6204.日本の温暖化防止対策



COP26で石炭火力発電廃止で合意したが、脱炭素では石油が高
騰している。グリーフレーションになり、暮らしが厳しくなる。今
後のよりよい温暖化防止対策を検討しよう。     津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年10月29日は35,819ドルで最高値で、11月1日は94ドル高の
35,913ドル、2日は138ドル高の36,052ドル、3日は104ドル高の36,157
ドル、4日は33ドル安の36,124ドル、5日は203ドル高の36,327ドルで
過去最高更新。

NYダウは、連日の最高値更新である。非常に強気な相場である。10
月雇用統計も非農業部門雇用者数前月比+53.1万人(事前予想+45万人
)、失業率は4.6%に低下(前月4.8%)とよく、米株式・債券市場にゴ
ルディロック(心地よい)状態になったことで、上昇が止まらない。

その上に、ファイザー社製の飲み薬の投与により入院や死亡するリ
スクが約9割減らせたとの臨床試験(治験)データを公表した。緊急
使用許可を得るため米食品医薬品局(FDA)にデータを提出するとい
う。そして、飲み薬のため在宅治療でも対応しやすい。これでコロ
ナはインフルエンザ級の疾病になる期待が高まった。

11月3日のFOMC結果は、テーパリング開始で月150億ドルづつ減らし
ていくとしたが、パウエル議長は、利上げには慎重な見方のために
、市場は安心して株価上昇になった。その結果、長期金利が下がり
、1.6%から1.4%台まで落ちたので、ナスダックも上昇した。

この施策の原因は、インフレで労働賃金の上昇から、長期になると
思われたことで、インフレ抑制にシフトするしかなかったようであ
る。

ということで、月150億ドルづつ減らすことでテーパリングから利上
げに移るのは、2022年6月以降ということになる。

半年先を見て、短期金利は上昇し、長期金利は下がることで、イー
ルドカーブのフラット化が起こっているが、市場は無視である。金
利上昇で為替市場はドル高方向に推移しているが、115円で実需の買
いに押されて戻し、113円と115円の範囲で推移している。

今週、中国の六中全会が始まる。その準備のために習近平国家主席
は、COP26に行けなかった。それを見たバイデン政権は、日本
の岸田首相にCOP26出席を要請して、岸田首相も行くことにな
った。そして、バイデン大統領は、欠席した中国を非難している。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、9月
14日は30,670円で31年ぶりの高値になり、10月29日は28,892円で、
11月1日は754円高の29,647円、2日は126円安の29,520円、4日は273
円高の29,794円、5日は182円安の29,611円。

11月1日の754円高は、自民党絶対多数確保の結果を受けたことによ
る。海外投資家が先週まで実施した先物売りを買い戻したことによ
る。

しかし、米国市場に比べて弱い。2日には反動の下げになり、買い戻
し後の買いが続かない。企業の決算発表は良いので発表翌日は上が
るが、次の日には大幅な下げになるなど、安定感がない。そのため
、ジグザグとした上昇になっている。

その原因は、円安が進み、輸出企業の業績が良くなっていることに
よる。自動車、半導体製造装置などの業績が良い。また、原油の高
騰で石油産業、素材の鉄鋼企業なども良くなっている。海運も強い。

原油価格の高騰により、オイルマネーの行き先が問題になっている。
もし、日本に入ってくると、株価押上げ効果は大きい。

不動産、特に東京都心部のマンション価格の上がり、この原因は中
国富裕層の資金の逃げ場になっているようである。

どうも、日本は1980年代の状態に戻り始めたようだ。円安で東南ア
ジアの工場を日本に戻した方が良いと判断したようだ。

サプライチェーンの確実性、東南アジアでの賃金上昇、労働不足や
コロナ感染症対策の遅れなどから、総合的に見て、日本に工場を戻
して、東南アジアから労働者を日本に送り込んだ方がよいと見始め
たような気がする。

このため、もう一度昔に戻り、輸出立国が一番理にかなっているこ
とになってきた。米国も中国から製品を買うより、日本から買う方
が安全保障上もよいことになる。昔と条件が違う。

2.維新の会の飛躍で日本の政治が変わる
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選挙で、自民党単独で絶対安定多数261議席を確保したことで、当分
安泰である。前回、指摘したように、日本維新の会が飛躍して、公
明党を抜いて41議席を確保して、第3党になり、その動向が今後の日
本政治に大きな影響を与えることになった。

日本維新の会は、大阪市と大阪府の組織統合で、行政経費の大幅な
削減を実施して、大阪府民に絶大な支持を受けている。吉村大阪府
知事のコロナ対策は、他の知事より優れていたと思う。

また、松井党首も行政改革を日本全体に広げていくという。小さな
政府主義である。一方、憲法改正にも前向きであり、国民投票を次
期参議院選挙時に行う方向で議論を深めるという。

しかし、岸田首相は、安倍首相とは違い、憲法改正に前向きではな
い。しかし、維新の会が積極的であり、公明党は後ろ向きである。
自民党はどうするのであろうか?

国民民主党は維新の会と協定を結び、連携して動くようであり、立
憲民主党もやや右にシフトせざるを得ないようである。若い世代は
75歳以上の後期高齢者とは違い、安全保障上で日本の非武装は無理
であることを知っているので、立憲民主党に違和感を抱いている。

その上、連合も立憲民主党を応援しないというので、日本全体がや
や右にシフトして、安全保障の考え方が正常化するようになる。

金融緩和についても、このままでは悪い円安になり、国民の生活は
厳しくなることが見え始めている。

アベノミクスは、金融緩和一本槍でバラまき、金融緩和で得た資金
で産業政策を真剣にやらなかったことと、それも20年という長期に
その状態を続けて、日本企業の国際競争力をドンドン下げてしまっ
た。

このため、大企業の社員でも給与が上がらずに、社会保障費や物価
だけが上がり、大企業社員の人たちの生活でも苦しくなり、下にシ
フトした状態になったのである。

アベノミクスは日本を衰退に導いた元凶であるが、今も懲りずに、
金融緩和を叫んでいる著名評論家がいることに愕然とする。ただ飯
はないことは自明の理であるのに、それがあるがごときにいう人を
信用してはいけない。

金融緩和で得た資金で産業政策こそ必要であるのに、それをないが
しろにした報いが今、来ている。金融緩和が悪いとは言わないが、
ただバラまきに使ったことがいけないのである。それも長期にそれ
をしたら、それは日本は衰退する。

このため、まず、小さな政府にして資金を得て、それで産業育成策
を打つしかなくなっている。これ以上、金融緩和をしたら、悪い円
安になり、国民生活は益々悪くなることが見えているからである。

3.COP26の急進的な温暖化対策でどうなるか?
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日本は20年前、温暖化防止技術の先進国であったが、ここでも国が
産業育成政策をしなかったことで、日本企業は、この分野でも競争
力をなくしている。いかに国家の産業政策が重要かは、中国を見れ
ばわかる。

太陽光、風力、リチウム電池の分野で上位にいるのは、すべて中国
企業である。日本企業では電池のパナソニック1社しかない。その
うち特に、中国の鉄系リチウムイオン電池の価格破壊は恐ろしい。

軽のキャンピングカーでも、中国製鉄系リチウムイオン電池のおか
げでワットの小さなクーラーなら使えるようになり、夏が涼しくな
った。重たいが価格は安い。テスラが安くなったのも、鉄系リチウ
ムイオン電池のおかげである。EVもこのままでは負けるような感じ
だ。

そして、温暖化防止を怠った日本は、石炭火力発電所が重要な発電
設備であり、原子力発電は震災後、停止しているので、使用できな
い。温暖化防止で10年以上の引き離された。この分野では、後進
国になっている。

日本とは違い、欧州は着々と電源改革をして、再生可能エネルギー
にシフトした。このため、COP26で、中心的な位置にいる。急
進的な思想も推進できる基盤があるが、日本にはできないし、太陽
光や風力の最適地も少ない。

この上に原子力も止めていると、温暖化防止は、日本一国ではでき
ないし、急進的な脱炭素運動で、化石燃料の資源開発を中止すると
、原油や石炭、LNGなどの炭素資源価格は上昇していくことにな
る。

これ解消するためには、3つの方向しかない。
1つに海外の再生可能エネルギーを開発して、日本に持ってくる。

2つには、核物質が質量の小さい方向に核分裂する比較的安全なト
リウム原子力発電を実現する。トリウム自体も比較的多い資源であ
るので、資源枯渇も当分ない。

この原子炉で高温熱分解で水素もできるので一石三鳥の価値がある
。温暖化防止と水素と電気が得られる。このエネルギー源をメイン
とするしかない。

3つに家や工場、倉庫などの屋根に太陽光発電を義務化して、家の
電気の多くの部分を内製化させる。次に電池の設置を義務化するこ
とも視野に入れる。

プラスチックは、ゴミからの再生にシフトする。植物由来のプラス
チックは高いので、木のくしや小物や紙のコップなどに逆戻りも必
要になる。

どちらにしてもエネルギーや生活用具のコストが上昇して、物価が
上がり、ここでも国民の生活レベルは下がることになる。エネルギ
ーと生活用品のコストが上がることになる。

しかし、温暖化防止のためには、その方向で、社会を変えることが
重要であり、国が率先して、産業と生活シフトをするしかないはず
である。

シフトできるまでは、欧州の急進的な脱炭素運動に巻き込まれない
ようにするしかない。

覚悟を持つ必要はあるが、急進的な思想で事態が進行すると、国民
生活を破壊するので、気を付けた方が良い。

4.富士火山帯の活動期か?
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もう1つ、自然環境的にも、日本は火山の噴火や地震などの影響を
受ける方向である。小笠原諸島周辺で海底火山の爆発が起きて島が
でき領土が広がっているが、大量の軽石が太平洋に広く流れ出して
、船舶の航行ができなくなる可能性が出ている。それも続けての噴
火になっているので、長く続く可能性がある。

日本国内航路の中心を太平洋上ではなく、日本海上に移すことも考
える必要が出てきたように見る。交通網の整備も、それを見据えて
しないと危ない。

鉄道貨物輸送やパインプラインの日本海側と太平洋側を結ぶ幹線を
複数設置することである。日本の国家構造を変化させる必要になっ
ている。新しい新幹線網の完成より、こちらの方が重要である。

港湾設備の隣に鉄道貨物ヤードを置くなど、昔に戻る必要になって
いるとみるし、海上コンテナをそのまま貨車輸送することである。

海外航路も対馬海峡や津軽海峡で日本海に入り、新潟など日本海側
の港で、陸揚げすることも考える必要が出てきたようだ。

富士火山帯が活発な火山活動期になったことが大きい。このため、
関東周辺での大地震の可能性も出ている。この頃、東京での地震は
、その前兆現象の可能性もあると見ている。

さあ、どうなりますか?



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