6278.ウ軍の反撃開始か?



ロ軍のバフムト攻撃の勢いがなくなり、ウ軍のバフムトでの反撃開
始の可能性が出てきた。今後の戦況を検討しよう。  
                      津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、10月10日は29,202
ドルで2022年年初来安値となり、3月17日は31,861ドルで、20日は
382ドル高の32,244ドル、21日は316ドル高の32,560ドル、22日は530
ドル安の32,030ドル、23日は75ドル高の32,105ドル、24日は132ドル
高の32,237ドル。

先週、株価は上昇した。金融不安の対応策が出て、市場は安心感も
持ったことが、FOMCでは0.25%利上げを行い、イエレン財務長官は、
22日、米国の銀行システムを安定化させるために「全面的な」預金
保険を提供することを規制当局が検討していることはないと述べた
ことで、22日は530ドルも下落になった。前日に全預金保護を言って
いたので、びっくりである。

この状態で22日のパウエルFRB議長は、23年末の金利水準を5.1%で据
え置き、利上げはあと1回で終わるとしたことで、市場は落ち着きを
とり戻したが。FRBはインフレ抑制を優先したようである。年内の利
下げもないとした。

23日に、また一転して、イエレン財務長官は預金保護に向けた措置
を講じると発言して、市場は懐疑心もあるが、安心感が広がったこ
とで、株価は上昇した。

この証言と、chatGPTのAIブーム、それと10年国債金利3.3%の低下で
NASDAQは、大きく上昇した。ドル円も129円台まで円高が進んでいる。

そして、F&Gインデックスも24から33まで上昇している。

しかし、24日にドイツ銀行の株価が急落している。AT1債の早期召喚
をドイツ銀行が行うという発表後、株価は下落した。これを受けて
、欧州銀行株全体が下落。AT1債の価格が暴落して、投資家から早期
償還を依頼されて、ドイツ銀行はそれを実行したが、その結果は良
くない方向になっている。

スイス当局のAT1債の無効化は、欧州全体に飛び火して、欧州銀行の
金融不安を引き起こしている。

ドイツ国内では、コメルツ銀行にはドイツ銀行を救済合併する体力
がないので、ドイツ当局がどうするかでしょうね。しかし、ドイツ
銀行が現時点では、倒産するとは見えない。

しかし、現在、満期前のデリバティブ契約は、元本が37兆ユーロ(
5210兆円)もある。しかし、満期日前の損益は簿外であり、分から
ないため、事前の対応ができない。しかし、損失が大きいと自己資
本が失われて、ドイツ銀行はAT1債の早期召喚することで、自己資本
が益々減ることで、不安になった顧客が、預金引き出しをすること
で、倒産となる可能性はある。

米パックウェスト・バンコープ銀行も預金が20%流出しているとか
、流出が止まらない。

これに対して、イエレン財務長官は、非公開の金融安定監視評議会
FSOCを開催したことで、24日は株価は上昇した。「FSOCは銀行セク
ターの現状を議論し、一部機関はストレスを受ける状況になったが
、米銀行システムは引き続き健全かつ強靭だと指摘した」との声明
を発表。「FSOCは金融動向を監督するために加盟機関が現在進めて
いる取り組みについても議論した」としている。

この取り組みの一環で、JPモルガンとシティグループは、ストレス
のある地方銀行に口座を持つ人を勧誘しないように社員に警告した
という。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、3月17日は27,333円で、20日は388円安の
26,945円、22日は520円高の27,466円、23日は47円安の27,419円、
24日は34円安の27,385円。

先週の株価は横バイとなった。米国市場の動向を受けて、乱高下す
る展開が続いている。もう1つが129円台となり円高に振れて、どう
しても株価は、下落基調になるようだ。

しかし、底堅い展開であり、27000円をキープしている。日本は金利
を上げないことで、金融危機は起こらないと世界は見ているようで
ある。

このため、外国人投資家は、4兆円の買い越しで、日本の中長期債を
買っているという。このため、国債金利は低下して、129円台の円高
になったようだ。

千葉の銚子を訪れたが、ガイドブックに載っている店まで潰れてい
るので、コロナ禍で観光客相手の店も多くがつぶれたようである。

町のメインストリートはシャッター街であり、人もいない。地方の
中小都市の復活は難しいかもしれない。地道に農業や水産業を振興
していくしかないようだ。その上に観光業を積み上げることだ。

農業と水産業と、その加工業の育成が必要であり、特に農業は大規
模農業にして会社化することで、加工品のビジネスもして、収益性
を高める必要がある。今までは、近所に配っていた傷物の農産物も
ジャムや千切り野菜などにして、販売することで、収益を高められ
るし、スーパーなどに直接売買して、間接費を削減するなどの方策
がとれる。

日本全体の農業と水産業、製造業も、未来を見て、再構築する必要
があると思う。

特に、今後、中ロと欧米日の経済分断も広がるので、日本も中国か
らのサプライチャーンを転換する必要がある。その意味でも農業の
生産性を上げて、物品の単価を中国からの物品に比べても安くする
必要がある。

この意味からも生産性向上が重要なことになるし、分断経済で日本
が生き残ることができることになる。

日本の金融市場での位置も向上している。中間層の預金額が多く、
とうとう、若い世代でも投資をする人が増えている。このパワーは
大きいことになる。

欧米銀行の金融不安で、日本の金融市場での立ち位置は向上する方
向であり、日本の産業全体も活性化するとみる。

日本の弱点は人口減少であり、この部分も日本の未来構図では、対
応策を示す必要がある。

その準備を日本政府は率先して、構図を描き、実行して行く必要が
ある。日本のような統制経済社会では、政府の方針が大きな力を発
揮することを知るべきである。安倍時代のような経済政策放置は、
日本衰退になることを肝に銘じる必要がある。

日本復活の道筋を付けるのが、岸田政権の役割である。日本が世界
の指導者の一角を占めることができるかどうかの重要な局面を迎え
ている。

それと、米国没落後の世界秩序を守る民主主義国家同盟を早く構築
することである。2024年以降の米国は、鎖国状態になる可能性があ
る。

2.ウクライナ戦争の推移
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ロ軍は、バフムト包囲から部隊をアウディーイウカなどに移動させ
て、ワグナー軍だけでバフムトを攻撃しているようである。このた
め、兵力も装備も枯渇している。

・バフムト方面
ウ軍も増援部隊を出して、バフムトを死守するとしたが、ロ軍大規
模攻勢も限界にきているようである。ロ軍とワグナー軍の攻撃頻度
が落ちてきている。

ワグナー軍とロ正規軍が仲間割れで、ロ軍精鋭部隊をアウディーイ
ウカに移動させたようであり、ロ軍精鋭部隊が、ワグナー軍をフォ
ローしなくなっている。

このため、ワグナー軍は主力部隊を投入したが、その損耗が大きく
、かつ補充ができないことで、前進が停滞している。ザリジネンス
クを占領して、その先のミシキウカの攻撃を中止した。もう1つが
、バフムト市内金属工場から前進できないでいる。ウ軍はザリジネ
ンスクに機械化部隊が反撃して、半分を奪還したようだ。

バフムトフカ川の防衛線は、ワグナー軍は突破できずにいる。南側
は混戦模様であり、ウ軍も反撃に出て、両軍がジグザグの前線にな
っている。ここが一番今、激戦の地域であるが、しかし、ウ軍もロ
軍の前進を阻んでいる。

ロ軍は、オリホボ・バシリフカやボダニウカを攻撃したが、ウ軍に
撃退されている。また、ワグナー軍は、ヤヒドネを占領したが、そ
の先では攻撃して確保した陣地を、ウ軍機械化部隊により、押し戻
されている。ウ軍の機械化部隊が、効果のある場所で反撃に出てい
る。

イワニフスク方向では、ロ軍精鋭部隊を一部撤退させたことで、ウ
軍が押し戻す展開になり、T0504主要道の補給路が安全になったこと
で、バフムト市内への補給も確保できる状態になっている。また運
河の西側でウ軍はロ軍を駆逐した。

ロ正規軍はワグナー軍を見捨てことで、ウ軍の攻撃でワグナー軍は
身動きできない。1日で1000人以上の兵員を失い、戦車も4両、その
他戦闘車も20台程度も失っている。ワグナー軍は、前線を維持でき
なくなるはず。

このため、ワグナー軍を置き換える方向で対応するようであり、空
挺部隊が引き継ぐことになるようだ。フォローはしないで、ワグナ
ー軍を撤退させるようである。

プリゴジン氏が、「3月末から4月初旬に(ウ軍が)大規模攻勢を
計画中という情報がある。ワグナー軍がロ軍から切り離されないよ
う必要な措置を講じてほしい」とショイグ国防相に要請したが、シ
ョイグ国防相は無視して、支援も弾薬なども優先的にワグナー軍に
補給しないようである。ロ軍はワグナー軍排除に動いている。

このため、プリゴジン氏もワグナー軍の活動場所をウクライナから
アフリカにする方向で検討を開始した。また、「ウ軍を過小評価し
、内部紛争に関与するのを止めろ」と求めた。その内、ワグナー軍
はバフムトから撤退になり、この方面でロ軍は総崩れになる可能性
が高い。

戦争犯罪者のギルキンも、「特別軍事作戦にはロシアの法的地位が
なく、まだ戦争宣言もされていない。つまりウクライナ人を殺すた
めにウクライナに行ったすべてのロ軍兵は、犯罪を犯している」こ
とになるとして、公にロシア政府を非難している。ロシアの内部紛
争で分裂状態になっている。

ということで、ウ軍オレクサンドル・シルスキー陸軍総司令官も「
バフムトのロ軍は失速している。我々はこれまでキーウや東部ハリ
キウなどで行ったのと同様に、間もなくこの機会を利用する」と発
言し、反転攻勢を予告した。

ゼレンスキー大統領も、バフムト周辺の前線を訪問し、兵士を激励
して反撃への準備をしているし、チャンプ・ヤールに大量の装甲部
隊も到着している。仏からのAXC10戦闘車も配備したようであり、
反撃の準備を着々と整えているようである。

この情報がプリゴジン氏も分かり、危機感を持っているようである。
ほぼ正確に見通している。しかし、無能なロ軍の上層部は、戦争に
勝つより、プリゴジン氏の方が危ないと思っているようだ。無能な
軍隊の中で、有能なリーダーは味方から殺されることになりそうで
ある。無能な軍上層部は、戦争目的を履き違えている。

殺されないためには、バフムトやロシアから逃げるしかない。

反対に、ウ軍にとっては、ロシア内部の仲間割れは、大きな勝利へ
の足がかりになる。

しかし、ゼレンスキー大統領は、バフムトなど東部の最前線では、
「状況は良くない。弾薬がないためだ」とし、欧米に弾薬や戦車提
供を加速するよう訴えた。ロ軍もウ軍も弾薬と兵器の枯渇に陥って
いるようだ。

現時点では、バフムート包囲の結果を残せないロ軍は春攻勢を中止
して、ウ軍の反攻阻止・防御に移行したようにも見える。

当分、戦況が揺れ動く事態になる。このコラムは、3月26日朝時点で
の記事であり、今後の展開は変化する可能性がありますので、ご容
赦ください。

・アウディーイウカ方面
アウディーイウカ周辺で、ロ軍はバフムトから移動させた精鋭部隊
で攻撃している。クラスノホリフカを占領後、セベルネ、プレボマ
イスク、ラストチェケネ、ケラミクにもロ軍は攻撃しているが、ワ
グナー軍より攻撃手法は拙い。このため、大きく犠牲を出している
。そして、ウ軍もアウディーイウカ北側に増援部隊を派遣した。

ロ軍精鋭部隊が、バフムトでワグナー軍をフォローしたのは、ワグ
ナー軍の攻撃手法を教わるためであった可能性もあり、手法がわか
ったので、ワグナー軍のフォローを止めた可能性もある。しかし、
ワグナー軍ほど、現場指揮官の権限がないので、状況判断ができず
、現場無視の命令を上級指揮官が発するようである。そのため、現
場部隊の犠牲が多いようだ。

しかし、現在、攻撃するロ軍が戦線での主導権を持っているので、
ロ軍は、ウ軍の手薄なところを探して、そこにロ軍精鋭部隊を回し
て攻撃しているとも言える。しかし、その兵力も損耗して、回すこ
とができなくなりつつある。

・その他地域
クレミンナ方面では、クレミンナ市西端とクレミンナ南の森にウ軍
は攻め込んだが、そこからは、ロ軍との戦闘で前に進めないでいる
。ロ軍の攻撃はなくなっている。スバトボも同様である。

ビロホリフカにもロ軍攻撃しているが、ウ軍は丘の上から打ち下す
ので、ロ軍は損害を出すだけで前進ができないでいる。

クピャンスク方面では、ドボロイネをロ軍が占領し、マシュティフ
カとシンシキフカに攻撃しているが、こちらはウ軍が撃退している。

マリンカにもロ軍が攻撃しているが、ウ軍は撃退している。この地
点は、数か月攻撃をしているが、ロ軍は前進できないでいる。

ボハレバラでのロ軍の攻撃はなくなっている。

ロ軍の支配するクリミア半島のジャンコイで、ウ軍はカリブル・ミ
サイルを搭載した列車を破壊した。ウ軍が使用したのが、市販の中
国製無人機MUGIN-5の自爆改造型だという。

続いて、ロ軍セバストポリ軍港で2件ほど爆発があり、ウ軍のドロー
ンと無人ボートを使用した攻撃で、クリミアが安全ではないと、ク
リミアの占領当局は、ロシア本土に退避し始めた。

これに対して、ロ軍は3月21日夜にオデーサ市のウ軍のシュキルニ飛
行場をミサイル攻撃した。

もう1つ、ロシアのパルチザン「ブラック・ブリッジ」が、ロスト
フ・ナ・ドヌーにあるFSB支社の建物を爆発するなど、ロシア内での
火災や爆発に関与していることを表明した。

逆に、ロ軍は3月21〜22日の夜、岸田総理がキエフにいたが、その同
時刻にウクライナの複数都市を多数のドローンで攻撃した。少なく
とも市民1人死亡、33人が負傷したが、ロ軍の攻撃頻度が落ち、かつ
ミサイル攻撃がなくなっている。

ロ軍は民間電力インフラ攻撃を中止して、民間住宅への攻撃を始め
たようだ。

・ウクライナ支援
日本の岸田首相は21日、ウクライナの首都キーウを電撃訪問し、ゼ
レンスキー大統領と会談した。首相は1月のゼレンスキー氏との電
話会談で、ウクライナ訪問の招請を受けた。他のG7首脳は既にキ
ーウを訪れており、5月のG7首脳会議前に訪問したいとしていたが
実現した。

米国は、提供に2年程度かかるM1A2の31両ではなく、中古のM1A1の31
両をウクライナに5月には提供するという。これで提供時期が早まり
、春の大攻勢に間に合うことになる。米国は2024年以降の支援体制
に不安があり、早期に戦車などの重要な装備を提供するようである。

スロバキアはMig-29戦闘機4機をウクライナに引き渡し、北マケドニ
アがウクライナにSu-25攻撃機4機を送った。23日に、スペインがレ
オパルト2A4を6台整備し、ウクライナへ送るという。ノルウェーの
レオパルト2の8両と支援車4台がウクライナに到着した。徐々に反
転攻勢の準備が進んでいる。

それと、英国がチャレンジャー2戦車の弾薬として劣化ウラン弾をウ
クライナ向けに供与するが、これに対して、プーチンは核使用をす
るのは許せないとした。これに対して、NSCのジョン・カービー広報
官は「主に徹甲弾として使用される一般的な砲弾だ。ロシアが戦車
や戦車兵の健康を心配するなら、帰国させればいいだけのことだ」
と語った。

徐々に春攻勢の準備が整ってきたが、ウクライナ国防省のマリャル
次官は25日、報道関係者やブロガーに対して、ウ軍の反転攻勢の議
題につき結果が出るまで話さないように要請した。いよいよ、春攻
勢が近いことがわかる。

もう1つ、重要であるとみるのが、ウ空軍に外国人が参加できるよ
うになったことで、これで将来的に西側戦闘機を取得することがで
きるし、米空軍パイロットが多数参加を表明しているが、受け入れ
ることになる。

最初にF/Aー18の供与があるかもしれないし、A-10の訓練を米国でウ
軍パイロットが受けているので、まずAー10を供与する可能性もある。

しかし、チェコ軍参謀総長やNATO軍事委員長などを務め、2023年の
選挙で大統領になったペトル・パベル氏は「数ヶ月以内にウ軍の反攻
が必ず行われるが、これが失敗すれば次回の反攻に必要な資金や物
資を得ることは困難になる」と指摘した。

このため、ポーランド軍は、ウ軍の春攻勢失敗後の対応をする必要
があり、ポーランド軍が大量に武器を持ってウ軍の義勇兵として戦
う方向もようである。

その準備もしていることで、韓国のKT2戦車などを蓄え、国防予算も
10%以上になっている。NATO軍の介入はないが、ポーランド軍がウ軍
を助けることになる。現在もポーランド軍が多数義勇兵として、ウ
軍として活躍しているようである。そうなると、NATOとロシアの衝
突の一歩になる可能性も出る。

・ロシアの状況
習近平国家主席とプーチンは21日、政治・経済面で二国間の関係を
強化するとした。西側諸国から制裁を科されているロシアは、中国
に対する経済面な依存度を高めて、人民元を両国の貿易で使用する
など、中国は商業・金融分野での優位性を強化する取組みを行うと
した。

ロシアが石油、天然ガスなどの資源を70%割引と安く提供し、中国
は工業製品を定価で提供する。ロシアは中国の属国になったようで
ある。そして、ロシア中央銀行は、中国語の研修を始めるという。
人民元を共同通貨として使用することで、ロシア中央銀行は、中国
人民銀行との打合せが増えることになる。

習氏は一方でウクライナを巡り、紛争の仲介役としての役割を演じ
るようで、中国は先月、紛争終結に向けた交渉を呼びかける12項目
の文書を発表し、習氏は「われわれは常に平和と対話を支持する」
と述べた。このため、中国はロシアに軍事支援はしないとしている。

この声明で分かることは、1つにロシア政権の弱体化、2つに中国の
優位性を確保したこと、3つに中国は中立であり、軍事支援はしない
こと、である。

この結果、プーチンは、大きな期待を抱いていたと思うが、その半
分も実現しなかった。当然、軍事的な同盟はないし、様々な新しい
武器の供給契約もないし、中国首脳によるロシア支持の明確な立場
も示されなかったことになる。

しかし、ドローンや部品を15億円分ロシアに輸出しているなどの民
軍共用品は提供している。また第3国経由で、中国製爆薬がロシアに
提供されているともいう。中国の巧みな戦略である。

ロシアは、プーチンなどのICCからの戦争犯罪人での逮捕状もあり、
中国の経済支援が必要であり、戦争の長期化を目指すにも資金と技
術を得る必要がある。

その上、ロ軍の兵員不足で、次の40万人動員を開始したようである。
しかし、月2万人の動員を2年間通して行うという。一時に多くの動
員では、訓練ができないので、訓練場のキャパに見合う人数を動員
して、訓練をして、戦場に送ることにしたようである。

この訓練場の多くがベラルーシであるようだ。ベラルーシの訓練場
のキャンプ施設は、前回の動員兵の訓練を終了しても、そのままの
状態で、次の動員兵を待っている。

それと、ロシアは兵器枯渇で、とうとう1950年代のT-54/55戦車を投
入してきた。

それと、カザフスタンは4月1日から、並行輸入の一部としてロシア
に向かう商品をブロックすることになり、トルコも既にロシアへの
並行輸入品を止めている。ベラルーシは、まだロシアへの並行輸入
を止めていないが、欧米からの並行輸入は難しくなってきた。

ということで、ロシアが頼れるのは、ベラルーシしかないことで、
プーチンは、ロシアからベラルーシ国内に戦術核兵器を配備すると
した。

また、ロシアは、砲弾を月30万発も生産できるが、ウクライナと欧
米諸国合計で月11万発しか生産できなかったが、欧米諸国は砲弾の
増産をして、早急に100万発の砲弾供給をウクライナに約束した。

このような結果、メドベージェフは、「広義の外国人を全て追放し
、70ー100キロの中・近距離で機能するあらゆる種類の兵器の使用を
禁止する緩衝地帯を設定する」必要があるとした。徐々に中国が提
案する停戦案が漏れているようである。この緩衝地帯は、ウクライ
ナ領内であるが、この支配権はウクライナに帰属させることで、ロ
シアとの停戦を実現することになる。

これを前大統領であったメドベージェフが言い始めたことで、ロシ
アの勝利は不可能であり、停戦に持ち込むしかないとロシア国内で
も認めることになりそうである。この停戦案は中国が提案している
ことである。習近平がプーチンを説得したように思う。

・世界の状況
トルコはフィンランドのNATO加盟を認めたことで、フィンランドが
NATOに加盟することが正式に決まった。

モルトバは、親ロシア派が政権打倒の行動を起こすので、それに対
抗するために、ルーマニア語を共通語とした。ルーマニアの一地方
が独立したのがモルトバであり、モルトバとしては、単独ではロ軍
に対抗できないために、NATOに加盟しているルーマニアと一体化し
て、ロ軍に対抗したいのである。

しかし、2024年大統領選挙に出る予定の南部フロリダ州のデサンテ
ィス知事は、ロシアによる侵攻が続くウクライナ情勢を「領土争い
」と言及し、ウクライナへの支援より、中国への警戒の方が上だ発
言した。

トランプ氏と同様な考え方であり、共和党内から批判が噴出して、
軌道修正に追い込まれた。しかし、デサンティス知事が大統領にな
ったら、ウクライナへの支援は、終了もしくは量の縮小になるよう
だ。

このため、ウクライナもどこかで停戦に向かわないといけない事態
である。少なくとも2024年11月までにである

それに続いて、スペインのサンチェス首相も24日、ウクライナ戦争
からの打開策を模索するために世界は中国の声に耳を傾けるべきと
述べた。「中国には世界的に存在感がある。われわれ全員でこの戦
争に終止符を打ち、ウクライナが領土の保全を取り戻せるかどうか
を巡り、明らかに中国の声に耳を傾けなければならない」とした。
欧州にも中国案がもたらされたようである。そして、仏マクロン大
統領や欧州首脳とEU首脳が、来週、中国を公式訪問する。

もし、この停戦案が実現しないと、世界は米中対決の恐ろしい世界
が待っている可能性がある。

24日TIKTOKの周CEOが米国議会で、米議員と論争になったが、米議員
は、中国配下のTIKTOKを信用できないとして、米国内での使用禁止
法案を可決する方向にある。

世論もTIKTOKの使用禁止に賛成が60%以上もあり、このままでは、
TIKTOK禁止は実現しかねない。経済分断が促進することになる。

一方、米下院は22日、「台湾保証法」の修正案を404対7の圧倒的多
数で可決した。これでより台湾支援が加速する。それと、米軍は、
フィリピン北端の2基地を利用して、中国への南シナ海の監視を行
う。

アップルも、中国のサプライチェーンをインドや東南アジアに構築
し直していたが完成したという。停戦が実現しないと、米中分断が
より促進されることになる。

そうならないためにも、ウクライナとロシアの早期の停戦が必要で
ある。

中国も欧米との貿易ができなくなると、経済上での没落が待ってい
る。このため、中国も必死である。

しかし、停戦が実現しないと、中露対欧米日の経済途絶に向かうこ
とをなると、日本国民も知る必要がある。

さあどうなりますか?


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