6173.コロナ第4波で日本衰退か?



コロナ第4波で、4月25日より3回目の緊急事態宣言となる。このコ
ラムでワクチン接種が遅れると、東京五輪開催もできず、経済崩壊
にもなると再三警告したが、その予測通りになっている。
今後を検討する。                津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、コロナで3月23日に18,591ドルまで急落したが、2021年4
月16日は34,200ドルまで上昇して最高額を更新した。4月19日は123
ドル安の34,077ドル、20日は256ドル安の33,821ドル、21日は316ド
ル高の34,137ドル、22日は321ドル安の33,815ドル、23日は227ドル
高の34,043ドル。

株価は一進一退の状況になっている。バイデン大統領は、富裕層の
増税を言い始めている。キャピタルゲイン税を20%から39.5%に大幅
な増税を実施するとした。

しかし、そのような案が議会を通過する可能性は無いという見方が
広がり、投資家が押し目買いに走ったことで、株価は一進一退の状
況になっている。株価の強い上昇期待は続いている。

これを裏付けるのが、PUTオプションのショートが多数あり株価の下
落はないとする考え方を示している。それと債券市場から株式市場
に資金がシフトしていて、この資金流入で株価が支えられている。

債券金利は1.6%程度であり、バリュー株の配当利回りは3%あり、ど
うしても資金はそちらにシフトする。もう1つの資金流入先がハイイ
ールド債で、このETFのHYG価格も上昇して、まだ価格暴落で金利の
上昇が起きていない。もし、金利が上昇すると、株価下落の予兆で
あるが、それが起きていないことも安心感になっているようだ。

この状態がいつまで続くのか、定かではないが、法人税も増税にな
り、その分利益は減ることになるので、今後、株価の上昇を期待で
きるのは、ハイテク系の成長株しかない。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年2月16日に30,467円と高値更新し、4月16日は29,683円で、19日は
2円高の29,685円、20日は584円安の29,100円、21日は591円安の
28,508円、22日は679円高の29,188円、23日は167円安の29,020円。

日経平均は一進一退であり、29,500円と29,800円のレンジで上下し
ていたが、コロナ感染拡大で緊急事態宣言と中国との関係が難しく
なることや中国景気の上昇一服から株価は下に抜けた。

このため、引き続き、レンジ相場であるが29,300円から28,500円と
下のレンジにシフトしたようである。

そして、再度、4月25日から5月11日の緊急事態宣言の発令でコロナ
での外出自粛になり、空運陸運、レジャー関連、旅行関連、飲食業
界の業績は最悪になる。

多くの企業が倒産や廃業に追い込まれて、失業者が多数出てくるこ
とになる。この業種の株価は最悪になるが、倒産しないなら、一番
安値で買えることになる。

ワクチン接種の遅れは、日本経済に大きなダメージを与えると見て
いたが、それが予想通りになってしまった。

このため、今期決算も当初期待したほどには良くならないと、株価
を下押しするし、逆に、コロナ自粛で活況になる業界の株は、上昇
することになる。

日本全体では、景気の失速になるし、多くの会社が借金漬けになり
、金融機関は不良債権が多くなり、日本経済に大きな後遺症を残す
ことになる。コロナが解決した後が問題になる。

2.緊急事態宣言の発令
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大阪、兵庫、宮城で、4月5日に「まん延防止等重点措置」が発令さ
れ、4月12日から東京、沖縄、京都にも発令され、そして4月20日か
らは神奈川、千葉、埼玉と愛知にも発令された。

その上に4月25日から5月11日まで東京、大阪、兵庫、京都には緊急
事態宣言が発令された。尾身会長はステージ3になるまで、緊急事
態宣言は延長される可能性があるとしたが、菅首相は延長を考えな
いとした。

5月17日に、IOCバッハ会長が東京に来るので、それまでには、緊急
事態宣言を解除したいようである。五輪ありきの見栄を気にするが
、当初から五輪開催という目標に向けて、積極的なコロナ防御をし
なかった政策には失望感しかない。

その上、今回のコロナ変異種は、今までのコロナとは大きく違い、
軽い接触でも感染し、10歳未満の子供も掛かり、40歳代で重症化す
る。このため、今までより強い感染防止策が必要になっている。

このため、大阪府の吉村知事は、個人行動を抑止する法令が必要だ
と述べている。欧州などの都市封鎖に近い事が必要になっている。

このように、感染力が強いコロナ変異種に対抗するには、早く、モ
デルナとアストラゼネカ、J&Jのワクチンを特例承認して、国民のワ
クチン接種率を上げて、この危機に対応するべきであるし、。数か
月前から忠告しているが、それをしなかった報いが来ている。

感染者が、1日1万人以上になるのは時間の問題で、五輪に合わせて
、感染者はうなぎ上りに上昇していく。東京でも1ケ月もしない内に
、1日感染者が2000人になるので、第4波が一番大きいことになる。
死者数もそれに合わせて、上昇してくる。これからがコロナ禍の本
番を迎えるということだ。

よって、日本は、感染者が少なく世界とは違うとも言えなくなる。
日本も世界並みに感染者が急増する。本当の都市封鎖も必要になる
。コロナ感染が軽いうちに、本格的な防御対応しなかったことによ
る。

3月8日の「p0653.平時対応で東京五輪を開催できるのか?」で述べ
たように、英ジョンソン首相が五輪開催を強力に支援するとして、
優先的にアルトラゼネカのワクチンを日本に供給するとしたが、そ
れを断った。

五輪開始にはワクチン接種が必要であるから、戦時対応するべきだ
が、今だに戦時対応をしない。今後、接種を急速に進めるには、英
国と同様に注射をする人の確保が重要であるが、歯科医師を認める
にも、日本医師会の反対で躊躇している。

看護師にも注射を認めて、英国のようにボランティアを募り、研修
後注射を行う体制も考える必要になっている。注射をする人を多く
しないと短期に接種が終わらない。英国の接種状態から判断できる。

下村自民党政務調査会長は、このままであると、65歳以上の高齢者
への接種が終わるのは、2022年春になるという。菅首相は7月末には
高齢者の接種が終わるとしたが、そのための有効な対応策を打たな
い。

自衛隊の医師・看護師を動員するというが、高々全国で1万人程度で
ある。その程度では7月終了は無理だ。言葉とその政策が一致してい
ない。すべて、その場限りの言葉だけだ。

ファイザーが、9月までに国民全員分のワクチンを供給してくれると
菅首相は電話会議で約束したというが、ファイザーは交渉中という
のみであり、欧州へ1億人分を追加供給するというが日本分の言及が
なく、菅首相の言葉は、その場限りであった可能性が高い。

河野担当相も5月からアストラゼネカとモデルナのワクチンも接種す
るとしたことは、ファイザーのワクチンが追加されないことを意味
している。ファイザー追加分でアストラゼネカのワクチンを使わな
いと思ったが、違うようである。それだったら、早く使えばよかっ
たことになる。

重症者収容の病院もベット数も増えていないし、コロナ対応の看護
師が大量に辞めている。コロナ対応病院の赤字も限界である。コロ
ナ対応ができるように病院経営に手を打っていない。少しの援助で
、多くを求めるから民間病院も手を上げられない。手を上げたら倒
産してしまう。医師も看護師も逃げていく。

良い例が、東京女子医科大病院である。多くのコロナ看護師や医師
が重労働にも関わらず、給与や賞与を減らされて、疲弊して辞めて
いる。病院が大幅な赤字になっているので、賞与も出せない。

そのような結果で、ワクチン接種を大会関係者、ボランティアや選
手にできず、コロナ対応の医師・看護師も不足の中、変異種が拡大
する事態になり、早期に五輪を中止すると宣言するしかない。この
まま、東京五輪を開催すると、世界に感染を広げるエピセンタにな
りかねない。

それより、このまま五輪を開催すると、コロナ対応の看護師も五輪
に取られて、コロナと五輪で一層医療崩壊も進んでしまう。日本の
コロナ対応もできていないのに、その上に、五輪対応で医師・看護
師を取られて、医療不足に輪を掛けることになりかねない。

五輪とコロナで大規模な医療崩壊が起きて、多くの死者を出しても
、東京五輪を行う価値があるのであろうか。

軽い接触で感染するコロナ変異種の登場で、五輪開催は難しいこと
になった。なぜ、このようなことが分からないのか、不思議であり
、道理が通じないので、あきれるとともに大きな怒りを感じる。

このような日本の状況を見て、米国を含む主要な国のオリンピック
委員会は、選手団派遣に尻込みする事態であり、事実、豪州の水泳
選手は、テスト大会の日本に来ないとした。

ということで、米ホワイトハウスも、東京五輪に選手を派遣しない
と判断する可能性が出ている。バイデン大統領は、科学的でない、
指導力もない日本のコロナ対応にあきれている。それが訪米した菅
首相の粗末な対応にも出ていた。

そして、自民党幹部でも逃げ手を打つような政治的な動きも出てい
る。自民党の二階俊博幹事長が中止も選択肢との考えを示し、丸川
珠代五輪担当相も、これを否定しなかった。

というように、リーダーの指導力不足で、日本は沈んでいくことに
なる。

個人や医師会などは、自己の狭い利益で判断しているが、この狭い
利害を超えて、一国のリーダーは国全体の利益を考え判断して、個
人や医師会の利益を超越した政策を強力に推し進める必要がある。

その点、英国のジョンソン首相はリーダーの見本である。医師の治
療範囲の規制緩和を危機時に大きく推進させている。そして、早期
に国民のワクチン接種を進めている。見習うべきだ。

もう1つ、ワクチンが原因で死亡する例も出ている。今までに日本
でも10人の死亡者が出ている。恐らく、ファイザーのワクチンでも
1000人の死亡者が出る。アルトラゼネカのワクチンでは、その数倍
は出るので合計で5000人程度の死亡者が出るはず。

特に寝たきりの高齢者や癌などの重い既存症がある人、90歳以上の
高齢者には接種させないことだ。トリアージではないが、老い先の
短い人に無理して、ワクチンを打つ必要はない。それと、アルトラ
ゼネカのワクチンは、50歳以上にしか接種しないとかの制限も必要
になる。

それでも、接種自体は、強力に推進することである。集団免疫がで
きれば、接種していない人も感染しにくくなる。

もう1つが、10歳未満の子供でも感染するので、学校の閉鎖やオン
ライン授業も必要になる。そして、近い将来には、15歳未満の子に
もワクチン接種が必要になる。

学校閉鎖を必要でないとしたことは、10歳未満の子供でも感染する
ことを文科省は知らない可能性を感じる。政府全体でのコロナ分科
会、もしくは安全保障会議で感染予防策を議論するべきである。今
は首相と数人の担当相だけで議論して、政府全体への周知ができて
いない。原発事故時の取り巻きだけで政策を決めていた菅首相と同
じ対応をしているようだ。

それと、4月25日から5月11日まで緊急事態宣言で、経済的には6990
億円の損失が出るが、そこでコロナ感染拡大が収まらないと、1回
目の緊急事態宣言と同様に6兆円もの損失になる。

緊急事態宣言で外出自粛になるが、今の感覚では日本人は、外出自
粛ができずに、感染拡大を止めることができない。個人行動を抑制
する外出禁止の罰則付きの法律ができるまで、当分、感染拡大が止
まらない。どうも、長期に渡るコロナ慣れ、コロナ疲れが出ている。

それに伴ない、コロナ死者数も多くなるが、失業者数もより多くな
り自殺者も多くなることが想像できる。貧富の差も拡大して、多く
の若い人たちが将来を悲観することになる。

英ジョンソン首相のような強力な指導者が国の危機時には必要であ
るが、残念だが菅首相にはない。今、小泉純一郎のような強力なリ
ーダーがいれば、私の提案を実行したと思う。このような強力なリ
ーダーが危機時にいないことが、日本を衰退させるとことになるし
、なったとも言える。

このコラムで、未来を見て何回も忠告してきたが、一切無視されて
、その結果、日本が衰退するのは、まことに残念だ。

さあ、どうなりますか?



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