6169.本当に五輪開催できるのか?



3月22日に緊急事態宣言を解除したが、新規感染者数が増加傾向にな
って、このままであると5月前には再度、緊急事態宣言発令の可能性
も出てきた。五輪開催はできるのでしょうか?   津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2020年2月12日29,568ドルまで上昇が、コロナで3月23日
18,591ドルまで急落し、2021年3月15日は32,953ドルで最高額になり
、19日は32,627ドルで、22日は103ドル高の32,731ドル、23日は308
ドル安の32,423ドル、24日は3ドル安の32,420ドル、25日は199ドル
の32,619ドル、26日は453ドル高の33,072ドル。

26日にNYダウは最高額を更新している。3月19日にFRBが自己資本規
制(SLR)の緩和処置を3月末で終了させると発表したことで、米銀
が資本規制に準拠するために国債を売って10年米国債金利が上昇し
たと思われていた。

しかし、実際は日本の保険会社などが期末調整のために、大量の米
国債を売ったことで金利が一時的に上昇したのだという。このため
、その後、金利の上昇は起こっていない。金利は1.6%内外で安定し
ている。

しかし、米国のナスダックと小型株の指標であるラッセン2000、半
導体SOX指数が大幅な下落になり、バリュー株に買いがシフトしたこ
とで、NYダウが上昇した。

この原因は金利上昇ではなく、利益確定の売りだと思われる。ナス
ダックは2020年初から100%増であり、ラッセン指数は130%も上昇し
ている。3月末は税金の納入や第1四半期決算日であり、その化粧の
ために、売られたと思われる。

そして、バリュー株価が上昇すると、再度安くなったグロース株に
買いが戻ることになる。物色の循環が起こることが想定できる。

今の米国や日本などは、株価を日銀やFRBがコントロールする国家統
制経済であり、資金を市中にジャブジャブにしている。このため、
資産と借金の両建て経済になっている。

というように、バブル生成ではなく、国家統制であり、国家が株価
を調整することが現時点ではできていることになる。

この人為的な経済システムが何時まで持続するかが問われている。
そこまでは、安心して投資・投機ができるということである。

コロナ終焉後は、国家統制の金融相場から業績相場に転換する必要
があるが、その転換が難しい。特に米国は、今後も3兆ドルのインフ
ラ投資を行うとして、国家統制経済を続行するという。そして、数
年後には、米民主党左派の主張する富裕層への増税を行うとした。

このため、数年後には、富裕層が海外に逃げて、米国は債券安、株
安、ドル安のトリプル安になると、米国ファンドマネージャーは見
ているようだ。米国からの逃避が起きるという。

自由を失った香港から逃げる人たちは、英国と台湾に行くことにな
り、日本へは来ないし、コロナ禍で日本も受け入れないので、人口
増加のチャンスを失ったが、米国から逃げる富裕層の取り込みにチ
ャンスがある。

東京などは、英語圏からの人を取り込む環境が徐々に出来てきたの
で、米国富裕層を取り込むことができるはず。この富裕層とその人
たちへのビジネスを得られれば、日本復活が確かなものになる。

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日24,270円で、コロナで2020年3月19
日に16,358円まで下げ、2021年2月16日に30,467円と高値更新し、
3月19日は29,792円で、22日は617円安の29,174円、23日は178円安の
28,995円、24日は590円安の28,405円、25日は324円高の28,729円、
26日は446円高の29,176円。

日銀が、3月19日に日経ETF買いをしないと宣言したことで、日経平
均株価は、大幅な下落になってしまった。週後半はその買戻しで上
昇した。このため、TOPIXは、それほど下がっていない。

このような日銀の政策ミスと、期末のポートフォリオ組み換えがぶ
つかったことで、N225の下落がきつくなったようだ。このため、パ
ラボリックではN225もTOPIXも陰転したので、当分は下落にも注意が
必要である。

このコラムでは、相当前から、日銀は基準を決めて、売り買いをし
ないといけないと何遍も述べている。買いだけだと、いつかは持続
できなくなり、買いを絞らざるを得ないと述べていたが、この状況
に、今なったようである。

これを避けるために、リスクプレミアム時に買いを大きくして、上
昇時には、少しづつ売ることで、日銀の手持ち株数を制御し、ETF買
いを長く続けた方が良いと述べているが、今もって、それをしない
でいる。横に逸れた。

今は下げているが、四季報によると、来期予想は企業全体で20.3%の
増収になるので、株価が上昇する可能性が高いという。

ということで、この下げは、押し目の可能性が高いことになる。買
いのチャンスとも言えることになるようだ。

2.バイデン政権の冷戦構造構築
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米バイデン政権の外交は、中国にもロシアにも強く出ている。日本
はロシアに甘く、欧州は中国に甘い対応をしていた。中国との紛争
に備える日本と、ロシアとの紛争に備える欧州では、中露を同盟さ
せない事では一致していたが、対応する戦略が違っていた。

しかし、米バイデン政権は、日欧をまとめるために、中露と敵対関
係になることで西側陣営を一本化した。特に中国の戦狼外交により
、欧州も日米と協調した対中共同戦線を構築し始めた。

反対に、中国はロシアとの同盟化を進めるようである。そして、ロ
シアは憲法を改正して、日本との関係を悪くする方向の決断をした
。日本の援助を期待できなくなるが、その分、中国からの支援を期
待できるようになるという計算であろう。

中国も欧州との関係に配慮していたが、ウイグル問題で悪化してい
る。ウイグル地域での綿花栽培はウイグル人を奴隷のように働かせ
ているとして、欧米企業が新彊綿を使わないとしたことで、中国は
国家主導で、新彊綿を使わないH&Mなどの企業をボイコットした。

それと、ウイグル人権問題で、欧米と中国が相互に制裁を掛け合っ
ている。

このように、欧米と中露が敵対し、経済の分離(デカップリング)
が起こっている。このように、昔と同じような東西冷戦構造になっ
てきたようだ。

そして、中国も米国陣営に負けないように、中国陣営構築に乗り出
している。まず、イランとの25カ年協定を結び、中国がイランに技
術や製品を提供し、イランは原油を提供するようである。経済面で
の同盟国を構築している。

逆に、米英は中国の一帯一路に対抗する案を練っていて、中国志向
の発展途上国を切り崩す方策を取るようである。このため、発展途
上国のどこかで米中の代理戦争が起きる可能性も出てくることにな
る。

明るかったグローバル時代から、暗いセパレート時代がやってくる。

3.本当に五輪開催ができるのか?
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3月22日に緊急事態宣言が解除されたが、先週号でも懸念していたが
、新規感染者数の増加が止まらない。そして、緊急事態宣言解除で
、皆が旅行や会食を行い始めている。

東京は、3月26日376人で、3月19日303人から1.24倍になている。
再生産実行倍率が1.2より大きいことになり、4月中に1日の感染者数
は500人を超えることになる。これから急激に増加するはず。3月27
日は430人となって、500人まであと少しになっている。

もう1つ、10歳未満の新規感染者が14人もいる。コロナ変異種が蔓
延していることを伺わせる。コロナ変異種は感染力が強く、かつ、
子供でもかかるような進化をしている。また、ワクチンの効きを弱
めるとも言われている。

ここは、感染防止をしてコロナ変異種を蔓延させずに、ワクチン接
種で、コロナ禍を乗り越えたいが、その方向ではなく、変異種を蔓
延させる危険方向に、意図せずに日本国民は行ってしまっている。

その上に、このような状態でGOTOトラベルを再開するという。地方
自治体が行う地域限定のGOTOトラベルへ補助金を政府は出す。

勿論、旅行業者やホテル業者への経済補助としては有効であるが、
宮城県限定のGOTOイートでコロナ感染者数を増加させた事例もあり
、本当に補助になるかどうかは分からなくなっている。

コロナ禍を早く収束させることが、経済的に重要なことであり、そ
のためのコロナ変異種拡散を防ぐ必要にあるが、逆に行動している。

5月までに、ワクチン接種が65歳以上の高齢者に行き渡っていないこ
とで、死者数・重症者数が増加する可能性が高くなっている。

一応、6月末までには65歳以上の高齢者の接種が終わることになっ
ているが、緊急事態宣言は再度出さざるを得ないことになる。

そして、五輪の聖火リレーも福島を出発している。しかし、この聖
火リレーに対して、資金を供給する米国放送局NBCは、聖火リレーを
中止するべきと論評している。

もし、再度、緊急事態宣言が発令されたら、その時、NBCなどや米国
世論で五輪中止を主張されて、中止になる可能性も出てくる。米国
の選手が派遣されないことになるからである。

このためかどうかは知らないが、菅首相は4月に訪米することになっ
ているが、その日程が決まらない。菅首相は、バイデン大統領に五
輪見学のための訪日を依頼するというが、米国の選手団が日本に来
ないなら、五輪のための訪日はないことになる。

どうも、米国は、日本の感染状況を見ているような気がする。五輪
の中止か開催かを瀬踏みしてから、菅首相に会うような気がする。

また、緊急事態宣言解除で自民党内で議論されていた4月に衆議院選
挙を前倒しで行うこともできない。感染者数増加中に、選挙運動を
行うことは、感染者数を増やすとして、大きな世論の反発を招くこ
とになる。

さあ、どうなりますか?



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