6207.日本の貧困化に備える



11月25日、世界的な株価の大幅な下落になったが、日本の貧困化が
益々進んでいく。それにどう対応するのかを検討しよう。津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年11月8日は36,432ドルの最高更新で、19日は35,601ドルで、
22日は17ドル高の35,619ドル、23日は194ドル高の35,813ドル、24日
は9ドル安の35,804ドル、26日は905ドル安の34,899ドル。

NYダウは26日大幅な下落で34,000ドル台になった。南アのコロナ変
異種への懸念というが、まだ変異種の性格も分かっていないし、こ
れで世界経済が大混乱になるかどうかわからないのにである。

新聞の見出しでAI投資が、一斉に売りに傾いたとみる。日本市場の
時間から、AIは売り一辺倒であった。金利は下落して、この金利下
落でドル安になり、円が113円と円高になっている。

FOMCでテーパリング開始を発表してから、株価は上下に揺れていた
し、高PERのミーム株の下落が続いていた。株価の見直しが起こり、
GAFA+M以外は、下落や停滞していた。その上に、ヒンデンブルグ・
オーメンも点灯し、VIXも高かった。

米インフレ率が6%であるが、ガソリン価格は51%、牛肉の価格も20%
以上も上昇していて、生活実感的にはインフレ率は15%以上のようで
あり、このため、FRBも利上げを急ぐと予想されていた。この利上げ
観測で小型株のラッセル2000は、大幅な下落になっていた。しかし
、GAFA+Mや半導体株は、値上がりして指数的には、あまり下がって
いなかっただけである。

そして、インフレ対策として石油備蓄放出を米国をはじめ消費国は
行ったが、米国はシェールで世界最大の産油国である。米国はシェ
ール石油の増産をすればよいだけであるのに、増産のための投資を
抑えていて、備蓄石油の放出は何かが違うような気がする。それも
日本や韓国、インド、中国などの石油の出ない純粋消費国にも放出
させるのは、おかしい。

まあ、しかし、南アの変異種発生という情報で、石油需要が減ると
の観測で、原油価格が下落している。

今後の景気見通しが、スタグフレーションになるとあまり良くない
状態で、その懸念の上に南アの変異種発生という情報が出て、それ
をトリガーに一斉売りに傾いたとみるべきである。

下押しする要素があったが、楽観的な見方を変えることをしなかっ
ただけで、本当はFRBのテーパリング開始で下落していてもおかしく
なかった。

今は、南アの変異種が枯れ尾花であることを期待したいが、どちら
にしても、今後の経済見通しはスタグフレーションになる可能性を
世界の投資家が意識し始めたようだ。楽観的な見方の修正だ。

そして、長期金利は低下して、テーパリングの速度を上げるとか、
利上げを早めるという観測は巻き戻されたようだ。

もう1つ、気になることが出てきた。バストバイの決算報告で、強
盗や万引きが多数発生して、大きな被害になっているという。米国
全体で年間被害額が450億ドルで、1日1億2300万ドルにもなり、ニュ
ーヨークやロサンゼルスなどでは、強盗が集団で高級店に押しかけ
るという。そして、住人も昼でも怖くて、道も歩けないようだ。

米国の治安が壊滅的になって、強盗が跋扈した状態になっているよ
うである。途上国と同様な治安になってきた。

BLM運動で、都市の警察官を減らしたことで、治安が保てないことに
なっている。このBLM運動を推したカラマ・ハリス副大統領の人気も
なくなっている。この影響でバイデン大統領の支持率も下がり、中
間選挙が心配になっている。

一方、トランプ氏は元気である。3年後の大統領選挙に勝つ可能性が
出てきたようである。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、9月
14日は30,670円で31年ぶりの高値になり、11月19日は29,745円で、
22日は28円高の29,774円、24日は471円安の29,302円、25日は196円
高の29,499円、26日は747円安の28,751円。

26日の南アのコロナ変異株登場で、市場の状況が一変した。株価は
28,000円台まで下落し、ドル円も円安で115円から118円に向かうと
みられていたが、一変して、円高方向になり113円台になっている。

完全にリスクオフの相場になっている。このため、スイスフランと
円が逃避通貨として買われる構図になっている。

日本はコロナが収まり、経済の復活が叫ばれているが、海外要因で
株価が左右される状態である。米国はコロナによる死者数が去年よ
り多く、ドイツでも1日の新規感染者数が4万人にもなっている。そ
れでも経済活動の正常化をしている。このため、南アの変異種に、
神経を尖らせるのはわかる。

しかし、日本は空港や港の防疫体制を一層強化して、南アの変異株
の侵入を防ぐだけである。南ア周辺からの渡航を中止させるなどの
処置が必要である。

しかし、日本国内は正常化するべきであり、経済活動を正常化して
、資金を回さないと、今後、コロナの特別無利子融資を受けた企業
の大量倒産になる可能性がある。

海外投資家が多いので、株安になるのは、仕方がないが、経済活動
の正常化を、早くすることである。そうすれば、日本株の下落は、
大いなる買い場のような気がする。日銀も2%以上落ちれば、買うし
かない。

懸念材料としては、林外相の早期の中国訪問で、北京オリンピック
の外交的ボイコットで米英豪などが一致して行動しているときであ
り、あまりにも国際情勢を見ていないことになる。これにより、日
本は、韓国と同じような米国と中国の等距離外交になったと思われ
かねない。日米基軸という自民党の党是はどうしたのであろう。

岸田政権は、このような外交をすると、国際的な孤立に日本を持っ
ていくことになる。海外投資家による日本売りになる可能性もある。

このため、そうなる前に、岸田首相辞任が必要になる。勿論、立憲
民主などの野党ではなく、自民党内部での交代か維新の会の政権入
りで外相を維新がとるなどが必要になる。

2.日本再生戦略:公益資本主義も問題がある
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岸田首相は、来春春闘で、3%賃上げ要請するという。しかし、企業
は生産性を高めないと、給与を上げられない。

生産性を上げるには、工場の自動化を思い起こすが、一番必要なの
が、製品価値を向上させることで、今、日本企業に必要なのが、新
しい製品、新しい価値の提供である。

この部分の日本政府の支援がないのに、企業に給与を上げろと指示
するだけである。

大企業は、日米で株を上場しているし、売り上げも日本より海外の
方が多い。このため、日本の労働者だけの給与を上げることはでき
ない。利益の貢献が大きいのは、日本ではなく、海外である。日本
は価格を上げられないが、海外は価格を上げられるので、海外の利
益の方が大きくなる。

このため、日本企業ではあるが、大企業は世界標準で物事を考えな
いといけないことになっている。

それなのに、公益資本主義と宣うようである。企業の儲けを少なく
して、社会や従業員に分配しろという。これも正しいが、それだけ
では企業は動かない。

岸田首相は、公益資本主義という新しい価値を創造しようとしてい
るが、実質的に企業トップが求める物を提供していない。日本は、
なぜ台湾のTSMCのような企業ができないかというと、政府が企業支
援に後ろ向きだからである。

事実、企業の多くが、有効な新製品がなく、今後の利益が安定して
いないことを理由に、給与の引き上げを躊躇している。今後の安定
的な利益を得るには、技術開発をして新製品・新しい価値を作るし
かない。税金の免除ではなく、政府の開発支援が必要なのである。

その部分の政府の政策が欠落した状態で、企業に給与の引き上げを
要求しても、企業は聞けないのである。

この欠如が、日本株の上がらない理由でもあるので、二重の意味で
日本のリーダーは、またしても、経済学者・経済理論の選択を間違
えてしまったようである。そのため、日本の衰退が加速していくこ
とになる。

3.日本自立戦略:超円安に備える必要がある
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そして、日本の衰退が加速するので、超円安になり、海外産品の価
格が上がり、国内産品の価格の方が安くなる。前回も述べたが、そ
の準備を日本はしないといけないことになっている。まだ、日本の
リーダーは、新自由主義の次は公益資本主義という過ちを犯して、
眼を覚ましていない。

このため、日本が貧困化したときの備えをするしかない。その中心
で取り組むこととしては、石油と食糧、木材である。一番大きいの
は石油であるが、再生可能エネルギーへの転換が必要であり、それ
だけでは足りないので、トリウム原子力発電も必要と述べた。

今回は食糧であるが、高エネルギーのコメが日本にはある。このコ
メを品種改良して、多収穫種を作り、それを米粉にして、パンや餅
などにして、小麦の輸入を少なくするしかない。ここは大規模農業
をして、コメの価格を下げてほしい。

もう1つが、豚や牛の飼料であるが、日本国内の土地で飼料を作る
余裕はない。このため、イノシシや鹿、熊などのジビエを積極的に
食糧として活用することだ。今後、超円安になると、牛肉も豚肉も
高級品化する。

ということで、一般大衆の食べ物としてのジビエであり、1960年代
以前に逆戻りになる。そのため、マタギが必要になる。ジビエは飼
料がいらないので、安い肉が提供可能である。この流通網整備と処
理施設が必要になるが、地域分散になる。その地域で取れたジビエ
を全国に送るしかない。この整備を今からやることである。ここに
は、多くの雇用ができる。

そして、マタギの養成学校も必要になる。銃の扱いも必要になり、
訓練が必要である。このため、今後一大産業となるはずだ。

もう1つが、温暖化で、日本自体が徐々に亜熱帯化してくるので、
バナナやパイナップル、マンゴや亜熱帯の野菜なども日本国内で作
れるようになる。温帯の果実や野菜は北海道や東北で作り、関西以
南の地域では、亜熱帯系の果実や野菜に作付けを変えていくことで
ある。

そして、一番早く必要になるのが、木材の自給であろう。日本の木
材は戦後まもなく植えたので、ちょうど、今が切り時である。円安
で海外産の木材は高値になり、国内産木材を使うしかなくなる。そ
の木材を効率的に提供する施設の復活が必要になる。

というように、時代が変わり、人口減少で都会に出ていった働き手
をもう一度、地方に呼び戻して、産業整備が必要になっているよう
だ。都市の飲食業より高給と安定性を出して、都市から地方への逆
流を起こす必要になっている。

過疎地域や地方都市は、その準備をしてほしいものである。Uターン
やIターン、Jターンの時代がすぐそこにある。しかし、その時は、
日本が貧困化しているが、それに備えることも必要になっているの
だ。

さあ、どうなりますか?



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