6195.菅首相の不出馬で総裁選挙はどうなる



9月12日告示で9月29日開票の自民党総裁選挙に、菅首相が不出馬と
なり、どうなるかを検討しよう。        津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年8月16日は35,625ドルで最高値更新、27日は35,455ドルで、
30日は55ドル安の35,399ドル、31日は39ドル安の35,360ドル、9月1
日は48ドル安の35,312ドル、2日は131ドル高の35,443ドル、3日は
74ドル安の35,369ドル。

3日発表の8月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下
回った。米国の景気回復が鈍化するとの懸念が強まり、景気敏感株
の一角が売られた。

雇用統計では前月比23万5000人増で、予想は72万人増であり大幅な
減であった。再度コロナ感染拡大で、飲食や宿泊などサービス業で
伸びが鈍化した。

ISMの8月の非製造業(サービス業)景況感指数も61.7と、過去最高
だった7月から低下した。しかし、景気後退になると、テーパリング
が遅れることになり、株価にとっては良いということで、大きくは
NYダウ株価は下がらずに、ナスダックは金利上昇が抑えられるとし
て、株価は上昇している。

一方、中国は、習近平の文化大革命が進行している。今までに中国
政府は、未成年のオンラインゲーム利用時間の規制、ビットコイン
のマイニング(採掘)禁止、国内の大手IT企業に対する規制強化な
ど、立て続けに厳しい措置を打ち出している。

そして、今度は、中国のセレブに対して、習近平国家主席は、アイ
ドル文化として欧米の影響を厳しく取り締まる方針を掲げた。「文
化市場はもはや女々しいスターたちの天国ではない。報道機関と世
論はもはや欧米文化の礼賛に堕することはない」とした。

そして、中国当局は先週、プラットフォーム各社にアイドルやスタ
ーの人気ランキングの掲載禁止を通告した。関連グッズの販売にも
規制をかけた。

また、「共同富裕」で、「贅沢品は敵」となり貴州マオタイ酒は、
2月の絶頂から株価暴落が始まり、時価総額で23兆円がなくなっ
た。

恒大集団、碧桂園などの不動産企業なども倒産寸前になっている。
そして、今度は、約40社の中国企業が上場手続きを停止した。株
式投資にも規制をかけ始めている。

これに対して、中国アリババは2025年までに1000億元(155億ドル)
を投じ、習近平国家主席が推進する「共同富裕」を支援するとした。
IT企業の生き残りも大変なことになっている。この動きに対して、
中国国営企業がIT企業への投資をして、子会社化・国有化する動き
も出てきた。国家管理の動きが加速している。

中国の社会的な雰囲気は、徐々に北朝鮮のようなことになってきた。
ドンドン規制が強化されて、生活上での制約が増え、言論統制も強
化されている。厳格な社会主義に戻っている。「共同富裕」ではな
く、「共同貧困」の社会に向かっているのかもしれない。

中国の富裕層は、貧乏人のような格好をしないと、捕まる可能性が
出て、江戸時代の商人と同様な文化が出てくるとみたい。裏地に豪
華な金を使うなどや、「わびさび」のような文化ができると面白い。

しかし、早く日本企業は、中国から逃げるべきである。そして、投
資家は、絶対に一刻も早く逃げるべきだ。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年2月16日に30,467円と高値更新し、7月20日は27,013円で8ケ月ぶり
の安値で、8月27日は27,641円で、30日は148円高の27,789円、31日
は300円高の28,089円、9月1日は361円高の28,451円、2日は92円高の
28,543円、3日は584円高の29,128円。

菅首相が総裁選挙に出ないとしたことで、政権交代はなくなり、自
民党政権の継続が可能となり、海外投資家が安値で放置されていた
日本株に対して買い出動したことで、3日に584円も上昇し、29,000
円を回復した。

また、TOPIXは2015.45ポイントで30年4ケ月ぶりの高値になった。
1991年以来の高値である。ちなみに、最高値は1989年12月の2884.80
ポイントである。

テーパリングが米国で10月か11月に始まるが、先にステレス・テー
パリングを開始している日本株は、政権の支持率も下がり、今後の
政治不安定もあり、海外投資家に売られてきた。

しかし、米国株との差が大きくなり、先物主導で売りを仕掛けてい
た海外投資家が、今週になり差を縮小させる動きで、買戻しを増や
していた。

その上に、菅首相の辞任から政治的な不安定性を回避するとの期待
で、3日は大きく買戻しになった。空売りの買戻しを急いだことでの
値上がりであり、持続性には疑問が残るが、米雇用統計が弱かった
ので、日本株の割安感が出て、シカゴ先物も値上がりをしている。

このため、月曜日も朝は上昇でスタートするようだ。しかし、空売
りの買戻しが主流で、まだ、上昇トレンドが短期の可能性は残って
いる。

2.自民党総裁選挙は
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菅首相が総裁選挙に出ないとしたが、党役員人事を行おうとしたが
、役職に応じたのは、小泉進次郎議員しかいなかったようだ。河野
さんも応じなかった。このため、党役員人事が暗礁に乗り上げた。

小泉さんが、二階派、細田派、麻生派、竹下派を回ったが、菅さん
を押す派閥はなかった。このため、小泉さんが菅さんに総裁選挙で
の再選がなく、大負けになるので、辞退した方がよいと進言したよ
うだ。

とうとう、菅さんの自分に都合が良い強引な党運営に、自民党の議
員たちがダメ出しをしたことで、辞任になった。

小手先のコロナ対策に終始した菅政権であった。国民が望む抜本的
な対応策を取るべきであったと思うが、残念なことになった。

ということで、総裁選挙には、岸田さん、高市さん、河野さん、石
破さん、茂木さんが出るのであろう。

党員選挙では、河野さんと石破さんが多数を取ることになるが、麻
生派は分裂する。河野支持派と反河野派に割れる。河野支持派は、
今後河野派としての活動をしていくことになる。麻生さんは、この
ため引退せざるを得ないようだ。世代交代になる可能性がある。

今度の衆議院選挙で、二階さんも引退になる。自民党は、衆議院選
挙で大負けか小負けになり、どちらにしても引責辞任となる。それ
を読んでいるから幹事長交代を容認したのである。しかし、次の幹
事長は難しいとも読んでいたのであろう。事実、菅さんは党役員人
事ができずに沈没した。

衆議院選挙での負けを織り込んでも、どの線の負けで自民党総裁の
責任とするかが次の問題になる。もし、高いハードルなら、衆議院
選挙後にまた総裁選挙なるし、そこには今回当選の総裁は出られな
い。そこまで待った方が良いことになる。

その問題があるのに最初に立候補した岸田さんは、非常に偉い。こ
のアドバンテージは大きいはずである。よって、本命は岸田さんだ
とみる。衆院選挙のハードルも低くするはず。

しかし、選挙の顔をしては、高市さんが良いと、安倍さんは判断し
て高市さんを支援するという。安倍さん支持のタカ派知識人達は、
アベノミクスを掲げる高市さんを推奨している。

高市さんは、今後の候補であり、一定数をとれば今回は成功である
が、細田派が一致して支援すると、面白いことにはなる。支持が広
がるとも思えないが、ツイッターなどでタカ派知識人たちは、気勢
を上げている。

河野さんは、自派閥を構築するための立候補であり、党員からの人
気を石破さんから奪えるかどうかである。もし、最初の投票で過半
数を岸田さんが取れないと、2位に付ければ、河野さんにも将来的
にチャンスが出る。

石破さんは、自民党内野党という位置づけであり、党員選挙で過半
数を取らないと難しいが、人気があるので、一部自民党議員が加担
する可能性はある。総裁にはなれないし、次期政権でも干されるが。

もし、岸田さんが首相になるなら、官房長官は河野さんが一番適任
となる。河野さんと菅さんの無茶ぶりは一緒であり、政策実行力は
大きいからだ。岸田さんの大所高所からの判断と実行力の河野さん
で、安定的な政権ができると見る。

しかし、そのような政権ができると、安倍前首相の3度目の首相就
任ができないと見て、高市さんを支援するのであろう。タカ派知識
人たちの派利派略だ。岸田さんには、リベラルな知識人達が付いて
いるから、タカ派知識人は近づけない。

しかし、トランプさんが再度大統領になったら、世界広しと言えど
、手玉にとれるのは安倍さんしかいない。岸田さんでは無理である。
よって、安倍さんの3度目の首相就任の可能性はある。

3.ウイズコロナ社会の構築
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何人かの総裁候補の政策が出てくるが、一番の争点はウイズコロナ
対策である。

ウイズコロナ対策には、有事法の体系を作るしかない。ロックダウ
ンができることやCDCを作ること、医療機関に命令できる権限を
知事に付与するなど、国民の生命を守る法体系にするべきである。

もう1つが、有事法で、ロックダウンなどの有事の給付はチャック
なしで行い、後で返還を迫る法体系にする。勿論デジタル化で、チ
ェックできるようにした方が良いが、それができなくともすぐに給
付することである。法体系を有事法体系と平時法体系とに分けるべ
きである。自衛隊法も有事と平時を分けるべきである。

2番目の争点は、経済政策や成長戦略である。ウイズコロナでの経
済体系を前提にした施策が必要であり、コロナ禍でコト消費からモ
ノ消費に消費が世界的に転換している。

中国はサービス業に大きな制約をかけて、モノ消費に戻し始めてい
る。米国もコロナ禍が長引き、サービス業の雇用が減少している。

そのため、IT産業(特にEC、ゲームなど)や製造業(特に半導
体、自動車)は活況であり、コト消費からモノ消費にシフトしてき
ている。この傾向は、当分続くと思う。このため、アベノミクスの
ような金融緩和だけでは、経済規模は大きくならない。

製造業では、日本企業は海外に工場を展開したが、そこでコロナ禍
になると、ワクチンなどの対応ができずに、長期間のロックダウン
になるので、ワクチン対応などがスムーズな国内回帰や先進国展開
を必要としている。

製造業の復活で、素材や海運なども活況になり、一時的に昔に戻っ
たような経済になっている。日本企業の復活のチャンスでもあるの
で、政府は産業政策を作り、その上で研究開発費支援を行うべきで
ある。

それと、中国の有能な技術人材引き抜きをどう止めるかである。有
能ではない技術人材の引き抜きは止めないことも必要である。有能
な人材をどう判定し、優遇処置を取るかが重要な視点になる。
その他には、ハッカー対策、スパイ対策も必要になる。要するに、
経済安保法制の整備が必要である。

ミュー株でベルギーでは、2回ワクチン接種した人も多数死んでい
るようであり、変異種の影響で今後とも数年の間、コロナ禍を抜け
出せない。WHO(世界保健機関)もミュー株を「注目すべき変異株」
に分類し、警戒を強めているが、ワクチンの「死亡予防効果」を減
退させる恐れが出てきている。ということで、コロナ禍は当分続く
とみて、経済政策を構築するべきなのである。

3番目は、高齢化少子化対策である。製造業を日本に回帰させると
、その労働力が不足することになる。今までは移民を入れずに、工
場を発展途上国に持っていき、労働力不足を回避してきたが、今後
は、逆に日本に移民してもらい、労働力不足をカバーするしかない。

このためには、難民もある程度入れるしかない。特にアジア圏の難
民を受け入れていくことが必要になる。欧州は中東やアフリカの難
民を入れている。米国は中南米からの難民を入れている。日本はア
ジアならの難民を受け入れるしかないはずで、国際会議で日本の責
任が問われかねない。

4番目には、米中対立での日本の立ち位置である。日米同盟を堅持
して、その上で中国とも付き合うことであるが、人権問題や覇権問
題には、ある程度対応していくしかない。欧米との関係が独裁国中
国との関係より重要であるからだ。

企業も日本の対中政策を見通して、中国市場向け製品のみを中国国
内で作る方向でシフトするしかない。早く投資回収をするべきであ
るし、高度技術製品の製造は中国ではしないことである。社会主義
化が進んでいるので、早期に撤退するべきである。

5番目は、金融財政政策であり、それで必要なのが、米国や中国の
バブル崩壊時に、どうように影響を最小限度に抑えるかでしょうね
。中国の不動産企業の株価が暴落している。中国のアパートは高額
であり、そのほとんどが投資目的なので、住んでいる人も少ない。

この不動産価格の暴落がいつ起きても不思議ではないし、不動産の
バブル崩壊は、中国経済に大きな影を落としてくる。日本の1990年
を見れば、その怖さがわかる。中国進出の企業は撤退も考えておく
ことである。

もう1つが、米国株価の上昇が続いているが、PER30倍まで行きそう
である。日本株価はPER13倍であり、その差が大きい。この米国株バ
ブルもいつか崩壊することになる。その時、日本株も下落するが、
経済的な影響を最小化する必要がある。日本人が大量に米国株に投
資をしているが、その影響がどう出てくるのか、今から検討してお
くべきでしょうね。

そして、まずするべきは、日本株バブルを起こさないことである。
そのためには、PERが20倍程度になったら、日銀はETF売りを行うべ
きであるし、逆にPERが10倍か株価が25000円割れになったら、ETF買
いをすることである。

米国が金融緩和、特に量的緩和を行っている時には、安易な増税を
してはいけないし、利上げもするべきではない。このようなことを
すると円高になり、製造業を潰すことになる。日米経済はつながっ
ているので、米国経済政策に連動した政策が必要である。

特に岸田さん支持の知識人に財政均衡主義の人がいるので、注意が
必要である。日本経済をつぶすことになる。日本一国主義経済では
ないことを肝に銘じてほしい。しかし、米国や中国のバブル崩壊の
影響を小さくすることは必要である。このバランスを取った金融財
政戦略が必要になる。

6番目は、地球温暖化とそれに伴う災害対策である。地球環境が毎
年おかしくなっている。この状況を放置できない。太陽光発電や風
力発電などの開発は重要であるが、それだけでは電気が足りない場
合は、どうするかが問題になる。

風力発電は地域偏在性が高く、その電気をどう運ぶかも問題になる
し、平地の少ない日本では、平地は食糧生産に回すしかなく、山地
に太陽光発電となる。このため、安全性などの問題を規定する必要
がある。マイクロ水力では水利用の法律を改正する必要がある。1
つ1つ問題を解決して、積み上げていくしかない。

このため、再生可能エネルギー開発が進むまで、小型の安全性が高
い原子力発電も使用するしかないことも視野に、安全性の高い原発
の利用も考えておく必要がある。

電気があれば、EVや水素自動車が走ることができる。その全体体系
を検討しておく必要がある。

それと、洪水や山崩れの危険地域での住宅開発は禁止するべきであ
るし、危険地域の開発をする宅地業者を処罰する法律を作るべきで
ある。また、現時点で危険地域に住む人には、立ち退きをさせるし
かない。土地を国や地方自治体が安く買い取ることである。

さあ、どうなりますか?



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