6226.西側対中ロの構図に



ロシアはブッチャでの民間人虐殺で国連人権理事会から除名された
。中国は反対票を入れた。この投票行為で、西側と中ロの対立が明
確化したことになる。今後を検討する。津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、3月8日は32,632ド
ルまで下落したが、4月1日は34,818ドルで、4日は103ドル高の34,921
ドル、5日は280ドル安の34,641ドル、6日は144ドル安の34,496ドル
、7日は87ドル高の34,583ドル、8日は137ドル高の34,721ドル。

4月4日週は、ブレナード理事のタカ派発言で下げる場面もあったが
、10年債金利が2.73%まで上昇したことで、銀行株の上昇になってい
る。その代わり、グロース株は下落になった。また、逆イールドは
解消している。

ハト派と思われていたブレナード理事は、まさかのタカ派になり、
5月のFOMCでの0.5%利上げは確実で、同時に資産縮小も始めて、月最
大950億ドルの削減を行うとしたことによる。FRBの全体がタカ派に
なったということである。PKOで上げた株価で、S&Pが4300p以上にな
ったことで、安心して金融引き締めができると見た可能性がある。

物価上昇は7.9%であるにもかかわらず、金利は0,75%と低く、物価上
昇を抑えるためには金利を早期に4%程度にする必要があるためであ
る。

月950億ドル削減の内、住宅抵当証券350億ドルがあり、このため住
宅ローン金利の上昇になっている。事実、30年固定住宅ローン金利
は平均4.72%になっている。このため、今後、住宅価格の上昇から下
落の可能性も出てきた。

そして、サマーズ元米財務長官は米国が来年にリセッション(景気
後退)入りするというが、このような急速な金融引き締めで、オー
バーキル(不景気)になるのではないかと心配する声も大勢を占め
始めた。

ウクライナ戦争では、4つのリスクがあり、1つが核攻撃などの何が
起こるかわからないこと、2つにはSWIFTの取り扱い停止で商取引が
できなくなること、3つに小麦価格と天然ガス価格の上昇、4つにロ
シア国債のデフォルトによるロシア企業倒産である。この内、1から
3までは現実化しているが、今後、4が起こることが想定できる。

このウクライナ戦争は長期化することで、世界にも大きな影響が出
てくる。特に3の価格上昇で、小麦価格の上昇で、新興国や発展途上
国で暴動など政情不安定な状況になると思われる。日本の3月の食料
価格指数も前月比12.6%上昇している。

日本企業の工場も新興国で操業しているので、気を付ける必要があ
る。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、4月1日は27,665円で、4日は70円高の27,736
円、5日は51円高の27,787円、6日は437円安の27,350円、7日は461円
安の26,888円、8日は97円高の26,985円。

4日の週は、下げて27000円割れになった。FRBのタカ派転換で、10年
債金利が上がり、米国株安に伴い日本株も下落した。NYダウが高いと
朝の30分ぐらいは高いが、その後に売りが来ることが多い。

この原因は、米金利上昇なのに、黒田日銀総裁は10年国債金利0.25%
の指値オペを無制限に行うとしたことで、円独歩安になり、4月9日
時点で124円台になっている。

日本の国債累積額が、GDPの250%までなり、金利上昇を回避するしか
ないために、指値オペを行うと世界が認識、投機筋は円売りを仕掛
けている。円安も含めて、日本売りになっているとも見える。

ドル建ての日本株は急速な値下がりになって、売り急いでいるよう
にも見える。現在、日本株を支えているのは日本人投資家のようで
あるが、当分株価は上昇できない。再度3万円を超えるのはいつに
なるのか?

また、日銀が銀行から国債などを買うために、銀行の資金はGDPの
1.5倍まで膨張している。

そして、日本円の金利が低いことで、世界の投資家が日本の銀行で
円資金を借り、世界に投資して金利差で儲ける、円キャリートレー
ドが再度、始まることになるようだ。このため、当分、円安基調に
なる。銀行も運用先が確保できるということになる。

今後、125円、135円、148円、160円の順に円安が進行するという。
現時点、世界最弱通貨となっている。ルーブルは一時的に円より安
くなったが、天然ガスの取引がルーブルになったことで、値を戻し
ている。

しかし、リセッション(景気後退)入りすると、米国金利は下落し
て、キャリートレードの巻き戻しが起きて、円高になるので、注意
が必要である。

また、JPモルガンによると、日銀が市場を混乱させずに保有ETFを全
売却するには"150年"かかる見通しだという。日銀保有株で日経平均
を4000円押し上げているので、もし売ると22000円になる。しかし、
このまま、日銀がETFを買い続けることはできない。ETFの8割が日銀
とも言われている。

2.ロシアの国連人権理事会除名で分かること
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ウクライナのブッチャでロシア軍が民間人を大量虐殺したこと分か
り、国連人権理事会のロシア除名決議が賛成多数で除名になった。

中国やベトナムを含め、24ケ国が反対した。インド、ブラジルなど
の棄権58。賛成は93ケ国であった。西側同盟諸国と中ロ連携諸国の
対立がはっきりした。

また、NATO外相理事会に、日本や韓国、オーストラリア、ニュージ
ーランドが参加して、拡大会議を行った。これは、NATOが拡大して
西側諸国全体の集団的安全保障の枠組みに発展する可能性があるこ
とを示している。

NATOのストルテンベルグ事務総長も、日本について「地理的に互い
に遠く離れていても、価値観や課題を共有していると全員が理解し
ている」とした。その上で「強引さを増す中国がもたらす課題への
対応などで、緊密に協力する必要がある」と訴えた。これにより、
中ロを敵とした西側諸国の結束が増したことになる。

事実、NATOは昨年の首脳会議で「対中国」を新戦略の柱の一つに据
えることに合意している。

NATOが次の国連のような組織になることが確定したとも見える。国
連は残して、中ロとの交渉の場とするが、それとは別に西側諸国の
安全保障会議を設けるようである。

それに対して、上海条約機構が中ロの安全保障会議になるのであろ
うが、その構成員であるインドは離脱することになりそうである。
今回の反対票でも上海条約機構加盟国が多くを占めている。

バイデン米政権はインドに対し、ロシアに協力しないよう警告し、
さらに米国は、インドがロシアとの「より明確な戦略的協力」に動
いた場合、その結果は「深刻かつ長期的」なものになるとインド側
に伝えたようだ。

これを受けて、インドのティルムルティ国連大使は会合で「ブチャ
での民間人殺害はひどく心をかき乱すものだ。われわれはこのよう
な殺害をはっきりと非難する」と明言。実態解明に向けた調査の実
施も支持した。

というように、インドは西側の民主主義国家群に加わるようである
。米国もインドへの軍備品の援助を行うと表明している。

3.米国の内部分裂が心配
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ウクライナ戦争で、ロシア製兵器の弱点が明確化している。電子装
備が貧弱で、情報網の秘密性や敵探査能力の低さなどで、戦争には
勝てないことが分かった。

もう1つが、ロシア専制主義はイデオロギーを持たないので、カネ
の力で権力を維持しているので、汚職が多く、軍備品の転売が多発
して、想定通りの軍事的能力がないことである。あるべきものがな
い。

ロシア軍戦車数は、13000台もあり、400台破壊されてもびくともし
ないはずが、稼働可能数は3000台などという。しかし、戦争になれ
ば、修理をするはずで、そのスピードが問題になる。しかし、半導
体や電子部品の不足で、電装品が間に合わないようである。そのた
め、弱点を克服していない。

一方、ウクライナ軍には、敵探査能力やAI能力が高い最新鋭兵器、
短距離ミサイル、対艦ミサイル「ハープーン」などの提供が行われ
るという。英国が供与する「ハープーン」により、オデッサ港を封
鎖するロシア艦艇は、大きな被害が出ることが想定できるなど、実
態以上に能力差が出てくることになる。

残念なのが、マリウポリであろう。最新鋭兵器が届かずに、ここの
防衛は難しいかもしれない。しかし、ロシア軍の犠牲者数も多くな
っている。しかし、最新鋭兵器が届く南部ハリコフなどでは、ロシ
ア軍が劣勢になっている。

この状況を見て、クリミア半島からロシアに避難する人が出ている
。クリミア半島も危ないとみるロシア人がいるということである。
戦況は徐々にウクライナ側に向いている。

このため、ロシア軍の損失が大きいことで、戦局挽回のために、化
学兵器や戦術核兵器の使用が心配されている。プーチンも核シェル
ターにいることが報告されている。これが心配の第1番目である。

次に心配なことがある。仏マクロン大統領は、大統領選挙で極右政
党のルペン前党首に迫られている。米国でもトランプ氏がプーチン
露大統領にバイデンの息子のロシアでの汚職行動を公開するように
依頼して、ロシアの侵略よりバイデンの方が悪いという。

もし、トランプ氏が米国大統領になったら、西側諸国の結束が崩れ
ることになる。ルペン氏もプーチンとは仲が良いので、同様に西側
の結束にひびが入ることになる。

というように、西側の諸国でも内部分裂が拡大している。それも米
仏という主要国である。

特に米国の内部分裂が非常に大きく、民主党と共和党の価値観が、
大きく違う状態になってきた。国内優先の共和党トランプ派対海外
・国内の両方を見る民主党と共和党主流派の分裂である。

今後、米仏が国内分裂になると、中国の前面やロシアの前面にいる
日本とドイツが西側諸国を引っ張っていくしかない。そのような状
況になってきた。

前回も述べたように、経済の時代から戦争の時代になっている。

この時代で必要なことは、敵対国より優秀な兵器を持つことである。
アイアンドームを持つイスラエルは、パレスチナからのロケット弾
攻撃を完全に防いでいる。このように敵の攻撃に対応した兵器があ
れば、いつでも攻撃に対し、反撃ができることになる。

今回のロシアの侵略戦争でロシア兵器の弱点が丸見えになり、中国
は、対応することになる。このため、台湾侵略戦争では、今回より
兵器差がないことになりそうだ。超音速ミサイルのように、米国よ
り優れている兵器も出てきた。

そして、中国の電子装備はロシアより優れているので、電子化の遅
れはない。このため、日本として、より優れた兵器が必要であると
述べてきた。その例として、ビーム兵器が決戦兵器として、必要で
あるとしたが、その方向で研究開発しているとは聞いていたが、米
軍が開発を諦めたレールガンであったようだ。

ビーム兵器の仕組みとほぼ同じであるが、弾の質量が違う。ビーム
兵器では分子レベルの質量であるが、レールガンは、今の弾薬であ
る。しかし、その加速をつける方法は同じだ。

ビーム兵器の開発過程として、うなずけることである。

この実戦配備は、いつになるかであろう。これにより、ミサイル飽
和攻撃ができなくなる可能性が出る。

もう1つが、憲法改正で敵地攻撃ができるようにすることである。
これがより、ミサイルの発射地点を特定して、攻撃するしかない。

この2つが、中国の台湾侵略に間に合ってほしいものである。

さあ、どうなりますか?



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