6209.日本衰退の原因と対策



日本の衰退の5つ原因とその対策を検討しよう。   津田より

0.米国および世界の状況
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年11月8日は36,432ドルの最高値更新で、12月3日は34,580ドル
となり、6日は646ドル高の35,227ドル、7日は492ドル高の35,719ド
ル、8日は35ドル高の35,754ドル、9日は0ドル高の35,754ドル、10日
は、216ドル高の35,970ドル。

NYダウは、オミクロン株が重症化しないことで、リスクオンに戻っ
てきた。そして、NASDAQも、15600ポイントまで戻してきた。12月10
日発表の11月CPIも6.8%と予想値からあまり違わないと安心感から買
い直されたようだ。

パウエルFRBの金利上昇懸念も、織り込み済みとなったようである。
次の焦点は12月16日のFOMCの結果発表に移ることになる。しかし、
個人投資家の買いが優勢で、相場の強気が変わらないようである。

もう1つ、中国・恒大集団のデフォルトが起きて、中国政府がその
収拾に動き始めたことで、株価への影響はほとんどなかったようで
ある。

中国人民銀行は、準備預金率の引き下げを行い、かつ不動産業界へ
の融資条件を緩和して、急激な不動産バブル崩壊を止める方向に、
政策をシフトしたことが大きい。

もう1つ、ウクライナ問題が浮上している。ロシア軍は、ウクライ
ナ国境に17万人も集めて、いつウクライナに侵略するかをうかがっ
ている。

ロシアはウクライナも同じスラブ系民族であり、スラブ系民族は統
合するべきであると主張している。中国が台湾も不可分の領土で、
同じ漢民族は統合するべきという論理と同じ感じになっている。こ
の点で中露は一致して、欧米との闘争に勝とうとしているのだ。

このため、米バイデン大統領は、ロシアのプーチン大統領と電話会
議をしたが、もし、ロシア軍がウクライナ侵攻をしたら、国際為替
交換システム(SWIFT)から追い出すと宣言した。

ロシアの条件は、ウクライナをNATOに加盟させないことが侵攻しな
い条件で、もう1つが、ロシアの周辺にミサイルを置くなという。

米国もインド太平洋に軍の主力を置いているので、欧州での戦争を
望んでいない。もし、戦争になると、二正面作戦となり、米国の国
力でも無理がある。

よって、戦争にはしないことで妥協するしかない。ウクライナのNATO
加盟はさせないことになるとみる。ロシアもSWIFTから追い出
させると、外貨を稼げないので経済的な困窮になり出来ない。ロシ
アも戦争にはしないであろう。

このため、11日からG7外相会合が開かれ、覇権主義を強め人権侵
害をする中国とロシアへの対応について話し合う。最悪の場合、ロ
シアのウクライナ侵攻や中国による台湾有事もあり得るので、G7
が一致して行動を取れるようにするようだ。

どちらにしても、スタグフレーションに世界が陥ると、次に待つの
は戦争の可能性がある。徐々にいやな雰囲気が漂い始めている。

1.日本の状況
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、9月
14日は30,670円で31年ぶりの高値になり、12月3日は28,029円で、
6日は102円安の27,927円、7日は528円高の28,455円、8日は405円高
の28,860円、9日は135円安の28,725円、10日は287円安の28,437円。

重症化しないということで、オミクロン株ショックが癒えて上昇し
たが、29000円に壁ができているようで、その手前で押し戻される結
果になっている。

海外投資家は12月1週で現先合計で8273億円の売越であり、その前の
週も現先合計で6539億円の売越で、2週で1兆4812億円も売越ている。
2021年の年間でも2兆8060億円の売越で、日本市場から撤退ムードで
ある。

しかし、日本企業の業績は、円安もあり好調で、日本株が値下がり
したので、配当利回りも上昇している。今後、円安が進み、インフ
レになると預金金利はゼロのままであるが、株で持つと4%台以上の
配当が得られることになり、日本人の投資が増えると期待できる。

高齢者の人たちは、1989年のバブル期に買ったことで損をしたため
、株式投資に消極的であるが、若い層の人たちは、預金より株の方
が資産防衛上、良いことになる。このため、海外投資家が売る一方
、個人投資家が、安い株価で買っている構図になっている。

その上に海外投資家の空売りが膨らんでいるので、海外投資家の買
戻しが必要になる時期が来る。その時から日本株の上昇が始まる。
海外投資家は、円安になると日本企業の業績が上がることを読んで
いないことに起因する。

2.日本衰退、5つの原因
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本衰退は、根源的な問題を解決しないで放置したことが大きい。
これは、保守派と革新派の政策で引き起こしている。

1つ目は、人口減少であり、これへの対応として、家族制度の改革
で、女性の婚外出産の緩和や育児補助支援をしなかったことである
し、もう1つの解決である積極的な移民政策もしなかったことだ。

この対応策を阻止したのが保守系の人たちであり、日本を衰退させ
た一番の原因を作った人たちである。根源的な原因を除去できなか
ったことで、ドンドン問題が膨らんでいった。

これが原因で、団塊ジュニアの結婚適齢期の女性たちが子供産まな
かったことで、日本の衰退が確定的になった。高齢人口比率が上が
り、その分年金財源支出は増え、かつ生産人口が減ることになった。

このため、高齢者の年金を減らし、60歳以下の人たちの社会保険
料や税金などが増加して、手取りを減らし、その分、消費が減るこ
となった。

2つ目は、消費が減ったことで、GDP縮減になる所、財政出動して、
GDP縮減の痛みを軽減したが、抜本的な人口減少への対策をしなかっ
たことで、赤字国債の発行が継続的かつ増加傾向になり、日銀の金
融政策で、量的緩和を止めることや金利上昇ができなくなってしま
ったことである。

金利ゼロのままのために、円安になりインフレとなった。これを推
進したのも保守系の人たちである。MMT理論とかの似非米経済学
で、国民をだまし、タダ飯が食えると言ったが、それは政治的な詐
欺である。

3つ目は、1990年から2020年の長きにわたり、円高になり日本企業
は競争力をなくして、競争力維持のために工場を海外に移転したこ
とである。米国の日本叩きもあるが、結果的に日本は衰退した。

日本企業を敵視して、企業を日本から追い出したのが革新派の人た
ちである。不当な企業利益を分配しろと言うが、企業は日本から出
て、世界標準で経営するしかなくなったのである。

4つ目は、IT化の遅れであり、イノベーションがなかったことで、
労働生産性の向上ができずに、賃金が上げることができなかった。

その原因は、スマホの導入が遅れたことである。ガラ携の普及率が
高くて、それを駆逐できなかった。それと、若者のチャレンジでき
る環境が整わずに、AIなどの先端技術が遅れたことも大きい。この
部分は、もう1つ、電気通信技術の日本の基幹研究組織を潰したこ
とが、より大きいとみている。

5つ目は、空想的な平和主義と企業性悪説のために高負担の税金を
と言う野党の政策と、財政出動で将来への展望がない問題先送りの
与党の政策であり、日本の未来が見えないことで、海外投資家も日
本への投資を回収し、日本衰退と見て空売りをしている。

日本の問題を解決しないで先送りの政治で、どんどん衰退したが、
それでも政治家が目を覚まさないで問題を放置するので、今後も日
本は、衰退する状態にある。

問題が次の問題を生み、その複合体が、日本の未来を暗くしている
。現実を見て、問題解決して将来を明るくする政治家がいないこと
が、大きな問題なのである。リアリズムを日本は欠いている。

保守派の人たちは、現実を見ないで保守理念で政治を行い、革新系
の人たちも、空想的な平和主義・企業性悪説で、こちらも現実を見
ていない。両陣営の人たちが現実無視になっていることで、日本の
真の問題を解決できないでいる。

3.日本の抜本的な立直し政策
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2章で5つの日本衰退の原因を見たが、安直な方法では日本は復活
しない。

5つの原因の解決が必要なのである。一番根源にあるのが、人口減
少であり、移民政策を積極的に推進ですることであるが、安全保障
上の問題を考えて、推進することである。

日本は民主主義国家のまま、国民の政治的な自由を保障する国家で
あり続けたいというのは、国民の総意であろう。このため、中国の
ような独裁国の下部にはなりたくないはず。

このため、日本は、空想的な平和主義を取れない。この主義を推し
進めたのは、戦争経験のある80歳以上であり、その影響を受けたの
は60歳までであるが、この人たちの数は、今後大きく減っていくこ
とになる。

若い人たちは、実効的な国防と経済活性化を望んでいる。このため
、立憲民主党は、その党勢が徐々に衰退するとみていたが、泉代表
に変わり、若者の望む政策にシフトできるかでしょうね。

もし、変われば、近々に憲法が変わることになる。やっと、現実に
即した憲法になる。この部分は現実的になり、左右の分断がなくな
る。やっと、リアリズム政治への1歩を進めることになる。

しかし、公明党支援組織の創価学会婦人部は、まだ高齢者が権力を
握るために、空想的平和主義のままである。このため、公明党と自
民党で連立が組めるのであろうかと危惧する。敵地攻撃などの与党
の政策で違いが出てきている。

問題がそれたが、人口減少対応策として、家族制度の変更を議論し
ているが、すでに遅い。現時点で出産可能な女性の数が少なくて、
短期的には人口減少問題を解決できない。短期的な問題解決には、
積極的な移民政策をするしかない。

この問題を抜きに、日本の復活はできない。逆に、これを解決する
と、全ての問題が解決に向かう。

移民問題では、日本文化との共通性が高い方が、同化しやすいし、
日本にも慣れるスピードも違うことになる。

安全保障上問題のある独裁国の中国や親中国以外の東南アジア、ポ
リネシアからの移民が一番、日本との調和性が高い。日本の縄文人
は、ポリネシア民族と台湾の高砂族と同根であり、文化的な違いも
少ない。また、東南アジアの民族も多くが中国揚子江中流地域から
追いやられた民族であり、日本の弥生人と同根なのである。

中でも一番、日本人に近いのが韓国人である。日本企業は積極的に
韓国人を採用しているのも、文化的に近く、企業文化にもすぐに、
溶け込めるからであろう。言葉も近い。

もう1つが、優秀な研究者たちを世界中から集めることである。こ
のためには、研究支援・企業支援の制度を作り、世界で募集をかけ
ることである。有能な人が次のイノベーションを生み出すことにな
る。

今までの政策は移民受け入れをしない方向での労働力補充政策であ
るが、今後は移民を認めるが、条件を厳しくして、日本企業に対し
ても、日本人社員と同等な労働条件を要求するべきである。そして
、日本の海外研修制度は、奴隷制度などと言われないようにするべ
きだ。

これができると、日本の問題の多くが解決に向かうことになる。

2つ目のインフレであるが、問題はインフレでも賃金が上げらない
ことであり、円安でインフレになったら、政治でできることは、最
低賃金を上げていくだけである。金利を上げることはできないが、
最低賃金は上げることはできる。

移民政策で、人口減少から人口増加になったら、消費が増えてきて
労働賃金を上げることができるので、実質的に国債発行量の減額が
できることになる。10年もすれば、国債発行額がGDPの半分以下
になることも可能である。

3つ目の円高は、現時点で円安になり、日本企業の工場は、積極的
移民政策と人口増加になれば、日本に回帰することになる。逆に、
今まで数回述べてきたように当面、日本での円安対策を考えるべき
時である。

4つ目のIT化とイノベーションは、基幹研究組織を作るしかない。
これも数回前に議論したことであり、それを見てほしい。半公的
企業を作り、その企業の研究を国が支援する体制を取るしかない。

実質的に今、トヨタがその役割を持っている。蓄電池研究などで日
本をリードしている。半導体やIT分野、通信分野、再生可能エネル
ギー分野でも、これと同じ役割の会社が必要である。

5つ目の現実に即した政治ができるかであるが、立憲民主党が現実
的な政策へ変化すれば、大きく前進することになるとみている。

そうすれば、日本の夜明けは近いかもしれない。

しかし、日本のリーダーたちが、夜明けでも目を覚まさないと、日
本は眠りについたままで、衰退の坂を転げ落ちていくことになる。

さあ、どうなりますか?



コラム目次に戻る
トップページに戻る