6252.ロシアの核兵器使用か?



プーチンは、ウクライナ東部南部でウ軍に要衝を次々と奪還され、
かつ国内では部分動員で国民の召集忌避が起こり、ケルチ大橋を破
壊され、国内外で苦境に立たされている。プーチンが戦術核使用を
行う可能性が大きくなっている。今後を検討しよう。  津田より

0.米国と欧州の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、9月30日は28,725ド
ルと年初来安値で、10月3日は765ドル高の29,490ドル、4日は825ド
ル高の30,316ドル、5日は42ドル安の30,273ドル、6日は346ドル安の
29,926ドル、7日は630ドル安の29,296ドル

先週の株価は前半上昇し、後半下落になっている。クレディ・スイ
ス破綻の噂とスイス政府のUSBとの合併との噂で、欧州が金融危機に
なる可能性があるとして、FRBは、利上げができなくなるのはないか
期待して、NYダウは前半上昇したが、それをFRBのNY連銀ウィリアム
ズ総裁が、米国の政策は世界に影響を与えるがフォーカスは米国と
語り否定したことで、後半、株価は下落した。

その上、雇用統計は、9月雇用者26.3万人増で、市場予想の25万人増
を上回ったし、失業率は3.5%と、前月から0.2%ポイント低下した。
そして、労働参加率は62.4%から62.3%に低下した。労働ひっ迫が続
いていることになって、FRBは、当面、積極的な金融引き締め策を継
続する見通しとなり、7日は大幅な下落となった。

そして、株式市場の三大暴落はすべて10月に発生している。1929年
10月29日大恐慌、1987年10月19日ブラックマンデー、2008年10月リ
ーマン破綻から一ケ月後の大暴落と、10月は鬼門である。

特に11月と12月のFOMCで0.75%利上げで、12月末には金利は4.75%ま
で上昇する可能性がある。このため、当分株は大幅な下落局面継続
のようである。特に金利上昇に弱いNASDAQ株は大きく下落の可能性
が高い。

NY連銀ウィリアムズ総裁も、政策金利はいずれ4.5%付近に上昇す
ると述べているので、11月0.75%は確定でしょうね。

このような金利上昇とドル高で、世界経済はIMFでの23年見通しで下
方修正になり、GDPが4兆ドル縮小になるという。景気後退が明確に
なっている。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、9月30日は25,937円で、10月3日は278円高の
26,215円、4日は776円高の26,992円、5日は128円高の27,120円、6日
は190円高の27,311円、7日は195円安の27,116円。

先週の株価は1178円上昇した。NYダウ上昇したことで、日本株も上
昇した展開で、日本企業の利益が46兆円増益になるということで、
企業業績は良い。設備投資も16%増と増えている。このため、下値も
固いようである。

しかし、米雇用統計が良かったことで、米国株が大幅な下落となり
、月曜日の日本株も下落から始まる。どこまで戻れるかでしょうね
。米株安と0.75%利上げ観測で、為替介入後の最円安値の145円44銭
を付けた。

岸田首相も言うように、今は円安で日本経済を立て直す時期であり
、輸入から国産にシフトするべきで、機械化された大規模農家の育
成、IT化・6次化された近郊農家の企業化支援、IT化された果樹農家
の輸出促進など、日本農業の復活の機会でもある。

また、コスト的にも安いことで、日本企業の工場を国内回帰させる
方向は着実に進んでいるようであるが、より一層促進する必要があ
る。輸出促進の支援も知ることである。産業の国内化で円安による
インフレを抑える効果もある。

もう1つが、公共部門を中心に、社会全体のIT化の促進も期待され
る。デジタル庁の位置づけが弱いような気がする。河野担当大臣の
声が聞こえない。もう少し、河野担当相を岸田首相がバックアップ
して、日本社会全体のデジタル化を推し進める必要がある。日本の
IT化を促進して、世界に追いつき、役所の人数や電通やパソナなど
への委託事務経費を減らすことが必要である。

世界の傾向として、今まではデジタル的に頭が良い人たちが高収入
を得る社会であったが、地道にノウハウを積み上げていく人も、高
収入を得る社会になる。基礎資材が安く、デジタル商品が高い時代
は終わった。

中ロと欧米日との分断の世界に当分なることが見えている。中国か
らの基礎資材を止める必要がある。戦争時の安全保障上、中国に基
礎資材の供給を頼ることはできない。このため、基礎資材製造を機
械化して、安く供給する必要がある。これができる国は、日本しか
ない。

しかし、日本は出遅れたことで、デジタル人間も必要で、かつ地道
な人も必要なことになっている。

この内、デジタル人間は世界から集めることができるが、地道な人
は日本人の性格として適合性が強い。この2つの種類の人をどう集
めるかが重要な政治課題でもある。

役所の非正規事務人数や委託事務人数を減らして、その分、日本企
業や農業に人をシフトさせることである。人口減少の時代、労働人
口の適正配置が必要になっている。

2.ウクライナ戦争の推移
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ウ軍は、オスキル川を渡河して東岸を攻撃して高速P07線をスバトボ
に向かっている。ロ軍はセレブレック川で防御線を構築することで
きないで後退した。

・クレミンナ・スバトボ攻防戦
オスキル川東岸のウ軍攻撃部隊は、リマン奪還後、そのまま、何の
抵抗もなく、東に進み、クレミンナ周辺に到達して、クレミンナ攻
防戦になっている。

そして、ロシア領バルイキからスバトボを通りクレミンナ、セベロ
ドネツクを通る高速P66の補給路を遮断するべく、ウ軍はスバトボと
クレミンナを攻撃しているが、既に街間のP66道路を寸断したようで
P66上にあるルハンスク州マキーウカ村を奪還した。これで補給路と
して使えなくなった。それと、ウ軍はルハンスク州に入った。

南部ロシア部隊は、リマン潰走後、体制を立て直すことができずに
どんどん負けている。リマンでは、最強精鋭部隊のGRUスペツナズが
壊滅したし、鹵獲した兵器も多数あり、それをそのまま、ウ軍は、
攻撃に使用している。

このため、ウクライナの戦車部隊の半分以上が露から鹵獲した戦車
で構成されているようで、当初、軽歩兵大隊であった部隊が、途中
で、戦車も装備した装甲歩兵大隊になってしまったという。

それも、VやZの表示の戦車をそのまま戦闘に使うので、ロ軍は友
軍と判断して負けるともいう。ウ軍同士は、画面上にGPSで位置表示
されているので、敵と味方を間違えることはない。

しかし、そのウ軍にも問題が発生した。衛星通信のスターリンクが
前線の一部で使えなくなったようで、ウ軍が急速に前進して、これ
までスターリンクが「使えないように設定」された地域に入ってし
まったことのようだ。

それほど、ウ軍の進軍が速いことになっている。しかし、VやZの
戦車が使えないようである。このため、クレミンナ郊外のウ軍支配
のデブロバにロ軍が攻撃してきたという。

・南部ヘルソン州
ドニエプル川西岸地域の北部で、防衛線を突破して、ドニエプル川
沿いを南下したことで、ロ軍はその地域が包囲されそうになり、ム
イロベまで撤退して、そこで戦闘になっている。

ロ軍は撤退して、このムイロベとプラスキンズキーを結んだ線上に
防衛線を構築して、その手前でウ軍と戦闘になっている。防衛線構
築のために時間稼ぎをしているようである。

また、カホフカ橋の袂の街ベゼルに要塞を作り、カホフカ橋を渡り
撤退するできるようにしている。そして、南部ロ軍の撤退は整然と
しているので、鹵獲されるロ軍装備も少ないようだ。

中部の要衝スニフリフカで戦闘中である。ここを奪還すると、イン
フレット川の東岸地域のロ軍を撤退させることができる。

もう一つ、クリミアとロシアを結ぶケルチ大橋が破壊され、貨物列
車が火災を起こし、道路は路面が崩壊して海に落ちている。ロシア
は、ウ軍による破壊工作で自動車爆弾によるという。

しかし、翌日に、ケルチ大橋の鉄道は復旧し、道路も一車線とはい
え車が通れるようになり、南部戦線の補給には問題が起こらないよ
うである。

・その他方面
ロ軍の精鋭部隊が少なくなり、バクムット周辺やドネツク市周辺で
、ロ軍は突撃の人海戦術の攻撃になり、一部効果が出ている。これ
でムコライカ・ドロカやゼレニー・ハイなどをロ軍は占領した。

しかし、この地域を攻撃するなら、その兵力をクレミンナやセベロ
ドネツクなどに送った方が良いような気もするがどうなのであろう
か。ワグナー軍と正規軍の仲が悪いので、地域を分けている可能性
はある。

しかし、ロシア軍全体の統制が取れていないような気もする。

また、ロシアのペスコフ大統領報道官は、ウクライナ4州の併合で
の国境線は、ザポリージャ州とヘルソン州では、住民と協議のうえ
で決めるという。ロシアの国境線も決まっていないようで、国全体
の統制も取れていないようだ。

その上に、ロシアのウクライナ国境から200KM以上も離れたVKSの「
シャイコフカ航空基地」にドローン攻撃されて、TU22Mバックファイ
アー爆撃機2機が破壊された。しかし、このドローンの素性も分から
ない状態である。もし、本当なら巡航ミサイルと同等にドローンを
使い、ロシア領内の多くの地点を攻撃できることになる。また、ロ
シアの防空体制に穴があることになる。また、ロシアの脆弱さが明
らかになるようだ。

・動員・装備面
部分動員兵は、数日で前線に送られているが、戦闘経験もなく、ウ
軍の攻撃にすぐに逃亡したり降伏するので、ロ軍の崩壊を早めてい
る。

また、ロシア国内でウ軍への降伏電話番号がある程度知れ渡り、前
線に出た動員兵からの降伏電話が、多数掛かってくるので、大変忙
しいようである。というように、動員兵が、ロ軍の戦力になってい
ないようである。

また、動員兵は、装備を買う必要があり、その装備一式が25万円程
度するということで、買えない動員兵は、軍服もない状態であり、
冬服もないという。銃も旧式のものか、錆びだらけのものが渡され
るという。動員兵用の服も装備もない。兵舎もなく、野原で野営す
るしかなく、テントもない。

これから冬に向かい、倉庫にあるはずの50万着の防寒着もない状態
であり、今戦場にいる兵も凍傷にかかり、戦えないことになる。

ロシアの汚職は徹底的であり、あるべきものがないので、戦える軍
隊になっていない。社会全体で汚職が蔓延した国は弱い。軍の補給
担当の汚職も激しいのであろう。

ということで、状態を知ってか、ロシア国内では、男性の若者を中
心に徴集逃れの国外への脱出が起きていて、現に部分動員発令以後
でも100万人以上が国外に出たし、開戦時からでは700万人もの人が
、国外に出たという。予備役200万人の内30万人の部分動員でこうで
ある。

どちらにしても、ロシアから有能な若者は消えて、軍隊も社会も担
い手を失い、社会的衰退を招くことになる。総動員は夢のまた夢で
あろう。

・国内紛争
雇用軍事会社ワグナーのプリゴジン氏と軍トップのショイグ国防相
との対立もあり、内部分裂状態のようである。強硬派を中心にショ
イグ国防相の辞任を求めているが、その裏にはプリゴジン氏がいる
ようだ。

そして、ウクライナ情報総局によれば、モスクワではゾロトフの国
家親衛隊によるロシア軍参謀本部の大量逮捕が始まった模様で、こ
のため、モスクワ市内の交通網が封鎖されたという。真偽のほどは
分からないが、本当なら、ロシア内部で国家紛争になっているとい
うことになる。国家ぐるみの汚職であるので、逮捕理由は簡単であ
る。

また、ロシアの雇用軍事会社ワグナー系の「GREY ZONE」のテレグラ
ムにショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長が辞任という怪情報が流
れている。

・核攻撃の可能性
プーチンは、国内で戦争に負けていると非難され、部分動員に対す
る徴集逃れ、徴集した兵の訓練・装備がないこと、軍と雇用兵企業
との対立などの国内問題を抱え、かつウクライナ4州の併合で対外
的には孤立化して、戦場では冬まで持たないなどがあるのに、停戦
の目途もない。八方塞がりの状況になっていた。

その上に、プーチンが誇りにしていたケルチ橋をウ軍に70歳の誕生
日に破壊された。プーチンは怒ったようである。

メドベーシェフは、「ケルチ橋破壊がウクライナの最後の日になる
」と述べていたが、その事態が発生したことになる。ロシアの強硬
派は、キエフに核攻撃をするべきと言っている。いよいよ、核戦争
になる可能性が出てきた。

ケルチ橋破壊前に、米国のバーンズCIA長官は、プーチンが核兵器を
使用する危険な状態になっていると警告していたが、より可能性を
増した。

そして、とうとう、米バイデン大統領は、ハルマゲドンの可能性が
出てきたと述べて、「世界最終核戦争」の危機にさらされていると
して、プーチンにとってのウクライナ侵攻の「出口」を模索してい
ると述べた。

しかし、ジャンピエール米大統領報道官は、核兵器使用を示唆した
ロシアのプーチン大統領の発言に対し、バイデン大統領が「冗談を
言っていない」と警告したことに関し、「ロシアが差し迫って核兵
器を使用する準備を進めている兆候はない」とした。

しかし、米国もロシアと協議して、停戦の条件を探り始めているよ
うである。核戦争にはしないように先手を打つ必要になっているか
らである。

・戦争終結は
テスラCEOのイーロン・マスク氏も、第3次世界大戦になるくらいな
ら、ウクライナが譲歩して領土を割譲しろと述べたが、ウクライナ
から猛反発を受けて、すべては戦争が決めると言い直しているが、
ロシアとの核戦争を恐れたことによる。

そして、独メルケル元首相も、今後の欧州安全保障をロシアと協議
するべきであると述べて、非難されているが、これも核戦争を恐れ
ているからである。

というように、核戦争になるくらいなら、ここで停戦を望むという
声も出てきている。ロシアも2月24日の状態で停戦なら受け入れるよ
うであり、ロシアのペスコフ大統領報道官もルガンスク州とドネツ
ク州は2月24日以前の線が国境と言っている。

米国や欧州の依頼もあり、トルコのエルドアン大統領は、プーチン
と電話会談し、ウクライナ戦争の平和的な解決に貢献したいとの意
欲を改めて示したという。この停戦案も2月24日領域または、クリミ
アだけロシア領とする案であろう。

というように、そろそろ、ロ軍のボロ負けが見えてきて、国内騒乱
状態であり、国民はウクライナ戦争を望んでいないことも分かり、
ケルチ橋も破壊されて、プーチンも諦めて、停戦を受け入れること
になりそうである。

ウクライナのゼレンスキー大統領への説得は、米国のバイデン大統
領が行うことになるとみる。これで、今後の世界は、ロシアを属国
化した中国と西側の盟主米国の対決になっていくようだ。ロシアの
没落は決定的になる。そして、冷戦の復活である。

さあ、どうなりますか?



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