6213.新しい資本主義での分配の考え方



日本の貧困化が避けて通れない。この貧困化に合わせて、新しい資
本主義と分配を岸田政権は掲げている。その分配を検討する。
                          津田より

0.米国および世界の状況
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年11月8日は36,432ドルの最高値更新で、12月31日は36,338ドル
となり、2022年1月3日は246ドル高の36,585ドル、4日は214ドル高の
36,799ドル、5日は392ドル安の36,407ドル、6日は170ドル安の
36,236ドル、7日は4ドル安の36,231ドル。

NYダウは、年始の2日は上げたが、FOMC議事要旨で、資産縮小をす
る議論が出ていたことで、株価は大きく下落した。特にNASDAQは5日
522Pの大幅な下落で6,7日も下落している。

今までの見方は、量的緩和の縮小や利上げはするが、資産縮小はし
ないと見ていたが、インフレ対応で資産縮小の可能性があるとなっ
たので、サプライズになったようだ。

その上に、7日発表の雇用統計でも失業率が低下して、労働参加率が
落ちている。このため、賃金の上昇が止まらない。インフレ対応の
資産縮小を早期に必要になっていることを証明した。

このため、10年債金利は、上昇して1.8%まで上昇している。FOMCシ
ョックの1回目が始まった。今後、PERが100倍以上の株価は大きく落
ちることになるし、金利が2%程度になると、潤沢な資金を持たない
企業は、自社株買いもできなくなり、株価を上げることができなく
なる。このため、米株全体の下落方向が明確になる。

来年3月以降の利上げ開始と資産縮小で株価は、どうなるのであろう
か?

3月12日のFOMCで1回目の利上げ発表時、波乱が起きるであろうが、
そこが買い時ではない。2回目以降とみる。

FRBは、株価がどこまで下げた時点で、方針を変えるのであろうかの
問いが必要である。そして、方針が変わる時点が一番安くなり、買
い時になる。

そこまでは、資金を寝かして待って居るしかないようだ。

中国は、利下げをして、景気を上げる方向である。不動産企業を潰
す方向であったが、それでは金融崩壊になる可能性があり、恒大を
地方政府の管轄として、建設は継続して、しかし、債券はほとんど
召喚しないようである。

もう1つ、1400万人の都市西安を完全封鎖して、コロナを撲滅する
というが、いつまで、このゼロコロナ政策が機能するのかが問題で
ある。この都市の産業は完全ストップし、勿論、サプライチェーン
も止まることになる。経済的な打撃は大きい。

日本の新しい資本主義に参考になりそうなのが、中国の「共同富裕
」政策で、企業の賃金、年金、寄付が個人の収入というが、この考
え方は、日本の分配にも適応できるように思う。中国的な考え方は
、東アジアで一般性があるようだ。

一方、ロシアに天然ガス・パイプラインの蛇口を閉められて、脱炭
素をいう欧州は困っているが、とうとう、天然ガスを持続的資源と
位置付けて、投資を許可するようである。ロシアの要求の1つ目は
確保できたようである。

次の要求であるウクライナの中立化が、次の焦点になっている。

1.日本の状況
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、9月
14日は30,670円で31年ぶりの高値になり、12月30日は28,791円で、
2022年1月4日は510円高の29301円、5日は30円高の29332円、6日は
844円安の28487円、7日は9円安の28,478円。

日本の株価は弱い。年始2日は上げたが、6日は850円弱の下げで、2
日上げた分を帳消しにしている。為替も116円まで円安に一時なって
いた。

6日の下げはFOMCの議事要旨で資産縮小の議論がされたということで
米株価が下がった影響が大きい。オミクロン株の感染拡大で経済的
な制限がかかることも影響している。

海外投資家が、日本から資金を引き上げていることも大きい。しか
し、NASDAQのグロース株の値下がりも大きく、日本人個人投資家は
マザーズ株とNASDAQ株の両方で大きな痛手を受けているような気が
する。

今は、米株というより、日本株でも低PER株や高配当株にシフトする
しかないようだ。当分はFRBの資産縮小の影響を受けずらい大企業で
資金潤沢なデフェンシブ株に避難することだと思う。

そのうち、株価が上がり始めると、個人投資家の資金が米株の下落
で戻ってきて、かつ、海外投資家の買戻しが起これば、面白いこと
になる。

2.新しい資本主義での分配の考え方
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
超円安で、日本国民の多くが貧困化することになる。これは前回ま
でに述べたが、税収も落ちてくるし、赤字国債発行も円安を加速す
るので、多額の発行はできなくなる。

このため、税収に見合った予算にする必要になるはずだ。このため
、日本国の機構もリストラが必要になる。この時の国の形をどうす
るのかの検討が必要になる。

日本の経済成長は無理であるから、心身代謝する安定社会をどう作
るのかを考えることである。新旧の産業の入れ替えができないと、
衰退することになるので、安定社会は思っているより難しい。

その方法として、岸田首相は、新自由主義的な資本主義から分配主
義的な新しい資本主義にするという。

国の役割は、国民の生命・財産・文化を守ることである。その上に
個人的な権利を守り、個人の意見を尊重することである。この基本
に照らして、国の機構のリストラを準備していくことだ。

一番重要なのが、民主主義を守りながら、国民の多くを餓死させな
いことである。最低限の生活を保証して、個人のチャレンジ精神を
刺激することである。この保証予算が大きいので、他分野の経費を
減らすことが重要になる。

このため、日本国を畳み小さくする必要がある。民主主義の費用が
かかりすぎているので、その部分を畳むしかない。畳み方が重要に
なる。

明治以降150年以上も経って、日本が欧米化社会発展の壁にぶち当た
っているからだ。そして、この壁が厚い。乗り越えるには何か、欧
米とは違う道を探るしかない。

しかし、この国民を守りながら安定化した低予算の社会を日本は、
昔に作り出している。それが江戸時代である。明治時代に、日本は
欧米的な社会にしたことで、江戸の仕組みを捨ててしまったが、江
戸の仕組みの中には今拾い上げるべきものがたくさんある。江戸時
代は300年も続いたが、それには訳がある。

この部分を再度、欧米的資本主義から日本的な新しい資本主義にす
るために、復活する必要になっているようだ。今後数回、その江戸
の仕組みを復活することで、軽量国家としての日本の仕組みを考え
たい。

その1つ目が、岸田政権では、分配が重要というが、分配をお金の
分配と思っているかもしれないが、それでは分配資源が不足するこ
とになる。

お金だけだと、金融所得でも法人税でも重税になり、または賃金UP
だけでは、企業の経営者のマインドが削がれるし、いいことはない
。このためには、その不満解消が必要である。

このため、分配資源として、お金以外に名誉と地位を加えることだ
。高額納税者・企業や多額の寄付実行者や社会貢献する個人に名誉
や地位を分配することで、社会的な名誉と地位を得ることができる
ので、個人的な達成感を得られるし、税金等に不満を持たれないよ
うにすることもできる。

法人税の納付額が大きい企業経営者だけではなく、法人税の納付額
増加スピードの早いベンチャー企業経営者なども貴族になれること
で、社会変革の動機づけができるし、従業員への待遇改善をする企
業経営者なども貴族になれるような制度にすれば、その動機付けに
なる。貴族維持経費は小さいが、その効果は大きいことになる。

このお金、名誉、地位の分配の考え方は、江戸時代の天海上人のア
イデアであろう。

明治以降は、お金、名誉、地位が集中されたので、分配にあずかる
人が少なくなり、富と名誉などが一部の人に偏ってしまったのであ
る。

そして、名誉資源の中心的な存在として、太古から続く天皇制があ
るので、再度、貴族を創設して、その貴族になれるようにする。貴
族にはランクがあり、社会貢献度でランクが上がる仕組みを作る。

勿論、社会貢献度が下がれば、貴族のランクも下がるようにする。
貢献度と名誉が比例する関係を作ることが重要である。

そして、今の勲章だけでは不十分である。勿論、貴族と勲章という
組み合わせを分配するべきなのである。

貴族制度で逆に、天皇制も守ることもできる。天皇家の分家を上位
の貴族にして置き、天皇家に復帰できる制度も創設すれば、天皇制
自体も存続できる。貴族を廃止したことで、天皇制も脆弱な制度に
してしまったようである。

しかし、天皇家の分家以外の貴族は、世襲制ではないことで、社会
的身分の固定化を防ぐことである。

話を戻して、貴族には、それなりの社会的信用も必要で、いくら高
額納税者でも反社会的な人たちや犯罪者の排除は必要である。この
ため、貴族の資格自体が、逆に社会的信用を創造することになる。
勲章は、その制限を緩くしておくことで、差別化できる。

あるランクからは、上殿の資格やお目見えの資格を与えれば、貴族
制度の中心ができる。一般人の上級貴族は、月1回の会食会に招か
れ、天皇と会食ができるようにすることで、天皇制で天皇の役割も
作れる。

その上に、あるランク以上の貴族には、国の政策に関与できるよう
に貴族院を作れば、参議院はいらないし、貴族院議員を無給とすれ
ば、国の費用も掛からないし、選挙費用もいらない。

貴族院は、議決権はないが、衆議院に法案を再審議させる権利や付
帯案を付ける権利を持たして、それを再度衆議院で審議して可決し
たら、法案が通るなど、ご意見番の役割にする。参議院の本来の役
割を貴族院に持たせることである。

これで、参議院は不要になり、議員数は半分にできる。貴族院の役
割を小さくして、衆議院の権限を維持して、民主主義の根本は守れ
る。

貴族院は、国会会期を無くして、長期に議会に出る必要をなくし、
法案審議もなるべく短くするような配慮が必要であり、その分、費
用も掛からないことになる。

これで、国会の費用を半分以下にすることができる。衆議院の定数
も減らすと、国会費用を一層減らせることになる。

その上、貴族になれることで、国民の5%程度の年収1000万円以上の
人への税率を高くすることができ、税収UPにもなる。高額納税の金
融所得者でも、自由時間があるので有能な貴族院議員になれる。

社会的な地位も確保できるし、後ろめたさも少なくなる。

ここで、貴族院議員と貴族の名誉と地位の2つがバラバラに授与さ
れないと心配される方がいると思うが、貴族院議員は、時間が取れ
る人しか無理で、会社の経営者は基本的になれない。

貴族院議員になれるのは、資産家であろう。年収が1000万円以上を
長期に維持できるのは、配当3%の株を3億円以上所有している必要が
ある。ブリジストンの大株主の石橋家などは、衆議院議員ではなく
、名誉が欲しいなら、貴族院議員や貴族院議長になればよいのであ
る。

金融資産がある人は、若いときに高所得で、引退までに金融資産を
貯めた高齢者が多いはず。このため、貴族院議員には有能であるが
、時間のある高齢者が多くいることになる。

ということで、株で億万長者になった人たちに、社会的な信用と地
位を与えて、皆が株式投資する環境をも作れることになる。

株式市場活性化のためには、このような制度構築と日本も1株での
売買を認めることである。個人株主の数を増やすことが、日本の企
業にとっても得になるからだ。個人株主が名誉と地位も持てるとな
れば、有能な人たちは挑戦するはずである。

もう1つ、今後、有能な人は世界で活躍して、老後、日本に戻って
くることになる。この人たちを引き付ける役割として、貴族院議員
というポストを準備することで、日本に帰って来安くなる。地位と
名誉の付加は、重要な帰国の動機付けになるからだ。

さあ、どうなりますか?



コラム目次に戻る
トップページに戻る