6167.米中の新冷戦入りし熱戦に



18日にアラスカで米中外相級会談が行われたが、怒鳴り合いという
すごい状況であった。今後の米中新冷戦とその後の熱戦を検討しよ
う。                    津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2020年2月12日29,568ドルまで上昇が、コロナで3月23日
18,591ドルまで急落し、2021年3月12日は32,778ドルで史上最高値で
あり、15日は174ドル高の32,953ドル、16日は127ドル安の32,835ド
ル、17日は189ドル高の33,015ドル、18日は153ドル安の32,862ドル
、19日は234ドル安の32,637ドル。

今週はFOMCが注目された。FOMCで、金融緩和縮小のテーパリングに
言及したら暴落したが、2023年まで金利は、ゼロにすると明言して
その心配は払拭されたので、17日は株価上昇したが、長期金利上昇
を抑える10年米国債の買入れは言及しなかった。

このため、1日空けた18日、長期金利が1.75%まで上昇したことで、
ナスダックと小型株が大きく下落した。長期金利上昇放置でFRBは臨
む可能性があり、市場の混乱は続くことになりそうである。

しかし、長期金利が上昇しないと、米国債を買ってくれる人がいな
くなるから、放置するしかない。その内に市場がFRBの根気に負けて
、金利上昇になれるはずと米国債を大量に発行するイエレン財務長
官も鷹揚に構えている。

そして、金利上昇が早かったら、政府預金口座から民間銀行に資金
を供与して、長期国債を買わせることも視野に入れているようであ
る。

長期国債の金利上昇が早いと、市中金利の上昇も早く民間の資金需
要が抑制されて、景気に大きな影響を与えることになるので、裏の
手を用意している。

しかし、当分、株価は大きく乱高下しながら、下落していくような
感じがする。市場の混乱後、金利上昇にFBRが耐えられなくなったら
、やっと、イールドカーブ・コントロールやツイスト・ペアなどの
長期金利抑制策を出してくることになる。市場の癇癪はいつ起きる
のかでしょうね。

いつ起きるかを見るには、銅価格、木材先物価格、ハイイールド債
価格などを見て判断することが必要になっている。

どちらにしても、ツイストペアなどのFRBの長期金利抑制策が出るま
では、市場は金利上昇で動くことになる。金利が上昇すると株安に
なり、金利が低下すると株高になる。

欧州では、ラガルドECB総裁も、EU各国の国債を買う金融緩和策を取
るが、この推進にあやふやな言葉と3ケ月毎のチェックを行うとした
。ドイツ中央銀行のブンデスバンクがチェックを要求しているから
である。世界が一致して金融緩和策を取り、コロナ不況を克服する
必要があるが、ECBの金融緩和は危ない。

そして、中国は地価高騰で住宅ローンの貸出制限を行い、地価バブ
ル崩壊の可能性が出ている。その上、企業債券のデフォルトが多発
している。中国の金融崩壊にも気を付けておくことが必要になって
いる。

どちらにしても、世界同時株安の危険性が出ている。しかし、米国
の1人1400ドルの給付金効果がある内は、大丈夫であるが、その効果
がなくなった時が危ない。5月以降なのであろうか?

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日24,270円で、コロナで2020年3月19
日に16,358円まで下げ、2021年2月16日に30,467円と高値更新し、
3月12日は29,717円で、15日は49円高の29,766円、16日は154円高の
29,921円、17日は6円安の29,914円、18日は302円高の30,216円、19
日は424円安の29,792円。

日銀政策会合が18・19日に開催されて、ETF買い入れ額の年6兆円の目
安を外し、買い入れをTOPIXだけにするとした。このため、日経平均
は424円も下げたのに、TOPIXは3.7Pほど上昇した。しかし、この意
味は、暴落以外には原則買入れしないことのようだ。

もう1つ、金利幅を0.25%にしたというが、こちらはあまり影響がな
い。銀行経営を助けるためで、銀行に補助金も出すことになった。

FOMCの影響を受けて、米国金利が上昇すると日本の株価も大きく落
ちることになる。このため、当分、不安定な株価になるようである。

2.4波は確実に起きる
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3月22日に緊急事態宣言が解除されるが、新規感染者数の動向とコロ
ナ・ワクチン接種数の動向で、今後の日本の景気や五輪は決まるこ
とになる。2ケ月後に4波は確実に来る。今までの感染動向で分か
る。

この時までに、ワクチン接種が65歳以上の高齢者に行き渡ってい
れば、死者数・重症者数が抑えられることになる。感染者数の山も
低くなるはず。

4月中に、どれだけ迅速にワクチンが手に入り、接種できるかで日
本の五輪開催や今年の景気動向が決まることになる。

河野担当相も5月には大量にワクチンが手に入るとした。期待した
いが、この1ケ月にどれだけ新規感染者数が増えるかも心配である。

政府は5つの対策を打ち出したが、それが有効であるとは思えない
。緊急事態宣言を止めるために急遽出した対策であり、実効性にも
問題がありそうだ。ということで、国民は羽目を外さずに行動して
ほしいと願うしかない。

次回、5月頃緊急事態宣言を出すことになったら、五輪の開催も議
論になるはずで、選挙を前倒しで行うこともできないはず。

再生産実行倍率が、1.2なら5月初めには1日の新規感染者数は900人
程度で、1.1なら500人である。ということは、1.1以下にしておくこ
とが必要になる。

3.米中の新冷戦
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アラスカで米中外相級会談が行われたが、紛糾したようである。米
国のブリンケン国務長官は、中国にウイグルや香港での人権擁護を
要求したが、反対に中国は内政干渉と取り合わなかった。

米国のサキ報道官は「戦略で大きな部分を占めるのは、対中関係に
強い立場からアプローチすることだ」と述べたが、中国の趙立堅報
道官は「米国側は中国を大いに失望させる発言や行動を選んだ」と
した。米中が完全に敵対関係と見える会談になっている。

「厳しく、直接的な対話になると予期していたし、実際にそうなっ
た」とサリバン米大統領補佐官は会談後に記者団に語った。

この外相級会談の影響は、広範囲に及ぶことになる。トランプ政権
はディールとしての外交であったが、バイデン政権は人権など価値
観外交になって、議論の余地がない。取引ではなく、絶対的な価値
を言うので交渉の余地がない。

救いなのが、バイデン大統領が中国を名指して批判していないこと
である。国務長官が対中強硬な態度で臨み、最後は大統領がまとめ
るという外交であると期待したいが、バイデン大統領は足腰も定ま
らないほど、弱っている。

カラマ・ハリス副大統領がほとんどを代行している状況である。こ
の米政治体制が心もとない。米政府閣内の意見がまとまっているの
かも不安になる。

そして、米国も中国も、第2次太平洋戦争の準備を開始した。中国の
軍事費は23兆円にもなり、軍事費に計上していない軍事費も合わせ
ると米国と同等レベルになっているとも言う。

中国軍幹部は、米中戦争になる予測理論である「トゥキディデスの
罠」を公言している。米軍は第2次太平洋戦争が起きた時にどうなる
のかのシミュレーションを行い、補給戦線を延ばした旧日本軍と同
じ失敗をすると見ているようである。

中国は戦争を覚悟しているのか知らないが、台湾を中国の領土であ
り、そこに内政干渉するなと強硬に言い始めている。徐々に言う範
囲が大きくなっている。

このため、米国は同盟国をまとめて、戦争に備え始めた。この一環
として、英国、フランス、ドイツの軍艦もアジアに送り、日米豪印
の「クワッド」と一緒に軍事訓練を行い、戦争準備を進めている。

戦争準備の一環として、中国なしでも困らない生産体制を整えつつ
ある。中国を除いたサプライチェーンの確立である。このため、戦
場になる台湾にあるTSMCの工場を米国に建てさせることで、戦
争時でも半導体の補給ができるようにする。同様に戦場になる可能
性がある日本企業の必要な工場も米国に招き入れるはずだ。

逆に、中国では、米テスラ車を軍人や政治家が使用することを禁止
して、軍事機密や軍事施設の場所を特定されないようにするという。
また、日本企業の工場を非常に良い条件で中国に招き入れようとし
ている。しかし、戦争時に工場を徴収できることになる。技術と人
を敵対国日本から確保できる。

両国ともに、すべては、戦争に備えるためにである。このような解
説をする説を見たことがないが、今の米国と中国が行っていること
は、戦争準備、戦時体制構築である。

そして、日本国内でも、対中強硬路線の言動が多いが、日本は今後
起こるであろう第2次太平洋戦争時には最前線に位置していることを
考量していないことが恐ろしい。最初に中国の核ミサイルの票的に
なるのが、日本各地の基地や都市である。

このため、米国が中国と冷戦になることはいたし方ないが、熱戦に
なることは避ける思慮を米中に求める必要がある。

また、中国側の楊潔チ共産党政治局員も米中会談の冒頭で「日韓は
中国の第2、第3の貿易相手国で、ASEANは今や最大の貿易相手国だ」
と経済的な結びつきを誇示したが、冷戦であっても経済面での打撃
はあることも考えておくことだ。

日本企業の中国進出は限定的にして、工場の進出は止めるべきであ
る。進出している企業は撤退を視野に入れることである。今から中
国市場に出ていく企業があるが、米中戦争前夜に出ていくことは無
謀である。

それであっても、米中両国で協調できる地球温暖化対策などで両国
トップ層が会談できる雰囲気を作ることが必要になる。そして、ト
ップ会談で、合意できる範囲で合意して、雰囲気を和らげることで
ある。

今の状態で米中がいがみ合うと、いつか熱戦になると心配になる。

このまま進むと、数年後、突如、中国が台湾・尖閣侵攻作戦とグア
ムへの攻撃を同時に行うことで戦争になる可能性がある。米国も中
国も、お互いに第1次太平洋戦争を研究して、今後の戦争を予想して
いる。中国は、日本の真珠湾攻撃と同時に行った南方侵略作戦を研
究しているはず。

中国は、世界の経済力のある国を敵にして戦い、味方で期待できる
のは、発展途上国とロシアしかないが、そのロシアも最終段階では
、中国を裏切ることになる。中国の勝つチャンスはほぼないことを
プーチンは見抜いている。やっても中立であろう。

今の中国の戦狼外交は、世界的にあまりにも多くの敵を作っている
からだ。特にインドを敵にしたことは致命傷である。戦略分散にな
る第2戦線を作ってしまったことになる。このため、最終的には中国
は負けるが、日本も戦場になるので、大きな痛手を受けることにな
る。

この大戦により、戦後、グレート・リセットになる。そのように見
通すしかない世界的な経済社会状況にもなってきた。ダボス会議の
グレート・リセットは、第2次太平洋戦争の戦後の社会経済体制のこ
とであろう。

米国経済は、量的緩和で行きつく所まで行っても、貧富の格差は拡
大し、経済の正常化もできない。このため、大戦争でリセットする
必要になっている。

中国経済も金融崩壊に近いために、戦争が必要である。両大国とも
にリセットのために、戦争が必要になっているようだ。

ということで、日本も突如の戦争に準備が必要である。それと、そ
の戦争での生き残り策を練ることだ。

そして、政治家・自衛隊・学識者などの皆様に、日本が戦場になら
ないような戦略や戦術を研究してほしいものである。

さあ、どうなりますか?



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