6212.2021年の振り返りと2022年の見通し



明けましておめでとうございます  津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年11月8日は36,432ドルの最高値更新で、12月123日は35,950ド
ルとなり、27日は351ドル高の36,302ドル、28日は95ドル高の36,398
ドル、29日は90ドル高の36,488ドルで最高値更新、30日は90ドル安
の36,398ドル、31日は59ドル安の36,338ドル。

NYダウは、年末2日は下げたが、クリスマス・ラリーで最高値更新
している。例年と同様な株価の動きになっている。米国株と半導体
株は強い。世界から資金が、米国株式市場に流入している。

テーパリングが開始されても、株価が強いが、来年4月以降の利上げ
開始で株価は、どうなるのであろうか?

この続きは、2022年以降の展望で述べる。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、9月
14日は30,670円で31年ぶりの高値になり、12月24日は28,782円で、
27日は106円安の28,676円、28日は392円高の29,069円、29日は162円
安の28,906円、30日は115円安の28,791円。

日本の株価は弱い。年末2日は下げた。為替も115円まで円安になっ
ている。しかし、38年ぶりの高値で終えたとテレビでは伝えている。

1989年年末の株価以来の高値だという。2020年年末27444円から5%の
上昇をしている。海外勢の売りが止まらなかったし、日銀は株を買
わなかったが、株価的には維持した。その大きな要因は個人投資家
が増えたことによる。

しかし、年末の勝敗は6連敗になってしまった。買い手不在が大きい
が、このために配当利回りが6%以上にもなって、割安になっている
。日本株を海外機関投資家が買わないことによる。

というより、将来性がないと空売りを仕掛けている。割安なのに、
空売りを仕掛けているのが、海外機関投資家である。円安が一段落
した時点で、買戻しをするしかない。

その時、日本株は大きく上昇することになる。今時点、PBRは1.27倍
、PERは13.8倍であり、米国のPERは21倍であり、世界平均は18倍で
ある。いかに割安に放置されているかがわかる。

2.2021年の振り返り
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p0643で予測した2021年を振り返ることにする。2021年もコロ
ナ禍が続き、ワクチン接種率が80%弱でもオミクロン株の流行が始ま
ろうとしている。秋には治療薬も出てきて、コロナも収まると期待
したが、今後第6波に会うことになる。

しかし、オミクロン株は感染力は強いが、重症化リスクは低いとさ
れているので、それに期待するしかない。

秋口からは、金融財政政策の正常化が始まるとしたが、これは米国
で予測した通りで、12月から始まった。2022年の4月以降には利上げ
が始まる。中央銀行が金融引き締めになると、当然のように株価も
下がることになると予測したが、この部分は2022年に先送りになっ
ている。

中国のハイテク産業も苦しくなるという予測は当たったが、習近平
の3期目に向けて、台湾統合を推し進めると、米中対決が激しくなる
が、核戦争になるので、それもできないはず。

2021年は、コロナ禍に明け、コロナ禍に終わるようである。日本は
ワクチン接種率が高いも関わらず、6-12月経済成長がマイナスにな
るということで、株価も年後半はボックス圏後、三角持合になって
しまった。

丸3年、コロナ禍が続くことになるのでしょうね。飲み薬が普及して
、早くインフルエンザ級の病気になってほしいと、皆が思っている
はずで、来年に期待したい。

入国管理の厳しさが2021年は問題視されて、タイの首相が日本に出
稼ぎに行くのだけは、止めろと言うように、日本の移民・難民の受
け入れに対する厳しさを指摘された。その上に今後、世界的に見て
賃金水準も低下して、日本の魅力がなくなってくる。

このため、人口減少を食い止める移民政策が遅きに失した可能性も
出てきた。難民政策も入れずに締め出しである。これでは日本は衰
退するしかない。

日本の存続を確保するには、衰退でも生きていくという覚悟が必要
になって来たようだ。10年先を見て政治を行うべき日本の政治家が
、今日のことしか見ていないし、民衆の今の要望だけに対応した政
治になっている。

長期的なビジョンが無いので、その場の状況に応じて近視眼的な判
断をして、かえって行き詰まってしまう。太平洋戦争の敗戦時の状
況と同じ過ちを日本の政治家はしている。それを改めようという評
論家も、このコラム以外に加谷珪一氏しかいない。世論状況も、太
平洋戦争時と同じ状況になっている。

3.2022年以降の展望
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暗い予想になるが、優秀で若い人は、日本離脱を考えるべき時期に
来たようである。このまま、今の一般民衆の要望に対応した政治で
は、日本の将来が犠牲になっている。

優秀な人たちは日本を離れ、世界で活躍してほしい。日本に残る人
たちは、貧しくともそれなりに幸せな人生を送るために日本の構造
を変えていくことが必要になっている。それを言い始めないと将来
をつぶされていく。若い人たちが言わないといけない。

超円安になりインフレが厳しくなるし、米国の利上げで世界経済は
景気減速の方向になるし、年前半はまだ、今までの金融相場の余韻
があるのでよいが、年後半、米国の利上げ開始で、業績相場となる
期待はあるが、そうならないと流動性危機が起き、株の暴落にもな
る。

ここで、米国は利上げを中止して、量的緩和に戻るなら、株価は安
定するが、まだ利益を出していないハイテク企業の倒産が続くこと
になる。メタバースなどを期待して、新興企業の株を推奨している
投資評論家がいるが、危ない。

景気後退は、日本にも押し寄せてくる。日本企業は日本を離れ、世
界で勝負する必要になる。このため、M&Aを盛んに行うはずである。
しかも、倒産が増えて、買収費用が安くなる。このため、日本市場
より海外市場の方がビジネスの中心になる企業が多くなる。

地方の企業も東京進出ではなく、世界に出てビジネスをしないと、
縮小する日本市場を狙っても、大きな成果は出ない。このため、パ
リやニューヨークに出ていくことになる。しかし、早くしないと景
気後退期になるので、2022年の早い時期に出ていってほしいですね。

日本国内は、景気後退でインバウンドがコロナ後も以前のような活
況にはならず、旅行・観光業界はコロナ後でも大変なことになる。

コロナ時期は補助金があったが、コロナ後はそれもなくなる。この
ため、地方の働き口が観光から農業や林業になってくる。そのため
には、耕作放棄地の再耕地化が必要になる。企業の農業進出を促進
して、業務スーパーのような縦方向の統合化が必要になる。

または、農産物の産直などであろう。安い農産物を直接消費者に届
ける仕組みを作るしかない。規格外果実・野菜を安く売る企業が出
てくる。これにより、国産が高いから安いに代わることである。そ
の上に、海外産が円安で高くなるからだ。

もう1つの柱が、リユースである。古着、古家電、古家のリニュー
アルなど、バリエーションはいくらでもある。この整備であるが、
ここは企業が進出して、大きな利益を得る方向になる。もう1つが
、修理業の台頭であろう。日本では作らないAV機器や家電が高くな
り、長く使う方向になり、修理が重要になる。

最後にエネルギーであるが、再生可能エネルギーの台頭が必要であ
る。石油資源開発はされなくなり、原油価格が上昇する。自動車も
EVが主流になり、石油が主エネルギー源ではなくなる。

石油が高くなると、材料も変化する。プラスチックからリグニンや
セルロース・ナノファイバーなどに変化する。この原料は木材であ
り、木材の価値が上がってくるはず。山林の価値も上がる。遺伝子
組み換えでの促成樹木の開発が盛んになる。

ここまでは、SDGsの推進ともいえるので、日本も推進していると言
えるが、本当は日本全体が貧困化したからである。

もう1つ、2022年を決定するのがコロナ禍である。オミクロン株の
第6波は、1月1日で79人と増加しているので、2月から大変なことに
なるかもしれない。しかし、重症化リスクは低いので、100万人感染
でも、死者数は100人程度であろう。風邪でも高齢者は死ぬから、そ
れと同じ程度はありえる。

3月にはオミクロン対応のワクチンができ、8月には収まる可能性が
ある。飲み薬も複数出て、コロナ禍は収束に向かうのであろう。コ
ロナ禍は、丸3年で収束する可能性が高い。

しかし、オミクロン株流行で、デルタ株と同様な経済自粛をされる
と、累積効果が出て、倒産する企業がデルタ株の時期より多くなる
し、特に観光業の大企業でも耐えることができなくなるし、死者数
で同様なインフルエンザ級の風邪でも経済自粛しないといけないこ
とになる。ナンセンスなことだ。今後は、重症化が少ないなら、経
済優先でいくしかない。経済自粛が好きな岸田政権と国民世論が心
配だ。

もう1つ、2022年は参議院選挙があり、そこで自民党が勝つと、金
融所得課税の議論が出てくる。もし、下限資産額以下にも課税する
となると、株価は大きく落ちることになる。1億円以上の高所得者に
限定しないと危ない。今の株価を支えているのは、個人投資家であ
り、その個人投資家を株式市場から離脱させてはいけない。

もう1つ、米国の中間選挙が11月に始まる。ここで民主党が負ける
と、レームダックになり、以後の経済対策はできなくなる。景気後
退期に、対応策を打てないことになり、世界景気は下降することに
なる。

米中対立は継続する。中露対欧米日の対立も激しくなる。米中圏の
経済分離も進むはず。このため、中国の経済も2021年にピークを打
った可能性が高い。2022年は、米国経済が下降すると、中国経済も
下降することになる。しかし、中国軍の装備・兵員は拡大して、軍
事費の予算に占める割合が高くなる。

軍事費の割合が高まり、それを賄うために、増税が必要になる。土
地切り売りで得た資金もなくなっているので、地方も国も資金がな
くなってきている。このため、IT企業、富裕層の税金が高額になり
、中国企業の価値は、その上にNY市場から締め出されてしまい下降
してくる。

そして、コロナで庶民に金をバラまいていないために、中小企業の
倒産が増えているはず。その上に不動産業界を締め上げたことで、
関連業界の業績も落ちている。この影響は大きいし、そのため、利
下げもして、不動産業界を政府管理にして、工事を続けさすようで
ある。

その資金も必要になり、益々、IT業界や富裕層からの税金を上げる
しかないようだ。

ロシアは、将来、天然ガス・石油産業が再生可能エネルギーの電気
に負けることを見越して、その代わりの産業として、欧米日の企業
を誘致して、経済を維持しないといけないはず。

しかし、ウクライナ侵攻をすると、その芽がなくなる。北方領土返
還交渉もできない憲法改正で、日本企業誘致もできなくなってしま
った。このため、ロシアの未来も暗いものになっている。ロシアは
交渉前に、交渉をつぶすことが好きである。経済的合理性がないよ
うな気がする。

このため、中露は、世界を脅して未来を作ろうとしているが、それ
はうまくいかない。特に中国というより、ロシアが主導して、世界
を混乱に陥れて、戦争になる可能性もある。欧州との戦争では核戦
争になりかねないし、SWIFTの利用禁止はロシア経済を破壊するので
、ウクライナ侵攻は回避すると思われるが、この代わりとして、中
東での戦争になるような気がする。

ロシアの石油と天然ガスのパイプラインが暗礁資産になる前に、最
大限の利益を生もうとして、中東の石油・天然ガスをロシア経由に
させる必要があり、プーチンの焦りがある。

戦争になるのは2022年ではないが、近い将来に起きると見える。

世界の景気が下降すると、碌なことはない。その景気後退が起きる
のが2022年のような気がする。

さあ、どうなりますか?



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