6166.どうしても東京五輪を開催するために



IOCと日本、そして中国が東京五輪開催に積極的になっている。世界
的な対立がそれに同期している。その状況を検討したい。
                        津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2020年2月12日29,568ドルまで上昇が、コロナで3月23日
18,591ドルまで急落し、2021年2月24日はの31,961ドルで最高値にな
り、3月5日は31,496ドルで、8日は306ドル高の31,802ドル、9日は30
ドル高の31,832ドル、10日は464ドル高の32,297ドル、11日は188ド
ル高の32,485ドル、12日は293ドル高の32,778ドル。

NYダウは、連日過去最高値になっている。ハイテク株からバリュー株
への流れが起こり、かつ1.9兆ドルの追加経済対策が実施されること
になり、金融相場継続となっている。しかし、金利が上昇している。

これに対して、パウエルFRB議長は、市場を注視するがツイストオペ
や長期米国債の買い付けに言及しない。しかし、市場でFRBは長期国
債を買っているようだ。パウエル議長の言葉と行動は一致していな
い。このため、11日の長期国債入札は無事に消化したが、12日に金
利が再度1.64%になり、ナスダックが下落した。

今後を占うためにも、FOMCが16-17日に行われるが、長期国債の買入
れについて言及するかどうかを注視する必要がある。

もう1つ、ナスダック下落の要因が、米国議会での反トラスト法の
審議で、GAFAの事業分割の議論が起こっているので、投資家はハイ
テク株を買えない。残念だが、ナスダックは当分低調な状態になる。

そして、長期金利が上昇すると安全な米国債に乗り換えるために、
ハイイールド債が売られる。超流動性相場で、バブル崩壊の兆候を
見ようとハイイールド債の金利を投資家は見ている。

このため、ハイ・イールド債をFRBが積極的に購入して、価格の安定
を図るしかない。この安定が崩れると、株の暴落とバブル崩壊にな
るので、優先的にFRBが買いを継続するしかないようである。

もし、買い入れがないなら、株価暴落になる。このように、FRBが株
と債券市場をコントロールしているような感じになっている。

また、バイデン政権のイエレン財務長官は、雇用の質を問題視して
いる。黒人や低学歴の雇用回復が軌道に乗るまで、財政出動を続け
るという。このため、国債の発行量が増えていくので、その消化が
問題になる。

このため、ある程度、長期金利を上げて、日本やEUから米国債の買
いを引き付ける必要がある。日本の保険会社など長期的な資産運用
をする機関投資家は、米国債の1.6%金利が魅力的であり、米国債の
大量購入になっている。その分、日本株を売っているので、日経平
均は下がることになる。

もう1つ、米国金利が1.6%になり、米国の機関投資家は金利0.5%の
日本の金融機関から借りて、米国企業に投資する方が儲けが大きい
ので、キャリートレードの復活の兆しが出ている。2つの事象で、
円安ドル高になってきている。当分、この状況が続くことになりそ
うである。

もう1つ、バイデン大統領は、5月末までに米国のすべての成人向け
に十分な数のワクチンを確保し、7月までには正常化させるとした。
このため、米経済は、7月には正常に戻ることが期待されて、コロナ
後を見据えた株価動向になっている。それと、金利上昇になり金融
株の上昇で、NYダウの上昇になっている。

中国との関係では、ブリンケン米国務長官は、中国外交担当トップ
の楊潔チ・共産党政治局員、王毅外相と米アラスカ州アンカレジで
18日に会談するとした。

この会談でバイデン政権の対中外交の基本線がわかることになる。
特にハイテク制裁をどうするのかや、米中貿易協定をどするのか、
米中での地球温暖化での協力関係などである。

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日24,270円で、コロナで2020年3月19
日に16,358円まで下げ、2021年2月16日に30,467円と高値更新し、
3月5日は28,864円で、8日は121円安の28,743円、9日は284円高の
29,027円、10日は175円高の29,211円、12日は506円高の29,717円。

8日の株価28,743円が底値で、その後株価は戻しになっている。3万
円回復まで、300円弱まで戻してきた。12日のSQも無事に通過した。

5日午後に黒田日銀総裁が長期金利を抑制すると述べたことで、日米
金利差が意識されて、円安になり、ドルベースの日経平均株価は上
昇している。

このため、海外投資は先々週まで売越していたが、先週買越しに転
じた。しかし、生保などの機関投資家が日本株を売り、米国債購入
に向かうので週前半は下落した、週後半は海外投資家が買い越した
ので上昇した。

日銀は株価が高い状態でもETF買入れを行うとしたが、年6兆円購入
という目標値が外すようである。円安になり、景気敏感株に再度、
注目が集まる気配である。18-19日の日銀政策決定会合で決まるよう
だ。

2.日本にイラ立ち、IOCが五輪開催に向け準備
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「P0653.平時対応で東京五輪を開催できるのか?」で菅首相が五輪
の準備をしないことで、五輪は開催できないのではないかと述べた。

しかし、IOCのバッハ会長は「絶対に東京五輪を開催する」と宣
言したので、その言葉に責任を持って、日本の準備不足をイラ立ち
ながら、IOCが主導で、日本の準備不足を解消する方向で根回し
を始めている。

菅首相のリーダーシップが極端になく、言葉に責任感のないことを
実感したバッハ会長は、動き始めたようだ。

東京五輪を開催するのに必要なワクチン不足を解消するために、東
京五輪を開催しない場合、世界からボイコットされかねない中国に
東京に来る選手へのワクチンの提供を交渉して確保した。

中国も東京五輪開催を熱望しているので、了解したようである。こ
のため、選手が北京か東京で接種できるようになった。

しかし、中国製ワクチンを日本は認可しないので、日本人には接種
しないようである。海外選手のために準備することになる。この接
種のために、中国から多数の医師などがIOCのVIP待遇で来日
することになった。

そして、ワクチンの見返りとして、IOCのバッハ会長は、北京五
輪ボイコットを抑えようとしている。

もう1つ、日米豪印の「クワッド」で中国に対抗して、ワクチンを
世界に供給しようという構想の裏をかけるので、中国にとっては、
非常に好都合になる。

途上国にインド製(アストラゼネカ、J&J)ワクチンを日米豪印
で共同で供給しているのに、その本家本元である日本では、中国製
ワクチンを使うことになるので、何やっているのわからなくなる。
お笑い草である。

このため、そのようなことをさせないと、米国が手を打ってきた。
中国のワクチンを東京で使わさせないために、今までは米国は自国
優先でワクチンを調達してきたが、5月までに米国民全員分のワク
チンを確保して、その後、優先的に日本に供給することになるよう
だ。

アストラゼネカのワクチンはウイルスベクター・ワクチンであり、
、ファイザーのメッセンジャー(m)RNAワクチンとは違うこと
で、血栓ができやすいとEUでは拒否が起きている。

日本では、ファイザー製のワクチンでも副作用が出て、徐々に危険
性を指摘する声が出てきている。このため、モデルナのワクチンは
認可するが、ウイルスベクター・ワクチンの認可が日本では難しい
可能性が出ている。

中国のワクチンは、コロナウイルス不活化ワクチンであり、ウイル
スの感染力と増殖力を失わせる一方で、人体の免疫反応を引き起こ
す活性は残した形で作られたワクチンで、ベクターワクチンより危
険性が高い。

この中国のワクチンの治験結果を詳細に見ないと、日本での承認は
難しい。

ということで、米国製のモデルナとファイザーのワクチンを中心に
日本では接種することになる。しかし、河野担当相も6月末までに、
1億回のワクチンの確保ができたというが、2回接種のために5000万
人分であり、日本国民全員への接種ができない。

菅首相は、「東京五輪をコロナに打勝った証拠として開催する」と
宣言したが、現時点では、その有力な武器であるワクチンの確保が
できていない。

米国は5月末には米国民全員分のワクチンが確保できるので、他国へ
の供給が可能になる。6月からは優先的に日本への供給を行えること
になりそうだ。そして、5月から徐々に日本への供給を増やすことに
なる。

米国人でも5月にはワクチン忌避の人が残り、なかなか接種に応じな
くなるので、5月にはワクチンが余ってくる。その上、このワクチン
は2週間しか持たないので、余剰分を日本に回すことができる。

4月に菅首相を米国に呼び寄せて、バイデン大統領から直々にワクチ
ン供給を言い渡されることになると見る。

その代わりに、米海軍との共同作戦への積極参加を依頼されること
になる。中国海軍の増強が進み、米海軍だけの攻撃能力では対応が
できなくなっている。そのために、攻撃力として自衛隊を使うこと
になる。

もう1つ、日本を防衛することから攻撃拠点として日本を使うこと
にもなる。このため、専守防衛から攻撃防衛に日本の安全保障の考
え方を変更する必要になる。

ということで、安全保障とワクチンのバーターになるようだ。

この安全保障の国論変更で菅首相では荷が重いので、9月の自民党
総裁選挙に立候補せずに、河野コロナ担当大臣を菅首相が後継とし
て指名するのであろう。10月には衆議院選挙であり、その顔をして
、英語で喧嘩できる国際的顔として有利な河野さんなら、自民党は
勝てる可能性が出る。

菅さんは、官房長官としては稀に見る有能な人であったが、リーダ
ーとしては無理があったようだ。首相になって名官房長官からダメ
首相になってしまった。名首相の資質と名補佐官の資質には大きな
違いがある。

安倍さんは、世界のリーダー達と渡り合える名首相であったが、ち
ょっと自分の周辺の人に甘かった。しかし、それでも日本の地位を
引き上げた功績は大きい。横に逸れた。

このため、本当は、5月までコロナ流行を抑える必要があり、変異種
もあり、流行すると抑えることが難しくなるために、尾身会長も5月
まで、緊急事態宣言を延長するしかないと述べている。しかし、問
題がある。

それは、5月まで緊急事態を延長すると旅行業と外食企業の苦難が続
き、ワタミもサイゼリアの社長も、このままでは飲食業は存続が難
しいと述べている。

私も新橋に用事で出かけて、昼、すし店に入ったが、多くの人が複
数人で寿司を食べて、マスクもしないで談話をしている。これでは
感染が広がりかねないなと思った。

このため、ランチ外食も自粛してほしいとなると、これは外食産業
は、やっていけないことになる。私自身、旅行も出かけていないの
で旅行業界も危ない。この2つの業界が大変なことになる。

外食産業の市場規模は28兆円、国内旅行の市場規模は10兆円の38兆
円の半分以上は東京圏にあるので、半分がなくなる危機になってい
る。JTBなどは資本金1億円まで縮小して、存続を図るようであ
るが、ホテル業界なども大変なことになっている。

この両業界を助けるために、緊急事態宣言を延長できない。5月には
ワクチンが入ると政府は見て、解除するようだ。コロナで衰退した
産業を復活させるには、緊急事態宣言を早期に止めて、正常化させ
るしかないのだ。GOTOトラベルも再開するのであろう。

コロナ再流行と飲食・旅行業界の維持とのバランスが必要になって
いる。ワクチンが期待できる5月までコロナ再流行が起きないことを
願うしかないようだ。

東京五輪を開くのも開かないのも、世界的な対立の影響までかかわ
り、どちらも多くの問題を抱えているようだ。

さあ、どうなりますか?


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