ロ軍が人海戦術とワグナー軍の巧みな攻撃でバフムト包囲を着実に 前進させている。ウ軍のバフムト撤退が近いか、ワグナー軍の消耗 が早いかという事態である。今後の戦況を検討しよう。 津田より 0.米国と世界の状況 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、 2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、10月10日は29,202 ドルで2022年年初来安値となり、2月17日は33,826ドルで、21日は 697ドル安の33129ドル、22日は84ドル安の33,045ドル、23日は108ド ル高の33,153ドル、24日は336ドル安の32,816ドル。 先週、株価は大幅な下落でした。2月のPMIが50.2と、50以下を市場 は予想していたが、景気が強いことから、FOMCは、6月まで利上げ を続ける可能性があるとして、金利上昇が続くとみたことで、ドル 高株安になった。 その上に24日の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比5.4%上昇とな り、米セントルイス連銀のブラード総裁は「2%インフレ目標の信 頼性確立が実に望ましい。迅速に動けば、ある程度は市場にアピー ルできる」と語り、当分利上げが続くようである。 FRBは少なくともあと3回の利上げを実施し、より長い期間にわたり 金利を高水準に維持するとの見方が強まった。そして、JPモルガン のダイモンCEOが、年末には6%台になるという。 このため、24日も大幅な下落なっている。 F&Gインデックスも中立の55まで落ちた。しかし、個人の短期投資に 毎日15億ドルもの取引ができている。大盛況な市場状況にある。売 買してるのが、テスラ、SP500ETF、アマゾン、アップル、エヌビデ ィア、NASDAQETF、アルファベット、AMD、メタ、マイクロソフトの 10銘柄で、売買がほとんどという状況のようである。 1.日本の状況 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021 年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は 24,717円の底値になり、2月17日は27,513円で、20日は18円高の 27531円、21日は58円安の27473円、22日は368円安の27104円、24日 は349円高の27,453円。 先週の株価は、下落した。米株価下落の影響である。米国債金利の 上昇により、136円台の円安にもなり、植田新総裁の国会での所信表 明でも変更なしということで、市場は安心した。 日銀次期総裁の植田和男氏は、安定的に2%物価が達成すれば、正常 化の方向に動くようであるが、現在はその状況ではないという。 このため、YCCの問題点が出ているが、現状では金融政策の変更はし ないという。 日本のバーナンキとも言われる植田新総裁は、MIT学派であり、MIT フィシャー門下生であり、バブルを肯定している。このため、強い 引き締めはしないと見られている。 4月28日の日銀金融政策会合後の会見でどう言うのかが、次の焦点に なっている。 2.ウクライナ戦争の推移 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ウクライナ戦争も2年目に入った。冬のロ軍大規模攻勢の成果がバフ ムトで少し出ているが、それ以外は見るべきものがないようである 。ロ軍が攻勢に出たのは、クピャンスク方面、クレミンアの反撃、 バフムト包囲、ボハレダラであるが、バフムトだけは、ウ軍守備隊 に大増援をして、ロ軍の人海戦術の進撃スピードを止めているが、 ワグナー軍は巧みに前線を突破してくるが、その他は前進できない でいる。 ・バフムト方面 ワグナー軍は、ザリジネスク手前まで占領し、直角に曲がりM03高速 道路に向け攻撃し、M03号線を超えて西側のベルキウカを攻撃してい る。そこを超えて、地方道00506線を切りたいようだ。しかし、ザリ ジネスクの街は、ウ軍が防衛している。 ウ軍は、第30機械化歩兵旅団を投入しているが、ワグナー軍は10人 程度の歩兵グループを多数波状的に分散して突撃させて、ウ軍陣地 を突破する。突破すると、人数を増やしてその陣地を奪い、次の陣 地に向けて、突撃を開始する。ワグナー軍は近代的戦術と取り入れ ているが、ロ軍は、ソ連式の人海戦術で単純に押すしかなく、その 戦術面でも大きく違う。 このため、重機関銃の銃撃が間に合わないようである。ゾンビが突 撃して来るともウ軍兵士は表現する。勿論、大量のワグナー軍の戦 死者が出ているが、ゲラシモフ総司令官の3月末までに、バフムト占 領をしろという命令に、現地司令官も犠牲無視の攻撃を各部隊に命 令している。 また、ロ軍とワグナー軍は、パラスコビイウカを全面的に占領して 、M40号線を超えてヤギドリウカも占領した。こちらもワグナー軍の 波状突撃で、徐々にウ軍は後退している。ステプキー駅周辺の陣地 からも退却した。 戦車などで、ワグナー歩兵を止めないといけない。しかし、ワグナ ー軍の歩兵数も少なくなり、どこまでワグナー軍が活躍できるかは わからない。特に前線に全兵力を投入して、後方に予備部隊を置い ていないことで、もしウ軍の攻勢が発動すれば戦線の維持は絶望的 だとみる。 このため、ウ軍はヤギドリウカでは、予備役の後方に居た機械化歩 兵部隊が反撃に出ている。そして、ヤギドリウカ方向から攻撃して くるロ軍を足止めするべくスタフカのダムを破壊した。これにより 北部から攻撃してくるワグナー軍の進撃を滞らせるたいようだ。 しかし、これにより、メインのM03補給路は切断された。 補給路としては、地方道の00506道とT0504主要道しかなく、その道 路もロ軍の砲撃にさらされている。この地方道も切りにワグナー軍 が攻撃している。非常に危機的な状態になってきた。バフムトから ウ軍撤退の可能性も出てきたようである。 この状況で、ゼレンスキー大統領も、バフムトを固守はしない。状 況が悪ければ、縦深防御のために下がることはあると言い始めた。 バフムト市南側のロ軍は、攻撃力がない。ワグナー軍とは違い、全 然、前進できずにいる。南にあるマリウポリスケ墓地地区では、ウ 軍が反撃している。ロ正規軍とワグナー軍の技量の差が大きい。 それと、ロ軍の人員損耗が激しく、攻撃要員が不足になり、攻撃力 が弱まり、攻撃地点を絞っているようである。特にワグナー軍は、 西側のベルキウカとヤギドリウカの攻撃を重点的に行い、バフムト 東側や南側は、ロ軍部隊が中心になり、前進できないでいる。一部 ワグナー軍もいるが、少数なので、ウ軍特殊部隊が反撃している。 バフムトの南側のイワニフカにロ軍が攻撃しているが、ウ軍機甲部 隊が反撃して、郊外まで押し戻した。T0504主要道の交差点にもロ軍 は攻撃したが、ここもウ軍機甲部隊に撃退されて、押し戻されてい る。このため、その地点より南のクルデュミフカを、ロ軍は攻撃し 占領したが、この先でウ軍守備隊が撃退した。 ということで、T0504主要道を補給路として、ウ軍は確保したようで ある。ウ軍は、3月末までバフムトを保持できるめどがついた。ゲラ シモフ総司令官の3月末までにバフムトを占領しろという命令は実現 できないようである。 この状況で、ワグナー軍のトップであるプリゴジンは、「ワグナー 軍に弾薬などの補給がなく、ワグナー軍兵士が多数死んでいる。ロ シア国民は、ロシアのためにジョイグ国防相やゲラシモフ総司令官 にワグナー軍への補給をするように、要求してくれ」と投稿した。 この投稿に応えて、カディロフは、「ワグナー軍は成功している」 と述べて、ロ軍に補給を優先的にするべきとした。そして、カディ ロフも民間軍事会社を立ち上げて、世界から優秀な戦闘員を集める という。動員兵中心のロ軍兵の士気が低いので、戦闘に勝つために は、世界から優秀な戦闘員を集めるしかないと見たようだ。 しかし、なぜ、ワグナー軍に補給されなかったのかというと、ロ軍 の弾薬の保管状態が劣悪だったことで使用できる弾薬が少なく、結 果的にワグナーへの弾薬も不足したのではないかとの見解も出てい る。 この状況でも、現時点で、ウ軍陣地を突破できているのは、ワグナ ー部隊しかないことで、ロ軍のゲラシモフ総司令官も、ワグナーに 優先的に弾薬を補給するしかない。 プリゴジンもロシア国民の要求で、ゲラシモフ総司令官も補給をし 始めたと投稿している。このことからか、フリゴジンとカディロフ の両名は、プーチンの年次教書の講演会に出ていない。ロ軍への不 満から、プーチンへの不満になってきているようだ。 ということで、ロシア内部の政争で前線のロ軍全体の力も落ちると 期待したが、それはなかったことになる。ウ軍にとっては、残念だ。 バフムトの北のフェドリフカにロ軍が攻撃をしているが、ウ軍は撃 退している。ワグナー軍がいない地点は、ウ軍守備隊で撃退できる が、ワグナー部隊の攻撃は、相当な練度を積んだウ軍兵士多数が必 要であろう。 全体的に、ロ軍の積極的な攻撃で、秋の動員兵も戦死者が多く、残 数が少なくなっている。このため、次の動員を考える必要があり、 現時点で生産活動をしていない学生動員に向けた準備をしている。 動員準備命令書には、トムスク大学の動員対象の学生名簿の作成を 指示ししている。次の動員は、学徒動員になることが明確である。 ・ドネツク方面 ドネツクのボハレダラには、ロ軍海軍歩兵部隊が、戦闘参加を拒否 しているという。このため、ロ軍も攻撃できなく平穏無事な状態に なっている。アウディーウカ要塞の包囲作戦もロ軍は行っているが 、ウ軍守備隊に撃退されている。 マリンカにもロ軍は攻撃しているが、ここでも撃退されて、大損害 を出している。 バフムト以外では、ロ軍の攻撃力が弱く、秋の動員兵の訓練が十分 ではないようであり、ウ軍の守備隊や増援部隊に負けている。 ・スバトボ・クレミンナ攻防戦 ロ軍が、大量の人員と戦車、装甲車を集めて大規模攻撃に出てきた 。ロ軍の攻勢でディプロバを一時占領して、クレミンナの西側のウ 軍は後退したが、精密砲撃で多数の装甲車や戦車を破壊して、再度 ディプロバを取り戻したようだ。 このため、前進できずにいる。ロ軍機甲部隊の訓練不足でT-90など の新しい戦車などが破壊されているし、航空優勢がないので、ウ軍 を叩けていない。もう1つが、HIMARSの射程外に補給基地を置いて いることで、補給ラインが長く、補給も十分でないようだ。 クピャンスク方面でもロ軍が攻勢に出ている。ロ軍がフリャニキウ カ、シンキフカ、マシュチフカなどを攻撃しているが、ここでも前 進できない状態になっている。何週間も同じ地名が出てくることに なる。 ・その他 マリウポリで12回の爆発があったようだ。HIMARSでは射程範囲外で あり、150キロ射程のGLSDBが使用されている可能性がある。GLSDBを 発射できる発射機が少ないので、現時点では同時に攻撃できる地点 が1ケ所だけのようだ。 マリウポリは、ロ軍兵站の一大拠点であり、ここを効率的に攻撃さ れられると、南部のザポリージャ州、ヘルソン州への軍事物資が滞 ることになる。 しかし、HIMARSを前線近くに移動して、ギリギリの距離で攻撃した ともいう。まだ、どちらかは分からない。 HIMARSについては、ロ軍は30両近くを破壊したというが、チェコが HIMARSのデコイをウ軍に多数提供して、そのデコイは前線近くに置 いているようで、ロ軍が破壊したのは、デコイのようである。この ため、時々には本物のHIMARSも前線に出している可能性がある。 一方、ロ軍は、50年以上も前の古いBTR-50を出てきた。このBTR-50 は1952年に開発され1954年にソ連地上軍に制式採用された。この古 い兵員輸送車を復活させている。弾薬と兵器の枯渇が徐々に進んで いることで、大攻勢を掛けても、装備も訓練が十分でもなく、攻撃 力も弱い。 一方、ポーランドは24日、同国が保有するレオパルト2A4戦車4両を ウクライナに引き渡した。ウ軍に欧米製戦車の受領は初めてであり 、兵器の欧米化が進むことになる。通常兵器での優位性が徐々に上 がってくる。それと、ポーランドのモラヴィエツキ首相は「数日以 内に60輌のPT-90も到着するだろう」とキーウで発表した。 さらに、ポーランドのブラスザック国防相は「国内に残るT-72やBMP -1を提供してウクライナ軍の旅団を編成する」というので、相当な 数の戦車を渡すことになる。ポーランドは30両のレオパルト2A4を 提供するし、ドイツは18両のレオパルト2A6を供与する。 スウェーデンも、10両のレオパルト2A5戦車を提供するとしたし、フ ィンランドも3両、スペインも6両、カナダも8両提供するとした。米 国も多数のM1エイブラムスを提供するし、レオパルド1も大量に提 供するということで、春までには大攻勢を行える戦車もそろうこと になる。 ・和平交渉の動き 2月20日にバイデン米大統領がキーウを訪問した。5億ドルの主に弾 薬の供与が発表された。21日には、プーチンが年次教書を発表した が、米ロ核軍縮の新STARTの参加を停止するとしたが、他は今までと 同じであり、代り映えしなかった。ロシアも長期戦の覚悟であるこ とが分かった。 中国の外交トップの王毅政治局委員がロシアを訪問して、ロシアに 武器を提供する可能性について、ブリンケン国務長官が警告したが 、100機の攻撃用ドローンをロシアに提供するようである。中国は、 否定している。 当初24日に習近平国家主席が和平提案の演説をする予定であったが 、その文書のみが出てきた。国際法の尊重や国家主権と領土の維持 と書いている。 しかし、ロシア訪問時に、王毅氏とラブロフ外相の会談で和平協議 の話は出なかったとラブロフ外相はいう。ロシアは、ロ軍が少し引 く停戦に反対したようである。プーチンと王毅氏の会談は、プーチ ンの一方的なトークであり、王毅氏は圧倒されていた。 中国の心配は、ロシアの消滅であり、ロシアが負ける前に少し引い てでも停戦する必要があるとみているが、和平案では主権維持とあ るが、具体性がなく停戦しか述べられていない。プーチンにやりこ められたようである。 そして、メドベーシェフ前大統領は、ロシアがウクライナ国境に押 し戻されたら、ロシアは消滅する。このため、ロシアが負けそうな ら、核兵器を使用するということになるという。 既に、タタールスタン、バンコルトスタン、チェチェン、ダゲスタ ン、サハなどの共和国は、自治拡大を要求しているが、ロシアが負 ければ独立する可能性が高い。よって、ロシアの消滅も現実的に起 こりえる。 プーチンも「祖国防衛の日」に核兵器の充実を図ると述べている。 通常兵器での戦争に勝つ見込みがなくなっているからだ。 このため、プーチンは、この戦争に中国を巻き込みたいようであり 、プーチンと習近平と金正恩、そしてイスラム革命防衛隊のタッグ を組み、欧米諸国に勝つことである。これの意味することは、第3 次世界大戦である。 しかし、中国はロシアに損切させて停戦することを望んでいる。1年 前の2月24日以前の状態で停戦するべきとみているようだ。ウクライ ナのゼレンスキー大統領も中国の提案に、一定の要素を歓迎すると しつつも、戦争が行われている国のみが和平案を策定すべきという 認識を示したが、中国政府の提案について協議するため、習近平国 家主席との会談を計画していると述べた。ロシアは、現状での停戦 と解釈して、中国の提案を歓迎している。 しかしブリンケン米国務長官は24日、中国が発表した仲裁案に対し て、「公正で持続可能な」和平を通してロシアに再武装を行うこと を許してはならないとし、中国の停戦を巡る提案に惑わされてはな らないとした。 しかし、ウクライナの望む平和が戻れば、ロシアは経済と人口の減 少に直面する一方、ウクライナは西側の新たなメンバーになり、発 展することになる。これがプーチンにもわかるので、勝つことに執 着しているようにも見える。 一方、ウクライナは、レオパルト2戦車が届き始めていて、戦争に は勝つとの自信を深めている。 事実、レズニコフ国防相は、「今、私たちは新しい時期に入ってい る。新しい、『勝利』という課題とともにだ。今日、議題にある主 な質問は、ウクライナの勝利はどのようなものとなるかである。返 答はシンプルだ。勝利とは、1991年国境まで私たちの領土を全 て解放し、ロシアからの危険を除去することである。」と自信をも って語っている。 ウ軍の自信から、イスラエルもイランの兵器工場をたたき、ロシア へのドローンやミサイル提供を阻止するように動いている。その代 わりにヨルダン川西岸の入植地を認めるように、米国に働きかけて いる。しかし、バイデン政権は認めないようであるが、黙認する可 能性がある。 中国は、反米勢力のロシアが消滅して、反米陣営が少なくなると、 中国への攻撃が増えることを心配している。 23日に国連でのロシアの即時撤退などの決議案でも、賛成141ケ国、 反対7ケ国(ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、マリ、ニカラ グア、シリア)、棄権32ケ国であり、賛成が多数である。ロシアの孤 立化が目立っている。しかし、グローバルサウスの国々は、積極的 なロシア制裁には組しない。中立的な位置にいる。欧米の完全な味 方も少ない。 25日G7首脳会議では、ロシアへの経済制裁の強化やロシア側にドロ ーンを提供しているイランや提供する可能性がある中国などを念頭 に、ロシアに物的支援の提供を停止するよう第三国にも経済制裁を する方向である。 中国の心配は、米国が米国製ツールで作られた半導体チップが中国 に送られることを制限する経済制裁を課すことで、これが発行され ると、航空部門の部品を含め、中国経済は深刻な被害を受ける可能 性がある。このため、ロシアへの武器提供は控えているが、航空部 品を提供して、ロシアで組み立てる方法を考えている可能性はある とみる。 ロシア経済は、GDPが前年比-2.1%であるが、1年でマネーストックが 24.4%も増加した。予算不足であり、中央銀行は紙幣の発行を増や している。この紙幣増発は、その内にハイパーインフレにつながる リスクがあり、ロシア国民生活を破壊する可能性がある。プーチン が惰性で戦争を継続すると、ロシア国民は生活をも破壊することに なる。 しかし、欧州の英独仏も和平協議を望んでいる。そろそろ、援助疲 れが出てきている。軍事支援が重くのしかかり、国民の福祉予算が 押さえられて、国民の理解が得にくくなっている。25日、ドイツの ベルリンでは、ウクライナへの武器支援に反対するデモが行われた。 このため、英スナク首相は、ウクライナ停戦終結後、ウクライナと 国防目的で最新鋭の軍事機器、兵器、砲弾をより幅広く入手できる ような協定を交わす計画を示した。その上で、この提案を7月のNATO 年次会合の議題にするよう呼びかけた。フランスとドイツもこの構 想を支持している。 3ケ国は、ウクライナの自信を高め、ロシアとの和平協議を促すとみ ている。スナク首相は、ロシアが不利な停戦を受け入れられるよう に、西側諸国は戦場でウクライナを「決定的に有利」にする戦闘機 などの兵器を提供する必要があるとした。 そして、ロシアが停戦後で軍事拡張をしても、ウ軍が勝てるように することで停戦協議を始められることであり、ウ軍の春の大攻勢で 1年前の2月24日以前までロ軍を押し戻した時点で、停戦をする可能 性が高いようである。人海戦術のロ軍を完全に押し戻すことはでき ないと英国防省は見ている。 ロシア防衛産業の生産能力が、欧米の30倍もあることで、弾薬や火 砲、戦車の製造能力が高い。しかし、精密誘導兵器は作れないこと で勝てないが、長期戦・消耗戦を戦い、ウクライナと欧米諸国の疲 弊を待つようである。このため、欧米も停戦をどこかで視野に入れ ないといけなくなる。 という意味では、中国の提案が英独仏に受け入れらた様にも見える 。国際安全保障会議に出席して、王毅氏は、欧州で停戦仲介調整し たが、大きな意味を持つ可能性がある。中国が和平分野で大きな力 を持つ動きをしたことにもなる。この提案を受けて、マクロン仏大 統領は、中国を4月上旬に訪問するとした。和平交渉の中心が中国 になってきたようだ。 徐々に、停戦協議に向けた動きが出てくる。特に独仏では、国民の ウクライナ支援に対する支持が減少していることが、政権内でも危 機的であるとみているようである。 日本は、ウクライナ寄りの姿勢が強まっているが、欧州や米国では 、ウクライナ支援への国民の関心が弱くなっているようである。 しかし、米国は自国を無視して、中国が動くことに違和感を持って いる。このため、中国の和平案を潰す方向に動くことになる。この ため、3つ巴の動きが出てくることになる。米国の力が落ちている とも見える。 しかし、もし、ロシアの崩壊なしで、停戦になると、中国の台湾有 事の際は、中ロとイラン、北朝鮮などが一団で戦争を始めることに なり、第3次世界大戦になる可能性が出てくる。米国はそちらを気 にしている。 21世紀は、地球滅亡の世紀になる可能性がある。しかし、当面、戦 争が終結する可能性が出てきた。5月か6月にウ軍大攻勢後、停戦交 渉が開始するようである。 さあどうなりますか?