6211.世界の景気後退でどうなるか?



日本の衰退は決定的になるとみるが、米国など世界の景気後退も起
きることになる。その景気後退でどうなるか検討しよう。津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年11月8日は36,432ドルの最高値更新で、12月17日は35,365ドル
となり、20日は433ドル安の34,932ドル、21日は560ドル高の35,492
ドル、22日は261ドル高の35,753ドル、23日は196ドル高の35,950ド
ル、24日は休場。

NYダウは、オミクロン株の感染拡大とマンチン民主党上院議員の200
兆円インフラ投資反対を受けて、17日と20日は下げたが、その後、
オミクロン株の感染力は強いが重症化のリスクは低く、経済活動の
制限はないと、ホワイトハウスがマンチン議員と協議するというこ
とで、株価は上げている。

FRBのテーパリングを受けて、短期金利は上昇しているが、長期金利
は下げているので、週前半はハイテク株は下落していたが、週後半
は押し目買いが優勢になっている。

景気上昇局面ではない、インフレ加速による早期の利上げは、過去
4回のテーパリングとは違い、初めての経験であり、予測が難しい。
今までは、インフレがなかった状態でのテーパリング開始でしたが
、それでも、途中で失敗して量的緩和に復帰している。

今回は、テーパリングを中止して量的緩和をすると、インフレを加
速させかねないので、FRBはインフレ防止を重視するのか、株安と景
気減速に対応するのか、どちらかを選択する必要になる。

もし、インフレを重視すると、株価は大幅な下落になることが予想
できるし、量的緩和に復帰するとインフレが加速して、国民生活を
破壊するので、どちらでも景気後退になってしまう。

中国経済も、IT企業の規制強化、不動産業界への締め付けがあり、
景気後退の可能性が出ている。このため、世界は利上げ方向にある
のに、中国とトルコは利下げをした。それだけ、中国景気は落ちて
いることになる。

ということで、米中経済はどちらも景気後退の可能性が出ている。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、9月
14日は30,670円で31年ぶりの高値になり、12月17日は28,545円で、
20日は607円安の27,937円、21日は579円高の28,517円、22日は44円
高の28,562円、23日は236円高の28,798円、24日は15円安の28,782円。

米NYダウが17日大幅に下落した影響で、20日N225も大きく下げた。
しかし、FRBのテーパリング開始でも長期金利が上昇しないことで、
21日は、N225も大きく上昇している。

そして、クリスマス休暇で海外投資家の参加が少なく、方向の定ま
らない状態になっている。参加者が少ない中、個人投資家が押し目
買いに出て、株価は上がっている。25日以降、例年ではクリスマス
・ラリーで株価は上がることが多いが、今年はどうなるかでしょう
ね。

そして、12月3週も海外投資家は売り越しているし、日銀は買わない
など、今までの買い手が買わないのに、株価は下落していない。日
本の個人投資家の厚みが出ているようで、今の買い手は、日本の個
人投資家であり、海外投資家の売りを個人投資家が吸収している構
図になっている。

やっと、日本も米国と同様に、貯蓄から投資に個人資産が移り始め
ている。

高齢者は、銀行預金が多く、若者たちは資金の多くを株式投資にし
ている構図が見えている。今後、超円安になった時、インフレで高
齢者の預金の目減りが大きくなるはずで、若者の行動は合理的であ
る。

現在の状態でも、長期金利が下がっているが、今後はインフレで、
実質金利がマイナスになっていくので、預金で持つより、投資や不
動産などの資産で持った方が目減りが少ない。

このため、株への資金投入量が増えているのである。この結果は、
米国では、株価の上昇で景気と株価の好循環が生まれたが、日本は
海外投資家の売りが巨額であり、個人投資がそれをカバーするだけ
で、株価上昇に結びついていない。

しかし、海外投資家の売りが一巡したら、株価は上昇する可能性が
高い。海外投資家の巨額の売りは、日経平均の先物指数のヘッジや
空売りであり、ヘッジの解消や買戻しが必要になる。海外投資家が
日本の個人投資家の踏み上げに合う確率が高いからである。

特にFRBのテーパリングや利上げで米国株の割高感が強く出てきた段
階では、PER10倍以下で、配当利回り4%以上の日本株の割安感は捨て
がたい物になる。

それと、景気後退になると、ハイテク製品やサービスから生活必需
品に消費指向が変化するので、景気後退時、米ハイテク株への投資
は危険である。

一時的に日本株も値下がりするが、ハイテク株よりバリュー株の多
い日本株は維持する可能性もある。米国や日本のハイテク株が沈み
、日本の大企業のバリュー株は維持する可能性がある。

しかし、オミクロン株に対する神経質な対応は、おかしい。欧米で
は、オミクロン株は重症化リスクが少ないと、経済的な制限を無く
して、風邪の対応に近い制限にして、経済を優先にしているのに、
日本は、オミクロン株の重症化リスクが小さいを分かっても、従来
と同様以上の対応をして、経済を傷つけている。

特に海外との関係を鎖国状態にしているが、オミクロン株の重症化
リスクが小さいとわかった時点で、水際対策は縮小しないといけな
いはず。この鎖国で、日本の衰退を加速している。

この対応の悪さで、日本株の売りにもつながっている可能性が出て
きた。早く鎖国を解くべきである。

2.世界の景気後退で
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日本は、人口減少によるGDP縮減を財政出動で国債を大量に発行して
、その分の資金を市中に供給したが、インフレにならなかった。

これを見て、米国の似非経済学者は、お金を市中に供給してもイン
フレは起こらず、インフレになるまで、お金をバラ撒いて、経済を
活性化するべきとした。それがMMT理論である。

しかし、日本政府と日銀は、国民にお金を配らずに、政府の予算と
して活用して、日本国債の金利を下げるためだけに、量的緩和を行
い、日銀のお金は銀行だけにわたり、銀行はそのお金を市中に出さ
ずに、日銀の当座預金に積み上げただけである。

このため、お金が直接的には国民に渡らずに、一部の人たちにしか
わたらなかったことと、そもそも人口減少であり消費が減っている
ので、インフレは起こらず、そのため、量的緩和を長期に続けてい
くことができた。ヘリコプターから国民にお金を撒けというバーナ
ンキの言うことを日本政府は、聞いていなかったのである。

しかし、欧米は、日本がインフレにならないことで状況を勘違いし
て、コロナで国民に大量のお金をバラまいた。このため、国民は余
裕をもってコロナを乗り越えられた。

というように、日本の量的緩和は、お金をバラまくことではなく、
政治家の権力維持のため予算確保の裏付けの国債発行を続けられる
ように、長期金利をゼロにする目的であり、欧米は、コロナで働く
ことができなくなった人たちに生活資金を直接に供給する目的であ
り、日本とは目的が違っていた。

しかし、欧米では、国民にバラまいたお金で、国民は株式投資や住
宅投資、消費に費やしたことで、株バブルと物資不足によるインフ
レが起きてしまった。

日本とは違い、米国や欧州は移民がいるので人口が増加している。
そのような状況で、おカネをばらまいたことで、インフレになって
しまったのである。MMT理論では、インフレが起きないが、もし
万一インフレになったら、利上げをするということであり、その方
向になったのだ。

米国のインフレを受けて、MMT理論通り、FRBとバイデン大統領は
、インフレ退治を優先させて、テーパリングや利上げに走っている
。このため、米国金利上昇で、日本は超円安になり、輸入物価が上
がり、インフレになっていくようだ。

しかし、日銀の黒田総裁は、超円安になりインフレになっても利上
げを考えないとした。そして、すでに日銀はテーパリングをしてい
るが、それを公表すると金利上昇になるので、公表もしない。金利
ゼロ維持を目的としているからである。

国債発行高がGDPの200%以上もあり、金利上昇が怖いのである。それ
は正しいし、もし、金利上昇したら、国債費の増額が大変なことに
なるので、国家財政の破綻になる可能性もあるし、破綻しなくとも
、大幅な財政縮小をしないといけなくなる。年金の大幅なカットな
ど、日本国民は大変、貧しくなることは確かであるので、そのよう
な事態を避けるしかない。

そして、米FRBが金融引き締めをすると、景気後退になる。これを避
けるために、200兆円のインフラ投資を行うとしたが。この予算に対
して、民主党マンチン上院議員の反対で議会を通らない可能性が出
てきた。

このインフラ投資と利上げは、アクセルとブレーキを同時に踏むこ
とであり、マンチン議員でなくても、おかしいことである。

その上、現在、景気拡大を冷やすための利下げやテーパリングでは
なく、単にインフレが起こったことでの金融引き締めであり、短期
金利は上昇するが、金利上昇による株価下落を見越して、資金を株
から長期国債に移していることで、長期金利は下落するという結果
になっている。

このため、今後、イールドカーブがフラット化する。このフラット
化が起きると株価暴落が起き、景気後退が本格化する。そうすると
、FRBは、株価を維持するために、量的緩和を再開するか、そのまま
、利上げをしてインフレ退治を優先するかの岐路になる。

そして、米国景気が落ちると、世界経済もそれに引きずられて、落
ちていくことになる。日本の景気も当然、落ちていく。インフレ下
の景気後退で、スタグフレーションに世界は襲われる。

世界的な景気後退になると、人は生活必需品を優先的に買い、ハイ
テク製品を買わなくなる。これにより、米国のハイテク株の暴落に
もなる。すでに、今赤字やPER100倍以上のハイテク株は下落してい
るが、大幅な黒字ハイテク企業のアップル、メタ、テスラ、マイク
ロソフト、エヌビディアなどの株価も落ちていくことになる。

米国の景気上昇は、株価の上昇で起きているので、そこがコケると
景気の腰折れになる。非常に大きな景気後退になるのだ。

そのような世界的な景気後退になると、米国は共和党右派と民主党
左派に分断しているので、この分断が深まり、米国国内紛争に発展
することになる。

これを避けるためには国論を統一できるテーマが必要になる。それ
が中国パッシングである。中国を敵として、米国民の世論を一致さ
せるしかないことになる。

景気後退時、米国はすぐに世論を海外の敵に向けて、政権維持を図
る習性がある。今までは、それが成功してきた。日本もこれでやら
れた。

このため、いやな米中対決になってしまう可能性があるとみる。

中国もITハイテク企業の規制強化と課税強化で、経済規模の拡
大ができなくなっている。その上に、富裕層が投資している不動
産価格の引き下げや不動産税を取るなどで、富裕層の投資資金に
課税しようとしている。このため、富裕層は、中国国内での投資
を諦めて、海外への投資を増やすことになる。

その資金が日本の不動産にも来ているので、不動産価格が上昇して
いる。

中国の人口も減少してくるので、景気は悪くなり、習近平国家主席
への圧力が大きくなる。このため、中国も海外へ国民の目を向けさ
せようとする。このため、米国が中国を敵とするなら、中国も米国
を敵とした対応になることが確実である。日本とはそこが違う所で
戦争に向かうことになる。

しかし、米中対立が戦争になると人類が滅びる可能性もあり、対決
を中和させる必要になる。

まず考えられるのが、代理戦争である。ロシアのウクライナ侵略や
イスラエルのイラン空爆などの米中戦争にしない代わりに、それに
代わる戦争をして、米中が自国民の目を海外に向けさせる可能性が
ある。

このため、米中直接対決にしないために、米中の首脳会談が行われ
、限定戦争を周辺地域で行おうとする。その戦争を請け負うのが、
ロシアであり、イスラエルになる可能性がある。

地域紛争というには大きな戦争になるはずで、イスラエルが戦争を
起こすと、中東地域の全体を巻き込んだ大戦争になる。ロシアがウ
クライナに侵攻すると、こちらも欧州を巻き込んだ大戦争になる。

もし、それができないと、米国は分断が極まり、分裂することも考
えられるし、中国は習近平失脚ということにもなりえる。戦争に向
かうのか、革命や分裂に向かうのか、分からないが、何かが起きる
と思われる。しかし、そこまで行くのは、来年ではないとみる。

さあ、どうなりますか?



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