6228.日本衰退の原因はアベノミクスだ



世界はインフレで日銀以外の中央銀行は利上げを行うが、日銀は利
上げができない。なぜかと対処策を検討する。津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、3月8日は32,632ド
ルまで下落したが、4月14日は34,451ドルで、18日は39ドル安の
34,411ドル、19日は499ドル高の34,911ドル、20日は249ドル高の
35,160ドル、21日は368ドル安の34,792ドル、22日は981ドル安の
33,811ドル。

4月22日に、パウエルが初めて議長として0.5%利上げを示唆し、それ
を受けて、年末政策金利予測は2.74%まで上昇した。ということは、
利上げペースは5月6月の連続0.5%利上げや0.75%幅の利上げもあり得
ることになる。景気後退を意識して、景況感を映す10年債利回りは
やや下げて2.90%になった。

このため、株価は大幅な下落なり、4月は株価の安定性がなくなり、
4月20日までの1週間に米大型株から引き揚げられた資金は196億ド
ル(約2兆5200億円)にも上るようである。

市場の混乱を見て、イエレン米財務長官は、米経済は一連のショッ
クに対して「非常に耐性がある」ことが証明されており、リセッシ
ョン(景気後退)に陥るとは想定していないと、市場に向けて述べ
た。

FRBが金利上昇を急ぐが、銀行は平静を保っている。これは銀行にあ
る米国債を担保に無利子で貸し出すので、銀行は問題がない。銀行
は貸出金利を上げられるので、銀行はOKである。

中国は、コロナで3億人以上もロックダウンしているので、経済停滞
で、IMFではGDPを年間4,4%と前回に比べてマイナス0.4%にしたが、
この大きな落ち込みは、ロックダウンである。

今後、米利上げと中国の景気後退で世界的な景気後退が来ると、今
まで上げていた資源株も大幅な下落になっている。

ネットフリックスも会員数純減を受けて、株価が35%も下げて、コロ
ナ特需で株価を上げてきたグロース株も下落した。世界経済は、ウ
クライナ戦争と中国のゼロコロナ政策と米利上げの3つの要因で、世
界経済は縮小するとみていることがわかる。

しかし、ロシアとウクライナの生産減は、他国が生産増にするため
相殺できるはずであり、短期な景気後退はあるかもしれないが、米
国もシェール増産、小麦・トウモロコシの増産、軍備品増産などで
潤うことになるはずであり、物価上昇も短期的なものであるとみる。

それでも、世界の投資家は、短期しか見ないので、一度大きく下げ
る可能性は否定できないが、そこが買い場になるとみる。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、4月15日は27,093円で、18日は293円安の
26,799円、19日は185円高の26,985円、20日は232円高の27,217円、
21日は335円高の27,553円、22日は447円安の27,105円。

18日の週は、27000円台をキープしたが、25日の朝は大幅安で始まる。
ドル円は一時129円まで上昇して円安が進んでいる。黒田日銀総裁は
、それでも金融緩和を続けるというので135円までには確実になるよ
うだ。口先介入は効果がないことも証明した。

G20後の日米財務相会談で、日米の協調介入を提案したが、イエレン
米財務長官に拒否されたという。当分、円安方向は変わらないこと
になる。

しかし、黒田総裁は、円安がどこまで進んだら金融緩和をやめるの
かだが、止められない。悪い円安との認識を持つが、金利が上昇す
ると国債費が財政を圧迫するので、それもできない。日本単独の為
替介入という手があるが、長くは続かない。

米国の利上げで金利差は拡大するので、円キャリートレードが起こ
り、円で借りて世界で運用すると、当分円安は進むことになる。

そして、円ドル相場には8年サイクルがあり、次の2023年が円安のピ
ークになるとも言われている。

円安ということは、通貨で持つと価値が下がるので、資産で持つし
かないが、海外投資家の日本売りにはならいようだ。この状況でも
海外投資家は、日本株を買っている。

米国株に比べて、日本株のPERは著しく低い。配当利回りも6%の物も
多数ある。このため、下げた地点は買い場になる。米株からの退避
先として、日本株は妙味がある。

2.ウクライナ戦争の推移
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アゾフスタリ製鉄所を残しマリウポりは陥落したが、東部での戦争
で、ウクライナが構築した東部要塞地帯を、大幅に増強したロシア
軍は突破できないでいる。

この東部要塞には、迷路のような地下トンネルが数百キロもあり、
バンガー・バスターを使わないと破壊できない。戦車隊が、ここを
突破できないので、回り込もうとしているが、この行動をウ軍は効
果的に防いでいるようである。この防御もジャベリンなどの対戦車
ミサイルやドローンである。

英情報筋は、ウクライナ側の弱点を「大型兵器の不足」と指摘する
が、ウ軍に重火器がまだ欧米から来ないのに、この状況であるので
、重火器やスイッチブレードが届くと、戦況はウ軍有利になる。

その上に、最新鋭の自爆ドローン「フェニックス・ゴースト」を米
国はウ軍に提供するが、垂直離陸が可能で、6時間も空中待機でき、
赤外線センサーで夜間も活動できる。このドローンは、戦車のさら
に奥にいる榴弾砲など長距離火砲を見つけ出して破壊する秘密兵器
のようだ。この登場で戦局は大きく変わり、ロシア大敗に近づくこ
とになる。米国は実戦使用して、性能向上を図るようである。

ちなみに、対空時間はスイッチブレード300で15分、スイッチブレー
ド600で40分を短いので、目標を定めて発射させる必要がある。

現状でも、ロシア軍は5月9日の対独戦勝記念日に向け、東部攻略を
行っているが、それでもロシア軍の損害は大きい。

露メディアのReadovkaが、ロシア軍損害のデータを誤って公開した
が、13414名が戦死、7000名が行方不明であり、巡洋艦モスクワの沈
没では116名が死亡し、100名以上の行方がわからなくなっていると
いう。

ウ軍が公表しているロシア軍戦死者数2万人というのは、正しいよう
だ。負傷者は3倍いると見ると6万人となり、戦死者と合わせると8万
人となり、開戦前の侵攻の15万人の軍の半分が使えない状態になっ
ている。このため、兵員が足りずに、ロシア国内では徴兵を行い、
シリア兵やアフリカ兵などの雇用兵も東部戦域にいることが確認さ
れている。

このため、ロシアのプーチン大統領はウクライナ南部の都市マリウ
ポリを「解放」したと宣言して、ロシアが勝っている状態で、停戦
に向かうとみる。それと、弾薬の在庫が相当に少なくなってきたよ
うであるし、ミサイル攻撃もあまりできなくなってきている。マリ
ウポリの戦闘停止は、弾薬の消耗を防ぐためでもある。マリウポリ
では町の破壊に大量の砲弾が必要であり、このため、弾薬不足にな
っている。

それと、ロシア国内にウ軍特殊部隊がいるようである。ロシアで複
数の大規模な火災が起きたが、ロシア軍にミサイル納入企業とミサ
イル燃料供給企業の工場である。生産設備の破壊工作を進めている
ようだ。

このためと、ウ軍に重火器が届くと、ロシア軍は今より不利になる
。このため、ゼレンスキー大統領は戦争を止めない可能性が高い。
マリウポリや東部地域の奪還を目指すからだ。米国などからの重火
器等でウ軍は増強され、戦争でウ軍有利になることも大きい。

これに対して、ロシア軍幹部がウクライナ侵攻の目標は、同国南部
の支配とモルドバへのアクセスの確保にあると発言した。モルトバ
も侵攻するという。モルトバもNATOに加盟していないからで、戦域
拡大でロシアの自滅を促進するようだ。

そして、東部制空権確保に、ロシアもやっと、防空システムの早期
警戒機を飛ばし始めた。これで、東部空域での戦いは、制空権確保
の防空システムと戦闘機戦になってきた。S300とスティンガーを利
用した空中戦で、ウ軍戦闘機はロシア航空機を多数撃墜しているが
、この戦いが東部でも行われるようである。今現在、ロシア軍は、
東部で制空権を確立しておらず、東部での侵攻が滞っている。

東部制空権確保のために、ウ軍が他国からMIG29戦闘機の部品を受け
取り、運用できる機体が数週間前と比べ、戦闘機を含め20機以上増
やした。

これに対して、弾薬が少なくなってきたロシア軍は短距離ミサイル
を攻撃の主流に据えて、リビウやキーウに攻撃をしている。このミ
サイルを補給しようとしているのが北朝鮮のようである、ショイグ
国防相が北朝鮮と中国を訪問して、弾薬やミサイルの提供を求めた
が、中国は拒否したが、北朝鮮は受諾して、提供を開始した。ちな
みに、インドもロシアへの弾薬の提供を拒否した。

このため、ロシアは北朝鮮に短距離ミサイル技術を移転して、北朝
鮮はその技術を用いたミサイルの実験を行っている。ロシアにミサ
イルを提供するためである。北朝鮮は、経済制裁を受けているが、
中国の市場で半導体などを調達して、ミサイルが作れる。ロシアと
北朝鮮の確固たる同盟ができたようである。しかし、作れる数は少
ない。このため、ロシア国内の工場火災と相まって、ミサイル不足
をロシア軍は解消できない。

しかし、北朝鮮は、小麦や石油をロシアから得ることができるので
、両国にとって国益になっている。

このように戦争に苦戦しているが、国内宣伝で、戦争に勝っている
と思わせれる間は、ロシア国内でのプーチン政権が揺らぐことは期
待できない。反政府の財閥オルガルヒは、ロシアから出ていき、反
体制的なロシアの上部階級は殺されている。FSBなどのシロヴィキは
プーチンに逆らわないので、政権を倒す勢力がない。ロシアが戦争
に負けたと自覚しないと戦争は終わらない。政権も倒れない。

ソ連復活を多くの国民も期待しているし、情報操作も有効に作用し
て、支持率も高い状態である。負け戦になると、支持率は下がると
思うが、今は期待できないようだ。

3.日本の現状と対処策
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日本の債務残高は、1220兆円でGDPの256%であり、世界最大の借金国
である。この金利が1%で国債費は年間12兆円になり、2%となると24
兆円になってしまう。3%では36兆円と予算全体と同じ額になる。

日本銀行は2021年末時点の国債保有残高が約521兆円で半分を日銀が
持っている。

令和4年度予算概算の総額は、31兆1,688億円で、このうち国債費は
、24兆3,393億円もある。77%が国債費ということになる。利子支払
いは8兆円であり、日銀持ち分を除く金利分として見合う。

ということで、金利上昇は政府としても国債費の膨張からできない
ことになる。このため、日銀の10年国債の指値オペが必要で、金利
を0.25%に固定して、国債の金利1%を魅力あるものとしたいのであろ
う。

円安の対応策としては、指値オペで国債を日銀が吸収して、金利上
昇でも国債費が増えない方向をめざすしかない。それが終わるまで
は、異次元の金融緩和を続けるしかない。利上げができるようにす
るために、今までより強力な緩和が必要となる。

それにより、国債の日銀以外の保有分を減らして、金利を上げても
国債費が増えないようにすることだ。ここまでを黒田総裁が行うこ
とで、次期総裁は利上げを行える環境を作ることである。それが、
黒田さんの責任範囲だ。

そのため、黒田総裁が辞任するまで、円安は止まらない。150円もあ
り得る。国債吸収という円安防止策が円安を進ませるという結果に
なる。

それと同時に、急速に財政健全化を行い、赤字財政ではなくプライ
マリーバランスを取り、利上げができるようにするしかない。

しかし、高齢者の増加が続くことで社会保障費の支出が増えている
ので、この増加を抑える必要もあり、年金支給額は年々減らされる
ことになる。消費税増税も必要になるし、社会保険料の値上げも必
要になる。その結果、日本人を貧困化させることになる。

国債を増やした元凶は、アベノミクスである。年間30〜40兆円もの
国債発行を増やしたのに、それを最先端の産業育成に使わずに、国
民にバラまいたことで、国債発行額が急増して、円安を止める利上
げもできなくなってしまったのだ。このような政策では、ハイイン
フレになるので、ダメと何度も指摘したが、聞き入れなかった。

ハイインフレで、日本人が貧乏になると、再三、このコラムでは注
意してきたが、とうとう、そのような事態になってしまった。1年前
まで、MMTをそれでも主張する高市さんのような政治家が跋扈して、
日本の未来は暗いと注意した。

前回のコラムに対して意見があり、明るい面だけではないというが
、ここまで来ると、貧乏になることを覚悟の上、一度、超円安にし
て、日本復活を図るしかない。

前回で、日本企業の工場回帰、農業活性化、林業復活、再生エネル
ギー構築などと産業育成策を提案しているが、貧困層への給付金の
議論しか、国会報道に出てこない。勿論、それも必要であるが、そ
れだけでは、日本は復活しない。

円安で、日本復活の大チャンスであることを知ってほしいのである
。円安で貧困化することは、前から分かっていることで、安倍元首
相の責任重大であるが、そこで議論を止めても仕方がない。

物価統制を当分行う、統制経済にするしかない。輸入を止めて国内
生産を拡充して、労働力を難民やロボットに頼ることである。円安
になるため、ベトナム人のベトナム国内での給与が日本より高くな
り、ベトナムからの移民もなくなる。

このため、ミャンマーからの難民やウクライナからの避難民の労働
力を得るしかない状態になってきた。移民ではなく、難民を入れる
しかない。それなら、ロシアやベラルーシからの避難民も入れれば
よいのである。

ここまで来たのであるから、今までの反省もするが、それだけでは
終わらずに、日本復活という政策で前を向いていくしかない。

もう1つが、国債増発ができない仕組みを構築するしかない。金本
位制などの物と連動した通貨の仕組みが必要である。政治家の恣意
では通貨を増やせない仕組みが必要だ。

戦後、日銀の財政ファイナンスを禁止したのに、法律趣旨を無視し
て政治家は、それをしてしまったことは、大きい反省である。財政
赤字ができない仕組みを作ることしかない。

さあ、どうなりますか?



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