6170.五輪開催が絶望か?



4月5日に「まん延防止等重点措置」を大阪、兵庫、宮城に発令した
。このままであると6月には再度、緊急事態宣言発令の可能性も出
てきたし、東京は3週間遅れで大阪に続くことになる。五輪開催は
できるのでしょうか?   津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2020年2月12日29,568ドルまで上昇が、コロナで3月23日
18,591ドルまで急落し、2021年3月26日は33,072ドルで最高更新し、
29日は98ドル高の33,171ドル、30日は104ドル安の33,066ドル、31日
は85ドル安の32,981ドル、4月1日は171ドル高の33,153ドル、2日は
休場。

4月1日に、NYダウは最高額を更新した。この上昇は3月31日のバイデ
ン大統領の2兆ドルのインフラ投資計画発表を受けたことによる。
バイデン米大統領は8年間で2兆ドル(約220兆円)規模をあてるイン
フラ投資計画を発表し、企業増税で財源を賄う。演説で「数百万人
の雇用を生み、中国との国際競争に勝てるようにする計画だ」とし
た。

内容は、道路や橋の改修などに6210億ドルで、この中にはEV充電所
の50万か所分が入る。半導体製造設備に3000億ドル、研究開発に
1800億ドル、高速通信設備に1000億ドル、再生エネルギーに1000億
ドル、高齢者・介護等に4000億ドルなどとなっている。

半導体への投資が大きい。このため、インテルは200兆ドルの投資を
計画しているし、TSMCは米国内に工場を新設すると発表した。
日本は半導体分野では、製造装置と素材分野でトップ企業があり、
その工場を米国に新設するように日米首脳会談で言われることが確
実である。

4月2日に雇用統計が発表された。非農業部門雇用者数は前月比91万
6000人増でエコノミスト予想中央値は66万人増より大幅な増加とな
り、米国の景気は復活しているが証明された。失業率も6.0%に低下
して前月6.2%より0.2%減少した。これを受けて4月2日の株価が大幅
な上昇と言いたいが、4月4日のイースター復活祭のお休みで休場で
ある。

その結果、月曜日の日本の株価は、大幅な上昇で始まることになる。

しかし、先週はアルケゴス・キャピタル・マネージメントが破綻し
た。この破綻で金融機関は6000億ドルの損害を受けたようである。
その内、野村は最大2200億円の損害と報道されている。

このように、金融緩和と財政出動によるバブル崩壊を予兆する出来
事も起こり始めている。ファミリー・オフィスはレバレッジなどの
規制を受けていないので、最大のレバレッジを掛けて、そのため、
株価の18%下落で破綻してしまうことになったようだ。

特に、米中対立で、NY市場で上場停止が取りざたされている中国預
託証券ADRの大幅な下落が、このような事態を起こしているが、他に
も似た事象が起きている可能性は否定できない。

その上に、法人税を21%から28%へ増税することや海外での利益に対
して21%課税することになった。これにより企業利益は確実に減るこ
とになる。今後、富裕層向けの増税も計画されている。

その時、市場はどのように反応するのであろうか?
ファンドなどの投資機関が、大量株売りを出して、故意に株価を大
幅に下げて、政府の増税に反対することも考えられる。

そして、それでも増税を行うなら、数年後には、富裕層が海外に逃
げて、米国は債券安、株安、ドル安のトリプル安になると、米国フ
ァンドマネージャーは見ているようだ。

米国は、対中関係を競争関係としたが、中国も自分の陣営を構築し
始めている。日米韓の協力関係強化会議と同じ日に、中韓外相会議
を行い、米国陣営の分断を図るなど、中国も自陣営の強化に乗り出
している。

そして、王外相は、中東5ケ国歴訪や東南アジア諸国の外相会議など
、米国陣営に取り込まれそうな国を中国に取り込む動きをしている
。一方、米国は米軍を中東から引き上げて、アジアにシフトしよう
としている。石油から再生エネルギーや米国内の天然ガスにシフト
するために、中東の重要性が無くなっている。

このため、サウジなどは米国から中国に乗り換える動きになってい
る。

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日24,270円で、コロナで2020年3月19
日に16,358円まで下げ、2021年2月16日に30,467円と高値更新し、
3月26日は29,176円で、29日は207円高の29,384円、30日は48円高の
29,432円、31日は253円安の29,178円、4月1日は210円高の29,388円
、2日は465円高の29,854円。

週前半はアルケゴスの影響で下がったが、週後半はインフラ投資計
画で大幅な上昇をした。来週も前半は米国の雇用統計の影響で高く
なるが、高値圏にあるので、十分な注意が必要である。

循環物色になり、バリュー株が高くなったので、再度グロース株に
戻り始めている。また、第4波の影響で、一時航空株や鉄道株にシフ
トしたが、再度、そこから離れてきている。

日本企業も米中対立の影響を受けることになる。その準備が必要に
なっている。特に工場が中国にある企業は、米国の対中関税の引き
上げで、米国への輸出ができなくなり、中国製部品がある日本製品
も対象となる可能性が考慮しておくことが必要になってくる。

2.五輪開催が絶望的に
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3月22日に東京で緊急事態宣言が解除されたが、先週号でも懸念して
いたが、新規感染者数の増加が止まらない。そして、大阪、兵庫、
宮城で、4月5日に「まん延防止等重点措置」が発令される。

大阪は緊急事態宣言を2月末で解除したが、1ケ月で再度感染者が増え
て、「まん延防止」を発令することになった。東京は3月22日に解除
したので、大阪と同じく、1ケ月後の5月には「まん延防止」を発令
することになる。

大阪ではコロナ変異種が蔓延して、感染者数の半分が変異種になっ
ている。コロナ変異種は感染力が強く、かつ、子供でもかかるよう
な進化をしている。東京でも、大阪とは違う変異種が徐々に増えて
いる。

ワクチンの認可遅れにより、日本国民の1%未満しか接種されていな
い。ファイザーだけではなく、少なくともJ&Jやモデルナのワクチン
を認可するべきである。米国や英国は約半数の人が接種を受けて、
コロナによるロックダウン解除が進んでいる。

それに比べると、日本の遅れは致命的なレベルになっている。

諸外国では、コロナ感染症との戦いと言うことで、戦時対応をして
いるが、日本は、今でもコロナワクチンの認定を平時モードで行っ
て認可しないでいる。このため、ファイザーのワクチンしか接種で
きない。このため、ファイザーのワクチンの取り合いになっている。

逆に、認可が早いと副作用などの問題があり、日本の評論家に叩か
れる心配があるが、他国での接種が進んである程度の副作用が分か
った時点で、緊急認可するべきである。

世界の接種情報からアルトラゼネカのウイルスベクター・ワクチン
は、血栓ができやすいということが分かってきた。運び屋のウィル
スの選び方が悪かったような気がする。また、中国やロシアのコロ
ナ不活性ワクチンを接種して、コロナに感染する事例が出ている。
こちらも不活性のレベルが重要なのであろう。

というように、問題があるワクチンの認可はしないことである。し
かし、副作用の低いワクチンの認可も遅過ぎである。副作用がない
ワクチンはないので、低いレベルなら認可するべきだ。

日本人の治験が必要というのは認可が遅くなるし、コロナでの正常
化を大幅に遅くすることになる。

コロナワクチンで早期にコロナ回復を想定して、株価が下がった株
に買いが入ったが、第4波が予想されて、株価は再度下落している。
コロナ被害業界に光が見えない。

そして、ここまで必死に企業継続に努力してきたホテル、レジャー
施設、飲食業界も、とうとう力尽きてきた。身売りやホテルの廃業
がラッシュになっている。ワタナベ・ウエディングのように超優良
企業が自己破産を申告する事態になっている。

コロナ対応政策の失敗で、日本経済は大きく損なわれる事態になっ
ている。持続化給付金も尽きようとしている。

この大きな原因は、コロナ禍でもワクチンの認可をしない厚労省の
頑なな対応と、コロナとの戦いを戦時モードにしない菅首相の指導
力不足によることは明白である。

もう、怒りすら感じる事態だ。早く、日常を返せと叫びたくなる。
このようなことをやっていると、自民党に反省を促すために、選挙
でも自民党の大負けになる。

その上に、このような状態でGOTOトラベルを再開するという。地方
自治体が行う地域限定のGOTOトラベルへ補助金を政府は出す。

何を間違えたか、よりコロナ禍を拡大させる方向に政府は向かうよ
うである。そろそろ、国民の我慢も限界に来ている。

早くワクチンの特別認可をするべきだ。そして、1日でも早く、英
国やイスラエルなどと同様に、前の日常を取り戻すことだ。

ワクチン接種までは、定期的に病院関係者や入院患者、高齢施設の
職員と入居者にPCR検査を行うべきである。飲食店の従業員にも月1
回程度のPCR検査をして、感染拡大を防ぐしかない。

そして、五輪の聖火リレーも福島を出発したが、すでに大阪市はパ
スすることになった。今後、聖火リレーは「まん延防止」を発令さ
れた地域をパスすることになる。

この状況で、国際水泳連盟は、東京五輪テスト大会2つを含む日本
開催の3大会について、日本側へ中止を通告した。コロナ感染防止
の入国後の隔離措置を不安視して、審判などの関係者が渡航を拒否
したことによる。

しかし、日本側で対応する大会関係者全員が、ワクチン接種してい
ないので、コロナ感染者ではないと完全に言える日本側大会関係者
はいない。このため完全な隔離措置は不可能である。全ての関係者
が毎日PCR検査を受けて、対応することも経費的にできない。

この状況は、ワクチン接種を大会までにする必要があると言った私
の見解を、世界の選手が同じことを言っていることになる。そして
、現在の状態は、少なくとも五輪まで続く。ということは五輪開催
は、絶望的になったことを意味する。

その上に、今後東京の感染拡大を受けて、6月にも発出の可能性が
ある緊急事態宣言が出されたら、海外選手団、審判などの渡航拒否
が起こることは確実である。

このような事態になり、日米会談も4月前半から4月16日に変更され
た。米国内で五輪の対応を検討する時間が必要になっていると見え
る。

そして、米国の選手団が日本に来ないなら、自動的に五輪は開催不
可能になる。

先週には「もし、緊急事態宣言が発令されたら」としたが、現時点
では、ほぼ確実に6月には緊急事態宣言下になり、その後に五輪を
行うことになる。7月も感染者が拡大している可能性もある。

このため、米国選手団の渡航拒否で五輪中止になる確率が大きくな
ったと言わざるを得ない。

菅首相の指導力不足が致命的なレベルで、危機対応時に何も決めな
いし、この状況を何もせずに、漫然と過ごしている。危機時の判断
力が決定的にないと言わざるを得ない。

そして、五輪開催不能となると、9月の自民党総裁選挙まで、菅首
相でよいのかと言う議論が出てくる。そろそろ議論が自民党内で始
まっているような感じもする。このままでは自民党大敗が見えてい
る。

さあ、どうなりますか?


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