6196.安倍前首相の不覚



9月12日告示で9月29日開票の自民党総裁選挙に、安倍前首相が高市
さんを応援したが、麻生さんは河野さんの後見人、甘利さんは岸田
さンを応援する。3Aの分裂で安倍さんはどうなる。それを検討し
よう。        津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年8月16日は35,625ドルで最高値更新、9月3日は35,369ドルで、
7日は269ドル安の35,100ドル、8日は68ドル安の35,031ドル、9日は
151ドル安の34,879ドル、10日は271ドル安の34,607ドル。

NYダウは5日続落している。コロナ感染拡大で景気の先行きに警戒感
が出ていると報道されている。

しかし、本当は、ダラス連銀のカプラン総裁と、ボストン連銀のロ
ーゼンバーク総裁が、今まで投資していた10億ドル以上の株を9月末
までにすべて売却するとアナウンスしたことで、大口投資家、機関
投資家が、それを見て大量の売りを出していることによるようだ。

この2人の手持ち株も公開されているが、優良銘柄、安定銘柄など
であり、NYダウやナスダックの値下がりは仕方がないようである。
ということで、需給関係の下げになっている。米評論家も弱気、一
色である。

そして、この2人の連銀総裁は、早期のテーパリングを主張してい
ることで、自作自演のテーパリングにより株安になるとみて、早期
に手仕舞うようである。

このため、9月末までは米国株は徐々に値下がりすることが見えてい
る。そして、10月のFOMCでテーパリングの年内開始を発表されるの
であろう。米国株は、9月から10月の下がった時点まで買い控えした
方が良いようである。

その上に、コロナ感染拡大による経済の減速も見だってきた。航空
各社の1日の乗客数が7月には205万人であったが、8月直近167万人ま
で減少している。

ワクチン接種率も62%で伸びない。日本が62.2%になり、米国を抜い
ている。このため、バイデン大統領は、ワクチン接種の義務化を言
い始めている。

どちらにしても、米国の景気は今後、落ちていくことになる。

その上に中国の「共同富裕」構想で、走資派への締め付け強化にな
り、特にIT・エンタメ企業や不動産企業への締め付けが厳しく、
景気も下がってきた。8月17日の北戴河会議に江沢民が欠席したこと
で、IT・エンタメ系の走資派・江沢民派企業への締め付けを強化
したようである。

特に不動産業界が大変なことになっている。土地の使用権を剥奪し
て、認めない方向も視野に検討しているようだ。しかし、GDPの
半分が不動産関連であり、大きな影響が出る。

このため、中国の中小企業景況感も50%割れになり、今後も規制強化
は続くとみた方が良いようだ。

アジア各国でもコロナ感染拡大で、生産が鈍化している。トヨタ自
動車は部品調達ができないと、9月と10月で40万台の減産調整を行う
とした。

このように米中ともに経済がおかしくなり、米中での緊張緩和で、
経済的な落ち込みを抑える必要から、米国は自動車関連の半導体の
中国輸出を認めることにした。

この条件緩和で、電話による米中首脳会談が実現した。今後もバイ
デン政権は、中国首脳との対話チャネルを維持するという。

このような情勢であり、米国はテーパリングを行うが、果たして、
2023年に利上げできるのであろうか。

9月26日のドイツの選挙も注意が必要である。メルケルさんが引退す
るが、次の首相が誰になるのか、見えない。緑の党が政権をとると
、今までとは大きく違うことになる。気候変動の政策推進に舵を切
るが、ドイツ国民の負担は大変なことになる。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年2月16日に30,467円と高値更新し、7月20日は27,013円で8ケ月ぶり
の安値で、9月3日は29,128円で、6日は531円高の29,659円、7日は
256円高の29,916円、8日は265円高の30,181円、9日は173円安の
30,008円、10日は373円高の30,381円。

菅首相が総裁選挙に出ないとしたことで、政権交代はなくなり、自
民党政権の継続が可能となり、海外投資家の買い出動継続で、2月
16日の30467円まであと少しになった。空売り比率も40%以下にな
る日が複数日出ているし、8日まで8日連騰になった。

また、TOPIXは2091.65ポイントで31年ぶりの高値で1990年以来の高
値である。ちなみに、最高値は1989年12月の2884.80ポイントである。

テーパリングが米国で10月発表で11月か12月に始まるのを前に、米
国投資家が米国株を売り、割安な日本株を買っていることで、日本
株が上昇している。このため、米国株の下落と日本株上昇という逆
相関関係になっている。

その証拠に9月第一週では海外投資家は、6500億円の買越しになって
いるし、この買いは、SBGなどの少数の銘柄に集中しているし、指
数中心の買いになっているようである。

しかし、7日、8日の日経平均の日足を見ると、ツツミ足になってい
るので、一旦の調整になる可能性もある。9月10日がメジャーSQで
上昇したが、トヨタ自動車が、減産の継続を発表したし、13日がど
うなるかでしょうね。シカゴ先物では400円安になっている。

そして、日本と米国、オーストラリア、インドは9月24日にクアッド
首脳による初の対面会談を開く。辞任する菅首相も出席することに
なる。この場で、次期首相候補について聞かれることになるが、ま
さか親中派ではないでしょうねと言われることになる。菅さんは、
どう出るかですね。河野支持から岸田支持に変えるか?

2.自民党総裁選挙は
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安倍さんが高市さんを応援したことで、細田派の分裂が決定的にな
った。細田派の福田さんが派閥の会合で、自主投票を呼びかけて、
若手・中堅が賛成したことで、高市さん支持で細田派がまとまらな
かった。

高市さんの金融財政政策は、MMTであり、インフレが2%になる
までは財政拡大策を取るという。予算を膨らませれば、景気は良く
なるという論であることが見える。アベノミクスそのものであるが
、経済成長しなかった事実で、有効性が否定されている。

その上、高市さんは、超タカ派であり、弱者切り捨ての新自由主義
的な考え方もあるし、株譲渡益税を増税するなどもあるが、一番問
題なのが、MMT信奉者で予算の下方硬直性を見ていないことだ。
一度予算を膨らますと予算縮小ができずらいことだ。もう1つが、
今、中国と米国がバブル崩壊に向かっているときに、バブルを作る
政策は、非常に危ない。

このため、野党系夕刊紙でも河野さんを叩き、高市さんを持ち上げ
るが、野党としては、選挙時に叩けるので、高市自民党総裁が一番
望ましい人であろうが、普通一般の人が支持してはいけない人であ
る。貧乏なネットウヨ達には、一番損になるのに熱狂している。

このため、麻生さんは、高市さんの財政金融政策には賛成できかね
るとして、麻生派の河野さんを支援することにした。河野さんの後
見人という位置づけだ。麻生派のベテランである甘利さんは、岸田
さん支持になっている。ということで、自民党を先導していた3A
が崩壊した。

麻生派も分裂するが、ほとんどの議員は河野支持になり、甘利さん
など数名が麻生派から離脱するだけで済む。

河野さんでも岸田さんでも現実的な政策である。脱原発と言ってい
た河野さんも現実解の方向でシフトしている。岸田さんは分配政策
も言っているので、貧乏人の味方のはず。立憲民主党も岸田さんの
政策に近いので、連立できるという。

この岸田さんと河野さんの問題は、産業界の意向を汲んで、中国と
の関係がソフトなことだ。特に河野さんは、父親の洋平氏の歴史観
を変えないという。

これは、米国のバイデン大統領も米中関係を調整しているが、どう
であろうか?

そして、細田派は、高市さん支持の議員が30名程度であり、大部分
は河野さんと岸田さん支持になる。細田派の福田さんは独立して、
福田派として、「党風一新の会」自民党所属1ー3期の衆議院議員
中心に90名での会派になるようだ。細田派より大きくなる。

国民の人気は、石破さんが出馬しないと、圧倒的に河野さんになる。
その上、石破さんが河野さんを支持するという。二階さん、菅さん
も河野支持になりそうである。自民党の大勢は河野さんになりそう
だ。

こうなると、一回目の投票で河野さんが勝つ可能性が出てきた。
自民党の10月衆議院議員選挙では、負けても少し、勝つ可能性も出
たことになる。改選議員たちは、河野さんになったら、ほっとする
ことになる。

9月27日に総裁選挙開票で、10月1日に臨時国会で首相指名で、この
まま解散総選挙となれば、御祝儀相場もあり、選挙では負けは少な
いか勝つ。

しかし、安倍さんは、石破さんが出ると思い、1回目の投票では過
半数を誰も取れないとみて、高市さんを支援したが、これが裏目に
なってきた。河野嫌いの安倍さんとしては、岸田さんがいいはずで
あるが、そうならない。

一様、河野さんも岸田さんも森友問題の「再調査」はしないと明言
しているが、細田派が分裂した時点でどうなるかわからない。

最初から安倍さんは岸田さんを支持していれば、大勢は岸田さんに
なったが、奇策に走ったことで墓穴を掘ることになりそうだ。奇策
は、弱い者が取る手法であり、安倍さんのような自民党の大御所が
取る策ではない。

岸田さんに不満があれば、そのように言えばよい。岸田さんは、安
倍さんの支持が必要であるから、従ったはずである。

大御所は、王道を行き、堂々としていることが重要だ。そうしない
と、皆が付いていけなくなり、自身の神通力を弱め、大御所ではな
くなってしまう。

安倍さんに付いている知識人たちは、技巧に走りやすいが、それに
乗ることは、自民党内の神通力を失い、森友問題や桜を見る会など
の問題が再度噴出してしまい、完全失脚になることも考えられる。

タカ派知識人たちの贔屓の引き倒しが、起こってしまったようだ。

これで、3度目の首相の芽がなくなる可能性も出てきた。

しかし、後継総裁も、安倍さんの完全失脚は、避けた方が良いと思
う。日本の国益にとっても、安全失脚させたら非常にもったいない。

さあ、どうなりますか?



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