからである。長距離は鉄道、短距離はトラックというすみ
分けをして、運転手不足を解消するしかない。

もう1つが、予算規模を縮小するためには、地方交付金の削減であ
り、町村合併などの処置のほか、道路維持の縮小化、コンパクトシ
ティ化での水道・下水道などの維持縮小化など、多くの削減で、人
口の都市誘導を行い、中核都市の人口維持を図ることである。国道
の一部県道化なども必要になるはず。県道の一部は市道などにする
などである。

大規模農業への転換、企業参入の容易化などの施策をして、農業生
産の効率化も必要である。少ない人数で多くの生産物を獲得する必
要になっている。

移民政策の緩和も急速に行う必要がある。インフラ点検の要員も不
足して、インフラの質も劣化しているし、工場労働者も不足してい
る。苦しい仕事に就く若者が不足している。大卒のホワイトカラー
より高卒で手に技術を持つ人の給与の方が高い状態にするしかない。

そして、その改造に長い時間をかけている余裕が日本にはなくなっ
てきている。日本の縮退化をどうするのか、議論が必要であり、そ
のためには、人口比での議員数配分として、都市優先の政治にする
ことが必要である。

何かを捨てないと日本の縮退化はできない。何を捨てるのが良いか
の議論になる。私は地方の人口の少ない地域の公共サービスの質を
落とすしかないとみる。明治期や江戸期の昔に戻すしかない。

社会保険と税金で5割は、あまりにも大きい。この割合が大きいと、
消費にも影響して、日本縮退を早めることにもなる。田舎から都市
へ導くためにも、海外生産していた製造業を国内回帰させて日本の
生産復活していくことも必要である。

工場労働者や屋外技術者などの技術者の賃金を上げ、ITやAI技術者
以外のAIで代替できるホワイトカラーの賃金を上げないことである
し、AIで代替していくことである。生産性を上げることで、ホワイ
トカラーを削減して、社会全体の効率を上げるしかない。

もう1つが、地方中核都市の再生を行うために、製造業の復活と観
光業の活況が必要になる。

2.ウクライナ戦争の推移
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ロ軍は、バフムトとアウディーイウカの2拠点の攻撃に絞り、ザポ
リージャ州とヘルソン州は防御の方向になっている。

・バフムト方面
ウ軍はバフムト市から撤退しながら、ワグナー軍とロ軍空挺部隊の
損耗が多くすることに価値を見出している。ワグナー軍は郊外のワ
グナー軍を市内に移動させて、攻撃を市内に絞り、市内中心部を確
保しバフムト駅を占領して、郵便局までどんどん西側に前進してい
る。

北側では、貯水池を抜けて遊園地まで前進したし、南側ではバフム
ト工業大学まで前進し、T0504号線を超え始めている。ウ軍は、撤退
しながら、ワグナー軍が前進した地点を砲撃でビルごと潰している。

このため、ワグナー軍の損耗は激しく、プリゴジンもワグナーは消
えてなくなり、歴史的な存在になると弱音を吐いている。この原因
は弾薬が与えられないからで、このまま弾薬が与えられない場合、
バフムートから撤退するとショイグ国防相を脅した。ワグナー軍が
居なければ、この戦線も維持できなくなる。

郊外ではワグナー軍が抜けて、ロ軍空挺部隊だけで、クロモベ方向
だけに攻撃して、O0506地方道を遮断して、バフムト市内への補給
ができなくなることを狙っている。しかし、ウ軍は、無数の広範な
塹壕陣地により、ここを固く守っている。

他には、オリホボバシュリフカにロ軍が攻撃したが、簡単に撃退さ
れている。ワグナー軍とロ軍では、練度が違い過ぎるので、ロ軍だ
けになった郊外は、ウ軍優勢である。イワニフスクでのロ軍が攻撃
しているが、ウ軍が撃退している。

どうもワグナー軍兵やロ軍空挺部隊兵士は、麻薬を打ち突撃してく
るようだ。この麻薬は長い間眠らずに起きていることができ、恐れ
や痛みもなくなるらしい。そして、砲撃で手足を吹き飛ばされても
、麻薬のために痛みを感じず、歩き続けられるようだ。手足から出
血してるため、血がなくなるまで続けられ、それでも本人は何が起
こっているのかわからないという。ゾンビの正体が分かってきた。

郊外では、ウ軍は、運河を渡河してクリシウカを奪還している。ウ
軍は東部でも大攻勢をするとしたが、どうも、ここを越えて、バフ
ムト包囲作戦をしているロ軍背後に前進して、逆包囲するようであ
る。しかし、報道管制が引かれていて、これ以上は分からない。

ワグナー軍がほとんどの市内を抑えたようであるが、ウ軍が市内を
撤退しているのは、逆包囲作戦を見ている可能性がある。

プリゴジンも、5月にはウ軍が攻撃してくるので危ないと述べるが、
プーチンは、バフムト攻略を諦めないことで、ワグナー軍をウ軍攻
勢阻止に回さないようであり、今回も負けた時点で、対応を取るこ
とになりそうであるが、高練度なワグナー軍はなくなっている可能
性が高い。プーチンの意向が、ロ軍やワグナー軍の足かせになって
いる可能性もある。

・その他方面
アウディーイウカ方面では、要塞にも攻撃しているが、失敗してい
る。セベルネ、プレヴォマイシケにもロ軍は攻撃しているが、ウ軍
に撃退されている。ここのロ軍の攻勢も弱まっている。

その他の地域でのロ軍の攻撃は、なくなっている。

ロ軍は、28日未明ウクライナの首都キーウなど各地を巡航ミサイル
や無人機で攻撃し、集合住宅に着弾したウクライナ中部ウーマニで
は、住民の死者が23名に上った。ウ軍によると、ロ軍が発射した巡
航ミサイル23発のうち21発を撃墜した。

ロ軍は2023年3月以降初めての大規模な同時多発的巡航ミサイル攻撃
を実施したことになるが、冬の間の攻撃と比べて投入されたミサイ
ル数が少なく、攻撃目標はウ軍予備部隊と最近ウクライナに供与さ
れた軍事補給物資を捕捉して攻撃することであったようだ。

・ウ軍の反転攻勢
ウクライナのレズニコフ国防相は28日「ほぼ反攻作戦の準備は整っ
ているため、神の意志、天候、指揮官の決断があれば直ぐ実行に移
す」と明かし、周到に準備を進めて、「ロシア軍との決戦」が近い
ことを示唆した。

オースティン米国防長官はラムシュタイン会議後「230輌以上の戦車
や1,550輌以上の装甲車両をウクライナに届け、新しい9個旅団の編
成が可能になった」と言及、NATOのストルテンベルグ事務総長も27
日「約束した戦闘車輌の98%以上が提供済みだ」と明かした。

その他、無人機購入募金プロジェクト「無人機軍」を通じて、すで
に3800機以上の無人機の購入をして、既に反攻作戦で利用可能にし
た。

レズニコフ国防相は、米M1エイブラムスについては「我々の兵士は
既に訓練を受けるため出発したが、今回の反攻作戦には参加できな
いだろう」と付け加えている。

国防省情報総局キリロ・ブダノフ少将も「ウクライナとロシアの決戦
は近い」とし、「天候が安定する」という確信が得られれば、いつ
でも反攻作戦の発動になるかもしれないという。

不安材料もある。EUは3月「今後12ヶ月間で100万発の155mm砲弾をウ
クライナに供給する」と合意したが、21日時点で2.8万発しかウクラ
イナに到着しておらず、フランスとポーランドは砲弾の購入方法で
揉めており、反攻作戦の砲弾供給は米韓に依存している格好だ。と
いうことで砲弾不足の可能性がある。

レズニコフ国防相は、月平均で11万発の155mm砲弾をウ軍は消耗して
いるが、ロ軍は月平均45万発もの152mm砲弾を撃っているという。ウ
軍はロ軍の1/4しか砲撃できない。米国が供給する155mm砲弾(累計
150万発以上を提供=月平均11万発以上)とは別に「月25万発の155
mm砲弾」が必要で、それをEUが提供するはずが、できないでいる。

このため、ドイツはウクライナにEUが供与する予定の100万発の砲弾
のうち25万発を製造する意向であり、ウ軍の弾薬不足を解消したい
ようであるが、すぐにはできない。

しかし、ウ軍の大攻勢は既に始まっているとも言える。ウ軍は、ド
ニプロ川東岸の南北20kmの橋頭保を確保したようであり、東岸のオ
レキシーに拠点を作ったともいう。このオレキシーは、E97道路でク
リミア半島に繋がり、M14道路でメルトポリに繋がる。その起点の町
である。

ウ軍はドニプロ川を渡河するため、特殊な対暗視装置カバーを着け
たカヤックを使用して、ウ軍特殊部隊は対岸に渡ったようである。
夜闇に紛れて音もなく渡河するので、ロ軍は発見できないようであ
る。

このため、ロ軍のドニプロ川近くのコザチヘリのロ軍監視所が、ウ
軍のジャベリンで攻撃され破壊された。カホフカ、レイオン、コル
スンカの北、リバルチェの北東などのロ軍陣地が攻撃されている。
ドニプロ川のデルタ諸島もウ軍に占領されたようだ。

ノバカホフカダムも攻撃されたのか、停電状態になっているという
が、ロ軍が発電所を破壊して、損傷部分から強力に放水させて、ド
ニプロ川下流を氾濫させ、ウ軍の進撃を止めるようだ。デルタ諸島
も冠水することになる。

クリミアのセヴァストポリの石油貯蔵庫もウ軍の自爆ドローンによ
り炎上したが、OSINTの分析によると全損は6基、大破は7基で、5基
が炎上を免れた。しかし、ドローン攻撃をウクライナ側は否定して
いる。しかも、ロ軍の周囲の厚い防空システムが反応してないこと
も謎だ。パルチザン活動やウ軍特殊部隊の可能性もある。

現在の兵員数は、ロ軍兵37万人と重火器5,900門で、ウ軍兵60万人以
上であり、欧米から多大な武器供与があり、ウ軍優勢である。

ウ軍戦車部隊は、ドニプロ市近郊とミコライウ市郊外の2つの地域
に集結している。何処を攻めるのかは、まだ確定していないようだ。

しかし、ウ軍は、報道管制を引いているのでよく見えないし、ロシ
ア軍事ブロガーたちもロ軍兵の士気維持のために書かないので、見
えない。

・ロシアの状況
プーチンが26日、深夜に突如、クレムリンに来たという。この行動
が話題になっているが、南部ヘルソン州ドニプロ川東岸にウ軍が拠
点を作ったということで、早朝会議の前に状況の報告を受けるため
にクレムリンに入ったとみる。

状況報告は、ロ軍からFSBに入り、パトリシェフ安保書記に入り、プ
ーチンに報告されることになり、その報告を聞いてからロ軍幹部を
含めた戦略会議で、今後の作戦をどうするのかを決定するはずであ
る。

ウ軍のドニプロ川東岸の攻撃をどう見るかであろう。
この攻撃を陽動とみるか、本格的攻勢とみるかで違うことになる。

現時点では、メルトポリにロ軍を集結させていて、ザポリージャ州
に攻めてくるとみている。このロ軍をヘルソン州に向かわせる可能
性もある。

ロ軍は冬攻勢で、手元に兵力があればすべて投入で攻勢し、予備兵
力が乏しくなると攻勢を停めるという単純な攻撃の繰り返しをして
きた。

このような状態でウ軍の反攻を迎えることになった。プーチンには
、プリゴジンも早くから、バフムトに固守せずに、ワグナー軍をウ
軍反転攻勢ために残しておくべきと忠告していたが、プーチンは聞
く耳を持たなかった。

しかし、準備として、クリミア半島の北部ジャンコイ基地から多数
の装甲車すべてを移動させ、空の状態にしたようだ。この装甲車両
が何処に行ったのかは不明であるが、南部ヘルソン州やザポリージ
ャ州に配備されたようである。

そして、ザポリージャ州のロシア占領地区に構築された、ロ軍の三
重防御ラインでは、一番手前に対戦車壕(戦車が乗り越えられない)
があり、真中に「龍の歯」でコンクリート製障害物が来て、最後に
歩兵が入る塹壕というような防衛線である。これを航空機とドロー
ン、砲兵、戦車などが後方から支援する。ここをウ軍は突破する必
要がある。

もう1つが、ウクライナ国民であった占領地の住民対策として、プ
ーチンは28日、ロシア支配地域の住民にロシア市民権取得の道を開
く法令に署名した。しかし来年7月1日までにロシア市民権取得を拒
否もしくは取得に向けた行動を取らなければ、国外退去処分となる
。また、ロシア国籍を取得した人がロ軍の信用をおとしめる行為な
どをした場合、国籍を剥奪できる改正法案にも署名した。

ヘルソンとザポリージャ州の住民が対象であり、ロシアは同化政策
に出てきた。泥縄政策のような気がする。

逆に、ザポリージャ州とヘルソン州のロシアに協力的な住民を避難
させ始めた。

もう1つ、反逆罪に対する刑罰に最高で終身刑を導入し、国際刑事
裁判所(ICC)など、ロシアが非加盟の国際機関の執行などに協力し
た場合、禁錮刑や罰金を科す刑法の改正案に署名した。

外交では、インドのシン国防相とロシアのショイグ国防相が会談し
、防衛パートナーシップを強化することで合意した。具体的な内容
は不明である。

ロシア経済から見ると、今年のガス輸出がブレジネフ政権以来の低
水準に落ち込むと予測され、ガスプロムが海外で販売できる量は、
1980年よりも少ない500億立方メートルにとどまるようだ。政府の
石油生産量は国家秘密であるという。それで少ないことがわかる。
戦争継続の国家予算が続くのかが問題になっている。

ロシアは、ウクライナ産穀物輸出を止める方向でいることで、ウク
ライナ産穀物が東欧に流入して、東欧諸国が自国内への流入を防ご
うと、東欧諸国が輸入禁止などの措置を取っていた。この問題で、
欧州委員会は28日、ポーランドなど東欧5カ国と解決策に基本合意し
た。欧州委によると、東欧諸国は「一方的な措置」を取り下げると
いい、ウクライナ産穀物などの輸出ルートが確保されるという。

・中国の動き
中国の盧沙野・駐仏大使は21日、旧ソ連からの独立国に関し「主権
国としての地位を具体的に示す国際合意は存在しない」との認識を
表明した。24日にルクセンブルクで開かれた欧州連合(EU)外相
理事会に出席した各国外相の間からは、「全く受け入れられない」
(リトアニアのランズベルギス外相)と改めて非難する声が相次い
だ。

これに対して、中国外務省は24日に、駐仏大使が旧ソ連から独立し
たウクライナなどの国家主権に疑義を呈したことについて「中国は
(旧ソ連諸国の)主権国家としての地位を尊重している」と釈明し
た。盧大使の発言は「個人的見解」だったとの声明を出した。

この発言で東欧との関係が不味くなり、習近平国家主席が修復する
必要になり、ゼレンシキー大統領と26日、習近平国家主席は電話会
談した。ロシアの侵攻開始後で初の会談となる。

習主席は、ウクライナに特別代表を派遣し、全ての当事者と協議し
危機の解決を目指す方針を示した。習主席は、中国が和平交渉の推
進に注力し、可能な限り早急な停戦に向け努力すると言明。さらに
「国連安全保障理事会の常任理事国として、さらに責任ある主要国
として、傍観することも火に油を注ぐことも、ましてや利益を追求
することもない」と語ったという。

ゼレンスキー大統領は、「領土の妥協や犠牲の上に平和はあり得な
い」と言明した。「ウクライナの領土保全は1991年の国境に基づき
回復されなければならない」と述べた。

ロシア外務省は26日、習近平国家主席とゼレンスキー大統領との電
話会談を受け、中国がウクライナの平和プロセスに関与する意向で
あることに留意するとした。

しかし、ウクライナの領土保全は1991年の国境だとなると、中国が
そんな条件で交渉をすることはできない。結局誰がやってもこの和
平交渉は難しい。

当分、戦争は続くことになり、ウクライナもロシアもヘトヘトにな
るまでは、和平交渉はないと見た方が良い。あと数年は戦争が続く
ことになる。

さあどうなりますか?


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