6260.ウ軍はどこに攻勢をかけるか?



ウ軍は、次の攻撃に向かっているが、地面は凍結してきたので、ど
こに攻勢をかけるのかである。ロ軍もドネツクに攻勢をかけている
。今後を検討しよう。              津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、10月10日は29,202
ドルで年初来安値となり、11月25日は34,347ドルで、28日は497ドル
安の33,849ドル、29日は3ドル高の33,852ドル、30日は737ドル高の
34,589ドル、12月1日は194ドル安の34,395ドル、2日は34ドル高の
34,429ドル。

先週のNYダウ株価は少し上昇した。雇用統計で11月26.3万人増で予
想上回るが、失業率3.7%で横ばいで、米連邦準備理事会(FRB)の利
上げペースは、減速する軌道に変化はないとみられ、34ドル高とな
った。しかし、平均賃金は0.6%と大きく上振れ、パウエル議長が描
いたリスクシナリオ(財や家賃は下がるがコアサービスのインフレ
が上がる)に近づいたようである。

米長期金利が3.6%に上昇したことで、ドル相場も1ドル=134円台か
ら135円台後半に反発したが、その後に3.4%まで戻したことで、朝
安のダウは結局上昇し、円も再び買いが優勢になり、134円台に戻
した。

しかし、米長期金利が3.6%に上昇したことで、NASDAQは下落してい
る。

利上げ停止でも、利下げになるまで、株価は上昇していたという
2000年の事例を持ち出して、市場は強気に推移している。F&Gインデ
ックスも68と強欲一歩手前まで来た。

しかし、米国の景気後退は確実に迫ってきている。テック企業の人
員削減は、11月だけで5万人にもなっている。

欧米の中央銀行の金融緩和政策の行き過ぎで、インフレになり、こ
れ以上の金融緩和はできない事態にある。それを市場は無視してい
るようにしか見えない。

今の時代は、1915年から1945年の激動で暗黒の時代と同様な時代に
なっていると感じる。その1つとして、ウクライナ戦争を見るしか
ないし、戦争が始まったばかりでもあるとみる。

中国では、ゼロコロナ政策に反対するデモを起きて、中国政府は、
デモ参加者を2つに分けるようである。1つに経済的苦境でコロナ
封鎖に反対する者と、もう1つが習政権打倒を叫ぶ者である。

この内、コロナ封鎖に対しては、封鎖を緩める方向で対応するよう
であるが、習政権打倒の者は厳罰で臨むようである。

しかし、中国では、mRNAワクチンではなく効果が低くワクチンなの
で、コロナでの死亡者数が、封鎖を解いたことで、増える可能性が
ある。

中国政府は、ワクチンの知的財産の核心の引き渡しを要求したが、
モデルナが拒否したことで、mRNAワクチンを国民が接種できないこ
とによっている。中国の知的財産の収奪を許せないので、世界は中
国に対して、経済戦争を起こすことになっている。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、11月25日は28,283円で、28日は120円安の
28,162円、29日は134円安の28,027円、30日は58円安の27,968円、
12月1日は257円安の28,226円、2日は448円安の27,777円。

先週の株価は下落して、27000円台に逆戻りした。米国のISMが悪い
とかFRB要人発言でタカ派の意見が多かったことにもよるが、長期金
利が下がり、円高方向に振れて135円台にまでなったことで、日本株
の下落になっている。

特に、海外投資家のインデックス売りが大きくなり、28000円落ちに
なったようだ。

その上に、日銀関係者から、金融政策を点検・検証を行うという発
言で、1年後の日銀利上げ観測が出て、輪をかけて指数売りを誘った
ようである。これに対して、日銀は701億円のETF買いをした。

もう1つ、現在、自民党は安全保障上の政策で、公明党とは違い、
国民民主党とは近い関係になり、自民党は、国民民主党も含めた政
権運営を目指して、国民民主党との協議をしている。

公明党は、日本の安全保障の考え方で自民党とは大きく違うし、統
一教会規制法案でも創価学会との関係で、骨抜きにしようとするな
ど、自民党との政策が違うようである。それに比べると、国民民主
党の政策の方が自民党に近い。

しかし、国民民主党と入れると、公明党の立場は自民党と国民民主
党とは違うので、意見が通りにくくなることから、抵抗するようで
ある。

しかし、日本の正常な運営を考えて、自民党は決断するべきである。

米国衰退の前に、日本の時代を作るためには、日本の自立が必要で
あり、異常な安全保障観は危険ですらある。米国後の時代の構想も
必要で、その意味からも日本の自立を優先するべき時代に来た。

2.ウクライナ戦争の推移
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ヘルソン州ドニエプル川西岸からロ軍は撤退し、撤退部隊をドンバ
スに重点的に回している。HIMRSの補給路攻撃を受けないようにする
ためにパブリウカへの攻撃を強化している。このために海軍歩兵部
隊をこちらの攻撃に回している。空挺部隊もドネツクに配備した。

予備役を、ベラルーシで訓練したが、その戦車軍団や機甲歩兵旅団
をルハンスク州に投入したが、その後の消息がわからない。

ウ軍はドニエプル川西岸の戦車隊を温存しているようであり、1旅団
をルハンスクへ回した程度であり、この温存した機甲部隊がどこを
攻撃するのか、今の焦点である。

・南部ヘルソン州
ドニエプル川東岸地域では、ロ軍は要塞を道路の交差点などに構築
している。そこに訓練なしの動員兵を配備して、点と線を守る方向
のようであり、精鋭部隊は、ドンバスやルガンスクに回しているよ
うだ。

ここの地域の中心戦力は、砲兵部隊であり、その観測を行う偵察部
隊をドニエプル川の前線に貼り付けている。ヘルソン市などのドニ
エプル川西岸の広い範囲に無差別砲撃をしている。

キーンバーン半島のウ軍の動きが分からない。既にウ軍が奪還をし
ているが、キーンバン半島にドニエプル川渡河をするかもしれない
。ここが、1つ目の攻勢候補のポイントである。

このドニエプル川東岸に渡河して、攻撃してクリミアの奪還を図る
ことが、一番早いウクライナの勝利を意味する。

しかし、ロ軍事ブロガーは、「どんな状況において我々がクリミア
を引き渡すというのだ。第三次大戦もなしに。そんなことがありう
るか。」と述べて、クリミアを取られることになれば、核兵器使用
も辞さないという。

・ザポリージャ方面
HIMARSで、サポリージャの前線を叩いているために、ロ軍の損害が
積みあがっている。このため、ロ軍は、ミハイリフカ、ポロヒ、イ
ンツェルンから一部の部隊を撤退させた。全前線を守れないので、
兵をどこかに集中配備するようだ。

それと、ロ軍は、ヘルソン州とザポリージャ州の補給に苦労してい
るようである。クリミア大橋が破壊されて、揚陸艦やフェリーを利
用して物資を運んでいるが、量が運べない。

このため、HIMARSで攻撃されないよう、鉄道輸送を安全にする必要
があるために、パブリウカへの攻撃を強化している。ここに、精鋭
部隊を投入しているが、激戦になっている。

このため、パブリウカ以外のザポリージャ州の前線でのロ軍兵力は
少なくなっている。そして、ここも精鋭部隊が少なく、動員兵を入
れていることで、ウ軍攻勢候補の2つ目のポイントのようである。

マリウポリまでウ軍機甲部隊が突入すると、ロ軍はヘルソンとクリ
ミアへの陸路の補給ラインがなくなる。ウ軍の目標であるクリミア
奪還がしやすくなる。私は、ここが本命であるとみている。

しかし、ロ軍は「戦力化された兵士」が多くないようであり、ロ軍
の防御重要地点はそれほど多くないようである。ザポリージャ州か
らウ軍が進撃すると見られるのに、ここを防御するために精鋭部隊
が置けないようである。精鋭部隊は、すべて攻撃に用いているよう
だ。

・ドンネツク・バフムト方面
ロ軍は、この地域を最重要攻撃地点としている。精鋭部隊の多くを
この地域に集めている。焼夷弾などの非人道兵器も使い、ウ軍を攻
撃している。そして、ロ軍の航空勢力も出て、ウ軍を空爆している。
ロ軍の多くの戦闘資源をここに集めている。

このため、バフムト周辺のアンドリウカとオドラディウカをロ軍は
占領したし、クディミフカ、イワノハラッド、コデマのウ軍も危な
い状況である。激戦になっている。数の力で押してきている。

しかし、なぜ、バフムトに拘るのか、分からないが、HIMARSがバフ
ムトに入ると、ルハンスク市を砲撃できることで、最重要補給拠点
であるルハンスク市を守れないからだと、ロ軍事ブロガーは言う。

しかし、バフムト周辺のロ軍は攻撃限界点になり、攻撃力が弱まっ
てきていると米戦争研究所ISWは言う。この地域はワグナー部隊が中
心であり、プリゴジン氏が個人の見得のために、2万3千もの兵士を
集めて、多くが囚人兵であり、後ろに督戦隊を置き、囚人兵を突撃
させて、攻撃せずに戻ろうとすると、銃撃を浴びせるようだ。動員
兵に対しても、同じようなことをしているともいう。

もう1つ、ロ軍は、ポパスナへのウ軍攻撃を想定して、ポパスナに
通じる道に要塞を構築しているようである。ロ軍は、ウ軍の攻勢候
補と見ているようである。これが3つ目のポイントになる。

ポパスナは高台であり、この軍事的価値は高いからである。

・スバトボ・クレミンナ攻防戦
ウ軍は、クピャンスクからP07を南下してスバトボに向け進軍して、
いる。とうとう道が凍結して、機甲化部隊が動けるようになってい
るが、機甲化部隊の量が多くない。南部ヘルソン州で活躍していた
ウ軍機甲化部隊の1個旅団しか、この地域に来ていないという。

その旅団以外のウ軍十数機甲旅団がどこにいるのか不明である。そ
れと、ポーランドから供与されたP-91戦車の230両も不明になってい
る。ウ軍は温存している。

ここのウ軍を増強して、セベロドネツクまで攻勢に出ることも考え
られる。ここが攻勢候補の4つ目のポイントである。

このスバトボ・クレミンナもロ軍は動員兵が多く、ロ軍精鋭部隊の
投入は少ないようである。ウ軍は、クレミンナ北西10kmのチェルボ
ノポピフカに到達して、クレミンナへの攻撃も継続している。クレ
ミンナ陥落は時間の問題であるようだ。

そして、スバトボ北西約18kmのノヴォセリフスケとステルマヒフカ
はウ軍が奪還したが、そこへロ軍が地上攻撃してきたが撃退したと
いう。スバトボの奪還も時間の問題のようだ。

というように、4つの攻勢候補があり、そのどこにウ軍は重点を掛
けるか、現時点では分からない。

・ロ軍や世界の状況
プーチンは、ベラルーシを参戦させたいようで、ベラルーシのマケ
イ外相を心臓発作させる毒物を食種させて殺し、ルカシェンコ大統
領に参戦の決断を迫るが、もし、それでも参戦しないなら、FSBはル
カシェンコを殺すように、プーチンから命令されたという。

このため、ルカシェンコ大統領も身の安全のために、使用人を総入
れ替えした。ルカシェンコ大統領は、ベラルーシがウクライナに参
戦したら、負けることが明らかであり、ロシアとともにしたくない
と思っている。

すでに、英国情報機関は、ロシアの勝利は絶望的であり、ウクライ
ナが来年中にウクライナからロ軍を排除できるとした。ルカシェン
コ大統領も、同様に考えている可能性がある。

今一番ロ軍攻撃で効果を上げているのは、インフラへの巡航ミサイ
ル攻撃であり、これに対して、パトリオット防空システムをポーラ
ンドがウクライナに提供するべきだとしたが、NATOは、提供を拒否
した。

その代わりに、HIMARSで打てるGLSDB弾を提供すると言う。この砲弾
は、150KM飛び、ロシア後方を広く攻撃できるようになる。これで、
クリミア半島の中部まで届くことになる。現状では80KMであり、倍
程度も距離が伸びることになる。2023年春には提供するという。

もう1つが、MQ-1グレートイーグルUAVの提供であり、これが提供さ
れると、クリミア半島の全ポイントが航空から観察可能になる。攻
撃力が、大幅に拡充されることになる。

しかし、機密度の高い部分を取り去る改造が必要であり、これも2023
年の春以降のようである。

この対応として、ロ軍は、ウクライナ国境から700kM離れたエンゲリ
ス空軍基地にTU-95などの戦略爆撃機を多数配備した。この基地から
ウクライナのインフラを攻撃するとしても、高精度ミサイルは枯渇
しているので、通常爆弾での空爆になるが、どうするのであろうか?

イラン製のシャヘドUAVもほとんどなくなっているので、どのように
攻撃するのか、非常に難しくなってきている。効果があるインフラ
攻撃も、欧米の防空兵器が揃い、ロ軍攻撃の効果が徐々になくなっ
ている。ロ軍事ブロガーも「西側支援により、ウクライナ は強力な
防空システムを構築している。ロシア軍のミサイル攻撃は、前線の
戦況改善に貢献していない」と焦りを表明している。

このため、過去1週間は、インフラ攻撃はほぼ途絶えているが、戦
術の変更を志向している可能性がある。

それは、ロ軍が新しい攻撃方法として、TU-95などの戦略爆撃機での
高高度からの非誘導ミサイルによる爆撃なのであろうか。これは、
無差別攻撃になる。どこに行くかはミサイル任せとなる。

プーチンは、独ショルツ首相との電話会談で「ウクライナ側の挑発
行為に対して、やむをえない対応をとった」とインフラ攻撃を正当
化した。ウクライナへのインフラ攻撃を続けるのであろう。それを
完全封鎖するしかない。

そして、ロ軍は、大隊戦術群BTGの運用を停止した。通常戦争では、
BTGは有効性が低く、もう少し大きな軍構成にした方が良いのと、将
官の大量損耗で、BTGを指揮る将官の数が確保できなくなっているよ
うである。士官数も足りない状況であり、どのような構成にするの
か、ロ軍は大問題である。このため、動員兵に単純な突撃させて、
無駄死にさせている。

しかし、ロ軍の戦死者数は、とうとう9万人に達している。年末まで
には10万人になる。それに対して、ウ軍によると、ウ軍の戦死者数
は1.3万人と大幅に少ないというが、少な過ぎる感じもする。

動員兵を突撃させて、ウ軍部隊の位置を探るなどの使い方で、「砲
兵の餌」としての動員兵の戦死者数はうなぎ上りである。動員兵の
人権を無視した戦闘方法であり、このような用兵では、戦争反対者
が増えることになるし、前線での状態をSNSで知って、母親も妻もシ
ョックを受けている。

要するに、戦場に「戦力化された人員」を配置することができてい
ないことになり、ウ軍の攻撃スピードを緩める効果しかない。通信
機も時代遅れのアナログ機材であり、ウ軍によって通信傍受が簡単
にされている。これでは、どう見ても勝てない。数で押し切るしか
ないことで、単純な突撃である。

このため、母親と妻の会が戦争反対の署名活動をし始めるなど、戦
争に忌避感を持つ人たちが増えている。

このため、ロシア国内での戦争継続賛成者が25%まで減り、和平交渉
賛成者が55%まで増えている。

このため、プーチンは、外国の代理人関連法を改正して、政権に批
判的な個人を締め上げるようであり、また、言論統制も強化させる。

ロシア連邦カザンでは、給与の支払いもなく、装備もなしであり、
「砲兵の餌」だと言われ、交渉にも応じないので、不満を抱いた動
員兵たちは、訓練兵舎を出ていった。しかし、現在のロシアには、
金もなく、装備もなく、動員兵の不満を解消する手段がない。

しかし、来年1月には追加の動員令があり、70万人規模の動員になる
という観測が出ている。動員兵を前線に出して、「砲兵の餌」とし
ているが、その餌が足りなくなるからだという。

これに対して、ロシアのペスコフ大統領報道官は、併合したウクラ
イナ東部や南部の防衛のため追加動員があり得るとの観測は否定し
た。

このような状況から、バイデン米大統領は、プーチンが戦争を終わ
らせたいなら会談をするとした。しかし、ロシア大統領府は、ウク
ライナからの撤退が条件なら、交渉はしないと言う。

そして、プーチンは停戦交渉に関心がなく、軍事的勝利を追求して
いるが、誰も本当の戦況を報告していない可能性がある。このため
、当分、戦争が続行されるしかない。ロシアのぼろ負けをいつ悟る
かでしょうね。

もう1つ、ロシアは、お金が欲しいので、ウクライナを通過する石
油とガスの輸送の保証と引き換えなら、ザポリージャ原子力発電所
から撤退するとした。

そして、同発電所はウクライナに移管するかIAEAの管理下になるよ
うだ。これで、双方が砲撃したという非難する事態はなくなる。

しかし、ロシアが合意事項を履行するかどうかは、不明である。

さあ、どうなりますか?



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