6214.新資本主義での価値観の変更



分配の考え方を変える必要と前回述べたが、その根本に人間の価値
観の変更が必要で、その変更を岸田政権は実現しないと行けない。
価値観の変更を検討する。         津田より

0.米国および世界の状況
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、7日は36,231ドルで
10日は162ドル安の36,068ドル、11日は183ドル高の36,252ドル、12
日は38ドル高の36,290ドル、13日は176ドル安の36,113ドル、14日は
201ドル安の35911ドル。

NYダウは、1月4日を最高に下落している。特にNASDAQは大幅な下落
になっている。FRBの資産縮小発表の影響で、10年債金利は上昇して
一時1.87%までなったが、パウエルFRB議長が議会証言で、一層の加
速とは言わないので金利は下がり、日銀が金融緩和を見直すという
観測から、ドル円は113円台まで円高になっている。

しかし、インフレで米国の実質金利がマイナスであり、13日副議長
になる予定のブレイナード理事が、議会上院で3月にも利上げを行う
としたことで、利上げ加速の警戒感から13日株価は下げた。

そして、米CPI(消費者物価)も前年比7%と、予想値になったことで
、利上げと資産縮小が加速することにないと安心感から、12日はヘ
ッジの買戻しがあったが、実質金利がマイナスで、利上げが加速す
ると13日は警戒感から下げの方向になった。

要人発言で市場の雰囲気はクルクルと変わる展開で、日替わりで見
方が変わる相場になっている。

賃金上昇しても実質賃金は減少となり、12月アメリカ小売売上高は
前月比で-1.9%となり消費が減っている。米大手銀行の第4・四半期
決算が失望され、金融株も大きく下落した。

今は今年利上げを3回するといっているが、1兆7千億ドル規模のイン
フラ投資法案も上院民主党マンチン議員の反対で法案が通らないよ
うである。

この状況で、FRBは今後予定している利上げを3回と資産縮小ができ
るのか疑問符がついている。景気後退や株価暴落になれば、FRBは即
中止ということになると見る。

北朝鮮は、超音速ミサイルの実験を繰り返している。ロシアは米国が
2正面作戦ができないことを見越して、ウクライナ侵攻と脅して、交
渉を有利にするようである。

専制国家のカザフスタンで民衆暴動があり、ロシア軍がカザフに乗
り込み、イランは、イエメンのフーシ派にサウジ攻撃を唆している
。中国は台湾侵攻を脅している。

世界的に、きな臭さが漂っている。

1.日本の状況
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日、30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年1月7日は
28,478円で、11日は256円安の28,222円、12日は543円高の28,765円
、13日は276円安の28,489円、14日は368円安の28,124円。

日本の株価は弱い。そして、グロース株からバリュー株への投資移
行が進んでいるようだ。マザーズ指数は、14日844.78Pと昨年来安値
を更新した。

その上に、山際経済再生大臣が政府を代表して、「新しい資本主義
は株価を意識しません」と発言。これでは海外からの資金が流入し
ないよ。そして、海外投資家の売りが嵩むことになる。

そして、日本と中国でのオミクロン株の感染者数の増加と米国の利
上げ加速ということで、全般的に売りが出て、特に内需系企業と中
国関連企業の株価が下げた。その結果、12日の上げた分を帳消しに
している。このため、14日は日銀が701億円のETF買いをした。

ANAとJALは国内線の減便を発表しているなど、オミクロン株感染拡
大の影響が徐々に出ている。

オミクロン株新規感染者数は、東京で4500人以上、全国で2万人以上
となり、第6波が来た。1月下旬には東京で1日感染者が2万人、全国
で10万人になるとの予想もある。

しかし、重症者と死亡者数が感染者数に比べると、大きくないし、
肺炎症状もないということで、インフルエンザより少し重い風邪に
なったようである。重症者は80歳以上で既存症のある人であり、感
染者の半分程度は無症状である。このため、感染拡大は必然的にな
る。

飲食店では、再度営業自粛になると、やっと従業員も戻り、これか
らというときに、従業員を手放す必要になり、従業員も困窮するこ
とになる。生活保護で失業者の割合が増加している原因でもある。

エッセンシャルワーカーは、濃厚接触者でも自宅待機になり、仕事
ができないし、症状があれば入院となると、今後、また医療崩壊の
可能性が出てくる。特に医療従事者の感染が心配である。

そろそろ、新型コロナを2類のままでも5類相当の運用で、海外か
らの渡航者、特に日本に留学や仕事に来る外人の入国を普通に戻す
ことが必要である。

そうしないと、日本経済の破壊で自殺者数や困窮者が増える方が問
題である。どちらが、日本の衰退を招くのかという問題であり、医
師の意見もあるが、大局的な観点を政治家は持つべきである。

経済への影響を考慮しないと、岸田政権で日本の衰退が促進されな
いか、非常に心配である。株価も日本の政策で上がるべき時に、下
げることにもなる。

2.新しい資本主義での価値観の変更
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前回は、貴族制の復活で、名誉と地位を分配することを提案したが
、この根本にあるのが、人生の意義や価値観の変更である。

今までは、政治権力や金融資本主義の下で、権力をとることや金儲
けをして、権力奪取や大きさ金融資産を残すことが、人生の意義や
人生の価値とした社会であったが、権力やお金以外の社会貢献度の
大きさが、価値を持つ社会になるように、価値観の変更を行うこと
である。

この手段として、貴族制を作り、社会貢献度という尺度で貴族のラ
ンクが決まるようにすることで、皆が社会貢献を人生の目標にでき
るようにして、日本社会を明るくする必要がある。お金や権力だけ
の評価基準からの脱却が必要になっている。

社会貢献の仕方は、高額の税金を納めることや慈善団体に寄付する
ことや新陳代謝を促進する社会の仕組みや技術を開発することや事
業化することなど、多岐にわたる。この尺度を作り、皆がこの尺度
に納得するような基準を作ることが重要である。

安倍政権の時のような、首相のお友達だけが、得をする仕組みにな
らないように、首相のお友達を名誉から排除することも重要である
。権力のある者やその周辺の人たちは、名誉にあずかれないように
する。権力を持つか、名誉を持つかの1つしか追及できないことが
必要である。

首相は、権力を失った後には貴族になれるようにして、報いること
である。議員や大臣など権力をとる段階にある人たちも貴族なれな
いようにする。勿論、首相を通じて権力を行使する、首相のお友達
も排除しないといけない。

お金や権力だけの基準から、社会貢献度の基準に社会の評価システ
ムを変更することである。これで新自由主義的資本主義の根本が崩
壊するし、ボランティアを正当に評価する仕組みができる。

人生の評価基準を変えることで、経済成長だけの基準で社会を評価
しないようになると期待したいし、それがないと、日本の貧困化は
悲劇的なことになる。

一番、期待が大きいのが、江戸時代の商家の裏にある裏長屋と同じ
ようなことを企業や資産家に期待する。貴族という名誉を与える大
きな目的は、貧困化した若者たちの世話であろう。

表にある商家は、裏長屋を貧乏人に安い家賃で貸し、かつ、長屋の
住人の世話をすることが重要であった。警察力がないので、裏長屋
の住人が、略奪する暴徒に、世話になっているこの商家は、襲わな
いでくれと嘆願することになる。しかし、現在は、このようなこと
はないので、その代わりに名誉を与えるのだ。

今後、日本全体が貧困化すると、人口の40%程度の人たちは、極度な
貧困になり、家も持てなく、結婚もできないことになる。この世話
は、国だけではできない。多くの資産家と企業が参加しないと、無
理である。貧困で苦しむ人数も多い。多くの篤志家が必要になる。

国は予算的にも、年金や生活保護の仕組みを維持するだけで手一杯
なはずで、若者の世話はできないし、多岐にわたるので、多くの参
加者が必要なのである。

家だけではなく、仕事の世話も必要である。このため、企業の出番
であり、資産家の寄付が必要であり、NPOや財団法人、社団法人など
の仕組みで対応するしかない。

今は、資産家が資産を残すために財団法人を作るが、真剣に社会貢
献しているわけではない。このため、現状は、中途半端な状態にな
っている。

3.地方行政
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国の軽量化のテーマに戻ると、次の改革は地方行政であろう。

道の整備も上下水道の整備も、使用料金や住民税を上げられる状況
ではなく、費用対効果でどうするのかが重要になる。市民生活防衛
のためには、効率的な行政が必要になっている。

また、住民税の税収を増やすためにも、住民を増やすことが重要で
、そのための施策や企画が重要になる。要するに、企業経営と同じ
ようなセンスが必要ということだ。

政治的な思想より、地域住民の利便性を高める実務が重要であり、
今の政党中心の行政のトップより、その街の企業や企業集団が行政
を直接行えるような仕組みにすれば、企業人事と行政人事の交流が
できて、経営感覚のよい行政ができることになる。

流山市の「母になるなら流山」という宣伝を、当初、市職員は大き
く反対したというが、その宣伝の通りに保育園を拡充し、育児の意
見を聞き、利便性を高めたことで、若い家族と子供達が増えて、流
山市の人口は大きく増えたという。

これは、市長が経営コンサルタント出身者であったことで、そのよ
うな企画ができたのだ。経営感覚が地方行政に必要になり、企業経
営と同じようなセンスが重要になっているのだ。

武蔵野市のような仮想敵国の短期滞在外国人も住民投票できる制度
を作るような政治信条からゴリ押しするような市長がいらないはず
である。そのような政治的なことを中心に行い、経営的センスがな
い人は必要としないはず。思想的な紛争を起こすのは、市民にも迷
惑である。

江戸時代は、町の行政は、武士ではなく、町人が行い、村の行政は
庄屋が行っていた。武士は、村全体の年貢を取り立てるだけである
。この仕組みを現代に活用した方が良い。安い行政ができる。

しかし、行政で企業の暴利が起きる可能性もあるので、警戒は必要
であり、中央政府の監査体制と市民などの選挙で、企業の暴利を防
ぐ仕組みは必要である。当初は、企業城下町と言われる都市から徐
々に進める必要はある。

逆に、行政機関が企業を営むことができるようにする。人口増加さ
せるために、村の産業を作る必要があり、村長を社長した企業があ
ってもよいはずだ。特に中山間部の村は林業に活路を見出すしかな
い。この中心になれるのは、村役場しかないからである。

4.日本のグランドデザイン変更の手段
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このように見ていくと、国の権力の中心が、太平洋戦争前は軍人で
あり、戦後は官僚となり、小泉改革で政治家になり、今後は企業経
営経験者と資産家になるような気がする。

2世3世政治家の世の中を見る目が低く、かつ人間としての器量が低
いことで、日本の貧困化と政治の私物化を引き起こしている。これ
を解消するためには、当面は行政に、経営者や資産家の参加が必要
になっているようだ。

もう1つ、衰退する軽量国家日本のグランドデザインを考える必要
があるが、今までの既得権益者に権益を放棄させるためには、それ
相当なことをしないと、政治的に持たないので、それを名誉や地位
を代償に与えて、我慢してもらうという考えた方でもよいはず。武
士を明治後、貴族にしたようにである。

ということで、中小企業の統合が必要になっている。本格的なDXや
IT化に対応できないので、資本統合をして体力を付けていくことで
、生産性も向上できる。この統合でも権利放棄した経営者を貴族に
するなどの代替処置にも使える。

大企業が中小企業を統合する方向でもよいが、下請けという考え方
を放棄させていく必要がある。この改革でも社会改革になるので、
実行する大企業経営者にも名誉を与えることである。

最低賃金を年5%程度上げて、日本の生産性を上げるようにと、デー
ビッド・アトキンソン氏は言うが、その方向性は正しいが、日本の
既得権益者の抵抗をどうかわすかが政治的な問題である。

このような問題でも、貴族制度を利用でき、次の日本の変革をスム
ーズに行う手段として、利用することである。

さあ、どうなりますか?


コラム目次に戻る
トップページに戻る