6191.リーダーの危機時の考え方



今の菅首相のリーダーとしての考え方に大きな問題を感じている。
リーダーが危機的な状況に対して、どうのように考えることが重要
かを述べたい。

少し前には、安岡正篤先生のような東洋思想家がいて、政治家にリ
ーダーとしての心得を教授していたが、今はいない。このため、政
治家の考え方が、どうもおかしくなってきたように感じている。

また、伊藤肇氏のような帝王学を東洋思想を元に解説する人もいな
くなっている。

その上、平和な時代が続き、国民の命が危ない危機的な状況になっ
ていなかったことで、危機時の考え方が忘れられているようにも見
える。

このような状況で、社会の危機的な状況に的確に対応できる人が、
そもそもいなくなったような印象を行けている。

危機時の対応には、「為政三部書」の中に、民生の安定を政治の最
重要課題としなければならないとし、政治とは、陰陽の調和を図る
ことであり、民心の動向が最重要なことであるとしている。

自分の評判や評価ではなく、民心を得るには、どうしたらよいか、
いろいろな人の利害などの調和をどうとるのが良いか考えることで
ある。

そして、民心を得ることは、民生の安定につながるのだ。自民党は
いろいろな人たちの調和をとってきたから、長期政権を維持してい
る。

そして、危機時には、「義」に沿って判断しているかどうかを内省
する必要がある。自分として、評判を気にしないで、何が正しいか
に基づいて判断することである。

そのためには、いろいろな情報をとり、非難を甘受して、何が正し
いかを常に探る努力である。

もう1つ、正しい情報を持つ人や判断の正確な人を積極的に登用す
ることだ。それなしに、正しい判断はできない。それと、危機に動
じない冷静沈着な態度でいることである。危機的な状況では、皆が
動転した状態になるので、それに同調しないことだ。

そして、危機時には、より危機的な状況を想定して、それに対応す
る政策をすることであるが、状況は変化するので、臨機応変に対応
することも必要である。情報が変われば、それに対応する政策を打
つことである。

そして、最後に「出処進退のタイミングを誤るな」だ。自分の思い
通りに事態が進まないのであれば、自分の考え方に問題があると、
思わざるを得ないはずである。

その時は、他の考え方をする人に、道を譲るべきである。

このような東洋思想の知恵がなくなってきたことが、日本の衰退の
原因とも見えるので、非常に悲しいが、述べてみた。


コラム目次に戻る
トップページに戻る