6215.新しい資本主義への転換点



新しい資本主義というのは、お金の価値だけではなく、社会貢献な
どの価値をも社会的なステータスにする社会であり、その時代が始
まろうとしている。その検討。      津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、14日は35,911ドル
で、18日は543ドル安の35,368ドル、19日は339ドル安の35,028ドル
、20日は313ドル安の34,715ドル、21日は450ドル安の34,265ドル。

NYダウは、1月4日を最高に下落し、今週はすべての日が下げて、
1646ドルも下落した。最高値から2534ドルも下げた。
そして、NASDAQは、最高値16212.23Pで、今週1124.83Pも下げで
13768.92Pになっている。2443.31Pも下げたことになる。15%以上の
下げで、調整局面入りしている。

好調であった半導体関連株も落ちてきて、SOX指数も下げている。
バルチック海運指数も下げている。景気後退を意識した展開にもな
っているようだ。仮想通貨も下げている。しかし、原油価格86ドル
台まで上昇していたが、1/21は83ドル台に下げた。

FRBの今年利上げ回数が4回以上になり、最大8回になるとも予測され
、また、資産縮小も2022年中頃には始まると予測で、2年債と10年債
金利は上昇して、2年債は1%近辺、10年債は2%弱の金利になっていた
が、1/21は10年債金利1.7%台後半に低下した。

価格が需給で決まり、資金の動きが急なのであろう。資金がいろい
ろなものにウロウロしている。それだけ投資方向に自信がないよう
だ。

一方、ECBのラガルド総裁は、金融緩和方向を当分継続ということで
金利はゼロのままである。EUと米国の金利差は拡大している。

しかし、ドル円は116円から113円台まで円高になっている。金利差
拡大でも円高方向になるという不思議な現象が起きている。そして
、主要6通貨に対してのドル指数は、先週、一時的に1.2%も下
げた後、週末時点で0.6%安となって取引を終えた。

ゴールドマン・サックスは最近、今後2年間はユーロ圏の成長率が
米国を上回るとの見通しで、為替市場は、金利差よりも、成長率の
差が重視されるようになったという。これも変。ドル買い先物の異
常な累積で、一時的にドル売りが出たという解説もある。

ここまで株価が下げても、CNNのF&Gインデックスは41である。恐怖
を感じる程度が弱いようであるし、催促相場の様相でもある。FRBの
利上げや資産縮小の前倒しを抑えようとしているようにも見える。

イエレン米財務長官は、インフレが「来年」大きく減速する見込み
と、FRBの利上げ前倒しを止める発言をしている。

その上、国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事も、FRBが
年内に数回の利上げをすることについて、新型コロナウイルスの感
染拡大で打撃を受けた新興国や開発途上国の景気回復に「冷や水を
浴びせる可能性がある」と警鐘を鳴らした。

株安と各方面の専門家からの発言で、FRBはタカ派からハト派に変わ
るのかが見物である。しかし、このFRBに環境の専門家が理事に入り
、金融政策から環境問題を金融面でサポートするようである。この
ため、インフレであろうと株価が落ちようと、新しい理事は関わら
ないのであろう。米国統治の何かがおかしくなっている感じがする。

しかし、現FRB理事たちの発言はない。FOMCの始まる前のブラックア
ウト期間に入り、発言できないからである。

しかし、もしFRBが利上げや資産縮小の政策維持の方向であるなら、
一層の株価の下落も考えられる。グランサム氏は、SP500指数の50%
落ちで2500も考えられると予測している。2022年はすべての物がバ
ブル化したスーパーバブル崩壊の年であると明言している。ミーム
株やSPACなど得体のしれない株が大きく上昇するなど、バブルが形
成されてきた。この巻き戻しが起きるというのだ。

しかし、株価暴落になると、中央銀行バブル崩壊になり、その影響
は各方面に出て、景気後退が大きくなり、それが原因で一層株価が
落ちることになる。その上、米国民の資産の約5割が株式投資になっ
ているので、資産下落で消費も落ちることになる。そして、益々、
株価が落ちるという1929年と同様なことになる危険性もある。

しかし、FRBがテーパリングはしても利上げをしないと、インフレが
上昇して米国民の多くが生活苦になり、QEはできないので株価の上
昇も限定的になる。インフレで、FRBは何もできなくなる可能性もあ
る。

このため、株価が落ちてもインフレが高すぎても、バイデン大統領
と民主党の支持率は大きく下げることになる。

しかし、MMF上には4兆6000億ドルの待機資金があり、株価暴落時に
仕込もうと待ち構えているとも見える。しかし、1929年と同じ状態
になると、10年以上も株価下落が継続してしまうことになる。

PER21倍であるNYダウが、日本株のPER13倍までになるには、相当な
下落が必要になる。このため、下落までは相当に長い期間が必要と
なるはずだ。ジグザグして下落していくことが見えている。

日本人で米国株に投資している人は、早く引き上げた方が良い。

このような危機的状況で、ロシアはウクライナへの侵攻の構えであ
り、米国は、ウクライナのNATO加盟をさせないと確約するようであ
るが、ロシアは次の要求として、NATOに対して、ルーマニアとブル
ガリアからの撤収を要求した。

軍事力の脅しが効いていることになり、プーチンの軍事力による要
求はエスカレートしていくことになる。まるでヒットラーの要求に
屈していくチェンバレン英首相のようなバイデン米大統領である。

これも米国内での支持率低下につながることになる。

このような展開で、米国11月の中間選挙で民主党の負けが徐々に見え
てきている。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日、30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年1月14日は
28,124円で、17日は209円高の28,333円、18日は76円安の28,257円、
19日は790円安の27,467円、20日は305円高の27,772円、21日は250円
安の27,522円。

日本の株価は27,500円あたりで抵抗しているようにも見える。そし
て、グロース株からバリュー株への投資移行が進んでいたが、一転
、今週はバリュー株が売られて下落している。

特に鉄鋼株、海運株が大きく下落している。バルチック海運指数が
下がり、景気後退の懸念が出て、バリュー株から商品市場に資金が
移っていくようである。このため、金と原油の価格が上昇している。

グロース株中心のマザーズ指数は、19日807.92Pと2020年11月以来の
安値になっている。ここは今後も下げていくことになるが、マザー
ズ指数の主要がメルカリであり、メルカリの株価下落が止まれば、
マザーズ指数も持ち直すことになる。

その上に、梶山幹事長代行の「株主利益を人的資本へ投入しろ」と
の発言である。先週に続いて、市場へのインパクトある発言であっ
た。岸田政権では、株価は上昇できないのではないかと心配になる。

そして、大きく下落した19日は、日銀の701億円のETF買いもなかっ
たことで、一時900円まで下落した。

高配当の鉄鋼や海運株も大きく下落して、銘柄選択が非常に難しい
ことになっている。グロース株でも利益が出て、年々大きく増加し
ている企業で最先端技術を持つ企業の株しか買えないようだ。

バリュー株は、ある程度株価が上昇するとそれ以上にはならないの
で下落する。これが今の状態であろう。

しかし、当分、米国の株価下落に付き合い、日本株も下落すること
になる。しかし、下落した先には強大なチャンスがある。荒野宏氏
によると、1月後半から2月始めに底を打つとのご託宣である。そし
て、今年はボックス相場であり、押し目買い、戻り売りに徹するべ
きだという。

そして、オミクロン株新規感染者数は、22日で東京で1万人強、全国
で5万人以上となり、1月下旬には東京で1日感染者が3万人、全国で
10万人になるとの予想もある。

小池都知事は、不要不急の外出は控えて下さいというが、重症化リ
スクは低いので、ステイホームは必要ないと尾身会長はいう。この
2つの矛盾した発言であるが、尾身会長の方向でないと、経済は大変
なことになると思うが、政府は人流抑制に振れ、否定的である。

人流制限をする蔓延防止で、経済損失は1兆円以上になると野村総合
研究所は見ている。世界の投資家・有識者も日本政策をおかしいと
みている。

このため、米国の有識者は日本政府に対して、入国制限を緩和して
ほしいという要望書を出したし、WHOも同様な勧告を出した。日
本の水際対策は、ここまで感染拡大した状態では、必要がないはず
である。岸田政権は、日本経済を衰退させることになる。

2.新しい資本主義への転換点
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前回は、価値観の変更が必要であるとしたが、これには歴史的な必
然性もある。

皆が欲しがる物は、権力、金、名誉(権威)の3つである。資本主
義は、このうちのお金の部分に焦点を当てて、論理化した物である
し、共産主義は、権力に焦点を当てて論理化した物である。

このため、共産主義や社会主義国は、権力者が権力、金、名誉を独
り占めしてしまい、他の人は、欲しいものを得ることができない。
このため、社会主義国では、権力闘争が激しくなるのだ。これしか
、欲しいものが得られないからである。

資本主義国でも権力者の自制がないと、名誉とお金を欲しがり、腐
敗や政治の私物化が起きることになる。往々にして、長期政権末期
に、腐敗がはびこる理由でもある。

歴史的に、権力は意識されて、権力の分散化、独占排除を行い、王
政から民主主義になり、選挙などを通じて権力の大衆化が進んだ。

名誉は、王政時代から貴族が中心で文化を作り、注目され名誉を博
したが、それも貴族制度の弱体化で、現代では俳優などが名誉を得
ることになった。この分散化が起きて、現在、ユーチューバーなど
が注目されてきて、名誉が大衆化されてきたのだ。

お金は、会社経営で成功した者が得ていたが、今は投資でお金を得
ることができるようになり、多くの投資成功者がお金を得ることが
できるようになってきた。

ここでも大衆化が進んでいる。若い人たちのFIREで、投資で資金を
得て、早期に退職するということであり、それができるほど、大衆
化したということである。

しかし、社会貢献している人たちには、お金も権力も名誉も与えて
いない。しかし、そのような人たちがいないと、社会は進化しない。

この部分を報いるための方策が貴族制度である。貴族制度でなくて
もよいが、名誉を大きく言うと権威であり、その権威の中心が日本
にいる。天皇家である。

この伝統ある天皇がいるということが、日本の大きな長所であり、
2千年の歴史でも、日本が危機になると、天皇家の存在を表に出し
て、危機を乗り越えてきた。

今は日本の歴史的にも大きな危機の状態にある。資本主義が危機的
な状態で、世界は次の資本主義経済をどう構築していくべきが悩ん
でいる。

個人資産という概念を捨てて、コモンという共有物にするなどのア
イデアが語られているが、すべてお金の部分か権力の部分になって
いる。名誉(権威)に着目しているアイデアがない。権威の中心が
世界にはないからだと思う。

しかし、日本には権威の中心である天皇家がいる。その天皇のお出
ましである。現在は、天皇家存続の危機でもある。この日本の危機
、天皇家の危機を両方ともに、救える方法が、新しい貴族制度の創
設であろうと見えている。

そして、政府の権力を貴族の権威が監視するという2重政権を取っ
た方が良い様にも思っている。その代わり、貴族に有能で社会貢献
している人を選び、チェック機能を果たせることが条件である。

そして、衰退する軽量国家日本のグランドデザインを今こそ、構築
して、次の百数十年間の礎を築く時である。明治維新の逆方向の感
覚で、根本から日本の資本主義を見直す時である。その方向は、欧
米化から日本化へのシフトである。

さあ、どうなりますか?



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