6193.知識人のコロナ過小評価が問題



日本全体でコロナ感染爆発し、患者数が猛然と増え、災害レベルに
到達したようだ。しかし、まだ、コロナ感染症を過小評価している
人たちがいる。それでは状況改善はできない。その検討。
                  津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年8月16日は35,625ドルで最高値更新、17日は282ドル安の35,343
ドル、18日は382ドル安の34,960ドル、19日は66ドル安の34,894ドル
、20日は225ドル高の34,894ドル。

FOMCの議事録要旨が出て、今年秋以降にもテーパリングを開始する
意見が多数であり、17日以降、株価は下げた。しかし、コロナ感染
拡大を受け、かつミシガン消費者信頼感指数の大きな落ち込みで、
景気の低下傾向によりテーパリング開始が遅れると20日は、上昇し
ている。

米長期金利も1.2%内外で上昇していないことで、債券市場関係者は
、将来の金利上昇を見込んでいないように見えたが、その見方が正
解のようである。20日に株式市場も追随した。

もう1つが、中国経済の落ち込みが明確化してきた。このため、中
国政府は、景気浮揚策を行うという。このため、原油と銅価格が下
落している。

また、中国は「共同富裕」という構想を発表して、社会的平等を一
段と重視する姿勢を明確化した。米国モデルから日本モデルに移行
するという。「高所得の規制・調整を強化するとともに、法に沿っ
た所得を守り、過度な所得を合理的に調整し、高所得層と企業に社
会への還元を増やすよう促す」というが、これは日本で行っている
暗黙の社会制度である。

今、コロナ感染拡大で東南アジアの都市封鎖もあり、サプライチェ
ーンの混乱が起きて、その意味でも世界経済は下降ぎみになってい
る。このため、世界の株価も下落してきたが、反対に米国の株価は
上昇する可能性がある。テーパリング開始が遅れるからである。

異常気象から、小麦、コーヒー、大豆、トウモロコシなどの食料価
格が上昇し、今後、食糧危機が起こる可能性がある。特に食糧価格
上昇で発展途上国での暴動などが心配になる。

このように、異常気象による食糧不足、コロナ感染拡大などで、世
界は、大きな危機に向かっているような気がする。

その上に、米国はアフガンから追い出された。タリバンがアフガン
を支配したが、アフガンの主要産業はケシの栽培で、麻薬の原料に
なる。この麻薬も野放しになる。というより、タリバンの資金源に
なる。危機的な状況で麻薬がはびこる事態を想定した方が良い。

もう1つ、アフガンはそれぞれの地域で軍閥が割拠している。この
ため、タリバンも支配が限定的である。タリバンが中国と良好な関
係でも、地域の軍閥でアルカイダやISに味方すると、タリバンでは
どうしようもない。

このため、テロの温床になる確率は高いし、イスラム原理主義者の
テロリストの次のターゲットは、新彊ウイグルになるはず。その内
、また、米国はテロを支援する可能性もある。このため、米国は反
タリバンの軍閥を支援しないようである。

このアフガン撤退失敗から、バイデン大統領の支持率が大きく落ち
込んでいる。その上に、5500億ドルのインフラ投資法案が上院を通
過したが、下院の民主党左派が再生可能エネルギー支出の増額を主
張。10月でも下院を通過しない可能性が出てきた。もう1つが、法
案が通っても、連邦債務上限になり上限の修正がないと、施行でき
ない。しかし、共和党は上限修正に反対である。

このため、10月以降、米国政府組織の一時閉鎖などの混乱が起きる
可能性もある。このような状況で、8月26日から始まるジャクソンホ
ールでパウエルFRB議長はどのような発表をするのか、世界が注視し
ている。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年2月16日に30,467円と高値更新し、7月30日は27,283円で2ケ月ぶり
の安値、8月13日は27,977円で、16日は453円安の27,523円、17日は
98円高の27,424円、18日は161円高の27,585円、19日は304円安の
27,281円、20日は267円安の27,013円で8ケ月ぶりの安値。

28,000円から27,300円レンジ相場が続いていたが、下に大きく抜け
27,000円まで行った。企業業績は拡大しているが、株価は下落して
いる。このため、EPSは2128円になるが、PERは12倍である。米SP500
のPERは21.2倍もあり、その差は歴然としている。空売りも40%以上
であり、空売りが続く間は下落であろう。

麻生財務相は「補正予算は必要がない」と発言し、日銀はETF買いを
しないので、日本だけテーパリングをしていることになっている。
このため、日本株は置いてきぼりを食らっているようだ。

この上に、19日と20日の下げはトヨタ生産台数の4割カットによる
が、波及範囲が大きかった。今まで上昇していた製造業の下げがき
つかった。海運もアジアなどでのコロナ感染拡大により荷揚げ作業
ができなくなると、下落した。

そして、コロナ禍ですでに1600社が倒産して、倒産予備軍も相当多
数になっている。飲食店、レジャー観光施設、ホテル、鉄道、空運
、百貨店などの倒産が今後も増えることになる。

このため、物価も0.2%マイナスになり、夏季特別所与も大きく減少
している。景気減速に目配せをする必要が出てきた。

このため、日銀のETF買いを26,000円台では、再度開始してもよいよ
うな気がする。日本株の下落なら、GPIFも買いを開始をして、買い
支えることである。安値で買い高値で売って、年金資金を積み増し
てほしい。

2.コロナ感染爆発の対応
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東京はコロナ新規感染者数が20日5405人であるが、まだピークを打
っていない。しかし、複数の知識人が、SNSにコロナ感染症を過小評
価した投稿をして、知事や政府や医師会の発言は、おかしいと声高
に言っている。

若者は、テレビを見ないでSNSを見て判断しているので、そのような
知識人の投稿で安心して、外出している。というより、それを理由
にしている。

このため、知事や政府関係者が人出の半分削減と言っても、人出は
減らない状況になっている。皆が気にせず、外出している。高齢者
もワクチン接種したので移らないと旅行に出ている。その結果、感
染拡大の防止ができない制御不能な状況が続いている。

まず、SNS上の間違った認識の発言を削除しないと、この感染拡大は
収まらないし、無症状の無認知コロナ感染者数が増加すると、ウィ
ルスの量が増えて、ワクチン接種者のブレークスルー感染も増えて
くる。このため閉空間での感染の可能性が大きくなった結果、デパ
地下での感染者が増加したのであろう。

ツイッター社やフェイスブック社、LINE社などに、政府は厳重にそ
のような発言する知識人の発言をチェックして、削除するように指
導するべきである。感染症の防止には、自由の許容範囲を狭めるし
かない。

ということで、もうすでに緊急事態宣言の効果はない。再度、ロッ
クダウンを行うべきであると強く提案する。現状は、後手後手の手
もない状況になっている。結果、感染拡大の放置である。それでは
、重症者数が増加する。

コロナ過小評価の知識人の中に、ロックダウンをしたが最後、解除
できないという意見があるが、ワクチン接種が全国民の7割になっ
た時点で、止めることができる。ロックダウンは、ワクチン接種率
増加なり、治療薬なり、病床数増加なりのできるまでの時間稼ぎの
策である。

今の状態では、ロックダウン停止や実施は、地域の重症者数を見て
、地域単位で判断すればよいのだ。首都圏では中等症患者で入院で
きるのが10人に1人しかいない。そして、現時点は重症者が過去
最高レベルにあり、その増加を止めないとその内、死者数も増加す
る。重症患者はエクモか酸素呼吸器がないと確実に死ぬからだ。エ
クモは数に限界があるので重症患者数を抑えないと駄目である。

ロックダウンは、ハンマー&ダンス政策であり、新規重症者数とワ
クチン接種率を見て、実施や停止をすることだ。何もしないで、ど
うやって、今の重症者数を抑えるのかの提案をするべきであるが、
知識人たちは、病室を増やせというが、それができるまでの抑制策
の提案もなしに、ロックダウンを問題視している。

人の命より自分たちの理念の方が重要なようである。優先順位の取
り方が狂っているように思われる。

勿論、ロックダウンには給付金が必要であり、それなしに行うと、
困窮から死者が出る。このため、政府は補正予算で余った30兆円を
気前よく、国民に配ることである。今は命を優先でいくしかない。

そして、ワクチンが6ケ月で効果が減少するなら、3回目の接種を行
えばよいのである。そのうちに飲み薬の治療薬ができることになる
。ワクチン接種率7割と飲み薬ができれば、5類に指定変更をする
べきである。

入院調整を保健所が行うので、そこがネックになっている。これを
長く続けることはできない。

それと、無症状な感染者がいる状況で「ゼロコロナ」にすることは
、土台不可能である。それと、日本は世界と隔絶しては生きていけ
ない。このため、いつか「ウイズコロナ」社会を構築する必要があ
る。そのためには、インフルエンザと同じ体制を整える必要がある
からだ。

そして、大多数の人が軽症で治ることには変化がないので、大多数
の軽症患者は飲み薬で直して、町医師が見て危ない中等症患者、高
齢者、既存症との合併患者を入院させることである。町医者は全員
、ワクチンを頻繁に接種して、コロナ患者を診察しても感染リスク
を少なくしていくことである。勿論、防護はすることである。

もう1つ、パラリンピックを中止か延期した方が良いし、パラリン
ピックへの学校連携観戦は絶対止めるべきである。子供達の観戦で
、感染拡大を起こすことになる。デルタ株で、今までの常識が通用
しなくなっている。それでも、小池都知事は実施すると主張してい
る。

また、甲子園の高校野球も途中中止にするべきだし、高校総体、フ
ジロックも中止するべきである。しかし、中止の世論が出ない。朝
日新聞が主催する高校野球を開催しているので、野党を含め、他の
中止を主張できないからのようである。

3.菅首相の問題点
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菅首相が応援する小此木さんが、横浜市長選挙で劣勢にある。この
大きな原因が、林文子現市長への仁義を欠いた扱いがあるからだ。

もし、林文子市長が立候補しなければ、自民党は一本化ができたは
ずである。

林文子氏に会って、菅首相は次の魅力的なポストを提供して、その
上で、自分の主張変更を説明した上で謝り、市議団にも説明したの
であろうか?
私が見るに一切していないように見える。それでは林文子市長も怒
るよね。この当たり前がわからないようだ。

林文子市長は、IRに乗り気ではなかった。それは市民への最初の
説明会の態度で分かる。イヤイヤ説明をした。菅首相が強引に林文
子市長に押し付けたから、渋々、IRを推進してきた。

それを急にIR反対と「手の平返し」だ、これでは林文子市長の立
場がない。林文子市長の説得で同調した市議たちも立つ瀬ないこと
になっている。市議は、市民にIRを説明してきたはずである。そ
れを何の説明なしに、「手の平返し」の反対に義憤を感じているは
ずだ。このため、自民党が割れた。

仁義は、論語の初等レベルの倫理観である。江戸時代は、初等教育
の教科書(往来)に論語を採用して、人間として、どうあるべきか
を初めに教えていた。その論語では人間として、一番必要なのが「
仁・義」とその上での「信」であるとしている。

仁義を欠いた人が一国のトップにいることに、大きな違和感を抱か
ざるを得ない。菅さんはトップの器ではない。実行者として、実務
をするには、その強引さが武器になったかもしれないが、皆をまと
めることはできない。この結果が、今、いろいろな局面に出ている。

コロナ感染症の拡大防止も皆の気持ちや意見を尊重しないことで、
壁に突き当っているようにも見える。このようなことでは、民心収
攬などは絶対無理である。

組織のトップには、人間としての素養が絶対必要であることを思い
知る。その点、安倍前首相には、危機になったとき、安倍さんを助
ける多くの知識人たちがいた。安倍前首相は、人として素晴らしい
ものを持っているからだ。菅さんとは、人としての器が大きく違う。

そして、この2人が組んだ政治が最高であった理由でもある。院政
政治の良さであろう。大所高所から見る安倍首相と、それを実行す
る菅官房長官という組合せである。だから、10年以上も体制を維
持できたのだ。

そして、二階幹事長も生き生きしていた。今の二階さんの判断は、
間違いが多い。その一番大きな間違いは、菅さんを首相にしたこと
である。トップの器がない人をトップにしてしまったことだ。

岸田さんを首相にしておくべきであったと思う。

さあ、どうなりますか?



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