6186.衆議院選挙はどうなるか



東京都議選の結果は自民党の苦戦でした。この結果を受けて考える
と、衆議院選挙は大変なことになる。その検討をする。 津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2021年7月2日に34,786ドルの過去最高値で、5日は休場、6日は208ド
ル安の34,577ドル、7日は104ドル高の34,681ドル、8日は259ドル安
の34,421ドル、9日は448ドル高の34,870ドルで過去最高値。

7月第2週は、10年国債金利が1.24%まで下落して、6月には2%を超え
ると見られいたのとは大違いである。これはワクチン接種を拒否す
る人が45%もいて、その非接種者を中心にコロナ再拡大により、今後
景気停滞になるとの懸念が出て週前半は、軟調な展開になった。

しかし、9日に10年債金利が1.361%まで上昇したことで、一転9日の
NYダウは上昇して過去最高値になった。

それでも長期金利が低下したのに、ハイイールド債金利も低く、リ
スクに備えて資金を安定債権に移す動きも見えない。金価格も上昇
していない。

原油は一時の高値80ドル/Bから下がっている。コモディティ全般も
上昇後、下落になってきた。景況感が読めない相場になっている。

その代わりに、市場のゆがみ(skew=スキュー)を数値化した指数
は170と高く、市場で想定外の事象を意味するブラックスワン(黒い
白鳥)が出現する確率が高いと見えている。このため、市場が警戒
をしているようである。

どちらにしても、市場の債権、株式、不動産、コモディティなどの
相関性がなくなり、何が起こっているのか見えなくなっている。市
場の怯えも説明できないで、下がると思えば、上がるという不安定
な相場になっている。

この原因は、市場にはインフレシナリオ(景気上昇)とデフレシナ
リオ(日本化:景気下降)の両方が併存して、その間を揺れ動いて
いるようにも見えるからであろう。

そして、米長期金利が下がったので、ドル高が一服して一時109円台
を付けている。

それと、原油の生産量を調節するOPEC+会合でUAEとサウジが対立し
て、生産調整ができなかった。UAEは、来年4月以降の生産を調整し
ないで増産すると主張して、サウジとぶつかった。米国のシェール
・オイルの生産量も原油価格の上昇でも1090万バレルと増産していな
い。このため、80ドル/Bまで上がる可能性があるが、来年4月以降は
一転、大幅な価格の下落になる。

もう1つ、気になることが出てきた。カート・キャンベル米国家安
全保障会議・インド太平洋調整官が「アメリカは中国と平和的に共
存できる」とし、「台湾の独立を支持しない」と述べていることで
ある。

これは、中国融和政策である。トランプ氏の中国敵視政策を変更し
たように見える。日本も米国が中国敵視政策をしているとみている
が、心配していたようにバイデン政権は、中国との関係を融和的に
調整し始めている。米国経済で中国の存在が大きいことを示してい
る。その上、米民主党左派は中国との関係を問題視していない。

中国の台湾進攻時に、米軍が出て来ないかもしれない。日本は自国
防衛のために中国軍と戦うが、米軍は議会の反対で遅れると思われ
る。第2次大戦でドイツとの戦いを遅らせて、英国は敗戦寸前まで
いっていた。これと同じようなことになる。

米国の大戦略は、中国軍がミッドウェイあたりまで来た時から反撃
をしても十分、間に合い、中国軍の消耗が進んだ段階で参戦した方
が、自国軍の損害が小さいとみている。

ということで、日本は、自国防衛を自衛隊で守るしかないのである。
米軍を頼れないとみた方が良い。このためにも決戦兵器の開発が、
緊急を要しているのである。そして、その配備をだ。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年2月16日に30,467円と高値更新し、7月2日は28,783円で、5日は185
円安の28,598円、6日は45円高の28,643円、7日は276円安の28,366円
、8日は246円安の28,118円、9日は177円安の27,940円。

9日に28,000円割れになった。これは緊急事態宣言が発令されたから
である。海外投資家も売り越しになり、29,000円台も遠くなってき
た。

ワクチン接種が進み、65歳以上の1回目は70%になり、全体でも6月末
に28%になっている。このため、コロナ後を見据えた企業業績好転を
先取りしていたが、その期待がはげ落ちたことになる。景気回復が
後づれになることが確実である。

もう1つが、7月8・9日にETFの配当金支給で8000億円の売りが出る
ことがわかっている。この影響を受けた可能性も指摘されている。

その上に、緊急事態宣言で五輪無観客化になり、五輪の観客期待の
飲食店や旅行需要も期待できなくなった。

というように、良い材料がなくなってきた。

しかし、指数先物の猛烈な売りで下げたので、午後には日銀ETF買い
入れの期待があり、午後、買戻しが入り177円安で終わった。しかし
、朝方は27,419円まで売り込まれていた。そこから500円も戻したこ
とになる。

しかし、実際は日銀ETFの買い入れはなかった。TOPIXが午前1.98%の
下げで、2%下げになっていなかったからである。

2.ワクチン接種と都議選の結果
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東京、沖縄は緊急事態宣言で、神奈川、千葉、埼玉、大阪が蔓延防
止等重点処置宣言の延長になった。7月12日から8月22日まで。

そして、ワクチン接種は、現状では1日100万回以上の接種であるが
、ワクチン在庫の関係から、1日120万回が限度だと。そして、五輪
は無観客になった。

田村厚労相は、コロナ感染症の分類を変更する可能性を示唆した。
そろそろ、ワクチン接種が50歳代以上に行き渡れば、重症化率が下
がり、家での静養を基本として、重症化したら病院に入院するとい
うことになると思われる。感染者数の増加だけで緊急事態宣言を出
すこともなくなるはず。

そうしないと、飲食店での酒提供禁止を続けると、すべての飲食店
の経営ができなくなる。

飲食店への補償金が払われないことで、倒産が現時点でも増えてい
る。この結果が、心配していた通りに都議選で出てきた。

自民党だけは入れないという人が、多数いたので自民党が勝つこと
はないとみていたが、やはりである。

小池知事は、都民ファーストの会を最後に応援して、それを報道機
関が大々的に取り上げたことで、今回も“小池マジック”で意表を
突いて、苦戦すると思われた選挙を傷の少ないものにした。

これで首相への道をつないだことになる。というより、小池首相へ
の道にビック・チャンスが到来した。

この状況をいち早く、取り込もうと中谷元氏が、小池都知事との国
政での連携を指して、「衆院選後に『小池新党』との保守合同を真
剣に検討すべき」と述べた。そして、二階幹事長も「国会に戻るな
らば大いに歓迎だ」と述べた。

それに対して、小池都知事は、国政復帰の可能性について、「知事
職にあって新型コロナウイルス対策や東京五輪・パラリンピック(
開催準備の)の真っただ中にある。(国政復帰は)頭の片隅にもな
い」と否定した。ということは、それらが終われば、国政復帰は、
あり得ることになる。

小池氏は、自分の行動をどうすれば、一番効果的にできるかという
目線で奇襲作戦を計画するので、現時点ではの状態だと認識する必
要がある。

この上、自民党との関係をつなぐために、小池氏は「二階先生から
はいつもご指導いただいており、感謝申し上げたい」と述べた。国
政復帰の芽があることを言った。

3.衆議院選挙の予測とシナリオ
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2014年統計では、飲食サービス業で約480万人、フード・ビジネスに
従事する従業員数は1,014万人で、合計1500万人。その上に旅行業で
220万人となり、計1700万人と、この家族と含めると3000万人以上の
規模となる。

自民党が票を失った数で、しかし、この票は立憲民主党などにも行
かず、保守系政党に行くことが予想できる。それも東京や大阪など
の都市地域に集中している。東京圏の人口が3000万人、大阪が500万
人なので、この数字は大きいことがわかる。

その上に、西村コロナ担当相は、酒を提供する店に金融機関に金を
貸すなと指導するとしたことで、この都市票は自民党から確実に離
れた。この発言前に内閣官房のHPに載っているので、菅首相も了解
していたか、指示したとも思われる。

このことで、自民党にも政府にも、旅行業界や飲食店の倒産の危機
感が伝わっていないことがわかる。暢気なものである。このため、
過去に請求した補償金もほとんど、支払われていない。資金繰りが
追いつかなくなっているはずで、その苦境を理解していないことに
なる。

ここは、自民党にお灸を据えるべきである。そう思える自民党の動
き、衆議院選挙も苦戦することになる。特に、都市部の選挙は厳し
いはず。

飲食業界や旅行業界以外の大企業は安泰であるが、その従業員数は
全人口でも15%程度であり、それも組合員は野党に投票するので、自
民党は期待ができない。

このため、飲食店などの中小企業を中心に自民党は地盤を固めてい
たはずが、この体たらくである。コロナ対応で、大事な支持基盤を
壊してしまった。これに気が付かないのは、如何ともし難い致命的
なミスである。

西村担当相が否定しても、飲食店などの経営者は自民党は敵と思っ
たはずである。早いうちから自民党政府に逆らっていたグローバン
ダイニングが儲かっているのに、自民党政府の指示を守ってきた飲
食店が危機的状況になっているのも頭にきている。

自民党は、逆転の秘策を考えることである。それが中谷元氏の『小
池新党』と『維新の会』の保守合同であろう。東京と大阪を保守政
党である小池都知事と吉村府知事に任せて、選挙後保守連立政権を
作ることである。

小池マジックや維新マジックなどにいかんなく発揮してもらい、東
京圏と大阪圏、名古屋圏をこの2つの政党にとってもらうのである。

保守の複数政党になり、自民党は嫌だという人も保守党があれば、
もう1つの政党に投票する可能性がある。

そして、地盤が固い現職は自民党で出て、地盤がまだ固まっていな
い候補者は、自民党ではなく小池新党か維新の会などで出ることで
ある。自民党の推薦を出してもよいが自民党への風当たりが強い地
域では、自民党は候補を立てないで、応援することである。

これにより、大負けを防ぐことしか方法がない。それを東京都議会
選挙は示していた。立憲民主党も議席が伸びていない。

そして、連立政権の首相には小池氏がなるしかない。自民党総裁は
菅さんであるが、この致命的ミスで、首相失格である。そして、小
池政権幹部には二階さんもいるのであろう。

というシナリオが書けることになる。おそらく、このシナリオが一
番抵抗感がない。これが二階幹事長のシナリオでもあろう。

自民党タカ派は、それに異議を申し立てるが、自民党への抗議の声
が届いていない暢気な人たちなのであろう。自民党の危機であると
いう認識がない。

さあ、どうなりますか?



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