6192.危機時のリーダーの考え方が重要



コロナ感染爆発で、患者数が猛然と増え、災害レベルまで到達した
。リーダーの考え方を修正しないと、この状況は改善できない。そ
の検討。            津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年8月6日は35,208ドルで過去最高値、9日は106ドル安の35,101
ドル、10日は162ドル高の35,264ドル、11日は220ドル高の35,484ド
ル、12日は14ドル高の35,499ドル、13日は15ドル高の35,515ドルで
連日の過去最高値の更新が続いた。絶好調である。

米国議会上院は8月10日、超党派のインフラ投資計画法案を賛成69、
反対30で可決となった。同計画の規模は今後5年間で約1兆ドル、既
に予算配分済みの支出を除いた新規支出は約5,500億ドルとなってお
り、道路や橋、EV(電気自動車)インフラ整備など輸送部門に2,836
億ドル、ブロードバンド網や電力グリッド網整備など非輸送部門に
2,655億ドルを充てる。この法案成立で10日に大幅な上昇をした。

そして、11日には7月の米消費者物価指数(CPI)が前年同月比4.3%
上昇で前月比では0.3%上昇と市場予想を下回り、過度なインフレ懸
念が和らいだ。米連邦準備理事会(FRB)が早期にテーパリングに動
くとの見方が後退し、株の買い安心感が広がったことで、11日も大
幅な上昇になった。

新規失業12日には新規失業保険申請件数(8月7日終了週)で、前
週比1万2000件減の37万5000件になり、経済活動の持ち直しで事業
環境が改善したことで12日も上昇している。ただ、新型コロナウイ
ルスの感染拡大で経済活動の正常化が遅れるとの懸念がくすぶり、
景気敏感株には売りが出た。13日も上昇して、35500ドルを超えた。

このように、大規模な財政出動とFRBの量的緩和によって、景気は良
いのに、テーパリングはしないということで、テールリスクがまだ
先と、どんどん株価は上昇する。最後の瞬間まで一段と上昇するは
ず。このため、降りるに降りられない状態になっている。

しかし、スキュー指数がピークから急降下すると、約2か月後に株価
暴落が起きるアノマリーがある。そして、2021年6月25日にピークを
付けて下落しているので、米国株は絶好調であるが、2ケ月後である8
月は気を付けた方が良いかもしれない。

しかし、逆に一層の上昇を起こすことも考えられる。特大のバブル
到来で、いつまで続くか見通せない。

米中対決に対しては、イエレン米財務長官が、今後数カ月以内の中
国訪問を検討していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにし
た。しかし、米財務省報道官のリリー・アダムズ報道官はコメント
要請に対し、「イエレン長官が秋に中国を訪問する計画はない」と
答えた。

この背景にあるのは、米国の30余りの主要経済団体が、対中貿易交
渉の再開を呼び掛けるとともに、米経済に悪影響を与えているとし
て関税の撤廃を求めていたことによる。米国でも対中強硬策は、大
きな経済的な重しになっているようだ。

もう1つが、アフガニスタンからの8月末米軍撤退で、タリバンが急
激に勢力を拡大させている。このことを受け、同国首都カブールの
国際空港に兵士5000人を直ちに派遣し、現地の米大使館職員を国外
退避させるとした。

タリバンはイラン国境に近い都市ヘラートを制圧し、タリバンの精
神的な故郷とされる南部の都市カンダハルも制圧し、既にアフガン
の7割を支配下に置いている。12日には首都カブールから約50キロの
地点も制圧した。米軍は8月末まで首都カブールを維持できるかどう
かになっている。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年2月16日に30,467円と高値更新し、7月30日は27,283円で2年ぶりの
安値、8月6日は27,820円で、10日は68円高の27,888円、182円高の
28,070円、12日は55円安の28,015円、13日は37円安の27,977円。

日銀のETF買いがないので、日経平均は27,300円から28,000円のレン
ジ相場で、28000円になると下げる。その日の高値が9時から11時に
付けて、午後は下げる展開が続いている。このため、28000円より上
に上がる気がしない。

そして、空売り比率が40%以上になる日も多い。この空売り比率が
30%以下にならないと28000円以上の戻り高値にならない。

TOPIXに比べて、日経平均が弱いのは、ファーストリテイリングと
SBGが大きく下げていることが大きい。また、中国の上海総合指数や
香港ハンセン指数が値下がりすると、日本株も下がる傾向にある。
日本企業の売上高に占める中国市場の割合が大きいことによるが、
中国の企業締め付けの影響は、大きいようだ。

この中国の株の大幅な下落で、世界の投資家は、中国への投資が、
危険でできなくなり、中国企業の成長にも影響することになる。そ
のことで、習近平国家主席は軌道修正するかどうかでしょうね。

2.コロナ感染爆発の対応
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東京はコロナ新規感染者数が今までの最高が5042人であるが、13日
金曜日に過去最多5773人、14日土曜日5094人になった。コロナ感染
症の療養者数(人口10万人当たり)が33都道府県でステージ4(爆
発的感染拡大)の目安となる「30人以上」となり、前週の23都道府
県から10県も増えた。

このように、感染拡大の防止ができない制御不能な状況が続いてい
ることが判明した。

その原因は、現在の緊急事態宣言の効果が、ほとんどないからと思
われる。違う手を使わないと拡大を止めることができなくなってい
る。

感染爆発で、災害レベルの対応を必要としている段階にきている。
しかし、菅首相の対応は、またもや、後手後手になっている印象を
受ける。リーダーとして、どうもおかしいと思っている。
その理由は「6191.リーダーの危機時の考え方」
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/330812.htm

で述べた通りであり、危機時の対応ができていない。いつも、次の
危機拡大を想定した事前の策が打てていないような気がする。この
ため後手後手になっている。

制御不能ということは、それ相応な対策を打つしかない。今までの
常識の枠を外して考えるしかないはずだ。

それが、憲法改正をしない、戦後、自衛隊を持つことにした憲法解
釈の変更という手で、ロックダウン可能な法案を作り、人を強制的
に止めることや、中規模以上の病院に強制的に軽症のコロナ患者を
受け入れさせて、抗体カクテル治療をさせるとかの抜本的な対応策
をとることだ。

野党系の憲法学者は、それができると明言しているので、野党の反
対も少ない可能性がある。もしできないなら、対案を要求すること
である。

これにより、軽症者を重症化させないことと、危機感のなくなった
国民に対して刑法を課した人流の停止をするしかない。もう、そこ
までの対策が必要になっている。

ファクターXでの感染抑制効果がないデルタ株の流行で、今までの甘
い法体系ではコントロールできなくなったからである。ウイルスの
変異は、デルタ株で終わりではない。今後、より強力な変異株が次
々と出てくる。ここは、欧米と同じような強制的な感染防止が必要
になっている。

ここまで来ると、人流を止めることと合わせて、パラリンピックを
中止か延期した方が良いし、甲子園の高校野球も途中中止にするべ
きである。大規模商業施設も営業停止、飲食店はすべて営業停止し
て、国民の皆に対して、危機感の醸成をする必要になっているのだ。

そして、このような感染爆発で、8月13日の時事世論調査でも支持率
が29%と20%台に低下した。このまま放置すれば、どんどん、民心は
離れていくことになる。

1つだけ良いことは、今のところ、死亡者数が感染拡大の割りに少
ないことである。65歳以上へのワクチン接種が効いているようだが
、今後死亡者数も上がってくると思われる。

重症者数が多く、割合は少なくなるが、死にいたる人は出てくる。
特に自宅療養者が危ない。それも64歳以下の日本を支える人たちの
死になる。早く40歳以上にワクチン接種が必要である。

3.危機管理の方法
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危機時には守る優先順位を決めて置き、優先順位の高いものを最初
に全力で守り、それが守られたら、次の順位の課題を達成するよう
に政策を打つ必要がある。

一番、優先順位が高いのは、勿論人間の命であり、これがある程度
守られたら、次の経済を守ることである。経済が沈滞すると貧困層
は命に関わるので、給付金や食事・住居を支給して、命を維持して
もらい、命の危険がなくなれば、次の経済の回復をすることである。

命も経済も維持できたら、秩序や文化などを追求すればよい。理想
の姿にするのは、最後である。この優先順位が狂っている状態が続
くと、民心は離れていくことになる。

危機時になったら、複数のシナリオを用意して、そのシナリオの現
在どこに位置しているかを認識して、シナリオを選び、それを皆に
周知して、それぞれの持ち場での役割を決めるのと準備を事前に取
れるようにしておくことである。もし、想定外の状態になったら、
再度、危機シナリオを複数、用意することである。

シナリオをフローチャート化して、皆に周知して、共通認識化して
おくことである。それぞれに対してのスケジュールを作り、そのス
ケジュールを定期的に確認することと、状況の変化も定期的な会議
で皆に周知することだ。関係する分野の人を集めて、会議を開く必
要がある。それも階層ごとに定期開催することだ。

制御不能時でもシナリオ化しておけば、迅速に対応法案の準備がで
きたはずである。国民への周知もしないといけない。そして、これ
は野党も同様なシナリオを作り、自民党政権の失敗時、政権交代し
ても、即座に対応策が打てるようにしておくことが重要だ。

しかし、昔から危機時の対応が難しいので、危機に対して、リーダ
ーの考え方が重要であり、リーダーのあり方が論議されてきたので
ある。東洋思想には、その知恵が詰まっている。

江戸時代までは、武士階級、リーダー層は、素養として身に着けて
いたし、戦前までは、知識人の多くが素養を持っていた。しかし、
今は、だれも顧みないようだ。

そのため、危機時の対応はできないのであろう。特に菅首相は、苦
労人で、素養を付ける時間がなかったと思う。その時は、素養のあ
るアドバイザーに教えを乞うことである。

私は基本的に理系であり、文系ではないので、十分な素養があると
は思っていないが、日本のトップにある方々には、東洋思想の素養
を持ってほしいと望むだけである。

さあ、どうなりますか?



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