6263.ゼレンスキー大統領の前線視察と訪米で



ウクライナのゼレンスキー大統領が前線視察と訪米した。前線兵士
に勲章を授与したことでの前線での攻勢と、共和党の議員から、ウ
クライナ支援の量を少なくして、米国民に支援を回す必要があると
提案があったが、それを抑えることができたかを検討しよう。 
                   津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、10月10日は29,202
ドルで年初来安値となり、12月16日は32,920ドルで、19日は162ドル
安の32,757ドル、20日は92ドル高の32,849ドル、21日は526ドル高の
33,376ドル、22日は348ドル安の33,027ドル、23日は178ドル高の
33,203ドル。

先週のNYダウ株価は上昇した。景気後退なくインフレが収まるかど
うかが焦点であり、それに関する情報で、上下に大きく振れている。

22日は、第3四半期のGDPが前期比3.2%増と、改定値2.9%より上方修
正されたことで、第2四半期の0.6%減とは違い、景気が良いことでイ
ンフレが止まらずに、FRBが利上げを継続すると株価を下げ、スポー
ツ用品大手ナイキと宅配大手フェデックスの決算や消費者信頼感の
改善したことで、インフレ期待の低下と21日は大幅な株価上昇にな
る。振れ幅が大きい。

23日は、11月の米個人消費支出(PCE)価格指数は、前月比0.1%上昇
と減速し、一方で支出は伸び悩んだことを受けて、株価は上昇した
が、米国10年債利回りは0.08%上昇の3.75%でした。この上昇は、
日銀の金融政策変更の影響のようであり、欧州金利も上昇した。

この意味することは、弱い経済指標は、米国がリセッション入りと
なることを示し、強い経済指標はFRBのタカ派姿勢の継続を意味する
が、現実の株価の動きは、材料を良い方向と悪い方向で、その時々
で変えているように見える。

F&Gインデックスも「39」と、恐れの水準で、底に達していない。

パウエルFRB議長は、インフレ退治で「ボルカーの過ち」を繰り返し
たくないという思いがあり、同じ失敗で歴史に名を残したくはない。
このため、成長率の低下とインフレ率の低下に直面しても、簡単に
は利下げに向かわずに、利上げを行う可能性が高いようだ。

よって、利上げは2023年3月まで、場合によっては5月まで続けられ
るということになる。このため、当分、米国株は上昇できない。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、12月16日は27,527円で、19日は289円安の
27,237円、20日は669円安の26,588円、21日は180円安の26,387円、
22日は120円高の26,507円、23日は272円安の26,235円。

先週の株価は大幅な下落でした。日銀の0.25%の利上げと同等な変動
幅調整で、日本株も売られて、26500円割れになった。一方、円安は
止まり、131円まで上昇した。国債とETF買いを月7.3兆円から9兆円
に増やす処置もして、株安に備える姿勢を示すが、売り方は、TOPIX
を午前2%安にしないようにして、午後、株売りを仕掛けるので意味
をなさない。

違うロジックを使いことである。1日でどこでも2%下落なら、ETF買
いをすることにして、株価を維持すればよいのである。維持をし始
める株価を27000円以下と決めることだ。株価が高い時は、2%下落で
も買わないなどの複雑化したロジックが必要である。

とうとう、世界の中央銀行が利上げに向かう中、日銀も国債10年金
利を0.25%に押さえることができなくなり、0.5%まで上げたようであ
る。しかし、投資家は、日銀の利上げを受けて、売り圧力を増して
いる。このため、10年国債金利は0.45%で推移している。

良かったのは、円安の進行を止めたことであり、原油や食糧の輸入
価格を押さえることができる。

しかし、今後も円安防止には、金利を更らに上げる必要があり、も
し、0.5%維持であると再度円安になる。しかし、逆に円の巻き戻し
で、円高にもなる可能性もある。

一方、金利を上げ続けると国債費が膨張して、財政破綻になる。全
体状況は変わらない。このため、金利上昇の前提条件は、財政健全
化である。

財政赤字を20年も続けるのは、やり過ぎであり、本当は得た資金で
産業転換や海外人材の取り込みなどの施策に使うべきであったが、
ただ、お金をばら撒いただけであり、それでは、日本の再生はでき
ず、しかし、日本再生のため、今後もバラまけとアベノミクス支持
派の評論家が言う。こんなの亡国である。

もう1つが、人口減少と工業技術の衰退で日本は衰退しているので
、円安に備える必要があり、国内での食糧生産とエネルギー生産が
必要である。

食糧生産では、大規模農業で生産原価を低減させ、DX化で少人数生
産ができるようにするしかない。農業の自由化を一層推進して、神
戸物産やイオンのような垂直統合企業やオイシックスや食べ直など
の農家直結通販企業の増加、農家の6次化などの方向で改革を進め
ることである。

これにより、取引量が少なくなる農業協同組合の変化も期待したい。

大規模省力農業で、農業人口は大幅に少なくなるが、議員配分を人
口比にすることで、補助金目当ての非効率な農村重視の政治を、生
産効率上昇を目指す農村を作り、都市生活者重視の政治に変更する
ことである。

この農村への補助金をゼロにすることで、自衛隊の増額の一部を捻
出できるような気がする。もう、農村への補助金の時代は終了であ
る。農政の中心は、農産品の輸出促進に舵を切ることである。

食糧とエネルギーの国産化を今から準備しないと、財政破綻になり
、円安で大変なことになる。税収が少なくなる少子高齢化と国債頼
りの赤字財政は、どこかで行き詰まることになる。

国民は、国債依存財政に浸りきり、アベノミクスを推進した高橋氏
などの財政赤字拡大主張の評論家が跋扈している。これでは、日本
は財政破綻で亡国になりそうで心配である。

今は、国の構造を変えて、赤字財政から脱却することをしないと、
本当に財政破綻する可能性がある。

この財政破綻すると、超インフレになり、インフレは逆累進性が高
いので、配慮された増税より、庶民にはきついことになる。

もう、日本を復興させられる残された時間がなくなってきている。
予算の自由度が徐々に失われて、財政破綻に向かっている。

抜本的な国の構造を変えて、効率的な政治、産業政策を行わないと
いけないはずである。徐々に大改革が必要な時代になってきたよう
だ。亡国になる前に急いで、改革が必要であろう。

2.ウクライナ戦争の推移
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ウ軍の戦略の方向性が見えてきている。しかし、欧米諸国のウクラ
イナ支援疲れに対して、ゼレンスキー大統領の動きが重要になって
いる。

・ドンネツク・バフムト方面
ロ軍は、この地域を最重要攻撃地点としている。精鋭部隊の多くを
この地域に集めている。ロ軍の多くの戦闘資源をここに集めている。

しかし、損害無視の攻撃で、バフムト市内に取りつくことができた
が、ゼレンスキー大統領が、バフムト前線でウ軍兵に勲章を授与し
たことで、士気が上がりバフムト市内にとりついたロ軍陣地を奪い
返した。その後もウ軍は郊外にあるロ軍陣地も攻撃している。

ロ軍は数か月の時間と多くの犠牲を出して取った陣地を数時間で、
ウ軍に奪い返されたようだ。

その上、バフムトのロ軍司令部と兵器弾薬保管庫を空爆して破壊さ
れた。ウ軍は、縦深防御で、ロ軍に多大な損害を与えつつ、後方に
予備兵力がいて、攻撃に出ることもでき、どこかで攻守は逆転する。
このフェーズに入り始めている。

そして、ウ軍は、オザリアニフカの西700m(バフムート南13km)にあ
る塹壕線を奪還した。ウ軍が積極攻撃に出ている。

クデュミフカでは、ウ軍は運河の閘門と橋を奪還したが、市内の半
分をロ軍が占拠しているが、市内のロ軍にも攻撃を開始したようで
ある。

ウ軍は、ピスキーを奪還し、バセルを攻撃している。ロ軍はアウデ
ィーイウカ要塞包囲作戦が失敗したようである。ここも多大な損害
をロ軍が出していた地域であり、それを短時間にウ軍に奪い返され
たようである。

マリンカでの中心部にロ軍が入り、郊外の高台にウ軍がいる状態に
した後、市内中心部に入ったロ軍に多大な犠牲を出させ、撤退させ
たようである。これが、ウ軍の作戦のようである。

もう1つ、ウ軍は東部ドネツク市内に対し最大規模の攻撃を実施し
たが、その目的は、ドミトリ・ロゴジン元副首相とドネツク共和国
のヴィタリー・ホツェンコ首相を仕留めることであり、「Six-five
」というレストランで行われたロゴジン氏の誕生日パーティーにミ
サイルを打ち込み、両者を負傷させた。

そして、ロゴジンの状態が悪化し、ドネツクの医療では対応できな
いため、モスクワに搬送するようである。それだけ重症のようだ。

というように、ロシア側要人のスケジュールをウ軍は手に入れてい
る。逆にゼレンスキーの訪米をロ軍は感知できていない。ウクライ
ナの親ロ派は、ウクライナの情報総局に入り込めていないことがわ
かる。

その結果、この地域のロ軍は、多大な犠牲を出したが、成果は出な
かったことで、攻撃軸を変えているようにも見える。

攻撃軸をバフムトの北にあるヤコブリフカ、ビロホリフカ、ベレス
トーブに変えてきたようであり、一時ヤコブリフカをロ軍に占拠さ
れたが、ウ軍も増援して反撃し、ヤコブリフカを奪還している。

ウ軍は、どうも、この方面に大量の兵力を投入して、この地域のロ
軍を攻撃して追い払い始めた。フリゴジンの傭兵「ワグナ−」が負
けていることになる。

もしかすると、ポパスナまでウ軍は奪還する勢いになってきたよう
にも見える。この方面でのウ軍の攻勢がすごいことになっている。
ここのロ軍主力を叩きのめして、ロ軍撤退に追いやる方向に戦略を
シフトした可能性がある。

反対に、ロ軍兵は防寒服もなく、砲弾もなく、食事も取れない状態
で、その上にウ軍の大砲の餌食になることが見えてきて、第127偵察
旅団は、大損害の後、旅団全体で戦争参加を拒否して、戦線を離脱
した。このように、とうとう、ロ軍の崩壊が始まっている。投降兵
や脱走兵も増えている。

特に、ワグナーの多くの戦闘員が自発的に、ウ軍に降伏してきてい
る。特に囚人兵の投降が多い。それは、大砲の餌食になる確率が高
いことは、仲間の突撃で戦死する姿を見て、かつ、撤退するとワグ
ナーの督戦隊に銃殺されるなど、人権無視な扱い方であり、降伏し
たくなるのも分かる。これでは、その内に、ワグナーも戦闘員を大
切にしないことで、崩壊する。

この対応で、ウ軍は、投降する手順をロ軍兵に示して、投降を呼び
かけているが、多くのロ軍兵が応じているようである。この投降支
援プロジェクトへ連絡してきたロシア人が、120万人にもなっている。

それでも、ロ軍のゲラシモフ参謀総長は22日、ウクライナの前線は
安定しているとし、ロ軍はドネツク地域の「解放」を完了させるこ
とに集中していると述べたが、現状の状況はウ軍に押されているよ
うだ。

・スバトボ・クレミンナ攻防戦
スバトボ方面では、ウ軍は、スバトボ10数Kmにあるクゼミフカやキ
スリフカに前進している。ロ軍も抵抗が強く激戦になっている。し
かし、やっと、重火器を動かせるような固さになってきている。

ロ軍も戦車などを、この方面に増援して、戦車戦にもなっている。
陣地戦から重火器中心の機甲戦になってきたようである。

クレミンナ方面では、ウ軍はクレミンナ南でクレミンナまであと数
km地点まで接近しているが、大量に敷設されたロ軍の地雷により、
行動を制約されているが、着実に陣地を構築して前進している。こ
こもやっと、地面が凍結して戦車が走れるようになってきた。

ロシアの目標は、ドンバスの解放であったが、徐々にルハンスク州
もウ軍に奪還される可能性が出てきて、ロ軍も急遽、第1親衛戦車
軍団をヘルソン州から回したようである。

・ザポリージャ方面
メルトポリ周辺のロ軍基地、補給基地、橋などをHIMARSの砲撃、パ
ルチザンの破壊工作などで、破壊し続けている。

しかし、ウ軍はパブリフカへの攻撃をしたが、ロ軍が確保している
し、強い攻勢には出ていない。HIMARSで後方の基地や補給基地を砲
撃するだけである。

この地域へのウ軍の攻撃を意図的に止めているようにも見える。
多くの軍事専門家は、ウ軍はここから攻撃を開始するとみているが
、どうなのであろうか?

ロ軍もウ軍の攻勢に備えて、塹壕や要塞を各所に作り、攻勢に備え
ているようだ。

・北部ヘルソン州・クリミア
ドニエプル川中州にロ軍は、拠点を置いたが、その拠点をウ軍は砲
撃で潰した。逆に、ロ軍はドニエプル川東岸地域に砲撃をしている
し、ヘルソン市内に、国際法的に違法なテルミットクラスター焼夷
弾で砲撃した。

そして、ウ軍はヘルソン州東岸カホフカの飛行場を20日に砲撃し、
ロ軍兵の約150人が死亡させた。ウ軍もドニエプル川西岸を砲撃して
いる。それもロ軍に目掛けて精密攻撃することで、弾頭の数は少な
くても、効果は大きい。対して、ロ軍の砲撃は、絨毯爆撃であり、
ウ軍の被害は少ないが、民間人の被害が大きいことになる。

コスパの低い砲撃であり、このため、爆弾を大量生産する必要にな
り、できないと40年前の信頼性のない砲弾を使うことになる。

このように攻撃力が弱いので、ロ軍は引き続き、塹壕や要塞を各所
に作り、ウ軍の攻勢を止めようとしている。

もう1つ、黒海艦隊の活動が活発化してきているので、何かしらの
攻撃を意図しているようである。ミサイル攻撃であろうか?

・ロ軍や世界の状況
12月22日現在のロ軍戦死者数は10万400人になった。スバトボ、クレ
ンミンナ、バフムト、ドネツク市付近のロ軍は、毎日500〜600人の
戦死を確認されている。単純な突撃をするスタイルが変わらないの
で、ウ軍は研究して効率よく、殺す方法を毎日、磨き上げている。

その1つが、キルゾーンに誘き入れて、大量に処理する方法のよう
である。それをマリンカで実践したようである。

プーチンも「併合4州は、極めて困難な状況にある。」と認めている。

このため、19日にベラルーシを訪問して、ルカシェンコ大統領に、
参戦を依頼したが、参戦を拒否された。しかし、ロシアがベラルー
シに対空ミサイルシステム "Tor "を譲渡したり、ロシア軍のT-90M
戦車とT-72B3戦車を大量に送っている。ロ軍単独でもウクライナを
再侵攻する可能性がある。

ロシアの軍事ブロガーのイゴール・ガーキンは、ロ軍がウクライナ
で大規模に占領地を拡大する能力はないので、ベラルーシからキー
ウ方面に地上攻勢をかけ、欧州とキーウとの地上連絡線を脅かすこ
とで、他の地域の作戦を有利にできるという。

しかし、中国を訪問したメドベージェフは、習近平主席から戦争を
やめて、交渉で問題を解決することが必要であると言われて、軍事
援助を期待したが、その期待が打ち砕かれた。

ロシアは、ルーブルでの輸入決済ができないので、中国の人民元で
の決済をするしかない。ルーブルと人民元はスワップ協定も結んで
いるので、ルーブルの交換レートが良い。

このため、来年から通貨市場で中国・人民元を買い始めると関係者
2人が述べた。ドル依存から脱却する流れが加速するが、経済面で
は中国頼りになる。その中国に袖にされると、ロシアは、軍事物資
も手に入れられないことになるので、中国の意向を無視できない。
ロシアは、経済面では、中国の属国化が進んでいる。

このような外交の情勢であり、北朝鮮から兵器と弾薬を傭兵会社「
ワグナー」は買ったが、その弾薬もバクムトで使い果たしたようで
ある。

ということで、ロシア政府内では、再攻勢に出るべきという意見と
守備を固めて今の状態を守る方が良いという意見があるという。

しかし、守備だけでは、埒が明かないので、停戦交渉に入りたいが
、現状の状態での停戦しかできない。22日、中国の習近平主席の言
葉を受けて、プーチンは「この戦争を終わらせることを目標として
いる」と発言したが、現状の占領をウクライナが認める必要がある
という。

しかし、ウクライナは停戦の条件を、ロ軍がウクライナ領土から撤
退することであり、終戦・停戦条件が折り合わない。

当分、戦争は続くことになる。ロ軍兵を30万人戦死させることは、
プーチンにとっては、痛くも痒くもないようであり、平然としてい
る。劣勢であることも承知の上で、戦争を継続するしかない。

ウクライナの条件での終戦・停戦は、ロシアの負けであり、プーチ
ン自身の死を意味するからである。自身の死と覚悟するなら、核攻
撃を行うという可能性も出る。

このため、ゼレンスキー大統領は、キーウ核攻撃時の対応をバイデ
ン大統領や米国軍関係者と話したようである。そのためのワシント
ン訪問であったとも見える。それだけ、ロシアの核攻撃の可能性が
高まっている。

核攻撃以外で、現在、ロシアの有効な攻撃は、ミサイル等によるイ
ンフラ攻撃しかなく、ウクライナは、ロ軍が近々に大規模なミサイ
ル攻撃を計画と述べ、戦略爆撃機Tu95を8〜14機、中距離爆撃機Tu22
M3を3機、短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を4発と、「カリブ
ル」を含む巡航ミサイル67発を用意し、ドローンも多数を発射する
ようだとした。ロ軍内部にウ軍スパイがいるようである。

もう1つが、ランセット徘徊自爆ドローンの攻撃で、ウ軍のM777榴
弾砲や戦車が犠牲になっている。この防止方法は、戦車の上に張っ
たカモフラージュ・ネットのようで、ドローンを物理的に止める事
に成功したという。ミサイルと違ってプロペラ推進で遅いから受け
止められてしまうようである。

ロ軍は兵器不足、弾薬不足、装備不足になっているが、プーチンは
23日、軍需産業が集積している西部トゥーラ州を訪問し、必要な兵
器や装備などを迅速に供給するよう防衛産業の責任者に指示し、「
ロシアの軍産複合体の最も重要な任務は、前線部隊が必要とする全
ての兵器、装備、砲弾を短期間に提供することだ」と述べた。

現状を見るに、ショイグ国防相は24日に、ロシア軍の兵員規模を現
在の100万人から150万人へ大幅に増やすと、プーチンと共に臨んだ
国防省の拡大幹部会議で述べた。このように負け戦で兵器や装備が
なくなり、勝てる要素は、兵員数しかない状態になっている。

もう1つが、モスクワの全ロシア軽合金研究所、ロ軍基地や軍需施
設などで大規模な火災が発生して、ロシア国内全体でも重要施設の
火災が頻発している。

今後も、ウ軍のUAVなどによるロ軍施設、軍需工場の破壊が進むこと
になり、兵器、装備、砲弾の生産もできなくなる。ということで、
敗戦に一直線である。

ということで、ウクライナは2023年2月、ウ軍の冬季攻勢が成功し、
かつ、ロ軍の冬季攻勢が失敗した後のタイミングで、ロ軍完全撤退
交渉を準備している。ロ軍の敗戦で、ロシアとの終戦を模索するよ
うである。

・ウクライナの状況
ゼレンスキー大統領は、激戦のバクムトに行き、ウ軍兵に勲章を渡
し、激戦地のウ軍兵のウクライナ国旗に英語で寄せ書きした物を持
って、ワシントンに飛び、バイデン大統領と首脳会談を行い、その
後、上下院合同議会で持って来た寄せ書きのウクライナ国旗を議長
に渡した。

演説は、ロシアとの戦いにおいて降伏することは決してないと述べ
、また米政府に対しては軍事支援の強化を呼びかけた。また、米政
府による支援は施しなどでなく、「世界の安全保障や民主主義に向
けた投資であり、われわれは最も責任ある方法で扱っている」とも
述べた。

演説が始まる前に、議員が立ち上がり、拍手をして、それが鳴り止
まない状態が続いた。しかし、その中で共和党下院議員2名が、座っ
て、その中に加わらなかった。下院はウクライナ支援で、もめる可
能性があるようだ。

しかし、共和党上院院内総務のマコネル氏は、「ウクライナへの支
援を継続することは道徳的に正しいが、それだけでない。冷たくて
硬いアメリカの利益への直接的な投資でもある。」と述べて、今後
も支援予算に賛成するようである。しかし、この言葉に共和党内で
は、賛否が分かれているようだ。

しかし、ゼレンスキー大統領は、米国で宿泊せずに移動して、ポー
ランドでドゥダ大統領と首脳会談して、帰国した。バイデン大統領
の要請で米国議会説得が必要であったようだ。このため、ゼレンス
キー大統領は、最大援助国の共和党支援反対議員説得の議会演説と
なったのである。一定の効果はあったようであるが、完全に支援否
定派を納得させられたかというと、疑問がある。

この訪問で、パトリオット防空システムが供与されることになり、
長距離ATACMSミサイル、F-16や欧米戦車の供与も実現するかもしれ
ない。特にATACMSが重要であろう。

そして、ウ軍は、米国で初めてパトリオットの訓練を受ける可能性
があるようだ。米国はすでに約3100人のウ軍人を訓練しているので
、その一部をパトリオットの訓練に回すのかもしれない。

プーチンは、パトリオット防空システムは時代遅れであり、容易に
破壊できると述べているが、S300対空ミサイルの方が古いことを知
っているのであろうか。

パトリオットの射程は次の通りであり、何が提供されるかで意味合
いが変わる。PAC-3であれば、弾道ミサイル対応であり、巡航ミサイ
ル対応であれば、PAC-2で十分である。核攻撃があるとすると、弾道
ミサイルが使用されるので、PAC-3の提供になるのであろう。
・PAC-1 射程70〜90km
・PAC-2 射程70〜160km
・PAC-3 射程20〜30km
・PAC-3MSE 射程35〜50km

支援としては、90機のモロッコ製T-72 MBTがウクライナに納入され
た。世界に散らばるT-72、62などの戦車が、ロシアとウクライナに
吸い寄せられている。戦後は世界全体で中国製か西側の兵器になる
ようだ。ロシア製兵器はイランと北朝鮮だけですかね。

というように、徐々にロ軍崩壊になり始めて、戦争は最終段階に来
た可能性がある。勿論、ロシアの核攻撃で、ロシアの崩壊になると
いうことである。

それしか、戦争を終わらせられないとプーチンは考えているように
思う。もうロシアは、通常戦争では勝てないことは明らかである。
それより、ロ軍自体の崩壊もあり得る。

さあ、どうなりますか?



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