6239.安倍元首相の追悼



安倍元首相が、参議院選挙の応援演説中に凶弾に倒れ、帰らぬ人と
なった。ご冥福を祈るとともに、安倍さんが目指していた「誇れる
日本」の実現を検討する。          津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、6月17日は29,888ド
ルと年初来安値になり、7月1日は31,097ドルで、5日は129ドル安の
30,967ドル、6日は69ドル高の31,037ドル、7日は346ドル高の31,384
ドル、8日は46ドル安の31,338ドル。

7月2週は、株価が上がる方向でした。景気後退でFRBは利上げを9月
以降に止めて、その後、利下げげに転ずるという観測が出て、株価
は底を打ったとみているようである。

この根拠は、6月非製造業総合指数(NMI)が55.3に低下したことで、
5月は55.9だったことによる。

しかし、6月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比37万2千人増
加(市場予想26万8千人増)し、伸びは4カ月連続で35万人超えで、
失業率は3.6%と、4カ月連続で横ばいとなった。

6月の時間当たり平均賃金は0.3%上昇で、5月は0.4%上昇から縮小し
たが、まだ高い水準である。

この結果を受けて、7月FOMCでは0.75%利上げになることが確実にな
ったし、景気後退ではないので、米10年国債金利は3%台になった。
そして、金利上昇でドル円は136円台に一時なった。

このため、FRBは当分、利上げと資産縮小の手を緩めることはないが
、資産売却の買い手である米大手銀行に、1日2億5千万ドルのリバー
スレポを実施して、国債を買わせて、国債価格の維持をしている。
金融引締を行っているのに、一方では市中に資金を出し金融緩和を
していることになる。

米民主党知事の州では、インフレ対策として給付金をバラまいてい
る。インフレ対策でインフレを引き起こす事態になっている。

このように、米国の金融政策の方向性が定まらない事態になってい
る。ブレナードFRB副議長は、米国債金利は3.5%までしかできないと
いう。それ以上米国債金利が上がると、金利分の財政負担が耐えら
れなくなるという。

日本は金利1%でも耐えられないので、日本より米国の方が良いので
はあるが、借金が多いと金融政策の手を縛ることになる。

欧州では、ジャンク債の金利が大きく上昇して、景気後退の前兆現
象が出ている。そして、ロシアの天然ガスが入らないドイツのエネ
ルギー大手ウニバーに公的資金を入れて、エネルギー転換を図るよ
うであるが、冬までに間に合うのか、心配な状況である。

フランスも大手電力会社を完全国有化して、新たな原発の建設を推
進して、冬に向けてエネルギー確保を急ぐことになる。

このため、インフレも8%と高く、しかし、ラガルドECB総裁は、利上
げをせずに後手に回っている。7月に0.25%の利上げをやっと行うと
したが、それでは不十分である。

このため、ユーロが売られて、ドルユーロはパリティになる可能性
が高くなっている。世界的にドル独り勝ち状態になっている。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、7月1日は25,935円で、4日は218円高の
26,153円、5日は269円高の26,423円、6日は315円安の26,107円、7日
は382円高の26,490円、8日は26円高の26,517円。

7月1週は、株価は上昇の方向である。米国の株価上昇に合わせた展
開であり、8日も大幅高であったが、安倍元首相へのテロ行為で大幅
な下落になり、350円以上の値上がりから26円高になった。

コロナ感染再拡大で、鉄道株、空運株、旅行株が下がり、景気後退
懸念から資源株も下げた。

しかし、小売りの決算が良いことで、日本では景気後退のリスクが
少ないとの見方で、株価は堅調な動きになった。

アベノミクスの成果がやっと出てきて、金融緩和で円安になり、日
本経済を押し上げているが、その提唱者である安倍元首相は、もう
この世にはいない。

N500は、4日連続の上げで、75日線を抜けてきた。N500は、N225の前
触れとも言われているので、長期的に上昇の方向になった可能性も
ある。

2.ウクライナ戦争の推移
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ウクライナ東部での戦争では、ウ軍がリシチャンスクから撤退し、
スラビアンスク近郊に強固な防御線を作った。

ロ軍は、スラビアンスクの北方から攻撃する準備をしているようで
あり、部隊の再編や移動で攻撃の手を緩めている。ウ軍も東部に人
員を集めて、ロ軍の全縦深攻撃対応で、ここの防衛を厚くしたよう
だ。

しかし、まだ、ロ軍の全縦深攻撃を止めたとは言えないので、ロ軍
の攻撃を見るしかない。しかし、攻撃拠点であるイジュームやその
近郊や西側の森にハイマースや榴弾砲で砲撃をして、火薬庫などの
兵站を攻撃している。

そのウ軍では、1日に3000発の155mm榴弾を発射しているという。1
週間で2万1000発、1ヶ月で9万発ということになる。が、これ以上に
ロ軍は砲撃をしているし、弾薬庫をウ軍に爆発されている。ロ軍の
弾薬も相当に少なくなっているはずだ。

ウ軍のハイマースは、現在、4両が前線で稼働しているが、14両に増
強される。また携帯型対戦車ミサイルは前線に行き渡らずに、ロ軍
戦車隊の突破を許してきたが、14万個の供与が決まり、徐々に前線
に入るはずで、これで戦車隊の前線突破を防ぐようである。

東部では、クラハ8による電波妨害でウ軍のUAVが使えないし、ロ軍
の防空システムが機能しているので、ウ軍攻撃機や戦闘機も有効に
使えていない。ロシアも同様であり、ロシアの空爆は、主に精度の
低い巡航ミサイルである。

このため、戦場の雰囲気は第2次大戦というよりは、第1次大戦のよ
うな砲撃を中心とした消耗戦になっている。

この状況で、ウクライナの副首相は、5千キロ上空を飛行する24時間
飛行可能なドローンが欲しいという。敵の目標探査のためであり、
この条件を満たすには、固定翼ドローンとなる。それも200機が必要
だという。そして、このドローンは日本にある。

また、巡航ミサイルに対する防衛がウ軍に必要であり、ドイツ製防
空システム「IRIS-T SLM」やアメリカ/ノルウェー製防空システム
「NASAMS」を供与するという。

ウ軍の攻撃は、南部メルトポリとヘルソンでレジスタンス活動を活
発化させて、補給に重要な鉄道の橋の破壊、装甲列車の攻撃をして
いる。また、ハイマースで、補給線や弾薬庫や兵站を狙い攻撃し、
時間稼ぎをして、欧米からの武器・弾薬の到着と兵士の訓練完了を
待っていたが、ようやく、南部ウ軍にも欧米からの物資が届いたよ
うである。

このため、南部ではロ軍防空システムが破壊されて、ウ軍攻撃機が
ロ軍陣地を攻撃している。南部でのウ軍反攻が始まるのであろう。

対して、ロシア軍は、命中精度が悪いので、絨毯爆撃を行うために
、弾薬使用量が非常に多い。このため、ロシアの物資消耗が激しい
。その上に工作機械も欧米からの物であり、この精度を維持できず
、精密兵器の製造もできなく、30年前の爆弾や戦車を作り大量消耗
を覚悟した攻撃を行うしかない。その上、同盟国の中国も武器弾薬
の供給をしない。このため、自国で生産するしかないのだ。

まるで、太平洋戦争当時の日本である。産業力差が長期戦になると
物をいう。

しかし、プーチンは、強がりで「欧米はすでに敗北している。そし
て、ウクライナ人の最後まで」特別軍事作戦は継続すると述べ、も
う1つ「ウクライナでの特別軍事作戦は、米国の世界秩序の崩壊と
、米国のリベラルなグローバリストの自己中心性ではなく、人々の
真の主権に基づく真の多極世界への移行の始まりを示した。」と語
り、これを止めることはすでに不可能だと述べた。

というように、強がりからか、ロシアが負けるとは見ていない。と
いうことで、現状認識ができないことで、最後はヒットラーと同じ
運命になりそうである。

しかし、ロシアのペスコフ報道官は、ウクライナがNATOに加盟しな
い中立協定に署名して、クリミアの露領、ルハンスク、ドネツクの
独立を認め、全ての戦闘を停止すれば、「直ちに戦争を終結」でき
るだろうというが、ゼレンスキー大統領はウクライナの南部や東部
を開放するという。

ということで、早期の停戦をウクライナが拒否するのでできない事
態にあり、その内、勝敗の分岐点であるミッドウェー海戦になるよ
うな気がする。

このため、その時を遅らせるために、ロシアも戦時経済体制を引き
、大量の物資を生産する必要になり、かつ兵隊も高給を出して雇い
、国家総動員体制もどきを引くしかないようである。これで、3個
旅団を新しく編成したという。

ロシアの「戦時経済対策」2法では、企業が「特別軍事作戦」の実
施に必要な物品やサービスを軍に提供することが法律で義務づけ、
かつ、政府が特定の企業の従業員に時間外労働を要請することなど
が可能となった。

このため、大量の軍事費が必要であり、ロシア政府は運輸予算や科
学予算を中心に1.6兆ルーブル(290億ドル)規模の予算カットをし
て軍事費に回すという。国債デフォルトで、起債できないので、予
算がショートできないので、軍事費以外の支出を抑えなければなら
なくなっている。

対するウクライナでは、100万人が国防に携わり、ウクライナ軍70万
人、ウクライナ国家警察10万人、ウクライナ国家親衛軍9万人、ウク
ライナ国家国境庁6万人+ウクライナ保安庁、ウクライナ国家非常事
態庁などであり、100万人になる。その上、新兵が毎月3千人が3ケ月
、英国で軍事訓練を受け、前線に出てくるので、これ以上に増強さ
れる。

国家総動員体制もどきのようなロシアの動きを見て、米国や同盟国
は、ロシアの収入の多くを締めるロシア産原油価格を40−60ドルに
制限する方向で協議を開始した。

これに対して、メドベージュフ前大統領は、原油価格が300ドル/Bま
で上がり、欧米は自分の首を絞めることになると述べている。石油
資源の収入が激減することになり、その上に、北極圏のボストーク
・オイル・プロジェクトから欧米企業は撤退している。開発がスト
ップであり、将来的な収入もなくしている。

また、G20外相会談でも、ラブロフ外相は、西側諸国の非難を受ける
ごとに、会場を退席していた。反論ができないことで、退席するし
かなかったようだ。

しかし、ウクライナには心配なこともある。英国のボリス・ジョン
ソン首相が辞任することになり、ウクライナ支援に積極的であった
ジョンソン首相から次の首相になるが、次期首相が決まる秋までは
、首相にとどまるという。ウ軍も、秋までに勝敗の分岐点に達した
方が、よいかもしれない。

3.安倍元首相への追悼
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このコラムの提案する政策をよく見ていたのが、安倍元首相であっ
たと思う。勿論、小泉元首相は、このコラムでの政策提案を実現し
た数では多いし、イラクへの自衛隊派遣に反対した時、私の意見を
聞きに、自衛隊幹部を寄こしたこともあり、多くの政策を実現でき
たと見ている。

予想通り、イラクには大量破壊兵器はなく、私の予知は当たってい
たし、その後に、米国は、イラク侵攻のために多くのウソをついて
いたことも発覚した。

そして、小泉元首相の官房長官であった安倍元首相も見てくれたよ
うであり、金融緩和と、特に日銀のETF買いの金融緩和は世界でも初
めてで、その実現を渋った民主党政権にとって代わる形で、安倍政
権ができ、そこで黒田総裁にして、実現した。

もう1つが、私が唱えた農業が日本の有望産業であり、高付加価値
化が可能であるとの意見を、国の研究所が聴きに来たこともあり、
その後、農産品や加工食品などの輸出目標を立て、高付加価値化の
農業に日本の農業を転換させた。農業の輸出産業化ができた。

もう1つが、世界の秩序構築には、中国包囲網を形勢する必要があ
り、それをしないと、日本の復活はないとみたが、この構築を安倍
元首相は、精力的に行ってくれた。この甲斐があり、今NATOが、や
っと目覚めて、中国に対しての日本の懸念を共有してくれたのであ
る。

しかし、安倍政権ができた時点からは、日本の政策では、私の意見
より取り巻きの意見を重要視したことで、このコラムの政策とは違
うことになり、特に日本の復活政策では、金融緩和で得たお金が、
単なるバラまきになってしまった。このため、失われた30年という
長期の低迷になってしまったのだ。

この国内政策立案の中心に菅官房長官がいて、私の意見より、ご自
分の政策実現を優先したことで、私の日本復活の提案を用いないこ
とになった。

この結果が、コロナ感染拡大になり、いち早く警鐘を鳴らしたが、
菅前首相は聞き入れずに、コロナを拡大させて、ワクチンの接種拡
大を進めたが、辞任されてしまった。それと、インバウンド推進を
したが、これもコロナで逆回転して、多くの企業が倒産してしまっ
た。悔やまれる結果である。

しかし、円安と再度東西冷戦になると、昔から日本が復活すると見
ていたが、それが今、実現した。この実現は、安倍元首相が円安政
策と精力的な外交によりもたらされたのである。

まだ、日本復活は道半ばである。アベノミクスの成果は、これから
というときに亡くなられたことは、非常に残念であるが、「誇れる
日本」の実現を目指して、今後もこのコラムでは政策提案をしてい
くことを誓い、それにより、安倍元首相のご冥福をお祈りしたいと
思う。

さあ、どうなりますか?



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