6208.日本復活には超円安が必要



米国は早期の利上げになり、日本は量的緩和継続で超円安になるこ
とが確定的になっている。このため、海外投資家は日本株から撤退
している。この将来を検討しよう。   津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年11月8日は36,432ドルの最高値更新で、26日は34,899ドルとな
り、29日は236ドル安の35,135ドル、30日は652ドル安の34,483ドル
、12月1日は461ドル安の34,022ドル、2日は617ドル高の34,639ドル
、3日は59ドル安の34,580ドル。

NYダウは、オミクロン株ショックとパウエルショックで大幅な下落
が継続して34,000ドル台まで下落した。そして、NASDAQも、11月22
日の16200ポイントから15000ポイントすれすれまで約1200ポイント
も下落した。

南アからの情報では、オミクロン株の毒性は低く、しかし感染力は
強いという。ウィルスの特性として、そのような方向に進化するよ
うであるので、オミクロン株ショックは終わり、徐々に単なる風邪
の症状になっていくのであろう。

このため、本格的に、パウエルショックの金利上昇懸念に、米株式
市場は向き会うことになる。それを見越して、米企業トップ達が、
自社の株式を大量に売っている。

マイクロソフトのナデラCEOは、持ち株の半分83万株を11月22日と23
日に売っている。そして11月26日に、オミクロン株の情報が出た。

テスラのマスクCEOも大量のテスラ株を売り抜けている。アマゾンの
ベゾスCEOも200万株の自社株を売って、66億ドルを手にしているし、
FB(メタ)のザッカーバーグCEOも自社株を710万株を売っている。

これらは、FRBの金融政策を見て、株価は下落するとみているからで
ある。それは、「金利が上がれば、投資家は株式を手放すべきだ」
とグリーンスパン元FRB議長のご託宣があるからだ。

そして、有名なマーク・ファーバー氏も「インフレは(FRBが宣言す
るように)「一過性のもの」ではない。スタグフレーションにはな
らないだろう。もっとひどいことになるだろう。物価が上昇し、ほ
とんどの人の生活水準が落ち込むことになるだろう」と警告してい
る。

そして、12月3日に雇用統計が発表されたが、米新規雇用者数は11月
21万人増と縮小したが、失業率は4.2%と前月4.6%から低下し、労
働参加率は61.8%に小幅上昇となり、この値では、金融引き締めの
ペースを早めるFRBの方針に変更を与えないとみられるたことで、
NASDAQは、大幅な295.85ポイント安になり、値幅規制がないために
、1日でドキュサインのように42%も下落した銘柄もある。

ハイテク株投資のアークファンドの解約売りが加速してくるようで
あり、当分NASDAQの下げが続きそうである。その意味では調整相場
というかバブル崩壊というかの猛烈な下げである。FRBは、中央銀行
バブルを崩壊させずに、徐々に下げて正常化できるのかの正念場に
なっている。

もし、バブル崩壊になると、マーク・ファーバーの警告どおりにな
るからであり、米国の没落が決定的になるからだ。そして、株価暴
落になったら、ハイ・インフレでも、本来できないはずの金融緩和
を再度することになる。その結果は、ひどいことからスタグフレー
ションに陥ることになる。どちらにしても、米国の没落が目に見え
るようになるはずだ。

この予測の上で、12月16日にFOMCで、テーパニング開始が宣言され
るのであろうから、その後を注視するべき時である。

テーパリング終了は2022年4月で、利上げ開始は2022年6月とゴール
ドマンは予測しているが、中央銀行バブル解消の長いトンネルが続
くことになるようだ。

そして、日米の金利差から円安に向かうことになる。120円台まで行
く可能性もある。ドルベースでの日経平均株価も下がり、このため
、海外投資家は、日本株売りに走っている。11月で1兆円以上の資金
流出になっている。これ自体は、非常に合意的な行動ではある。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、9月
14日は30,670円で31年ぶりの高値になり、11月26日は28,751円で、
29日は467円安の28,283円、30日は462円安の27,821円、12月1日は
113円高の27,935円、2日は182円安の27,753円、3日は276円高の
28,029円。

オミクロン株登場で、市場の状況が一変し、株価は27,700円まで下
落し、ドル円も112円台まで円高に振れた。

しかし、オミクロン株ショックが終わると、次には米国の金利上昇
懸念で円安になり、海外投資家はドルベースのN225が下落するので
、売りが加速した。海外投資家の売り残が相当に積み上がっている
が、円安方向を海外投資家は見ているからだ。

このため、日本株は売られて、株価は低迷している。日本株の下落
は米国の金利上昇懸念であり、どこまで続くのか見えない状況であ
るが、海外投資家の空売りの買戻しが、いつか始まるので、その時
から日本株の上昇が始まる。海外投資家は、米国の没落で、ある時
点で超円安になった日本市場にシフトしてくる可能性がある。

ということで、日本はコロナが収まり、経済の復活が叫ばれている
が、海外投資家の要因で株価が左右される状態である。

それと、53兆円の岸田政権の経済対策も何を目指すのか方向性がな
く、景気浮揚効果はあまりないので、株価上昇の期待が持てない。
このため、政治にも期待ができない状態である。残すは、超円安に
して、日本企業の工場回帰ぐらいしか、景気回復の手段がない。

それと、オミクロン株対応の3回目のワクチン接種であるが、東京
23区の区長がワクチン供給のスケジュールをハッキリしてもらわな
いと、6ケ月後の3回目接種を住民にアナウンスできないと表明した。

どうも政府とファイザー社の追加供給の契約ができていないために
、ある時期からワクチン不足が起るようである。前回交渉した英語
力もあり、米国にコネのある河野さんを再度、ワクチン担当相にす
る時が来たような気がする。

政府の実行力を上げないと、国民からそっぽを向かれることになる
。荻生田経産相のような実行力のある政治家が、政権内に少ないこ
とが岸田政権の問題点となってきたように感じる。

現時点、岸田政権の得点は、早期に入国制限した水際対策だけであ
る。これは早かった。この場合は拙速の方が良い。国交省航空局が
出した新規予約停止の勧告を取り下げたが、問題点は後に修正すれ
ばよいので、行動を早くするべきである。オミクロン株を日本に入
れない様に努力した方が良い。

2.日本再生戦略:超円安で始まる日本復活
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米金利上昇により超円安になる第3の敗戦が迫っている。1回目は
太平洋戦争に負けた時であり、2回目はバブル崩壊とクリントン政
権下での日本バッシングと日本企業の日本離れであり、今回は3回
目の敗戦になる。

2回目の敗戦からの復活のために、工業の衰退と引き換えに観光業
を活性化してインバウンドで生き延びてきたが、コロナ禍でインバ
ウンドが壊滅して、日本は瀕死の重症状態になって、貧困化が急激
に拡大している。米国金利上昇でも日本は量的緩和を止めることが
できない。

このため、日米の金利差から超円安になり、海外からの輸入品物価
が急騰して、日本国民の生活レベルは落ちていくことになる。敗戦
必至の状態だ。

貧富の差が拡大したことで、富のサイドにいる政治家や大企業の社
員はわからないだけである。十分な教育が受けられない人が多く存
在している。日本企業も日本市場だけでは生き残れないと思って、
日本離れを加速している。

トルコのエルドアン大統領が、世界が利上げに向かっているのに、
利下げを主導して、トルコリラ安が半端なく、1トルコリラ=8円ま
で下落した。20年前には1000円であったことを考えると、隔世の感
がある。このため、トルコからの輸出は30%以上伸びている。しか
し、石油を輸入に頼っているので、輸入も多くなって、国民はイン
フレで大変であるが、企業は売り上げを伸ばしている。

日本も、これと同じ現象が起きることになる。世界の利上げについ
ていけなく、超円安になるからだ。韓国は利上げをしたが、ウォン
は安い。これはマイナス金利の短期日本国債を買うからである。為
替介入を頻繁に実施して、ウォン安を獲得している。米国市場で日
本企業との競争に勝つためである。

これと同じようにアジアの中央銀行は、円高を狙った円買いを行っ
ている。為替操作だ。このため、円は実力以上の高い通貨になって
、輸出ができずに、日本企業は海外での工場建設を急ぎ、日本離れ
になっている。それを海外の国は狙っているからだ。

しかし、この状況を変えないと、日本は没落してしまうことになる。
短期国債のマイナス幅を上げて、長期国債の金利をゼロにして、円
安環境を作るしかない。超円安にするしかない。

為替操作ができないと財務省は思っているが、米ドル以外の通貨に
対しては、為替操作はできるはずで、韓国や東南アジアや中国の通
貨に対して、円買い介入をするなら、それと相当額分を買い入れれ
ばよいのである。そうすれば、為替介入を相殺できるからである。

そして、超円安にしてでも、日本企業の海外工場を再度、日本に戻
すことが最初にするべきことである。この政策後、次に企業の技術
開発資金援助を行い、特に戦略的な研究に資金を支援するべきであ
る。

その技術開発が成功時にロイヤリティを国が受け取り、基金を継続
できる体制が必要である。この時、日本に来る企業にも基金を使え
るようにして、海外の優秀な研究者・経営者も招き入れることであ
る。

日本は敗戦を意識しないと、立ち直れないことになっている。この
30年以上、日本は中途半端な政策を行い、ことごとく日本を衰退に
向かわせた。

皆が敗戦を意識して意識改革を行い、東南アジア諸国、中国、韓国
を助けるのではなく、強い競争相手と意識して、対応処置を打つこ
とも辞さないような政策で、出直しをすることしか、日本を救えな
いような気がする。

日本は、この20年以上、新しい発明がないからである。ここまで来
ると、発明やイノベーションに期待しないで、今の技術を安価に作
ることで、足場を固める必要があるのだ。

3.日本自立戦略:超円安に備える必要がある
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2章の日本復活のためには、超円安に備えることが重要になる。そ
のためには、日本の経済政策を1960年代から1980年代に戻すことで
ある。日本国内で必要な一揃えの産業を用意して、輸入に頼らない
ことである。

国内産業だけで、国民を養えることだ。自給自足経済にすることで
ある。日本は鉱物資源もあり、なんでも揃えられる環境になってい
る。今までは、鉱物資源も日本で採取するより海外から輸入した方
が安いので、そうしてきたのである。

鉱物資源を得る方法は、昔の鉱山を復活するのではなく、都市鉱山
開発をすることである。多くの資源を海外から持ってきて、それが
都市に充満している。

この資源を再度、使えば良いだけである。リサイクル、リユース、
リペアである。すでに、その準備が整っている。リユースとしては
メルカリ、ヤフオク、ハードオフ、セカンドストリート、トレジャ
ーファクトりーなどの企業群がある。

リユースの裏にはリペアがある。着物でもリユース前に洗濯は勿論
、染み抜きなどを行っている。カメラリユースでも修理をしている
。ラジカセが流行りであるが、それも修理して再販売しているよう
である。

そして、リサイクルは、どんどん広がっている。化学繊維の完全リ
サイクル、ペットボトルの完全リサイクル、石油の完全リサイクル
などと広がってきている。

この行きつく先は、日本国内にある資源の完全リサイクルで、輸入
を必要としないことになる。

このリユース・リサイクルが木材の再利用などに広がり、ゴミの量
が少なくなると見ている。すべてをリユース・リサイクルできれば
、ゴミはなくなる。

もう1つ、急速な経済成長をあきらめることだ。技術的な進歩は必
要であるが、全体の総量は変わらないことで、日本は定常社会にな
る。このため、リユース・リサイクルだけで経済を回せるようにす
ることである。しかも、生活費は安くできる。リユース品は新規購
入の半分程度で済む。貧困化した日本人でもある程度の生活ができ
るのだ。

一番問題なのが食糧とエネルギーであるが、これらは前回、前々回
にお話ししたので、そちらを見てほしいが、1960年代の経済政策の
なんでも日本だけで揃う一揃えの産業を構築して、輸入に頼る体制
を駆逐することである。しかし、エンゲル係数は上昇するでしょう
ね。

この理想形である江戸時代に戻ることが、次の日本の理想となり、
他国もそのような産業をその国につくることである。それを日本企
業が、行うことで日本が復活することになるとみている。

SDGsの実践的な取り組みでもあるが、貧しくなる日本には必要なこ
とでもある。ということで、このサイトで長いこと主張していたこ
との完成時期に日本は向かうことになるようだ。

さあ、どうなりますか?



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