6176.今こそ、ワープスピード作戦



やっと、菅政権は、ワクチン接種に積極的になってきた。コロナ禍
を終わらせる方向にシフトしたようである。一歩前進。しかし、次
にそのスピードを加速する必要がある。      津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで3月23日に18,591ドルまで急落したが、2021年4
月16日は34,200ドルまで上昇して最高額を更新。4月30日は33,874ド
ルで、5月3日は238ドル高の34,113ドル、4日は19ドル高の34,133ド
ル、5日は97ドル高の34,230ドル、6日は318ドル高の34,548ドル、
7日は229ドル高の34,777ドル。

5月5日から過去最高額になっている。株価は35,000ドルを超えるこ
とになりそうである。しかし、GAFA+Mの決算発表で大幅な増益にな
っているが、株価は下落している。このため、ナスダックは低調で
ある。

イエレン財務長官が、資産価格の上昇を受けて、金利上昇も仕方が
ないと発言したことで、金利上昇の可能性が高まったとして、ナス
ダックが売られた。その後、この状況を見てホワイトハウスがイエ
レン財務長官に「FRB管轄の金利に触れるな」と注意したことで、イ
エレン氏も発言の修正を行った。

現時点、家計に占める政府給付金は30%にもなっている。この給付金
で仮想通貨や株などを買っている。このため、資産価格が上昇して
いるのである。

そして、7日発表の雇用統計で事前予想100万人増の所、26.6万人増
と低調になり、FRBが量的緩和縮小に慎重になるとしたことと、長期
金利が1.47%と1.5%を割り込んだことで、NYダウ、ナスダックともに
大幅な上昇となった。為替はドル安方向になり、108.6円までドル安
円高になっている。

雇用が増えないのは、失業者対策での給付金が大きくて、就職する
と収入が減ることになるので、雇用が増加しない現状がある。もう
1つが雇用確保のために給与増額が必要になり、インフレを加速す
ることになる。

バイデン大統領は、法人税増税の率を企業サイドの意向で25%とする
ことに前向きになってきた。大幅な増税では議会を通らないと見た
ことで、そのような方向になっているが、バリュー株には良い方向
である。

世界経済の復旧を加速させるために、ワクチン特許権放棄をバイデ
ン大統領は言い始めた。このため、ファイザーとモデルナの株価が
下落している。

このように世界の先進国では、コロナワクチンの接種率が上昇して
、コロナ禍を抜け、徐々に正常化に向かい始めている。その先頭を
飾ったのがカナダである。

カナダ中央銀行は、量的緩和縮小と公定歩合の引き上げの方向と発
言して、徐々にコロナ禍の金融緩和から金融引き締めにシフトする
方向を出してきた。カナダドルが上昇している。続いて、英中銀も
金融緩和縮小の検討開始のようである。

もう1つ、人の移動を緩和する方向で、ワクチン接種終了を条件に
、EUへの旅行制限の解除の方向である。このため、ワクチン接種
終了を証明するパスポートが必要になっている。益々、ワクチン接
種が遅れると、逆鎖国状態になることが明確化している。

ワクチン接種でコロナ禍を脱したが、次の関門が待ち構えている。

G7外相会談では、中国対応でG7は協力していくことを確認した。
これに対して、中国はインドのコロナ危機で支援を強化して、イン
ドを西側諸国から切り離す事を狙っている。
インドを「クワッド」から抜けさせて、中国包囲網を崩そうとして
いる。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年2月16日に30,467円と高値更新し、4月30日は28,812円で、連休明
けの5月6日は、518円高の29,331円、7日は26円高の29,357円。

日経平均は連休明けに大幅な上昇でスタートした。NYダウの値上が
りで日経にも買いが入っている。

4月25日から5月11日の緊急事態宣言は、延長になり12日から5月末ま
で延びた。案の定、旅行業界、エンタメ業界、レジャー関連と飲食
店業界は、厳しい状態が続くことになる。しかし、緊急事態宣言で
も人出は減らないので、感染者数の減少は期待ができない。

しかし、コロナ被害業界の株価は下がったので買戻しであり、輸出
企業の業績は非常に良いが、株価が思ったほどには上昇しない状態
だ。そして、世界景気が良くなり、市況関連株は上昇している。

世界的な移動緩和のためにはワクチン接種が必要条件になっている。
企業の業績に、ワクチン接種が直結することになる。

大企業には必ず産業医がいて、企業ごとにワクチンを配布すること
で、社員やその家族を企業施設内に集まってもらい、産業医に打っ
てもらうようだ。早くしないと日本が逆鎖国状態になる。企業とし
ても早くする必要がある。

2.今こそ、ワープスピード作戦
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5月11日までの緊急事態宣言は延長されて、5月12日から5月31日にな
り、対象地域も東京、大阪、兵庫、京都に加えて福岡、愛媛にも宣言
が発令された。蔓延防止等重点処置は、神奈川、千葉、埼玉、愛知
、北海道、岐阜、三重の7県に増えている。しかし、要請が出てい
た石川、茨城、徳島3県への適用を見送った。対象地域であった宮
城は外れた。

今、一番気を付けるべきはインド型コロナ変異種であり、しかし、
既に日本に上陸している可能性が高い。今までのコロナ変異種とは
大きく違い、アジア人が持っている免疫機能をすり抜けることが分
かっている。10歳未満の子供も掛かり、早い速度で重症化するよう
だ。

英当局も、インド型「B.1.617.2」と呼ばれるコロナ変異種を「VOC
(懸念すべき変異株)」に指定した。そして、今の所、ワクチンは
有効としている。

このインド型コロナ変異種の登場で、状況は大きく変化した。いち
早くコロナワクチンを日本人全員に接種する必要になってきた。65
歳以上の高齢者だけではなく、16歳以上の全員に接種することであ
る。

菅首相も会見でそのことを言っていたので、分かっているようであ
る。

このコラムで提案したコロナ感染症対策がやっと、菅政権で始めて
実行するようになったことは良いことである。

尾身会長も、PCR検査、抗原検査を無症状の人にも行う必要性がある
と言及した。この無症状者への検査は、このコラムでは当初から強
く実施するべきと主張していたことである。

やっと、日本もまともな感染対策を打つことになったようである。
そして、現在もっとも重要なのが、コロナ・ワクチンの接種スピー
ドを上げていくことである。既にファイザー製とモデルナ製ワクチ
ンで、日本の16歳以上全員分を供給されたという。

このため、国家総出でワープスピード作戦とでもいう作戦を行うこ
とである。65歳以上の接種は6月末に終わり、9月末には16歳以上の
国民にワクチン接種を終わらせることだ。

5日6日時点の1日当たり接種回数は、高齢者1.6万回強+医療従事者
33.1万回強=合計34.8万回強で、このスピードでは全員9月末は無理
だ。医師だけの注射を打つ人では足りない。

そのためには、中央政府と地方自治体が連携して、スピードを上げ
ていくことである。歯科医師、医師、看護師を総動員して、ワクチ
ン注射を打つ人にして、足りないなら薬剤師に研修をして注射を打
つ人を増やしていくことだ。

1日200万回以上の接種にしないといけない。このため、問診を医師
が行い、注射を打つ人は歯科医師や薬剤師、看護師という体制にし
ないと無理である。

そして、五輪を行うためには、6月末までに選手、大会関係者全員に
ワクチンを打てばよいだけであり、ワープスピード作戦の職域への
接種の一環で行えばよいことになる。そうすれば、比較的安全な大
会が開催できることになる。それしか、大会を成功させられない。
これもこのコラムで、述べたことだ。

世界保健機関(WHO)で緊急事態対応部門を統括するマイケル・
ライアン氏も、今夏の東京五輪の開催を望んでいると表明した。ま
た、インド型コロナのリスクがあるので、大会形式に関する判断の
多くは直前になるとしたが、この前提が選手と大会関係者のワクチ
ン接種終了であろう。

そうすれば、五輪で、看護師を500名取り、医師も300名取っても、
国民は納得するはずだ。要は、一般国民の思いより、先手を取って
主導権を握る必要があるということだ。そうしないと、民心は離反
するので選挙もできないし、やっても負けることになる。

五輪優先ではなく、国民優先で行った結果で、五輪もできたという
ことをアピールしてしか、国民を説得できないと思う。

首相の「現在、看護師で休まれている方もたくさんいると聞いてい
る。そうしたことは可能だ」と述べたが、これでは国民は納得しな
い。ワクチン注射の打つ人を増やせとなる。

しかし、国民優先の接種をした結果、選手にも大会関係者にも接種
出来たなら良いはず。

そして、五輪終了後、9月にでも選挙をすればよいのである。そうす
れば自民党の勝利が期待できる。菅首相の続投も可能になる。

選挙後、今回のコロナ禍を反省して、早急に非常時対応の憲法改正
と関連の法律を作り、周りから嫌われる覚悟で通すことだ。戦争対
応ではなく、感染症対策のための憲法改正なら、野党も反対ができ
ない。このため、立憲民主党も国民投票法の改正を認めたのである。

憲法改正の大きなチャンスになっている。そして、一度憲法改正を
行えば、必要に応じて、憲法改正ができることになる。

憲法9条の改定ではないことが重要である。最初は国民全員が納得し
て憲法改正を行うことだ。

さあ、どうなりますか?



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