6162.自民党は解散総選挙をいつ行うのか?



今年の10月までには衆議院選挙を行う必要がある。しかし、いつ解
散するのであろうか?自民党に取って最良の解を検討しよう。
                        津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇が、コロナで3月23日18,591
ドルまで急落し、2021年1月20日の31,188ドルで最高値になり、2月
5日は31,148ドルで、8日は237ドル高の31,385ドル、9日は9ドル安の
31,375ドル、10日は61ドル高の31,437ドル、11日は7ドル安の31,430
ドル、12日は27ドル高の31,458ドルと過去最高値を更新している。

2月5日の雇用統計が4.9万人増加とエコノミスト予想の10万5千人増
より低かった。その上に12月雇用数を22万7000人減(速報値14万人
減)に下方修正したというように、悪い結果になったが、バイデン
大統領が緊急演説で、放置すれば雇用回復は望めない。強行採決で
も1.9兆ドルの追加経済対策の民主党案を通すとした。この期待感か
ら、株価は高値を維持した。

2月9日からはトランプ弾劾裁判も上院で開始して、上院では弾劾裁
判以外の審議ができない状態になっている。下院の審議会で1.9兆ド
ルの追加経済対策案が可決して、下院本会議に掛かることになる。
しかし、上院での審議は弾劾裁判後になる。

米IT企業の決算は、過去最高の利益になり、それも米株の上昇を支
えている。ナスダックを構成する新興IT企業の株価は、上昇が続い
ている。しかし、アマゾンやテスラ株は横バイになってきた。

そして、NYダウは高値警戒感や利食い先行の場面も出てきている。こ
のため、上昇する勢いが無くなってきた。

もう1つ、米国の長期金利が上がり始めている。10年国債金利は1.2%
、30年国債金利は2%と上昇して、金利が上がりドルが強くなり、先
先週には105円台まで行った。

米FRBは、口先介入して金利を下げようとしている。このため、今週
はドル円が104円後半まで戻している。10年国債が2%になると、FRB
は金融緩和策が打てなくなるので警戒している。

金利を下げるには、国債の買い入れが必要であるが、インフレ状況
での金融緩和策は論理的におかしいと批判される可能性があり、で
きない。

このため、「株のミニクラッシュ」を人為的に起こして、市場安定
化のために金融緩和をすると言う名分が必要になると市場関係者は
心配そうに言う。

しかし、現時点で心配なのが、あまりにも株価が高値であり、一斉
に投資家が売りに走り、買いの入らない流動性枯渇した「ミンスキ
ーモーメント」になる危険性である。

このため、FRBが仕掛ける「株のミニクラッシュ」を起こした途端、
投資家が雪崩を打ち、売りに向かい「ミンスキーモーメント」にな
る事態を心配しているようだ。

というようなバブル崩壊の論理的な道筋が見えてきている。いつま
で、金利上昇にFRBが我慢できるかという時点になってきた。

このように、米国株の動向が心配になり、米国投資家は、香港市場
に押しかけている。世界の投資マネーが香港に集まってきている。
米中対立というが、米国機関投資家は、お構いなく中国企業に投資
していることになる。

バイデン大統領は、危機感から、米国内でのサプライチェーン構築
と宣言している。この宣言を受けて、台湾セミコンダクター(TSMC)
は、米国内に工場を作るという。日本にも研究所を作り、次に工場
を建設する計画のようである。

世界の半導体の多くをTSMCが独占的に供給しているが、中国は台湾
侵攻を仄めかしてるので、非常に危険な状態になっている。TSMCも
危険性を見て、日本や米国での生産・開発にシフトするようである。

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日24,270円で、コロナで3月19日に
16,358円まで下げ、2021年1月25日は28,822円で高値更新、2月5日は
28,779円で、8日は609円高の29,388円、9日は117円高の29,505円、
10日は57円高の29,562円と高値更新、12日は42円安の29,520円。

日本株も強い。その原因は、米株が強いのに、連れ高になったこと
であり、3Qの決算発表で10%程度の上方修正が出て、株価が上昇し
たことによる。

それと、海外投資家の買い越しが現先物ともに4000億円程度入り、
N225を押し上げている。しかし、高値警戒感が出始めている。日経
平均からTOPIXやマザーズに物色の矛先が変化してきた。

ワクチンの接種も始まり、コロナ後を見据えた株価の動向にもなっ
ている。

心配なのが政治的な安定がなくなると、海外投資家の買いが入らな
くなることである。そのためにも、衆議院選挙は重要なのである。

2.衆議院選挙はいつになるのか?
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前回、東京五輪ができるかという疑問を検討したが、次の疑問が自
民党優位の状態で衆議院解散総選挙ができるかどうかである。

もし、自民党が負けて大幅な議席減になると、政権が安定しなくな
り、海外投資家が日本から逃げることになる。このため、自民党が
負けても議席数があまり減らないようにする必要がある。大負けを
防止することに全力を注いだ方がよいと思う。

このためには、日程と選挙できる条件が必要になるが、非常にタイ
トになっている。

東京都議会選挙は告示日6月25日、選挙日7月4日であり、この期間は
公明党から自民党は衆議院選挙を自粛してほしいと要請されている。

東京五輪は7月23日から8月8日、パラリンピックは8月24日から9月
5日までであり、この期間は衆議院選挙はできない。

衆議院議員の任期満了は、10月21日であり、そこまでに選挙をする
必要がある。

ということは、今から6月中旬までと、9月中旬から10月初めまでの
期間しかない。

コロナ緊急事態宣言中は、できないから3月中旬以降しかできない。
4月から5月と9月中旬以降の日程的に2つしか可能性がない。

自民党優位になる条件は、五輪を開催できるめどが立ち、ワクチン
の接種が順調で、皆が安心できる状態になることが必要である。最
低でもワクチンの接種が必要である。

選挙前に、「コロナ復興増税」の話はできないはずが、財務省を中
心に議論が漏れてきている。森会長の後任問題でも混乱している。
状況的には非常に良くないことになっている。自民党の欠点が出て
しまっている。難しい選挙になる。

もう1つが、選挙戦での活動でも密が発生するので、選挙戦前には
65歳以上の人のワクチン接種が必要である。どこの選挙も65歳以上
の暇なお年寄りが中心に選挙戦を戦っているからだ。野党も与党も
、ここは変わりがない。

五輪開催でもワクチンの確保と接種を円滑にすることが必要である
が、世界的なコロナ・ワクチン争奪戦が起きていて、4月以降でない
とまとまった量を確保できないようである。

65歳以上の人への接種でも2ケ月以上はかかるので、4月中旬から6月
末までかかると、6月末までの日程はあり得ないことになる。

ファウチ米国立アレルギー感染症研究所長も、東京五輪・パラリン
ピックの開催に向けた新型コロナウイルス対策について「日本の人
々、そして日本を訪れる多くの人々の安全を確保するガイドライン
のようなもの」を作成すべきだと提言したが、ワクチンが不十分な
状態での東京五輪ができるかどうかをガイドライン作成で検証して
ほしいということである。

このファウチ所長の前に、バイデン大統領も五輪ができるかどうか
は、科学的な事実で検証してほしいというし、米国は五輪への選手
派遣ができるかどうか決めていないと断言している。

もう1つ、悪いことに、次のコロナ4波は変異種が中心になる可能性
が高い。アストラゼネカのワクチンは、南アの変異種には効果が限
定的であると言われる。この対応のワクチンがいつ出てくるかも重
要なポイントになる。

もう1つ、経済的な面から二階幹事長は、3月初めから再度GOTOトラ
ベルを行うというので、大都市で感染が確認されている変異種の全
国的な蔓延も想定することが必要になる。次の4波は5月から始まり
、6月に緊急事態宣言を出して、7月には収まるのであろう。

このような複数の条件をスケジュール表に書き込むと、五輪を中止
して、選挙を8月、9月に行う方がよいのではないかと思える。

もし、五輪を開催すると、9月中旬から10月初めの一択になってくる。
これは追い込まれ解散になるので、自民党は大負けの可能性が出て
くるし、野党に突っ込まれて選挙になる可能性も出る。

ということは森会長の後任は、東京五輪中止を根回しできる人が必
要になる。その観点からの人選をするべきだ。敗戦投手を選ぶこと
になるので、なかなか難しいことになる。政治的にも難しい役回り
になる。川淵氏を蹴ったことで、人選がより難しいことになった。

会長人事は御手洗冨士夫名誉会長(キヤノン代表取締役会長)をト
ップに据えた「選考検討委員会」を設置し、後任候補者を選定する
という。35人の理事の中から、10人弱の検討委員会メンバーを男女
比をほぼ半々にして選ぶというが、橋本聖子大臣になる確率が高い
ようである。

ここまでゴタゴタが続いたことで、五輪開催を中止しても国民は納
得できるはずだし、やっても、無観客での試合なら、観光業にもメ
リットがなく、開催中止の打撃は、それほど大きくない。

そして、五輪を中止したら、日程的なゆとりができるので、ワクチ
ンの確保ができた時点で、選挙日を決められる自由度があるのでよ
いことになる。

五輪中止になると、菅首相は辞任の方向であり、選挙後速やかに辞
任すると明言して、自民党の危機感を醸し出して戦うしかないよう
に感じる。去年の11月に選挙をするべきであったと思うが手遅れで
ある。

反対に野党からすると、日程的にタイトにする方がよく、五輪開催
をごり押しした方がよいことになる。野党の皆さんは、五輪中止を
騒ぐのではなく、五輪強行を主張した方がよいことになる。

このように攻守が逆転してくる可能性もあるようだ。

さあ、どうなりますか?



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