6206.日本の再生戦略



岸田政権で、日本を再生しないと日本の経済的な沈没になる。岸田
政権は、日本再生のグランドデザインをハッキリ国民に示すべきで
ある。その戦略を検討しよう。          津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年11月8日は36,432ドルの最高更新で、12日は36,100ドルとなり
15日は12ドル安の36,087ドル、16日は54ドル高の36,142ドル、17日
は211ドル安の35,931ドル、18日は60ドル安の35,870ドル、19日は
268ドル安の35,601ドル。

NYダウは下落継続したが、長期金利の低下も追い風にハイテク株の
一角が堅調でナスダックは16,057Pと最高値更新している。

NYダウの下落は、ドイツなど欧州でのコロナ感染再拡大を受けて、
景気敏感株が幅広く下落したし、エネルギー需要減少懸念からNY原
油が4%近く下落した。もう1つが、バイデン大統領が同盟国に備蓄
原油の放出を依頼したことが大きい。

消費者物価は前年比6.2%になったが、小売売上高は前月から1.7%増
えたことで、インフレでも消費者の消費マインドは衰えていないよ
うである。個人が持つ金融資産は、特別給付で貯めたことで500兆ド
ルにもなっているからである。

このことで、米鉱工業生産も1.2%上昇で2年半ぶり上昇率になって
いる。景気指標は依然強い。

そして、来週の前半にも、次期FRB議長を決めるとバイデン大統領は
宣言した。ブレナード理事かパウエル現議長かであるが、どちらも
ハト派であるが、ブレナード理事は金融機関の規制強化を言ってい
るので、ブレナード氏が議長になると、米国市場は大きく荒れるこ
とになる。このため、パウエル議長であろうと評論家は予測してい
る。そして、ブレナード氏は副議長というのであるが、どうなりま
すか。

そして、来年にも始まるとさせる利上げ観測で、ドルが独歩高の様
相になっている。しかし、ドル高は輸出には不利になり、ラストベ
ルト地域からはブーイングが聞こえることも予想できる。

来年は、中間選挙の年でもあり、ドル高を見直す必要がある。この
ため、2022年は通貨戦争になると予測されている。

欧州では、ウクライナ国境近くにロシア軍9万が展開して、東ウクラ
イナでの戦闘を始めるのではないかと心配されている。もう1つが
、ベラルーシ経由のパイプラインをルカシェンコ大統領が止めると
欧州を脅しているし、ベラルーシとポーランド国境にクルド系難民
が押し掛けたが、ベラルーシ当局が移民の越境を手助けした可能性
について、ルカシェンコ大統領は「まったくあり得る」と認めた。
これは、独裁者ルカシェンコ大統領が、批判する欧州に嫌がらせを
していることになる。

ドイツとロシアのノルド・ストリーム2がまだ承認されていないこ
とで、ベラルーシ経由のパイプラインが重要であるのとプーチン大
統領がガス供給量を絞ったことで、天然ガス価格の上昇を招いてい
る。

その結果、天然ガスの価格は6倍も上昇しているために、欧州は石油
にシフトするしかない。しかし、原油不足の折、欧州の追加需要を
供給量が追いつかないことになる。このため、1バーレル100ドル超
えもあり得ることになる。

プーチン大統領は、米国の戦略がインド太平洋にシフトしたことで
、EU・NATOとの戦略的な勢力圏を西にシフトしようとして、攻勢を
かけ始めている。この道具が、天然ガスと難民と軍であろう。プー
チン大統領の得意な謀略である。

この問題解決のために、メルケル首相とプーチン大統領が電話会談
を数回行っているが、プーチンはのらりくらりと逃げている。今の
メルケル首相は暫定首相であり、新しい政策ができないことを見越
している。

その上、中露は太平洋でも共同監視で艦艇や航空機を日本の周りに
送り込んで、米国を2正面作戦に追い込み、中露のそれぞれの目標
を達成しようとしている。中露が組んで米国の覇権をつぶしに来た
ようだ。

その一方、中国は米国との交渉上、石炭を使わないようにしたが、
電力不足になり、そのため石炭の大増産をして、石炭火力発電所を
フル稼働させて電力不足を解決した。このため、石炭産出量が過去
最大になった。

これにより、工場生産も正常に戻ったようである。しかし、COP
26の方向とは違うことになっている。石炭火力を手放せないこと
で、COP26でも石炭火力の廃止に抵抗した。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、9月
14日は30,670円で31年ぶりの高値になり、11月12日は29,609円で、
15日は166円高の29,776円、16日は31円高の29,808円、17日は29,688
円、18日は89円安の29,598円、19日は147円高の29,745円。

宮沢税調会長が、金融所得課税を早期に始めると言ったことで、株
価は大きく下げた。このため、2022年度内は実施しないと修正した
ことと、同時に岸田政権が55兆円の補正予算で経済活性化するとい
うので、株価は戻っている。しかし、直近3ケ月のGDPがマイナス0.3%
とコロナからの回復が遅れていることで、3万円の壁が立ちはだか
っている。

黒田日銀総裁は、物価上昇1%になるまでは、政策で手を打たないと
したことで円安が進み、1ドル115円近くまで円が売られた。この115
円を抜けると、次の節は118円になるので、115円を抜けると118円
まで止まらない。しかし、実需の買いが115円にあり、115円を抜け
るのも大変そうである。しかし、結果的に確実にインフレになる。

一方、現在、東京の新規コロナ感染者数が30人以下になり、人出も
多くなってきた。ワクチン接種率も75%以上になり、OECE諸国中でト
ップになっている。徐々に正常化の方向に向かっている。

このため、年内には3万1千円になる可能性もあるとみる。

岸田政権は、中露の攻勢に対して、米国寄りから米中の真ん中に日
本の位置づけをシフトしている様に見える。親中派の林氏を外相に
して、人権非難決議はしないし、北京五輪ボイコットもしないとい
う。

公明党や産業界からの要求に、岸田政権は乗っているが、それは米
国との関係を壊すことになる。しかし、日本経済の現状を見ると、
中国市場を失うことは、日本企業としても大きな損失になるので、
難しいようだ。

2.日本再生戦略:日本のより厳しい貧困化を防止するには
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日本は、長年の金融緩和一辺倒で円安になっているが、国債発行高
が世界一であり、GDPの2倍以上もある。このため、国債費の膨張防
止から金利を上げられない。

このことで、いくらインフレになっても、金融緩和政策で金利をゼ
ロ近くに押しとどめるしかない。このため、今後ともに超円安を覚
悟する必要になっている。

ということで、日本国民は、超円安になることで貧乏になることが
確実視されている。今でも海外に行くと、円の価値が低いことがわ
かるが、今後、より一層、酷くなる方向である。そして、輸入穀物
や食糧価格と原油価格が高騰して、食費や光熱費が増えていく。エ
ンゲル係数も上昇することになる。

しかし、日本が円安で、労働賃金も相対的に下がり、その結果、日
本で工場生産した方が安くなり始めている。サプライチェーンの混
乱も、日本国内で生産・流通している限り、政府と財界が近いので
、問題の解決はしやすいし、非常の時にも対応が他国と比べて楽で
ある。

独裁国ではないので、法律を急に企業に不利に変えることも、そう
簡単にはできない。民主党政権がすぐに倒壊したのは、企業に不利
になる法律を作りそうであり、財界と敵対したからだ。二度と、そ
のような党に日本の統治を任してはいけない。今は維新の会や国民
民主党などは、企業に融和的である。

その上、海外の賃金も上昇して、タイなどは周辺諸国からの出稼ぎ
労働者で工場を稼働させている。それなら、出稼ぎ労働者を日本に
入れて、生産した方が全体的にみると安いことになりそうだ。

そして、将来的にも日本の円は安くなることはあっても、金融政策
を引き締められないので、高くなることはない。円安がドンドン進
んでいくことになる。

結果、国民は貧乏になる方向であるし、生活に余裕がなくなり、飲
食店の利用回数は減るし、旅行もいけないかもしれない。その結果
、そこで働いていた人たちが工場労働者になる。工場の方が付加価
値が高いので、コロナでも辞めさせない可能性が高い。労働力はサ
ービス業から転移してくるとみる。そして、足りない分は海外から
の移民や出稼ぎ労働者になる。

貧乏になる原因は、食糧とエネルギーの海外からの調達である。こ
の輸入を少なくして、なるべく自給自足化する必要になっている。
日本国内生産の食糧を海外産食糧より安くすることである。エネル
ギーも同様に国内産のエネルギーを安くすることである。

というように、日本の経済戦略を大きく変化させる必要になってい
る。国民を飢餓や疫病、戦争から守り、裕福ではないが長い寿命を
全うできる健康で栄養バランスの取れた食事ができる環境を構築す
ることになる。日本の国家目標をレベルダウンさせる必要がある。

日本が貧困化した原因は、米国の真似をして、ベンチャー育成とか
、新自由主義とかで民間だけに産業育成を任したことである。米国
は、多数のビッグな企業ができたが、日本でビッグになったのは、
この10年を見ると、メルカリぐらいであるし、20年で見ても楽天と
ソフトバンク、SBIなど少ない。ZOZOもlineもソフトバンク子会社の
Zホールヂングに買収されている。新興市場に期待したが、期待はず
れであったことは確かである。

日本の失敗の多くが、米国流の経済政策を真似したことであり、30
年前の日本が輝いていた時代には戻らずに、逆に貧困化が進んでし
まった。そろそろ、日本の経済政策自体を輝いていた時代に戻すべ
き時になったようだ。

もう1つ、官邸中心の政治家の経済政策で日本は豊かになれなかっ
た。トップ政治家と取り巻きがまともでないため、米経済学者の似
非経済学を信じてしまった結果で、日本がより一層貧困化したので
ある。

トップ政治家の選択眼が悪いと、日本の衰退を招くということにな
り、まともな経済学者を選ばないといけないという教訓を残した。

私は、金融緩和で生み出した資金を産業育成に使えと主張していた
が、まともに相手にもされなかった。この方法は福井藩主松平春嶽
と横井小楠・由利公正が行った藩復活で用いた方法であるが、生か
されなかった。

生み出した資金をバラまき、その結果が、今の日本の貧困化になっ
たと見ている。

よって、もう1度、まともな経済政策に戻すしかない。そのために
は、多くの優秀な官僚が必要になるし、日本の実情にあった政策が
、今ほど必要な時はない。ベンチャーに期待するのではなく、大企
業の再生と工場の日本回帰を必要としている。

勿論、ベンチャーを否定していないし、今のレベルでベンチャー・
キャピタルは支援すればよい。その上に政府が大企業への新技術導
入や開発などで産業育成をするだけである。国家が指導する体制を
再構築するべきである。

そのための仕組みを考えるときである。これが「新しい資本主義」
の思想だ。貧困化の進んだ日本では、これ以上、貧富の差を広げて
はいけない。皆が同じレベルの豊かさを実現する「共同富裕」が一
番必要なのが日本である。このため、分配も必要になる。しかし、
それより産業育成がより重要であり、給与を上げなくてはいけない。

全体的な構造は、日本の自立が必要で、産業育成の他に、農業改革
とエネルギー自給であり、農業は摘果して、粒を大きくした高級品
も必要であるが、摘果しない汎用品も必要になる。農協などの中間
業者を省き、生産者と消費者が直接か、生産者と小売りが直接の取
引で、安い食糧を買える農業改革と、大規模農業を作るために、休
耕田や耕作放棄地での農業を会社に許可するべきである。

エネルギーは、太陽光や風力発電を積極的に推進して、エネルギー
を輸入に頼らないことである。もう1つがトリウム原子力発電で、
太陽光や風力発電の電気がなくなったときに、すぐに発電して電気
を送り、太陽光や風力がある時は、水素を作り、電気を水素の形で
蓄積しておき、一部を燃料電池車の燃料とすればよいのである。

トリウム原子力発電の実用化までは、高温炉原子力発電でも同じこ
とができるので、今の軽水炉ではなく、電気が必要な時に作り、暇
な時は、水素を作れる原子炉を準備した方が良い。

そして、高温炉やトリウム原子炉ができるまでは、当分軽水炉を動
かすしかない。

日本の貧困を見越して、先を見た準備をする時代になってきたとい
うのが、今の日本の実情である。それに合わせた政策を打つしかな
いはずだ。

さあ、どうなりますか?


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