6217.ウクライナ危機の本質



ウクライナ問題は、プーチン大統領の権力維持に必要なことだから
である。その検討。 津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、1月28日は34,725ド
ルで、1月31日は406ドル高の35,131ドル、2月1日は273ドル高の
35,405ドル、2日は224ドル高の35,629ドル、3日は518ドル安の35,111
ドル、4日は21ドル安の35,089ドル。

FRB理事のブラード総裁が、3月利上げは、0.5%ではなく0.25%であ
ることや、ジョージ総裁が、利上げ回数を少なくして、QT中心に対
処するなど、株価が大きく下落したことで、タカ派的な政策から若
干の軌道修正する発言が出て、NYダウは上昇していた。

ということで、1月催促相場の下落は成功した様相である。もう1つ
、重要なことも分かった。FRBは物価の番人ではなく、株価の番人で
あり、物価より株価の方が重要であるということだ。

しかし、日米ともに決算発表の時期であるが、メタ(FB)の決算が
予想より悪く、2月3日に大きく下げた。特にNASDAQは3日に538P、率
にて4%も下げたが、4日のアマゾンの決算が良くて、NASDAQは219P高
になっている。

このことから、米国株は下げ止まっていないことが見て取れる。ジ
グザグしながら、下落トレンドになっているようにも見える。特に
NASDAQ市場である。ハイテクの女王キャシー・ウッド氏のARKは半値
になっている。

それと、メタは1日で26%安になり、流動性パニックになったようで
、これはミンスキー・モーメントだ。今後も悪い決算が出るごとに
、FANG+Mでも大きく下落することになる。注意が必要である。

しかし、このような状況でもF&Gインデックスは33であり、20以下
になっていないので、底打ちの状況ではない。

そして、4日の雇用統計は、非農業部門雇用者数が46.7万人増となり
、賃金前月比は0.7%増と加速した。この雇用統計を受けて、10年物
米国債金利は1.91%と大幅な上昇になり、このため、ドル円は115円
まで円安になった。

12月の物価上昇率は7%に下がったが、賃金が上がると、今度は物価
に跳ね返ることになる。すると、FRBは利上げを急ぐ必要になる。と
いうことで、NYダウは21ドルほどの下落をしている。

しかし、大きな下げにはならなくなっている。それは、市場関係者
が、FRBは株価の番人であることが証明されたと思っているからであ
る。

こうなると、物価の急速な上昇では、賃金上昇より大きいので、実
質賃金は下がってくるので、労働者階層の不満が爆発することにな
る。米国では、労働組合が結成され始めている。そして、行きつく
先に不吉な予感がする。近い将来、庶民の反乱が起きる可能性を否
定できない。トランプ氏と庶民が結託する可能性も見える。

もう1つが、ネットフリックスやメタのような大手IT企業の業績が
下降していることで、景気の動向が気になり始めている。景気後退
で、物価上昇であると、スタグフレーションになる。

ということで、とうとう、ECBのラガルド総裁も年内利上げを視野に
入れたようである。ラガルド総裁が明示したわけではないが、過去
の声明文との比較から、そう読み取れるようだ。

その理由が原油と穀物、非鉄金属など広範なモノの値段が上がって
いるからだ。特に穀物と石油の値上げは大きい。この2つが上がる
と、新興国経済は苦しくなる。先進国でも貧困層の生活は苦しくな
る。

このため、新興国では政治的な混乱になることが予想できる。事実
、アフリカ諸国は、クーデターが頻発している。それと、ロシアの
プーチンの動きである。国際的な動乱になる可能性もある。

このような状況で北京オリンピックが開催された。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日、30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年1月28日は
26,717円で、1月31日は284円高の27,001円、2月1日は76円高の
27,078円、2日は455円高の27,533円、3日は292円安の27,241円、4日
は198円高の27,499円。

今週、株価は上昇したが、3日のメタの決算が悪く、日本株も下げた
。日本市場の7割の取引が海外投資家であり、その内の5割以上がAIで
の取引であるので、NYダウ先物の影響を受けている。米国の国内の
状況を日本市場でも大きく受ける。

それと、日本企業の決算時期であり、決算内容で大きく売られる物
や、上昇する物などが出ている。決算では配当増額で三井商船や日
本郵船の株価は上昇したが、川崎汽船は好業績であったが、配当据
え置きで、大きく売り込まれることになり、川崎汽船のPERは、1倍
台になり、非常な割安株になってしまった。PBRも1倍台であり、こ
のような株を見たことがない。

日本も石油価格の高騰、食品価格の上昇など、生活実感は大きく物
価が上昇しているが、日銀の物価上昇率は2%弱という。生活実感と
大きく乖離している。

しかし、日銀も利上げを考えないと円安になり、国民生活が苦しく
なる。しかし、利上げは国債金利上昇になりできないとなると、円
買い介入の可能性も出てきたように思うので、FX投資家は、十分に
注意をした方が良い。円買い介入を米国は非難しない。

もう1つ、バリュー株も売られ始めている。それだけ、下押し圧力
が強い。空売り比率も45%以上になる日が多くなっている。積極的な
買いがない。このため、大きく売り込まれた後でも、下げ幅の6-7割
程度しか戻らない。

下値1月27日の26,170円と高値1月5日の29,332円の差、3162円の7割
で2213円、6割で1897円となり、28,067円から28,383円となり、戻っ
ても、28,000円強ということである。今は、くれぐれも期待値を上
げないことである。

日経平均のPERは13.5倍から14倍の間で安定していて、EPSは現在
2000円から2100円の間であり、このため、株価も27000円から29000
円の間でしか動かないことになる。よって、上で述べたことを補完
している。企業業績が上方修正されて、EPSが2200円にならないと、
株価は上昇しないようである。

よって、この時の戦略は、前回同様で、大きく売られた時の底値買
いで、戻したら売りを丹念に続けて、持ち株の平均株価を下げるし
かない。この持ち株の継続的な上昇が起きるまでは、儲けより平均
株価下げを優先して、辛抱するしかないように見える。

または、配当利回りが良く、業績もよいのに決算内容が予測に届か
ないために、大きく下落したPER20倍以下の銘柄を買い、戻したら
売る戦略だ。

このためには、現金保有率を上げるために、底値買いした株を、少
し儲かったところで売ることである。これを丹念に続けていくこと
であろう。

そのうち、違うフェーズになる。株式投資も、戦略をフェ−ズごと
に変える必要があり、今は、コロナ禍なのに企業業績も安定してい
るフェーズであるので、この戦略が有効である。米国株のように割
高でもない。

しかし、今後、景気後退が本格的になり、業績が下降するなら、別
の戦略になるし、海外投資家が日本株を買い始めたら、PERが上昇し
て、株価は上昇するので、株のホールドの方が良くなる。このよう
にフェーズごとに投資戦略を変えることが必要である。

そして、今の株式市場が、どのフェーズにあるのかを知ることが、
重要なのである。そのために、情報を集めるしかない。

2.ウクライナをめぐる情勢
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ロシアがウクライナを取り囲む形で、ロシア軍を3方面に10万人
以上を配備した。ロシア軍の主力は、戦車隊であり、衛星から軍車
両を見ることができる。

しかし、本当にウクライナに侵攻できるのか、疑問である。もし、
ウクライナに侵攻すると、EUも英米もロシアに対する制裁処置を行
うことになる。

ロシア経済は、石油・ガスに依存している。その輸出を止められる
ことになる。ドイツも渋々、輸入を止めるしかない。その代わりに
米国のLNGや中東のLNGをEUは買うことになる。

日本もロシアからのLNGを止めるしかない。日本はロシア産LNGの比
率は低いので大きな影響を受けないが、ドイツはロシア産が50%にも
なるので、大変なことになる。

その上に、国際決済SWIFTからロシアを締めだすというが、ロシアは
世界貿易ができないことになる。ロシアに輸出もできないことにな
る。

ロシアは、EU向けのガスを中国売るしかない。中国は足元を見るの
で安く買い叩くことになる。

もう1つ、アゼルバイジャンとアルバニアの戦争で、アルバニアの
戦車隊が大きく損害を受けた。兵士の質ではアルバニアの方が良い
ので、今まで優位に立っていた。このため、ナゴルノ・カラハブ自
治州を半独立国にして、アルバニア軍が常駐していた。

しかし、今後の戦争でアルバニアは負けた。その大きな原因が、ア
ゼンバイジャンがトルコの戦闘用ドローンの大量使用で圧倒したか
らである。

ウクライナは、トルコのドローンを大量に製造して、ウクライナに
侵攻するロシア軍戦車を破壊することをもくろんでいる。

トルコのエルドアン大統領もロシアに対して、トルコ族のいるクル
ミアを支配し、トルコがNATOに加わっていることを利用して、ウク
ライナに協力している。

恐らく、ドローンの操縦士も大量にウクライナに供給するはずであ
る。戦車隊対ドローンの戦いが見られることになる。

このように、ロシアが軍の派遣を準備して、脅しの期間が長くなる
ほどに、ウクライナやトルコや欧米諸国の迎え撃つ準備も揃ってく
るはずである。

その準備が揃うと、ロシアの要求は無視されることになる。他国へ
の侵略は、奇襲作戦しか成功しない。国際世論もロシアに向かうの
で、世論戦でも負ける。

なぜ、ロシア軍増強を見せかけるだけなのであろうか?
交渉で得るものはないし、戦争になれば、ロシア軍も大きな損害が
出る。それなのに、そのような行為をすること自体が、プーチンの
老化でしょうね。

なにか、老いた豊臣秀吉が、朝鮮征伐に日本の武士を送り出した様
相と似ているように気がする。

自分の名声や権力が、コロナの対応失敗で落ちている。このままで
は、権力を失いかねない。このため、プーチンの大ソ連復活の夢を
実現するしかないという強迫観念に取りつかれた結果だ。

この同じような夢を持つ中国とロシアは、結託できる状態であるこ
とも、プーチンの心強いことなのであろう。

しかし、何か無理をしている。経済力は、世界10位の国が軍事力を
使って、米欧に立ち向かっても勝てない。中国はロシアが戦争をし
ても助けるはずがない。

プーチンの悲劇的な最後が待っているような気がする。

さあ、どうなりますか?



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