6258.ウ軍の次の攻撃場所は?



ウ軍は、ドニエプル川西岸を奪還して、次の攻撃に向かっている。
同様にドニエプル川西岸から撤退したロ軍もドンバス地域に向かっ
ている。冬の最前線はどうなるのか。今後を検討しよう。津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、10月10日は29,202
ドルで年初来安値となり、11月11日は33,747ドルで、14日は211ドル
安の33,536ドル、15日は56ドル高の33,592ドル、16日は39ドル安の
33,553ドル、17日は7ドル安の33,546ドル、18日は199ドル高の
33,745ドル。

先週のNYダウ株価はほとんど変わらず。セントルイス連銀のブラー
ド総裁が、テーラールールで金利を考えると5%ー7%金利が正常であり
、今の金利は低いと発言して下げたが、株価は安いとして、買われ
るので下げもしないようである。

そして、ターミナルレート織り込みが5%を超えた。より高くより長
期間に渡る利上げ局面が続くことが懸念されている。

そして、ローン金利上昇で、中古住宅販売前月比5.9%減などで
振るわないとか、景気後退の芽も出ているが、消費は活発であり景
気後退ではない。そのため、カードローンの負債残高が15%になり、
急速に増えている。

徐々に、売上げは減り在庫が増えてきているので、生産現場ではリ
ストラの可能性が出ているが、メタやツイッター、アマゾンなどの
巨大IT企業のような大規模な解雇には今のところ、なっていない。

2年債金利は4.5%であるが、10年債金利は3.8%まで下げて、逆イール
ドになっている。ジワリと景気後退と予測して、長期国債を買い始
めたようである。

FTXの破綻で、ビットコインも大きく下げているが、ある程度下げた
時点での破綻であり、株への波及はないともいう。

この景気後退による株価調整は、まだ始まっていないので、景気後
退より早く、利上げを収め、景気底割れを回避するべきとの見方が
、ブレナード副議長であり、インフレが収ますまで利上げ継続とい
うのが、パウエル議長であり、両者には溝が存在している。

米政治面では、トランプ氏が2024年大統領選挙に出馬宣言したが、
イバンカもいないなど、盛り上がらなかったようである。共和党首
脳陣も冷ややかである。2024年のトランプ再選はないかもしれない
ので、少し安堵。米国の民主主義が崩壊する危険性は遠のたいかも
しれない。

14日、米中首脳会談が3時間行われて、習主席は「台湾問題は中国
の核心的な国益であり、中米関係の政治的基盤の岩盤だ。中米関係
の越えてはならない第一のレッドラインだ」と述べ、バイデン大統
領に対し台湾に関して行った確約を具体的な行動に移すよう呼びか
けた。そして、習氏は、バイデン氏に中国は台湾について「一国二
制度」方針を維持すると伝え、中国は台湾との平和的な「再統一」
に向けて全力を挙げると述べた。

対して、バイデン大統領は「どちらにとっても明白だったのは、我
々は今後も米国の国益と価値観を守るということ。普遍的な人権を
尊重し、国際秩序のために立ち上がり、同盟国や提携国と足並みを
そろえて取り組むということだ」「米中は活発に競争するが、私は
対立を望まない」と述べたという。

ただ少なくともウクライナでの核兵器の使用を認めないという点で
は、意見の一致を見た。

そして、今後も、新たな冷戦に発展するのを防ぐ目的で、より頻繁
な意思疎通を実施することで合意した。

中国習主席は、APECの場でも「新たな冷戦を行おうとする試み
は人々にも時代にも決して許されない」と指摘。「われわれは開放
と包摂の道を歩むべき」とし、アジア太平洋地域が「大国間の争い
の場」になってはならないとした。これには裏がある。

米国の国家債務は30兆ドルになり、金利4%に引き上げると、利払い
は、1.2兆ドルにもなる。一方、米国の税収は、1.7兆ドルであり、
税収のほとんどが利払いに消えることになる。

このような財政状況は、覇権国家の持続性を失うことになることは
、明白であり、中国は、米国の衰退を気長く待つ戦略のようである。

日本も米国の衰退を見て、自国での防衛などの準備が必要である。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、11月11日は28,263円で、14日は300円安の
27,963円、15日は26円高の27,990円、16日は38円高の28,028円、17
日は97円安の27,930円、18日は30円安の27,899円。

先週の株価は少し下げたが、横バイ。米国の景気後退と利上げ縮小
期待で、米国株横バイの影響を受けて、日本株も横バイ。
11日には28000円を回復させた。そして、金利差からドル円は140円
に徐々に円安方向になっている。

もう1つが、7〜9月期のGDPは、前期比0.3%減、年率換算で1.2%減に
なり、個人消費は前期比0.3%増であり、輸入が5.2%増えたことが大
きい。GDPは増加する期待とは違ったことになっている。

物価上昇も、40年ぶり3.6%になり、日銀の目標インフレ率2%を達成
したが、黒田総裁は金融緩和継続だという。

そして、世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス感染症の集計で
、7〜13日の週間感染者数が日本は前週比25%増の50万3766人で、2
週連続で世界最多となった。コロナ8波が日本に押し寄せている。

景気後退の影響から、米半導体企業の決算が悪く、半導体製造装置
の株が下げている。しかし、決算発表も終わり、手がかり不足の状
態になり、株価は横バイが続く可能性が高い。

・日本の政策決定には
岸田内閣の支持率が低迷している。新しい資本主義という国家目標
の明確な定義もなく、その上に統一教会問題が出て、国民より統一
教会や宗教団体の方を優先するのかと不満が出て、その上に、寺田
稔総務相の政治資金問題が出て、閣僚の辞任が相次いで、支持率を
下げている。政権末期の症状である。

この問題は、創価学会との関連もある。近くに創価学会の信者がい
たが、この人の話を行くと、統一教会ほどではないが、創価学会も
多額の寄付を強要されるようである。

ということで、創価学会はセーフで、統一教会はアウトの法案を出
してきたと国民は思っている。

これは政治上仕方がないが、国民不在という不満を超えるには、国
民の幸福を実現する社会の形を示すことである。その総称として新
しい資本主義であると定義して、国民優先であると国民を安心させ
る必要がある。

それは、とりもなおさず、日本社会全体が安全で豊かであり、貧富
の差が大きくない社会の実現なはずである。

社会サービスの目標は、国民の生命・財産の保全であり、防衛費の
増額はするべきである。次に国民が安心して暮らせることであり、
このためには、医療保障、年金などの制度である。

この維持にはお金が必要であり、そのために、経済政策が必要であ
り、国民の貧富の差を広げないために、所得税の累進課税がある。

今の制度では、富裕層の税金が安いことになっていて、消費税は逆
累進課税であり、まずは富裕層の累進率の高い所得税にすることが
必要である。

経済政策では、実質的な日本国力向上には、産業育成が必要であり
、何が日本の得意分野かという議論が必要である。そして、今産業
育成政策にとって、時期を得ている。円安であり、日本で作る物は
世界的に売れる可能性が高いことになる。早く実現することである。

そして、いろいろな条件を方程式群にまとめて、最適化することで
、何をすればよいかが見えてくるはず。それを早くするべきである
。方程式群でのシミュレーションかAIかの方法が良いはずだ。

徐々にDX化を政治も取り入れる必要があるように見える。決めるの
は国会であるが、政策原案をAIなり、方程式群の最適解に見つける
べきである。

このサイトは、裏で複数回のシミュレーションを行っていることで、
ある程度の精度で将来を当てているが、それを政府も行うべきだと
思う。

2.ウクライナ戦争の推移
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ヘルソン州ドニエプル川西岸からロ軍は撤退し、ウ軍はこの地域の
機甲部隊を次にどこに回すかである。ロ軍は撤退部隊をドンバス方
面に回している。ウ軍の攻勢に出る場所がまだ、分からない。そし
て、冬の地面凍結が北から徐々に始まり、機甲部隊が動ける状態に
なる。

・巡航ミサイル攻撃
ロ軍は、地上攻撃が期待通りではないので、巡航ミサイルとUAVによ
るウクライナ全土のインフラ攻撃をし始めた。
11月15日は90発以上の巡航ミサイルの内73発を撃墜、自爆型無人機
10機の内10機を撃墜したが、S300の迎撃ミサイルが、ポーランドに
落下して、2名が死亡した。

17日、さらに新たな大規模ミサイル攻撃を行った。

当初、ロシアのミサイルがポーランドに落ち、2名死亡と報道されて
、これは第3次世界大戦になるかと世界は心配した。しかし、NATOの
AWACS監視で、ウ軍の迎撃ミサイルと分かり、ホットした。

このポーランドの事故に対して、ゼレンスキー大統領が自国ミサイ
ルではないとの見解を示したことで、世界から反発が出ている。特
にポーランド世論が激昂してしまう可能性があり、ゼレンスキー大
統領は、なるべく早く謝罪した方が良い。

しかし、ミサイル攻撃での迎撃率が、格段に向上した。10月10日の
巡航ミサイル84発中43発迎撃、UAV24機中13機で、迎撃率は50%程度
であったが、15日は80%になっている。

対空防御のNASAMSの撃墜率は100%であり、この兵器の有効性が証明
されたようである。このため、多数のNASAMSの供与が必要である。

一方、ロ軍のミサイルは、ほとんど使い切ったようであり、攻撃の
中にKh-55核弾頭巡航ミサイルがあり、弾頭部分を外して普通弾頭に
したものであり、Kh-505巡航ミサイルが不足して、核ミサイルを転
用した物と思われる。今後はイラン製のミサイルになるのであろう。

それと、11日以前の攻撃で電力設備などのインフラが破壊されて、
1000万人以上が停電に見舞われたが、17日に、ほぼ全土の電力が回
復したようであるが、消費電力量の確保はできていないので、計画
停電は依然として続いている。

しかし、このミサイル攻撃で分かることは、ロシア内での強硬派プ
リゴジンの影響力が大きく、政権内停戦派の思惑を木っ端みじんに
、粉砕したことである。

プーチンは、強硬派の意見を取り、停戦派の意見を破棄した。この
ため、この冬の間、戦争は続くことになる。ワグナー戦闘員を撃破
して、強硬派プリゴジンでも渋々、停戦に向かわせないと、停戦に
ならないことを示した。

ということで、このミサイル攻撃は、ロシア国内の強硬派対停戦派
の権力闘争の結果でもあることがわかる。プーチンは強硬派の意見
を取ることも分かった。

このため、どうしても、強硬派スロビキン総司令官は、ドンバスで
勝たないといけないことになった。このドンバスの中心戦闘員はワ
グナー部隊でもある。

米ミリー統合参謀本部議長もロシア停戦派のロシア内での闘争に負
けたことが悔しいのか、ウ軍は冬でも大きな成果は得られないと言
っている。また、ウクライナは明確な目標と時期を明示づる必要が
あると述べた。しかし、当分、戦闘が続くことになる。停戦はない。

・南部ヘルソン州
ウ軍は、ドニエプル川西岸を奪還して、ヘルソン市に居る私服のロ
軍兵(便衣兵)を探し、まだ、撤退できないロ軍兵の掃討作戦を実
施しているが、国内治安部隊が中心で、機甲化部隊は、他地域に転
戦している。

ロ軍兵は、「残存してウ軍の場所を見つけて報告して砲撃してもら
う」というので、ロ軍便衣兵をすべて見つける必要があるようだ。
ウ軍がこの一部ロ軍便衣兵を処刑しているとロシアは、クレームし
たが、降伏したのにロ軍兵が発砲したから殺されたようである。

しかし、ロ軍の撤退は成功した。橋や船が絶え間なく攻撃を受ける
中で、大きな川を渡らなければならないという、きわめて困難な軍
事的状況下で、ロ軍兵力と装備の大部分を撤退させたようである。

撤退完了後、ドニエプル川東岸にもウ軍特殊部隊が渡河したようで
あり、ロ軍は東岸から15km以上離れた場所まで撤退している。

もう1つ、東岸のキンバーン半島にウ軍が攻撃したようであるが、
陽動用作戦であり、これも特殊部隊で、すぐに引き上げている。

・バクムット・ドンバス方面
ロ軍の砲撃数が、200件以上をキープして、ものすごい量の砲撃が
行われている。全盛期に近い感じの勢いである。ヘルソンから撤退
した精鋭部隊を投入している。機甲部隊も投入して、この地域を占
領したいのである。しかし、マヨルスクへの機甲部隊攻撃では、大
きな侵害を出したようである。

ロ軍としては、ヘルソンの穴埋めするために、ドンバス方面は、ウ
軍を負かす必要もあるからで、ロ軍のスロビキン総司令官も意地に
なっているような気がする。

しかし、ロ軍は前進できていない。HIMARSなどの砲撃が効果を上げ
ているようであり、ロ軍もTOS-1でのサーモバリックや焼夷弾などの
攻撃で対抗しているが、激戦が続いている。

ゼレンスキー大統領も18日、同国東部ドネツク州で「激戦が続いて
いる」とし、17日中だけで約100回のロシア軍の攻撃を撃退したと明
らかにしている。

・スバトボ・クレミンナ攻防戦
ウ軍は、クピャンスクからP07を南下してスバトボに向け進軍して、
ノヴォセリヴスキでP07の争奪戦になっている。もう1つ、クピャン
スク方面にロ軍が威力偵察をかけてきている。ロシア国境に近いの
で、補給の心配がないことで、ここに新たな戦線を作りたいようで
ある。

ウ軍は、クレミンナにも攻撃しているが、ロ軍の防御も堅い。

・ベラルーシ国境
ベラルーシは、ロ軍と合同部隊を作り、国境付近で活発に行動して
いることで、再侵攻の可能性が出てきている。

これに対して、国境付近に頑丈な塹壕と壁を作り、ベラルーシから
の攻撃を防御する方向で、ベラルーシ国境の橋はすべて破壊した。

・ロ軍や世界の状況
ロシア国内では、強硬派が益々勢力を拡大している。政権内の穏健
派や停戦派は、事態を見守るしかない状態である。

雪の中でもテントなしなど、冬装備が劣っている動員ロ軍兵は、凍
傷や傷病などで大きな支障をきたすような気がする。これを停戦派
は心配して、停戦に舵を切りたいが、強硬派は、ロ軍が冬にウ軍を
負かすというので、プーチンは強硬派の意見を取った。しかし、実
情はロ軍の冬装備は貧弱である。

これを予知して、12月に次の動員令を発出する準備をロシア当局は
し始めているようであり、劣勢を大量の人海戦術で押し切ろうとし
ているようだ。冬の消耗を新しい動員兵で補充するようである。

一方、東部戦線全域で氷点下になり地面が凍結して、自由に動ける
ので、ウ軍機甲部隊は、次の目標をどこに置くのかということにな
る。

このため、ウ軍特殊部隊がいろいろな地域に出没しているが、次の
目標選定のためであるようだ。

もう1つ、ウ国防次官が「ウクライナはクリミアを年内に取り戻せ
る」と述べたということは、ドニエプル川東岸かザポリージャ州の
攻撃になるが、ロ軍の守備が弱いとも見えない。もう1つ、陽動作
戦をウクライナは多用しているので、そのように見せかける可能性
もある。

現在の進軍中のスバトボとクレミンナ方面の可能性があるが、ここ
の守備も動員兵を入れて、徐々に固くなっている。

ということで、ロ軍の意表を突いた地域への進軍になるような気が
する。

ウクライナの心配は、ゼレンスキー大統領がポーランド人2名の死亡
に対して、謝罪しないことで世界のウクライナに対する見方が冷や
やかになることだ。

勿論、この事故調査にウクライナ側人員も参加しているので、近々
に謝罪するとは思うが、徐々に支援疲れもあり、遅いことで冷やや
かさは残るような気がする。

このような情勢になり、米下院を制した共和党の下院マージョリー
・テイラー・グリーン議員率いる極右議員らは、「ゼレンスキーは
第3次大戦を始めようとした」と非難して、ウクライナ支援に反対す
る意向を明言した。米国でウクライナ支援が削減される可能性があ
る。

もう1つ、支援でウクライナに送ったPzH2000自走榴弾砲で、支援要
請したが、支援されずに整備部品不足になり、とうとう1両を共食い
整備用に部品取りしたようである。徐々に世界的な支援が先細りし
そうな感じになっている。

しかし、フィンランドやスェーデン、バルト3国などは、支援に積
極的であり、支援の中心が米国から北東欧・英国にシフトする可能
性もある。ロシアに対面する諸国は、ウクライナ戦争は、自国の代
わりに行ってくれているという意識が強い。

大多数のロシア資産の凍結する英国は、核ミサイルの攻撃場所と思
われているからで、ウクライナを応援するしかないようだ。

ロシアが使用するイラン製ドローンに西側諸国の技術が使われてい
るが、ほとんどが汎用品で規制のしようがないものばかりであり、
もし制裁を掛けるなら、イランとの全面的貿易禁止などの制裁をす
る必要がある。

もう1つのロシア同盟国である北朝鮮は、米全土を攻撃可能な大陸
間弾道ミサイルICBMの開発を進めているが、18日の発射で技術的な
進展があった新型ICBM「火星17」を高角度で試射したようだ。この
1ケ月で50発以上のミサイルを発射している。

ロシア、ベラルーシ、イラン、北朝鮮、シリアなどのならず者の国
家群が、大暴れであり、この国家群全体に強度の経済制裁を課す必
要がある。これら諸国との経済完全分離が必要になっている。第3
国経由も阻止することが必要である。

さあ、どうなりますか?



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