6161.東京五輪の開催ができるのか?



東京五輪組織員会の森会長の失言で、東京五輪の開催が危ぶまれて
いるが、それ以上の問題が出ている。それを検討しよう。津田より

0.米国および世界の状況
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇が、コロナで3月23日18,591
ドルまで急落し、2021年1月20日の31,188ドルで最高値になり、29日
は29,982ドルで、2月1日は229ドル高の30,211ドル、2日は475ドル高
の30,687ドル、3日は36ドル高の30,723ドル、4日は332ドル高の
31,055ドル、5日は92ドル高の31,148ドル。

1月27日のNYダウ大幅な下げから回復した。イエレン財務長官はSNS
を用いた株価操作を規制するかどうかを議論するとした。このイエ
レン財務長官の発言で市場は落ち着きを取り戻した。

SECは、調査したが株価操縦とは言えないと報告している。イエレン
財務長官も「市場の信頼性を維持し、投資家保護の確保はできてい
る。」とした。

そして、議会での株式市場の規制議論に移る。その時、議論の中心
は、規制強硬派のシェロッド・ブラウン上院銀行住宅都市委員会の
委員長が大きな権限を持ち、銀行の自己勘定取引を制限したボルカ
ー・ルールが再度議論になる。

もう1つが、SNS上で特定銘柄の買いを呼び掛ける行為やヘッジ
ファンドによる空売りなどの規制強化も議論になる。民主党のウォ
ーレン上院議員は、SNSの行為について「どの程度連携すると違法な
のか、明確性が欠如している」と指摘。インターネット上での行為
も含め、定義をはっきりさせる必要があると主張する。

その上、ウォーレン上院議員は、銀行と証券の分離を柱とする21
世紀版の「グラス・スティーガル法」導入を目指している。どちら
にしても、難儀なことが待ち受けている。

しかし、現時点では、ISM製造業指数、非製造業指数ともに58.1と高
く、景気も良いし、企業の決算報告でも大幅な増益であった。が、
雇用統計は4.9万人増加で、民間部門のプラスが0.6万人で、政府部
門のプラス4.3万人で、民間部門の伸びが鈍い。

エコノミスト予想の10万5千人増より低かった。その上に12月雇用数
を22万7000人減(速報値14万人減)に下方修正した。

このため、バイデン大統領が緊急演説で、放置すれば雇用回復は望
めない。共和党は0.6兆ドルを譲らないが、強行採決で1.9兆ドルの
追加経済対策の民主党案を通すとして、財政赤字を心配するより、
今は追加財政出動で雇用回復が重要と国民に訴えた。

上院ではハリス副大統領の決定票で51対50の賛成多数で1.9兆ドルの
追加経済対策を通した。このため、追加経済対策期待でNYダウも上
昇した。

バイデン大統領は外交政策の演説も行い、米国の国益が中心で、同
盟国との関係をしっかりして、中国とも世界共通の大義については
、協力して進めていくとした。安全保障面では敵対的で、経済面で
は国益優先ということのようである。政経分離政策ということであ
る。中国との全面的な対立はしないといい、ウイグル族弾圧問題も
香港問題にも言及しなかった。ここが、トランプ前大統領とは大き
く違う。

逆にロシアに対しては、選挙への干渉などの行動に対応していくと
対抗的な処置を行うとした。反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌ
イ氏の釈放を要求するなど、ロシアには強く個別の事案を要求して
いくようである。

追加経済対策期待で株価は上昇して、債券から株にシフトしてきて
、1,15%まで10年国債金利が上昇、ドルが強くて、105円50銭になっ
た。そして、イールドカーブはスティープ化した。この現象に、ブ
レイナードFRB理事、クラリダFRB副議長、パウエルFRB議長が集まり
、口先介入した。やはり、FRBとしては金利を上げたくないようであ
る。

市場の予想ではドル安になると見られたため、ドル売りポジション
が積み上がっていた。しかし、このFRBの動きを見て、ドルを買い戻
す動きが出て、5日には105円20銭と少し落ち着いてきた。金利も下
がった。

FRBの資金供給が続き、その恩恵を受けて、ドイツ銀行までもが黒字
になっている。英国のブレクジットで、英国の複数の銀行が破綻す
ると言われたが、そのようなこともない。世界は金融危機を回避し
ている。

しかし、このパンデミックが終わったら、逆回転するのではないか
と心配もしている。

また、先週の下げで、米株価が上昇から下落方向に転換した可能性
があると、エリオット波動分析の日本の一人者である宮田直彦氏は
解説している。

エリオット波動で5波動後の下げで、26,000ドルから29,000ドルあた
りまで下がる可能性を示唆した。大きな押し目になる可能性がある
ようだ。「節分天井、彼岸底」になる可能性もあると。

1月31日から始まった水星逆行で波乱が出ている。2月21日までは要
注意ということのようだ。

1.日本の状況
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日経平均株価は、2018年10月02日24,270円で、コロナで3月19日に
16,358円まで下げ、2021年1月25日は28,822円で高値更新、2月1日
は427円高の28,091円、2日は271円高の28,362円、3日は284円高の
28,646円、4日は304円安の28,341円、5日は437円高の28,779円。

先週は、先々週の下げを取り戻す上げ相場になった。しかし、ハイ
テク・半導体株から銀行や鉄道などバリュー株やコロナ禍で赤字に
なった企業株などに買いは入った。物色の方向が変化している。

米国では追加経済対策で、1.9兆ドルもの資金が個人に提供されて、
流動性が確保されているので、まだ市場の崩壊は起こらないようで
はある。

日本企業の決算発表も続ているが、上方修正が相次いでいる。しか
し、当初予定の赤字が黒字なったとか、売り上げが半分になる予定
が多くなったとかであり、過去最高ということではない。それなの
に、株価は過去最高値になっている。

この見直しがどこかで起きるはずである。そのため、NYダウの動向
が重要になる。

しかし、下げたら、押し目で買い場である。宮田直彦氏は、長期的
には30年程度の株価上昇局面になったと見通している。

2.東京五輪の開催ができるのか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コロナ感染者数が徐々に減り、菅首相の支持率も上がり、菅首相の
記者会見も見違えるほどよくなってきて、東京五輪の開催が見えて
きたと思っていたら、次の難題が起こっている。

まずは、森氏組織委員会会長の失言である。「女性を理事にすると
、会議時間が長くなる。」という失言というか、本人の本音である
が、これに日本だけでなく、世界的な反発が出た。世界的なポリテ
ィカル・コレクトの概念が森会長には欠如しているので、仕方がな
いが、森会長は謝罪し、自らの辞任を言い出したが、武藤敏郎事務
局長以下五輪組織委が慰留したようだ。

そして、森会長の失言で、ボランティアや聖火ランナーの辞退が広
がり、組織運営にも、より資金が必要になったはず。この上に、世
界の女性選手のボイコットが起こると、森会長の辞任が必要になる
。カナダのIOC委員は追及すると述べている。東京ある外国の大
使館も抗議を継続するという。

これに、森会長の辞任を安倍さんが言えばよいだけで、会長の適任
者がないというが、次の会長に、世界的にも有名な安倍前首相がな
ればよいだけである。

安倍前首相は、秋の自民党総裁選挙には出られないので反対するか
もしれないが、2024年のトランプ再選の時まで我慢するべきである。
そして、ここは、日本のために、ひと肌脱ぐべきだ。世界的なポリ
ティカル・コレクトに配慮できる安倍さんなら、世界は認める。

これだけなら良いが、もう1つの問題が発生している。ワクチンの納
入遅れが起きている。ファイザーの日本向けワクチンはベルギーで
製造されているが、EU委員会は、コロナワクチン輸出の承認制度
を作り、EU域内のワクチンを確保する方向である。

EUはワクチンが足りないのでロシア製ワクチンも手に入れる方向
であり、日本など構っていられない状態である。

ファイザーの米国製造分は全量米国が抑えているので、手に入らな
い。ということで、2月中旬に始まるはずのワクチン接種開始も遅れ
る可能性が出てきた。

ワクチンの争奪戦が起きているのである。EUは日本への輸出を承
認したが、数量を明示していない。ほんの少しだけ提供して非難を
抑えるようである。

このため、すでに4月開始するとした65歳以上の高齢者への接種も、
首相はできないことを仄めかしている。

このため、アストラゼネカのワクチンに期待がかかる状態になって
いる。アストラゼネカのワクチンは、日本で製造するので、納入が
確かであり、運搬温度が2度から5度であり、普通の冷蔵庫で良いの
で運搬が簡単である。このワクチンの出荷がいつになるかが重要に
なっている。

もう1つ、JアンドJのワクチンも治験が終わり、緊急認可の状態
になっている。有効性が若干低く、75%程度であり、ファイザーやモ
デルナ、アストラゼネカのワクチンの有効性95%以上より低いが、接
種1回で済むので早く接種が完了する。常温で良いので、運搬がより
容易になる。しかし、まだ、日本での治験が開始されていないので
、当分先になる。

このように、ワクチン接種が遅れて、7月までに65歳以上へのワクチ
ン接種も十分ではなく、多くの人がワクチン接種をしていない状態
で、どうやって、日本の環境を安全というのか、疑問視されている。

これを受けて、WHOもとうとう、東京五輪の開催には客観的な事
実で判断することが必要であると、開催を辞退するべきであると、
言わんばかりの見解も出てきた。

IOCのバッパ会長は、日本政府が開催するという東京五輪を自ら
が止めることはしないが、他のIOC委員に、中止を言わせている。

もう1つ、ワクチン接種が行きわたらないと、次のコロナ4波がく
ることになる。その時期が7月になる可能性が高い。そして、その時
期には、変異種のコロナになり、10歳未満の子供にもかかることに
なる。

というように、東京五輪の開催に向けた準備をしても、開催できな
い可能性が徐々に増しているように感じる。

菅首相の指導力があっても、河野コロナ担当相の頑張りがあっても
欧米とのコロナ・ワクリン争奪戦で勝てるとは思えない。

最初に、値段を叩いた厚労省官僚の失敗が大きな痛手になっている。

日本は感染症が安全保障上の問題であり、首相が率先して対応する
べき問題だと認識していなかったことが、日本の対策の遅れを招い
ている。

世界60ケ国以上がすでにワクリン接種をしているのに、日本は1人
も接種できない現実を、政府首脳たちは、大きく反省するべきであ
る。

今後、感染症流行に対して、安全保障会議の項目として、その内閣
直属の責任者と組織を整備するべきである。感染症対策は官僚機構
の底辺で扱う問題ではない。

さあ、どうなりますか?



コラム目次に戻る
トップページに戻る