6229.世界戦争を覚悟する



ウクライナ戦争が、プーチンの覚悟で世界戦争になる方向である。
ロシアの核攻撃になると世界戦争になる。その戦争と結果を検討す
る。            津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、3月8日は32,632ド
ルまで下落したが、4月22日は33,811ドルで、25日は238ドル高の
34,049ドル、27日は809ドル安の33,240ドル、27日は61ドル高の
33,301ドル、28日は614ドル高の33,916ドル、29日は939ドル安の
32,977ドル。

決算発表で明暗を分けている。アップルやマイクロソフトは良かっ
たが、アマゾン、メタは悪かった。この結果を受けて、アマゾン株
は前日比14%安と、2006年7月以来の大幅安で終了し、29日の株価も
大幅下落した。

ナスダックは4.17%安で、12500p割れになり、三尊天井を形成した
ので、今後も下げる可能性が高い。そして、4月ナスダック月間下
落率は▲13.3%であり、2008年10月の▲17.7%より少ないが、ほぼ
「リーマン・ショック級」の下げになってきた。

1〜3月期の米GDPは予想外の1.4%減であり、米国の3月の個人消費支
出(PCE)物価指数は、前年同月比6.6%上昇し、5月のFOMCは0.5%利
上げで資産売却も始まるし、次の2回は0.5%以上の利上げになると市
場は見て株価も下げた。10年国債金利は前日比0.11%高い2.93%で終
えた。債券も今後の利上げで、より安くなるとみられて売られてい
る。ということで、金利上昇で投資資産の全部売りの様相である。

しかし、米国は、ウクライナ支援で多くの兵器を供与して、兵器の
在庫が少なくなり、増産の指示が米国防総省から出ている。この需
要が多いので、多くの産業が潤うことになる。それと、米国のシェ
ールガスもロシア産ガスの代わりに売れるので、増産に乗り出した
というように、今後の需要は強いことが予想できる。

逆に、ロシアはポーランドとルーマニアへの天然ガスの供給を止め
るとした。徐々にロシアが天然ガスを武器化しているが、そのこと
が米国のシェールガスの販売促進になる。米国経済をサポートして
いるのがロシアということだ。

FRBも、米国景気が2回程度の利上げでは後退しないと読んでいるの
で、ハト派と目されているブレナード副議長までタカ派的発言にな
っているのだ。

もし、大幅に株価が落ちSP500が3500P以下になるれば、PKOをするの
で株価下落の対応策はできている。現時点、SP500は4100Pであり、
まだ下落が少ない。しかし、これらの施策があるので、株価が落ち
ると、買い場となり、買い戻されることになる。このため、乱高下
の相場になっている。

中国はゼロコロナ政策を変えることはしない。コロナでの死亡者数
が増加して、ロックダウンをするしかないようである。その原因は
、中国製不活性ワクチンの効果が、mRNAワクチンに比べて低いこと
で、死亡者数が多くなっているからのようだ。欧米製ワクチンを使
うのは、中国の沽券に関わるのでできない。

このため、景気後退になっている。上海に続き、北京でもロックダ
ウンになるようである。これを受けて、中国4月の製造業PMI=購買
担当者景況感指数は、先月から2.1ポイント悪化して47.4になった。
このため、石油消費量も落ち、銅などの消費量も落ちて、コモディ
ティ価格下落になっている。

中国市場との関係が深い日本企業の業績にも大きく影響してくるこ
とになる。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、4月22日は27,105円で、25日は514円安の
26,590円、26日は109円高の26,700円、27日は313円安の26,386円、
28日は461円高の26,847円。

5月2日の朝は、大幅な下落で始まる。しかし、日本株は買い場であ
る。日米で金融政策が真逆であるからだ。金利上昇は株にとっては
よくない。ということは、米国金利上昇は米株にはよくないが、日
本株は低金利維持であるので関係ない。それを米株と同じにみる必
要はない。

このコラムでも述べたように、日銀は大規模金融緩和を継続する。
指値オペを毎日実施して、長期金利を0.25%に括り付けるようである。

このため、ドル円は大幅な円安になり131円台になった。インフレは
加速することになるが、ガソリンは1リットル158円程度に価格が安
定させる補助金を元売りに支給するという。

小麦などは値上がりするが、米粉などにシフトすることで、値段の
上昇を抑える方向で、うどんやパン屋などは対応するするようだ。
個々の企業努力と政府の価格統制の2つの施策で円安インフレを乗
り越えるしかない。それと貧困層には給付金を出すという。

そして、この金融緩和姿勢は、株取引にとっては非常に良いことに
なる。金利0.25%に対して、企業の配当利回りは3%程度をキープする
ので、株の優位性が高い。

このため、海外投資家も日本株を4週連続買い越しで、合計5951億
円にもなっている。米国株から日本株への逃避が起きている。空売
りの買戻しも多くなっている。

インフレのもう1つの回避方法が、不動産投資であり、東京の海岸地
域に建つ1億円以上のタワマンが売れている。

2.ウクライナ戦争の推移
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ウクライナ東部での戦争は、膠着状態である。徐々に重火器がウ軍
に配備されて、ロシア軍は押されている。ロシア領内の石油貯蔵施
設や鉄道、兵器庫へのドローン爆撃やミサイル攻撃は頻繁になって
いた。

そして、いよいよウクライナ戦車隊が、ハリキウから追撃でクルス
ク方面のロシア本土へ攻撃を強化している。このことで、ロシア軍
は防衛ラインを国内に構築する必要になってきた。反撃開始である。

当初ロシア領内攻撃の多くは、バイラクタルTB2ドローンでの攻撃で
あり、このため、3機がロシア領内で撃墜されている。ドローンと
して自爆スイッチブレードやフェニックス・ゴーストなどがウ軍に
は供与されるので、ウクライナ領内のロシア軍攻撃はそちらに任せ
て、TB2は足が長く、レーダー捕捉されにくいので、ロシア領内の攻
撃に使うようである。

前回英情報筋は、ウクライナ側の弱点を「大型兵器の不足」と指摘
したが、米国の榴弾砲の半分が実戦配備されたようである。重火器
も徐々にウ軍に供給されてきた。

このため、ロシア軍の被害が増えているようである。ロシア軍とし
ては、西側諸国からの重火器援助を止める必要になっている。この
ため、モルトバ国内のロシア人の多いトランスニストリア地域から
ウクライナ西部に入り、ウクライナ東部への支援物資輸送を止めた
いようである。

このためには、その地域にロシア軍が行く必要があり、ドニステル
川を上流に上るルートを侵略する必要があり、オデッサを迂回する
可能性がある。またはルーマニアのブルト川河口付近での上陸作戦
になるが、ルーマニアはNATO加盟国であり、これをすると、NATO軍
との激突になる。

このため、ドニステル川河口はウ軍の弱い地域でもあるので、上陸
作戦も可能と見ている可能性もある。そして、モルトバ国内のトラ
ンスニストル共和国では、兵役年齢のすべての男性が同国領を離れ
ることを禁止した。ということは本気だ。

それに対して、ゼレンスキー大統領は、「私たちは向こうの能力を
理解しているし、ウクライナ軍はこれへの準備ができており、恐れ
ていない」と述べた。上陸作戦に対応する準備があるということだ。
もしかすると、準備できていないルーマニアでの上陸作戦もありえ
る。

そして、モルトバは、欧州で一番貧しい国であり、今までは対ロシ
ア制裁にも加わらないで、ロシアを刺激しないようにしていたが、
ロシアのモルトバ侵攻計画が出て、ウクライナへの軍事支援やロシ
ア制裁に舵を切った。ロシアは、また1つ敵を増やしたようである。

もう1つが、プーチンは核戦争リスクに言及して、NATO諸国の援助
をけん制している。しかし、NATO諸国は支援を止めるはずもなく、
ロシアは、本気で核ミサイルを打つ可能性が出てきている。弾薬が
少なくなり、稼働する戦闘機の枯渇もあり、このままでは、戦争に
負ける可能性が出てきたことが大きい。

ロシア軍は5月9日の対独戦勝記念日に向けて猛烈な攻撃したが、ウ
軍の重火器による反撃で、進めない状況である。目標としたドンバ
ス地域の支配地拡大は、全然できないでいる。南部ヘルソンとマリ
ウポリの制圧しかできていない。

そして、東部地域のウ軍レーダー網として、MQ-9リーパーがウクラ
イナに供与されたことで、それに大型の監視レーダーを載せて、東
部の防空システムに組み込むようである。

これにより、東部地域でも低空飛行のロシア軍機でも捕捉されるこ
とになる。徐々にウ軍の反撃体制が整い始めている。装甲車も多数
ウ軍に供与されている。それに比べて、ロシア軍の歩兵装甲車はな
くなり、普通のワゴン車が使われている。装甲車不足になっている
ようである。

このまま、長期戦になると、ロシアは物資不足と兵員不足になる。
すでに、予備役は徴集を介しているが、それでも不足して、特殊軍
事作戦から大祖国戦争にして、ロシア国内で本格的な徴兵を開始す
るようであるが、戦車兵の訓練には1年程度かかる。

このため、ロシアは周辺同盟国に参戦を依頼しているが、北朝鮮は
参戦する可能性がある。軍活動への支援金と装備と交換で戦争に参
加することになるし、アルバニアなども参戦する可能性がある。

というように、ロシア軍だけではなく、ロシア同盟軍が参戦するこ
とになるが、中央アジアとベラルーシは参戦しないようだ。特にカ
ザフスタンは、5月9日「ソ連、対独戦勝記念」の式典を中止する
。明確な脱ロシアである。

手の震えがあるパーキンソン病に冒されているプーチンは時間がな
い。プーチンは自分が死ぬまでにウクライナを屈服させたいようで
ある。時間との勝負なのであろう。

このため、世界世論でロシアが悪者になっている問題点を把握して
、味方を増やすべく、G20に出席の予定という。直接世界の指導層に
ウクライナ侵攻の背景を直接説明したいようである。

歴史的に見ても、日中戦争が長期化して、補給路のベトナム国境地
域を封鎖するために、戦争を拡大した事例があり、それと同じよう
な志向がロシアの今の指導層に出てきてもおかしくない。戦争の拡
大で、日本は米国を敵にするが、ロシアもNATOを敵にする可能性が
高い。

ということで、ロシアが負けを大きく意識した時点で、ポーランド
などに核ミサイルを打ち込む可能性があり、心配である。いつにな
るのかだが、まだ1年程度先かもしれない。このため、米国防総省高
官は、現時点でロシア核兵器使用の脅威はないと認識しているよう
だ。

しかし、この事態が起きると、世界戦争になる。核ミサイルの打ち
合いとなり、ロシアは徹底的な破壊になる。日本も北方4島への出兵
になるし、米軍は第2戦線構築でシベリア侵攻になる。その援護を日
本が行う。

この事態になると、北方4島には少数のロシア軍守備隊しかいないの
で、簡単に征服できる。このため、ロシアは言葉で日本を脅すしか
ない。ロシアは自分の弱点である第2戦線構築を恐れている。

このため、シュルツ独首相が、この時期に急遽日本を訪問して、日
独連携を確認したのだ。ドイツが中国とロシアとの関係を見直して
、日本との関係を重視することにしたようだ。続いて、EUのミシェ
ル大統領とフォンデアライエン欧州委員長が5月にも訪日予定である。

というように、ロシアの東西で挟み撃ちにする第2戦線構築に、日本
が大きな力になるので、今から日本を重視してきやのだ。徐々に日
本の重要性がEUでも認識されてきた。

世界は、ロシアのウクライナ侵攻で大きく変わったことを、日本も
肝に銘じる必要がある。

「戦争の時代」はプーチンがパーキンソン病で死ぬまで続くことに
なる。次のロシア大統領になる予定のメドベージェフも戦争を続け
ると、10年以上も続くことになる。

3.世界大戦後の世界は
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とうとう、専制主義国対民主主義国の世界大戦への覚悟をする必要
になった。ロシアの苦戦を見て、中国はロシアとともに参戦すると
は思えない。

ということは、ロシアが世界大戦に負けた後の世界を見ることにな
る。戦後は、ロシアも民主主義国になり、中国は民主主義国群に包
囲されることになる。

迂闊に台湾への侵攻ができなくなるし、ロシア兵器模倣で近代化が
遅れている陸海軍の装備も新しくしないと、民主主義国との戦いに
勝てない。このため、侵略自体が当分できなくなる。

もう1つ、NATOまたは、NATO的な集団安保体制ができて、その組織
に民主主義国全体が加盟するので、このNATOに戦いを挑むことは難
しい。このNATOに台湾は加盟するはずで、その意味でも中国は、台
湾侵略が難しくなる。

民主主義国群内部では、グローバルで活躍する人とローカルな人が
分離するが、グローバルな人たちは人口の10%であり、その国では少
数派である。そして、国の中で党派対立が起きることになる。

その兆候として、フランスではルペン氏とマクロン大統領であり、
米国でもトランプ氏と民主党や共和党主流派などの国際派の対立で
ある。

しかし、1つの国では、ローカルな人の方が多数を占めるので、グロ
ーバル派は、数の上で多いローカルな人たちをなだめるために、社
会福祉を充実させることになる。

グローバルな人たちは、国際的に活躍する人であり、会社も世界企
業になり、国の経済とは切り離されている。このため、国の経済を
拡大させるインセンティブがない。しかし、グローバルな人たちが
国の舵取りをするので、その意味で、国とかかわることになる。

このため、グローバルな人たちは、経済的合理性から国同士の戦い
はしなくなり、グローバルな人が経営する世界企業同士の戦いにな
る。国はいくつの世界企業を持つかで経済規模が決まる。

しかし、経済合理性のない専制主義国は、ローカルな人たちで国の
指導をするので、国の経済規模を大きくすることが重要であり、領
土拡張という手段も使うことになる。領土拡張という行為は、戦争
を意味するから問題である。

このため、戦争なるので、専制主義国を警戒する必要が民主主義国
群にはあるのだ。

根本にはグローバルな人たちとローカルな人たちの戦いともいえる
ことである。そして、グローバルな人たちが世界を指導することに
なるとみる。専制主義国も、早く民主主義国家群に参加しないと貧
乏な状態のままになる。

さあ、どうなりますか?



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