6187.オリンピック後の対応をどうするか?



オリンピックが始まるが、それと同じ時期に感染爆発が起きる様相
である。コロナ感染症との戦いと競技の戦いの2重の戦いが始まった
。その検討。 津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年7月9日は34,870ドルの最高値で、12日は125ドル高の34,996ド
ルで過去最高値、13日は107ドル安の34,888ドル、14日は44ドル高の
34,933ドル、15日は53ドル高の34,987ドル、16日は299ドル安
の34,687ドル。

7月第3週は、9日の続きで12日は最高値を更新したが、その後は景気
の懸念から下がっている。銀行は国債金利の下落と各連銀の当座預
金の金利引き上げで、当座預金に資金を移動して積み上がっている。

もう1つが、コロナ感染者数の増大で世界経済が減速する可能性を
見ている。

英国で新規感染者数が6カ月ぶりに5万人を突破。デルタ変異株が
その大部分を占めるし、インドネシアでは新規感染者が過去最多の
5万6757人を記録。タイも新規感染者数が1万82人。

米国でもワクチン接種率が55%台で止まり、ワクチン接種が進まない
ことで、米国のコロナ新規感染者数が7万4000人を上回り、このま
まいけば4月半ば以降で最多となりそうで、ワクチン効果での消費
拡大は、3ケ月しか持たないようだ。

このため、FRBもテーパリングに進めないでいる。それに対して、ニ
ュージーランド中銀は量的緩和を中止して、来月にも利上げに向か
うようである。カナダも量的緩和中止への観測が出ている。という
ように米国以外のアングロサクソン国は、テーパリングの方向のよ
うである。

しかし、FRBは月1200億ドルの債権を買い、政府は財政出動を行うこ
とで、米国の消費は好調であり、そのため、中国からの輸入も増え
ていたが、中国のウイグル地域が絡む製品の輸入を禁止して止めた
ことで、米中ともに歯車が狂い始めたとも見える。

その上に、膨大な資金を市場にバラまいたことによる資金の流動性
過剰で、ポケモンカードが1億円という高額で取引され始めた。バブ
ル絶頂期の様相になっている。景気後退と資金流動性過剰の2つが
結びつくことになる。

ということで、そろそろ、グレーリノ(灰色のサイ)の足音が聞こ
え始めているように感じる。米国以外のアングロサクソン国はテー
パリングに動いている。しかし、最初にバブル崩壊するのは、米国
ではなく、中国の可能性がある。ということで、皆様もバブル崩壊
に注意が必要である。

というように、コロナ感染症と資金流動性過剰の戦いが始まってい
る。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年2月16日に30,467円と高値更新し、7月9日は27,940円で、12日は
628円高の28,569円、13日は149円高の28,718円、14日は109円安の
28,608円、15日は329円安の28,279円、16日は276円安の28,003円。

12日は大幅な上昇になった。緊急事態宣言が発令されたが、感染者
数はそれほど増えていないことで、楽観的な見方が出たが、14日以
降は一転、感染者数が増加したことで下落になっている。9日と12日
に窓を開けて上昇したが、その窓埋めになりそうである。

その上に、中国と米国の景気がおかしくなっているという観測も出
て、輸出への警戒感が出始めている。

日銀は景気浮揚策として、金融機関の気候変動対応投融資を支援す
る新たな資金供給制度(気候変動対応オペ)を行うとして、当座預
金のうち、0%付利のマクロ加算をオペ利用残高の2倍とし、マイ
ナス金利の部分を圧縮する。もう1つが、銀行に対して、貸付利率
0%で、円で貸し付けるとした。

脱炭素へ政府と日銀が共同歩調で取り組むことになったようである
。コロナ後の景気浮揚策が脱炭素しかないようである。

一方、日本もコロナ感染症と衰退経済の戦いが始まっている。我慢
の限界点に来た飲食店の反乱でコロナ感染が拡大しているが、その
歯止めの方法がない。緊急事態宣言の効果がなくなってきて、人出
が宣言前と比べても同じである。

その上に、最低賃金引き上げ決定で、苦しい飲食店、観光業などの
中小企業は2重の苦しみを味わっている。自民党の基盤は中小企業の
はずが、その中小企業を苦しめていることになる。選挙前にありえ
ない決定である。自民党は、選挙に負ける決定を複数も行ったこと
になる。

このため、これまでの政策評価は、菅政権の支持率で分かるが、7
月の世論調査で29.3%となり、政権維持の危険な水準になってしま
った。ということで、次の選挙は菅政権では、自民党の負けが決ま
ったようなものである。

2.ワクチン優先順位の変更とワクチン・パスポートを早く
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東京、沖縄は緊急事態宣言で、神奈川、千葉、埼玉、大阪が蔓延防
止等重点処置宣言の延長になった。7月12日から8月22日まで。

西村コロナ担当相は、酒を提供する店の情報を金融機関に渡すこと
や酒の卸に対して酒を提供する飲食店に売るなという指導も撤回す
るとした。

倒産寸前の飲食店は、緊急事態宣言でも店を開けることになり、一
般人の私権の制限もしないことで、感染拡大の防止の方法がなくな
ったことになり、感染の歯止めがなくなっている。

このため、感染者数は増大の方向になっているし、近未来も増大に
なる。東京は1日の感染者数が1400人を超えて、近々に2000人以上の
感染者数になる。

しかし、65歳以上へのワクチン接種が進み、50歳台の重症者が増加
している。全国の職域接種より、東京・神奈川・大阪などの感染者
数が増大する地域の50歳/40歳台の接種を先に進めた方が良い状況に
なっている。

そして、感染者数が増大するので、緊急事態宣言中でもあり、飲食
店や観光地の客数が減り、それと飲食店への補償金が払われないこ
とで、倒産が現時点でも増えている。

倒産寸前なので、飲食店も開けるしかない。そうすると、感染者数
が増えることになり、雪だるま式に感染者が増えることになる。

この解決には、ワクチン接種済の65歳以上の高齢者の飲食店での飲
み会を解禁して、旅行も自由にさせるべきである。そして、65歳以
下でもワクチン接種完了した人から飲食と旅行を解禁するしかない。

65歳以上の時間に余裕がある人たちは、生きているうちに、仲間と
飲みたいし、旅行をしたいという大きな欲求がある。この欲求を開
放するだけで飲食店と旅行業者は、大きく潤うことになり、観光地
も喜ぶことになる。

ワクチンパスポートを発行して、それによる消費を奨励するべきで
ある。ワクチン接種した人へのGOTOトラベルやGOTOイートを行うべ
きである。そうしないと、飲食店も観光地も干上がってしまう。

やっと、西村コロナ担当相も言い始めているが、早くからその方向
を打ち出して、飲食店のサポートをするべきだった。しかし、平等
というワードを持ち出して、その施策に反対する人たちがいる。

日本経済の衰退段階になり、そのような理想を述べる余裕がないは
ずである。理想より経済の方が優先レベルが高い。経済衰退は多く
の人を不幸にしてしまうからだ。

ワクチン2回接種して、PCR検査の陰性証明書を持って、ある用事で
仙台などに行ってきたが、ホテルは客数が少なく、値段が割引して
いるし、高速道路は空いて渋滞もなく、観光地も人出が少ない。こ
のようなことでは日本経済、特に地方経済はダメになると思った。

もう、1年半になり、このままにしたら日本経済も地方経済も持たな
い。ワクチン接種で重症化しないなら、軽症を含むコロナ感染者数
ではなく、重症者数で政策を決めることである。

よって、ワクチンの接種優先順位の決め方が問題になる。このまま
にすると、感染が広がらない地域の接種率が高く、感染者数の増加
が止まらない地域の接種率が低い状態になる。

そのうえ、感染拡大地域は大都市であり、飲食店数も多く、旅行者
数が多い地域でもある。この大都市の接種率が低くなっている。こ
れにより、感染者数も重症者数も大都市が危機的になっている。

よって、接種の全体計画を感染状況を見ながら、臨機応変に変えて
、感染者数ではなく重症者数で見ることと、重症者数を抑えて経済
を回すことである。

この日本経済衰退段階までくると、重症化しない若者の感染を止め
ることもできないし、重症化する40歳代以上にワクチン接種をする
ことを優先して、感染拡大の防止ではなく、重症者数の防止に切り
替えて、対応策を考える必要になる。

ということで、
政策評価方程式=F(経済max、重症者数min、変数ワクチン配布、
ワクチン接種対象者の年齢)であるとみる。

3.オリンピックで感染爆発が起きる
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このように日本の感染者増大の状況で、世界から多数の人たちが集
まり、コロナ感染症の只中のオリンピックになった。85%の選手
はワクチン接種をしているが、日本人ボランティア、業務委託者な
どのワクチン接種が遅れて、オリンピックに間に合わなかった。こ
れにより、選手村での感染が出ている。

まだ、始まっていない時にこうなるので、恐らく競技が始まれば、
感染者数がどんどん増えることになりそうである。

選手が感染すると、競技に出られなくなるので、各国選手団も感染
に気を付けることになるが、選手村には競技開始5日前にしか入れな
いことで、ホテルでの滞在になる。しかし、日本人と選手を完全に
分けることができないホテルも多数あるはず。

ということで、感染爆発が起きると見て、対応策を考えるしかない。
もしかすると、史上初めて、オリンピック途中中止の可能性もあると
見える。

しかし、日本の良いところは、米国や欧州と違い、宗教や党派、人
種でのワクチン接種拒否がないことである。接種拒否率が40歳以上
ではほとんどないことで、重症者数を抑えることができると見通せ
ることである。

このため、感染者数より重症者数を基準にして、ワクチン接種を行
い、進めることで、11月時点では、米国や欧州の重症者数より2桁
も違う少ない数の重症者数になるはずだ。

重症者数を基準にすると、今でも様相が第3・4波とは違うので、
もう少し見た段階で、政府と専門家が評議して、基準を変更した方
が良い。

その上で、感染症の区分も変更して、インフルエンザのレベルにす
ることである。今の基準は、ワクチン接種が進んだ時にはおかしい
ことになっているからである。

もう、コロナ感染症は重症化しないので、恐ろしくないことにする。
今の死者数は、他の病気で死んでもコロナ感染があれば、コロナの
死になっているが、原因は違う可能性もあるからだ。コロナで重症
化した数を数えるべきなのだ。

さあ、どうなりますか?



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