6240.日本復活の政策



日本の円安と東西冷戦構造で、日本復活の大きな枠組みができた。
「誇れる日本」の実現を促進する政策を検討する。  津田より

0.米国および世界の状況
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、6月17日は29,888ド
ルと年初来安値になり、7月8日は31,338ドルで、11日は164ドル安の
31,172ドル、12日は192ドル安の30,981ドル、13日は208ドル安の
30,772ドル、14日は142ドル安の30,630ドル、15日は658ドル安の
31,288ドル。

先週は、株価が下落した。7月13日の6月CPIが前年比で9.1%上昇で、
40年ぶりの物価高になり、前月比でも1.3%上昇と予想より高く、7月
FOMCで1%の利上げがあると予想されて、14日までは株価は下落した
が、15日の6月米小売売上高が前月比1.0%増と米景気の底堅さを示す
結果になり、買戻しが優勢になった。

もう1つ、この結果で、FRBの1%利上げ観測後退で、ドル円が138円
台になっている。

6月CPIでは、エネルギー価格の上昇が前年比で41.5%も上昇し、前月
比でも7.5%上昇となっている。しかし、原油価格は100ドル/バーレル
割れになり、ピークアウトの可能性が高い。ということで、秋10月
には、前月比でCPIはマイナスになると市場関係者は見ている。

そして、10年債金利が2.9%で、2年債金利が3.2%となり、逆イールド
になっていることで、景気後退になるとも見られている。

ユーロドルは、1.0087とパリティに近く、一時は割り込んた。とい
うことで、ドルの独歩高の様相になっている。

欧州では、イタリアのドラギ首相が辞意を示したが、大統領が辞表
を受理せずに、与党連合で再度協議を要請したようである。英国の
ジョンソン首相の辞任など、欧州の政治は混乱している。

その原因は、物価高騰で庶民の生活が苦しくなっているからである。
景気も4-6月期GDPも、マイナスになり、ユーロ安にもなっている。

ドイツでは、ロシア産天然ガスの供給が止まり、工場の稼働ができ
ない事態になっている。冬場に天然ガスが止まると、生活ができな
いと国民は心配している。

中国経済もおかしくなっている。4〜6月期GDPは、前年同期比0.4%の
増加にとどまり、1〜3月期4.8%増で5%を下回ったが、今回はそれを
大きく下回るの数字になった。「ゼロコロナ」政策の徹底で経済を
犠牲にしても、コロナを拡大させないようにしている。欧米製ワク
チンを導入すれば、事態の改善になるが、それは面子の上でできな
いようである。

もう1つが、地方銀行の取り付け騒ぎが起きて、中国経済の変調が
起きている。不動産企業の倒産も出て、地方政府の資金確保もでき
ずで、地方の国民の不満も高まっている。

1.日本の状況
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、7月8日は26,517円で、11日は295円高の
26,812円、12日は475円安の26,336円、13日は142円安の26,478円、
14日は164円高の26,643円、15日は145円高の26,788円。

7月2週は、株価はジグザグした方向性のない動きでした。米国の株
価に合わせた展開であり、下げ基調であるが、ファーストリテーリ
ングが15日に8%高でN225を200円上げたことで、プラスで終えた。

海外投資家が7月1週に1兆1890億円の買い越しになり、上昇の理由で
ある。日本の岸田政権は、参議院議員選挙で大勝して、安定的な政
治体制を獲得したことで、欧州や米国の不安定な政治状況と比べて
安心感があることも大きい。

しかし、コロナ感染者数が急増して、全国で新規感染者が10万人超
であり、注意が必要になっている。しかし、60歳以下では重症化率
が、インフルエンザと同じ程度であり、新しい行動規制はしないと
政府は表明している。

しかし、高齢者の重症化率は高いので、60歳以上の高齢者は4回目の
ワクチン接種が必要である。このため、旅行支援金の全国化は取り
やめになっている。

それと、安倍元首相の葬儀を国葬とすることになった。日本古来か
ら、非業の最後を迎えた人に対して、手厚く弔い習慣がある。この
面からも、国葬は妥当である。

2.ウクライナ戦争の推移
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ウクライナ東部での戦闘では、ウ軍はスラビアンスク近郊に強固な
防御線を作り、守りを固めている。ウ軍主力は、東部から南部に移
動しているが、ハイマースでロ軍の弾薬庫、司令部、防空システム
を破壊して、ウ軍の守備を有利にしている。

ロ軍は、スラビアンスクの北方から攻撃するが、ウ軍もロ軍の全縦
深攻撃対応で、防衛を厚くしたので、攻撃を撃退しているようだ。
占領されたクルルカも奪還して、この方面のロ軍は壊滅した。しか
し、まだ安心できる状態ではない。

ロシアの軍事評論家も、「ウクライナ軍は、ハイマースで多数のロ
ケット弾を同時に撃ち込む飽和攻撃を実施して、ロシア軍のS-400の
迎撃を突破して、成果を挙げている」と述べている。このため、戦
況が大きく変化したという。ウ軍でも、ロケット攻撃で30ケ所以上の
ロシア軍の輸送拠点を破壊し、ロシアの攻撃力を著しく低下させた
とした。

ロ軍は、攻撃を避けるために弾薬庫を前線から100キロ以上離れて設
置したことで、トラックの不足もあり、補給が十分にできなくなっ
ているようだ。このため、ロ軍の攻撃規模が小さくなっている。ど
うも、ロ軍の攻撃力の転換点を迎えたようにも見える。

そのウ軍は、ザポリージャでは1日3キロ程度とジワジワ前進してい
るが、ロ軍との戦闘にはなっていない。ロ軍守備隊は、後退して、
陣地を構築しているようである。ロ軍は東部では攻撃するが、南部
では守備を固める方向のようだ。

ウ軍のハイマースは、南部ヘルソンとザポリージャの弾薬庫、兵器
集積所、司令部、駅、橋などを攻撃している。このため、ロ軍は弾
薬庫などを住宅街に分散配置するなどの対応策を取り始めた。

ウ軍の攻撃は、南部メルトポリとヘルソンでレジスタンス活動を活
発化させて、総攻撃の前の段階にある。南部ではロ軍防空システム
が破壊されて、ウ軍攻撃機がロ軍陣地を攻撃できる状態になり、南
部のロ軍はレーダーを破壊されて、防空として機能しないS300の対
空ミサイルを対地攻撃に使用している。また、対艦ミサイルKh-32な
ども対地攻撃に使用している。

徐々に、ロ軍の攻撃はKh-101巡航ミサイルやイスカンデル弾道ミサ
イルやKh-32対艦ミサイルなどの長射程のミサイルしかなくなるし、
精密誘導ができないので、ウクライナの都市を狙うしかない。この
ミサイルの防御はミサイル迎撃しかない。対ミサイル防空システム
の供与が必要になっている。

そして、南部はルーマニア上空からAWACSで、ロ軍陣地や弾薬庫の正
確な位置が分かり、この情報でハイマースの精密爆撃をしているの
で、ロ軍にとっては、非常に防衛が難しいことになっている。

このため、ロ軍は、南部ヘルソン郊外でコンクリートのトーチカ構
築を急いでいる。ロ軍主力は東部に移動しているので、ロ軍守備隊
でどう守るのか、正念場になっている。ロ軍はSU-25攻撃機を10機も
クリミア半島に移動して、ウ軍攻撃陣を叩こうとしている。

しかし、ウ軍には、米国からの現役M270マースも到着して、前線に
配備された。さらに、米国はウ軍パイロットにF-16操縦の訓練を開
始した。6ケ月後には、F-16がウ軍主力の戦闘機になる。その上、
レオパルト2戦車40両の供与も決まり、また、ポーランドは国内の
全戦車600両をウ軍に供与した。また、PHz2000自走榴弾砲も届き、
ウクライナ戦争を冬までには終われるように、重火器の供与が進ん
でいる。

一方、ロ軍は、T-62戦車を大量復活させて、戦車不足を補い、退役
したトーチカUミサイルも復活させて、ミサイル不足をカバーしよう
としている。そして、第2次大戦時のT-34戦車も復活させる可能性も
あるようだ。

それと、ロ軍の兵員を大募集して、囚人以外に、40才、50才代の兵
も募り、月30万円という高給で入れている。国家総動員で徴集しな
い理由は、9月に行われる地方選挙で負けないためで、もし、総動員
した兵の大量戦死になると、反戦運動になり、選挙でも負けるから
である。

ウ軍も女性への徴兵制を開始した。ウ軍も消耗しているようである。

また、ロシアは、イランから大量のドローンを供与されるが、元々
はフーシ派に供与されるものであろう。ロ軍のオルラン10の不足を
カバーしたいようであるが、どうも攻撃型のドローンの供与であり
、ロ軍の要望とは違う可能性がある。

また、中国もロシアに基礎資材を提供して、戦争遂行を助けている
。そして、北朝鮮はシリアに次いで、「ドネツク人民共和国」と「
ルガンスク人民共和国」を独立国家として承認した。

米バイデン大統領は、中東に飛び、イスラエルと対イラン包囲網と
して、「I2U2」(インド、イスラエル、米国、UAE)の枠組みを作り
、対応するという。インドは、ロシア製兵器からイスラエル製兵器
に乗り換えるようである。

バイデン大統領はサウジにも行き、原油増産を依頼したが、サウジ
をロシアから引き離したいようである。もし、石油増産になると、
ロシア産石油がなくとも、世界は維持できることになる。そして、
これによりOPECプラスの分裂の可能性も出てきた。

というように、戦争が長引くと、それだけ東西冷戦構造が確立して
くる。

このような東西冷戦構造が形成されると、揺らぐ国も出てくる。そ
れがカザフスタンであり、西側企業のロシアからの移転を促して、
ロシア離れをするという。ロシアがカザフシタンからの原油をパイ
プラインで運ばないとしたことで、カザフはロシア離れを加速させ
ている。

この中、ロシア、ウクライナ、トルコと国連は、ウクライナの穀物
輸出に関して、関係国が参加する枠組みの設置や輸出航路の安全確
保で合意した。これと引き換えに、リトアニアは、ロシア本国から
飛び地カリーニングラードへの鉄道による貨物輸送について、一定
規模を認めるとした。ロシアとEU・ウクライナは取引をしたよう
である。

しかし、停戦交渉はしないようである。ウ軍は、欧米の兵器供与で
勝つことができると確信しているので、現状での停戦は受け入れ難
いからである。

ロシアが東部地域でも負け始めたら、プーチンも諦めるしかなく、
ウクライナ領内から撤退するしかなく、そのような状況でしか、停
戦はないとみる。ハイマースの攻撃で、ロシアの負けが確定した感
じだ。

3.日本復活の政策
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
東西冷戦構造と、円安、それと中国のゼロコロナ政策による工場稼
働の不安定化により、日本企業の日本への工場回帰が起こることに
なる。

この工場回帰の環境を作る必要がある。例えば、工場回帰のための
資金援助を行うか、法人税の減税を行うとかが必要である。回帰を
促進する政策が必要なのだ。

今までは、供給過剰な社会を基盤とした自由主義経済であったが、
これからは、安定供給を優先する統制経済にシフトする必要になっ
ている。

このため、新自由主義のような社会構造から脱皮しないと行けない
。そして、今一番重要なのが電力の確保である。

このためには、電力の自由化も見直して、自社の発電容量までしか
売電ができないような仕組みが必要になる。

発電で利益が確保できる仕組みが必要である。そして、九電力会社
には、安定供給の義務を課して、その代わりに安定化資金の提供を
することである。

この財源は、電力賦課金である。太陽光などの再生可能エネルギー
は、不安定であり、それを安定化するのには、予備電源が必要であ
り、その費用も電力賦課金の中に入れるしかない。

再生可能エネルギーを本格化させるには、蓄電池のイノベーション
が必要である。安定供給ができような仕掛けができるようにならな
いと火力発電を完全になくすことができない。

当面は原子力発電所の再稼働であり、東電管内の電力ひっ迫レベル
が高いので、柏崎原発の再稼働も必要である。

統制経済社会+資本主義の構造で、供給の安定化を図ることである。
その基本は、物価統制である。小麦価格が高騰しても、日本人の主
食は、コメであり、小麦の価格を統制する必要はない。しかし、コ
メの供給量と価格は守ることである。

このように何を守るかの議論から初めて、その物価を安定化させる
ことになる。

円安は、日本復活には必要なことであり、100円を切る円高には二度
とさせないことである。このため、金融引き締めはせずに、金融緩
和を持続的に行い、その程度を調整することである。その中には、
日銀のETF買いも含まれる。

逆に、米国のように政府が、国民にお金をばら撒くこともしてはい
けない。それにより超インフレを起こすことになるからだ。本当に
困っている人だけに資金援助をすることだ。

日銀は、ETF買いだけではなく、ETF売りも行い、日銀の資金を有効
活用する必要がある。GPIFと同様な手法が必要になっている。ここ
で儲けた資金は、政府収入にして財政安定化や貧困層への分配資金
に資することである。

イノベーションへの資金援助は、政府やGPIFなどが行い、日本で起
業したいと世界の有能な人たちに思わせることである。世界の有能
な人たちを日本企業などで雇えることや起業できることが必要であ
る。企業が儲ければ、法人税収入が増えることで、財政安定化や分
配資金にできる。まずは、国の収入を増やすことが先である。

しかし、貧富の差はAIが発展すれば、拡大することになるので、分
配システムを導入する必要はある。分配のシステムとしては、ベー
シックインカム「給付付き税額控除」を導入することである。

しかし、工場の回帰が本格化すると、人手不足になる。インバウン
ドより工場稼働要員を優先する必要があり、もし、人手不足になる
ようなら、文化的、主義的に許容できる人たちの移民も進めるべき
である。そして、移民には、ある年数を働かないと、「給付付き税
額控除」を受けられない仕組みが必要だ。

そして、賃金の安い奴隷的な制度は廃止して、日本人と同様な法体
制での移民を進めることである。

さあ、どうなりますか?



コラム目次に戻る
トップページに戻る