6218.日本復活の条件



民主国と専制国の対立が明確化している。その状況は、日本復活に
良い条件を揃えることになりそう。その検討。 津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、2月4日は35,089ド
ル、8日は1ドル高の35091ドル、8日は37ドル高の35462ドル、9日は
305ドル高の35768ドル、10日は526ドル安の35241ドル、11日は503ド
ル安の34738ドル。

1月催促相場の下落で、FRBは物価の番人ではなく、株価の番人であ
ることが分かった。利上げの回数は少なく、それも0.25%の利上げで
、金利上昇にならない資産縮小を中心に行う方向だと期待した。そ
の資産縮小もMBS(住宅ローン債券)を先に売ることになる。これに
より、住宅価格の上昇を止めると市場は予想した。

このことで、米国株は下げ止まり、NYダウは25日線の上になったが
、10日のCPI発表で一転し、11日にはウクライナ侵攻真近となる。

1月の消費者物価指数CPIは前年同月比7.5%上昇し、伸び率は1982年
2月以来、約40年ぶりの大きさになった。これを受け、連銀のブラー
ド総裁は、タカ派姿勢を強め、7月までに1%の利上げが実施されるこ
とを望むと述べた。このため、3月は0.5%の利上げになる確率が上昇
した。

これを受けて、NYダウは526ドル安で、NASDAQは304.73P安と全面的
に売られた。また、米長期金利は上昇して2%の大台に乗り、ドル円
は、116円と円安になった。2年債金利は1.5%になり、10年債金利に
近づいている。イールドカーブのフラット化が進んでいる。

その上、ウクライナ情勢で近々攻撃開始と米ブリンケン国務長官が
発言して、11日もNYダウは503ドル安と一層の下落になった。原油先
物価格は上昇して、94ドルになっている。

しかし、ウクライナ侵攻や3月0.5%の利上げで株価が暴落して、ピー
クから20%程度下落した時点で、バイデン大統領直属の株価対策委員
会PPTが動き、株価維持政策PKOを行うと市場は期待している。FRBは
インフレ下では、緩和的な金融政策を打てないので、政府がPKOを行
うようだと市場は希望している。中間選挙年であり、バイデン大統
領は実行するというのだ。

このため、このような状況でも、まだF&Gインデックスは34と、20以
下にはならない。その上、米企業の業績は、一部の例外の除いて、
非常に良い結果になっていることも大きい。

しかし、原油高騰なら、より一層インフレが高まり、FRBもより強力
な手段を必要とすることになる。もう1つの緊迫したウクライナ情
勢は2章で考察する。

もう1つ、原油価格が上がっているのに、米シェール企業が石油増
産をしない。できないようだ。その理由として、シェールの限界が
話題になっている。このため、原油価格は益々上昇するという結果
になることで、インフレが益々すごくなるということだ。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日、30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年2月4日は
27,499円で、7日は191円安の27248円、8日は35円高の27284円、9日
は295円高の27579円、10日は116円高の27696円。

今週も株価は上昇した。米国株価が上昇したことで、日本市場も上
げたが、10日米CPIと11日の米株の下げで14日は下げることになる。

それと、日本企業も決算時期であり、ソフトバンクGは利益が98%も
減益になったが、次の日は株価を上げている。今までに大きく下げ
ていたので、すでに織り込んでいて、赤字になると予測されたが、
黒字になったことで株価上昇ということであろうか?

しかし、このソフトバンクGの決算で、日本株EPSは2080円から2004
円と大幅に下落した。標準的なPERは13.5倍なので、N225は標準的に
は27054円となる。

しかし、10日、11日の米株下げの影響は、11日が休場であり、14日
に出ることになる。14日は、大幅な下げから始まる。現状では、14
日に600円以上の下げがありえる。

そして、経済専門チャンネル「日経CNBC」が、個人投資家を対象に
調査したが、岸田政権の支持率が2月8日に公表された調査結果では
、「支持する」が3.0%で、95.7%が「支持しない」、1.3%が「分
からない・どちらでもない」だった。

岸田ショックで株式市場が大きく下げたことによるが、投資家に不
利な政策が多すぎであり、当然の結果である。

そして、一般の支持率も、オミクロン株での死者数が1日150人以上
と過去最高に増加して、減少傾向になった。この大きな原因がワク
チン3回目接種の遅れであり、特に高齢者へのワクチン接種加速が重
要なようである。

この原因が岸田政権でのワクチン担当の体制が河野さん時代に比べ
て、大幅に縮小していることによる。火がついてからアタフタして
いるが、すでに遅いような気がする。現時点では、「まん延防止等
重点措置」を3週間延長するだけであり、効果がない。

岸田政権は、日本を復活させる革新的なことをしないまま、時流に
流されて、批判があるとそれに合わせるだけであり、何もしないで
日本の衰退を放置している。新し資本主義の構想も出てこない。そ
の上、コロナ鎖国政策は、米国やドイツなどから非難されている。

若者はオミクロン株では軽症であり、高齢者だけが重症化するので
、重点的に高齢者と介護者にワクチン接種をするなどメリハリを付
ける必要がある。

このまま、参議院選挙に突入して、大丈夫であろうか、心配になる。
投資家の多くが、維新の会や国民民主党に投票するような気がする
し、自民党候補を創価学会が支援しないで、どれほど当選できるの
か、疑問符が出ている。裏で安倍元首相が動いているとも見られて
いる。

このため、財政出動を行うべきと、新しい資本主義を提唱する原丈
人氏は言うが、国債発行量の増発で益々、今後の日銀の金融政策で
は緩和を維持することになり、利上げができずに円安になり、国民
生活は苦しいことになる。

適度な円安は良いが、国民生活を守ることが「新しい資本主義」で
あったはずが、それもできなくなる。

日本企業の復活無くして、日本の復活がないことに、気が付ていな
いようである。どうして、企業のイノベーション促進を進めないの
か、疑問である。それも大企業のイノベーションと国際化しかない。

2.ロシアのウクライナ侵攻は
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ロシアのプーチンが北京五輪に出席して、習近平とトップ会談をし
て、エネルギーや金融、宇宙など15分野にわたる協定に署名もした
が、プーチンは怒って帰ったと報道されている。

これは、ウクライナ侵攻と同時に、中国も台湾海峡で紛争を起こし
て、米国を二正面作戦に追い込み、戦いを有利にして、その上で交
渉条件をより有利にしようを狙ったが、習近平はノーであったよう
だ。

中国としては、今、台湾に攻め込めない。台湾セミコンTSMCの
半導体がないと、外貨を獲得している製品が作れないからである。
もう1つが、北京オリンピック後でも欧米への輸出ができなくなる
と、国力の衰退になるからである。領土より経済が優先である。

北京五輪で、選挙村の食事がまずいと批判を浴びている。北京市の
財政がひっ迫して、五輪予算も縮小されたことが大きい。中国は、
今、経済危機に直面している。このため、今は経済立て直しが必要
なのである。

それに対して、ロシアの行動は、経済を犠牲にして領土を取りに行
くことである。これに中国はノーと言ったのである。

フランス外交団も、プーチンの態度がおかしいと指摘している。プ
ーチンの老化で短気になっているからで、豊臣秀吉の朝鮮征伐時の
状況とよく似た状態であるとみる。

プーチンは、中国の支援もなく、国内情勢の変化で、方針を変える
必要になっている。このため、中国の支援が期待できないので、五
輪後を待つ必要がなくなった。

すぐにでも侵攻作戦を実行して、国内での反対運動が燃え広がらな
い間に戦争を終結してしまうか、欧米との交渉で成果を作り、早期
に撤退して、反対世論をかわすかの際どい状況にきている。

勿論、ロシア外務省は、ウクライナ侵攻の米国の指摘について「挑
発、デマであり脅しだ」と否定した。

そして、ウクライナ国境地域で、ウクライナ・ロシアの両軍が軍事
演習を2月10日から始まっているので、不測の事態も起こりえる。

この状況で、ロシア国防軍に影響力を持つ「全ロ退役将校会」会長
であるイワショフ退役大将が声明を発表した。

「プーチンはロシア国家の破滅を目指し、自らの自殺行為にロシア
国民を道ずれにする考えのようだ。ウクライナとの戦争など狂気の
沙汰だ。

ロシアの若者の命を何とも思わないプーチンは、ロシア軍最高司令
官の資格はない。ロシアの国内問題から目を逸らさせる個人的意図
が明らかで、汚職まみれの腐敗政治と国民の疲弊を顧みることない
プーチン政権にはロシアの異常な人口減、医療崩壊、環境破壊など
問題山積している。

そして、米国にとり、ロシア軍がウクライナに侵攻すれば、ロシア
のガスは行き場を失い、米国が代替する。ロシア経済は崩壊する。
これを防ぐには、プーチンの辞任を求める国民運動が必要だ。」と
いうのである。

前回、指摘した通り、プーチンの悲劇的な最後が待っている方向に
、事態は向かっている。

そして、ここまで来ると、欧州はロシアの天然ガスと石油供給がな
くても、困らない体制にする必要があると知り、今後体制を整える
ことになる。中東やアフリカからの石油、天然ガス補給体制やアフ
リカでの太陽光発電事業に取り組むことになる。

特にドイツである。もし、ドイツがロシア産ガスを使い続けると、
米国がドイツを米同盟国から排除することになる。このため、渋々
、米国に従うことになり、その代わり、米国はLNGを優先的にドイツ
に供給することになる。フランスも、またドイツに電気を売るため
に、原子力発電を6基増設するという。

しかし、この事態ですでに、ロシア・中国対米国と同盟国連合の冷
戦体制に移行する。この冷戦体制入りで、日本は復活するチャンス
が出てくる。製品の大補給国である中国が欧米に輸出できなくなる
からだ。

今回のロシアの動きは、中国としては、欧米との関係を切ることに
なり、現時点では、やってほしくないことであろう。

3.日本の復活の条件
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日本の復活には、日本を代表する大企業のイノベーションと国際化
と円安しかない。米国の真似をして、ベンチャー投資をしたが、ほ
とんど実らないし、この株価下げで、ベンチャー投資をした個人は
大損をしている。

米利上げで日本のマザーズ株などは大きく下げているし、大きな成
長もしていないのが、日本のベンチャー企業である。

今後の投資は、メタベースなど巨額な投資が必要になり、大企業し
か対応できない。それとIT技術から、センサーや電子部品、機能部
品などを合わせたロボット技術が必要になる。この技術は既存技術
の延長上にあるので、日本企業の得意とする分野である。

もう1つが、基幹産業の復活がある。株価も上昇している。この基
幹産業の復活は、冷戦体制になり、中国から自国に生産拠点を移す
動きが、米国や欧州、インドなどで加速しているからだ。

この潮流に日本企業は、日本での生産を縮小して、世界に生産拠点
を増やし、消費の落ちる日本から世界の消費に乗り換える動きと合
致したのである。

日本製鉄やJFEなどはインドや米国に新高炉を作り、生産量を増やし
ている。非鉄金属需要もEVの車体生産には必要になり、好調である。

商社も資源価格の高騰で復活している。これも冷戦で需給関係が変
化して、その変化を捉えているからである。

一方、花王やライオンなど国内消費に対応して成長してきた企業の
企業業績は落ちている。それは国内消費が人口減少などで減ってい
るからだ。海外に工場はあるが、安い製品を作り、日本への輸出拠
点でしかないからである。

国内消費に対応した大企業も今後、海外での売り上げを増やさない
と復活できない。そのためには海外企業の買収を積極的にしないと
いけなくなる。短期に海外市場を取るのは買収しかない。

このように世界の構造変化が起きている。この動きを促進し、有利
にするためには、革新的な技術の開発が重要になる。特に半導体製
造技術や電子技術、電池技術である。

この分野は、企業群と国が協力して、研究開発することである。研
究組合を作り、そこに補助金を付けるか、または、NTTなどの企業研
究所を有効に利用するしかない。

その研究組合の場合は、大企業にならざるを得ない。NTTやトヨタや
キャノンやソニー、パナソニックなどであろう。

それと、今後の冷戦構造を見越して、軍事技術開発も日本独自に行
う必要がある。米国の技術衰退で日本が中心にならざるを得ないか
らだ。こちらも、IHIや三菱重工などと研究開発契約を結び、行うこ
とである。

日本衰退を止めるには、適度な円安と冷戦時代の1980年代の企業支
援策に戻るしかないのだ。この条件を米国に容認してもらう必要が
あり、そのためには、欧米日対中露の冷戦構造が必要なのである。

特に中国と韓国企業との闘いが熾烈であり、この競争で中国がいな
くなることで、韓国とは全分野での競争ではないので、日本企業は
優位な位置に復帰できることになる。

事実、米国の対日鉄鋼関税が、ロシアとの冷戦構造で、日本がLNGの
一部を欧州へ譲る代わりに、交渉でなくなった。このように冷戦構
造は、日本の立場を強化することになる。この冷戦構造と円安を利
用して、昔に戻るしかない。

経済合理性を無視したロシアの大暴れで、日本復活の条件が整い始
めている。この環境で一気に中韓が行う企業支援策と同様な支援策
を日本に認めさせることだ。岸田政権の一番、行わないと行けない
ことである。それを誰も言わないことが問題である。

さあ、どうなりますか?



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