6154.緊急事態宣言の可能性



東京は連日800人以上の新規感染者数になり、それとともに重病者数
も81人と大幅に増えている。この状態で年末年始を向かることにな
る。今後の対応策を検討する。  津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇が、コロナで3月23日18,591
ドルまで急落し、12月17日は30,303ドルで史上最高値、18日は
30,179ドル、21日は37ドル高の30,216ドル、22日は200ドル安の
30,015ドル、23日は114ドル高の30,129ドル、24日は70ドル高の
30,199ドル。

追加経済対策9000億ドルの上院下院を通過し、600ドルの特別給付金
が決まったが、今までの給付額の1/3になるのでトランプ大統領が署
名しないと、特別給付の増額を要求した。トランプ大統領の要求に
応じて、民主党は今まで通り2000ドルの給付金案を出したが、共和
党は反対している。このため、28日までに修正の追加対策を通すか
、今の通った経済対策をトランプ大統領が署名しないと、政府機関
の一部が閉鎖になり、給付金もなくなる。
しかし、EUと英国のFTA交渉が妥結したことを好感して、NYダウは上
昇した。

そして、変異種流行の英国や欧州各国もコロナ感染症の拡大でロッ
クダウンや一店舗の閉鎖になり、経済成長はマイナスになることが
確実になっている。それでも多くの死亡者が出るので、経済より国
民の命を優先して守っている。

ワクチンの接種が英国と米国で始まったが、コロナ変異種が複数種
出てきて、それにより感染力が増しているという。ワクチンの効果
はあるというが、有効性が落ちる可能性もある。

米NYダウは、方向のないレンジ相場になっている。良い材料と悪い
材料が拮抗しているので、株価も高いが、いくら強気でもこれ以上
の高値を買えないからである。レンジは長く続く可能性もあり、か
つ、そのレンジを上にも下にも抜ける可能はある。しかし、早く抜
ける場合は下の可能性が強い。

トランプ大統領の戒厳令の発出や追加経済対策法案の議会通過失敗
などに注意する必要がありそうだ。米国の政治混乱が起きれば、大
きな下げとなる。

または、トランプ米大統領はイラク・バグダッドの米大使館周辺が
ロケット弾攻撃を受けたことに対し、「1人でも米市民が殺害され
れば、その責任をイランに負わせる」と、イラン戦争をほのめかし
ている。戦争となれば、一時的に株価は下がる。

今、ヘッジファンドやAIは、下に抜ける材料を待っているとも見え
る。

その大きな下げが、買いのチャンスになる。現金ポジションを上げ
ておくことに越したことはない。

しかし、下げがないと、来年は、自社株買いの規制がなくなるので
、自社株買いで株価は上昇する可能性もある。この場合は上に抜け
ることになる。

そして、金融緩和と財政出動により、来年は2%程度のインフレが起
きる可能性もあり、その結果ドル安円高株高になり、米国への投資
が3つの相乗でどうなるかは、わからない。

しかし、2021年終わりには、NYダウは10%上昇の33,000ドル程度には
なっていると予測する。

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日24,270円で、コロナで3月19日
16,358円まで下げ、12月9日26,817円で1991年4月以来の29年ぶり
の高値、12月18日は26,763円で、12月21日は48円安の26,714円、22
日は278円安の26,436円、23日は88円高の26,524円、24日は143円高
の26,668円、25日は11円安の26,656円。

12月21日はザラ場の最高値26,905円をつけている。11月2日23,295
円から11月27日26,644円で1ケ月で3349円上昇したが、12月1日
26,787円で、12月21日26,905円で、約1ケ月で118円しか上昇してい
ない。12月は、ほとんど動いていないことになる。

3週目も海外投資家が1600億円ほど買越しで、株価は高値を維持して
、海外投資家は、24日以降お休みであり、商いは細っている。AIの
機械投資は続いているので、NYダウの動きや大きなニュースには反
応するので、値動きには注意が必要である。

コロナの感染拡大で、飲食店の時短要請や死亡者数は増加している
が、多くの国民は慣れてしまい、都知事が外出自粛といっても、そ
れを実行する人は少ないようである。株価も感染者数増大に反応し
なくなった。

コロナと株価は連動しないし、巣ごもり銘柄が上昇することもなく
なった。しかし、上げる材料もなくて、日替わりで上昇銘柄が変わ
る展開になっている。

それと海外投資家が指数買いをしているようであり、日経225の値嵩
株が上がっているのと、もう1つが12月後半から出てきたIPO銘柄の
買いが旺盛である。しかし、その分、マザーズ指数は切り下げてい
る。

もし、感染拡大が止まらずに緊急事態宣言になれば、日本独自で急
落もあり得る状況だとみる。

しかし、2021年終わりには、日経平均は29,000円になっていると予
測する。多くの株予測は3万円以上と囃すが、経済予測が当たると評
判の似鳥ニトリ会長は、「2021年の世界経済成長率が5.2%としてい
るが、私は良くて2〜3%くらいではないかと見る。日本は既に20年
以上続くデフレだが、世界も日本型のデフレの時代に入るのではな
いか」と、あまり2021年に期待しない方がよいようだ。

2012年から平均年1800円程度の上昇トレンドになっている。という
ことで、来年も26,900円から1800円上昇とすると、28,700円で大体
29,000円となる。

2.コロナ感染の拡大
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菅首相は12月25日にコロナ感染症拡大局面で、やっと記者会見を行
った。その記者会見には分科会の尾身会長も同席していた。やっと
、尾身会長の意見が菅首相に通るようになったようだ。

この数回、コロナ感染拡大を防止するには、早めの対策が必要であ
ると再三、述べてきたが、やっと、非常に遅いが、菅首相も拡大防
止にかじを切ったようである。

国民への感染防止のメッセージも分科会の意見を取り入れているの
で、やっと、感染防止の出発点に来たようである。

今までは、国民の命より二階幹事長に配慮してGoToトラベルを優先
していたが、国民の怒りで支持率が落ち、とうとう二階幹事長への
配慮から、本来のリーダーの役割である国民の命を守るという指導
者に立ち返ったのであろう。

しかし、現状は、25日東京884人で重症者81人、埼玉県298人、千葉
県213人、神奈川県466人であり、首都圏に蔓延している。また、全
国で3832人、死亡者は62人、重症者数は644人となって、すべて過去
最多。1週間前より感染者、重症者、死亡者数も大幅に増えている。
26日は、東京949人、全国3878人、重症者数654人で過去最多更新と
歯止めがかからない。

23日時点で、病床の使用率が20%以上の「ステージ3」(感染
急増)なのが29都道府県で、前週(16日時点)より1県増えた
。そして、北海道、群馬、東京、愛知、大阪、兵庫、高知の7都道
府県が先週と変わらずに50%以上の最も深刻な「ステージ4」(
爆発的感染拡大)になっている。

まずは、医療崩壊を食い止める必要がある。現在、医療従事者の15%
が辞職して、コロナ対応では21.3%も辞めているという。これを防止
するために、コロナ重症者用1病床に1500万円、コロナ患者用450万
円を補助して、2万8千病床分の補正予算2800億円を用意したと。そ
れと、医者と看護師への手当てを用意して、命を削って懸命に努力
する医療関係者に報いるとした。一歩前進である。

今まではコロナ対応の病院は赤字であり、冬のボーナスをカットす
る病院が続発して、病院でもコロナ対応が限界で、経営的にも成り
立たないとコロナ病床増加に消極的であった。

もう1つが、特措法を改正して、飲食店の時短に給付と罰則をセッ
トにして整備するとした。

これは、小池都知事が夜10時の時短要請で、それを実行する店より
10時以降まで営業している店に客が流れるので、10時以降まで営業
する店の混雑がひどくて、何のために時短要請をしてるのか、わか
らないという苦言に対する答えであろう。同じことを吉村大阪府知
事も言っていた。

英国や南アで感染力の強い変異種が出ていることで、この2国から
の入国を止めるとしたが、7名の英国からの入国検査で変異種が見
つかったことで、全世界から外国人の新規入国を停止した。

尾身会長は、急所として飲食店での会食が一番感染リスクが高いと
いう。しかし、市民は、コロナ感染症に慣れて、行動の制限をしな
くなっていることで感染拡大が止まらないと。

大阪と北海道は、不要不急の外出自粛を行い、市民も協力したこと
で、感染拡大が止まったようであるという。

しかし、小池都知事も年始年末の外出自粛を呼び掛けているが、東
京都民は外出している。止まらない。東京は約1年間自粛と言われて
、いい加減、飽きてきたのであろう。都知事の言葉が届かない。

このため、東京と首都圏の感染拡大は続いている。尾身会長の言う
急所はわかっているが、市民の協力は得られない状態が続くことに
なり、感染拡大が続いている。

しかし、この年末年始で感染拡大を止めないと、年明けに社会活動
が再開すれば、今よりも感染者大急増の危険がある。

50歳以下の若い人たちは、死なないことがほぼ確実であるので、自
分事ではない。このため、大勢での会食もするし、3密の場所への外
出も行う。

しかし、医療崩壊で病院が満杯になり、交通事故で重傷になったと
き、空いている救急病院がなくなるとは思っていない。不慮の事故
で亡くなる可能性が増すことを想定していない。コロナでの死亡者
も増えるが、がんなど他の病気や事故等での重傷者も死亡する可能
性が増すので、コロナ以外での死亡者も増えるとも思っていない。

この医療崩壊は若い人の命も脅かす可能性があるというメッセージ
の発出が不足しているとみる。

3.医療崩壊と緊急事態宣言
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今は、医療崩壊の危機であり、それをどう食い止めるのかが重要な
視点なのである。この医療崩壊を食い止めるために、コロナ感染者
増加を食い止める必要があるのだ。

しかし、日本の病床数は、概ね100万床と言われているが、その内、
コロナ対応は3%の3万床しかない。予算も2万8千床分であり、この
数自体には疑問がない。

ということは、全病床の10%を当てれば、医療崩壊は起きないことに
なるが、今までは、医療効率化で、病床数を減らし、感染症の医師
と看護師を減らしたことと、競争原理で民間医療機関を増やしたこ
とで、外科などの儲けの大きな病気対応で、コロナのような儲けに
ならない感染症を拒否する病院が増えたことによる。

その結果は、医療崩壊である。これはICUと感染症の医師と看護師が
いないからである。

医療崩壊は、厚労省の医療系予算の削減と結びついている。このた
め、今後は感染症などの緊急時対応を想定した医療体制を整えるこ
とが必要になるが、急には体制ができないので、今の時点では体制
整備は無理である。今後、長期に体制を整える必要がある。

本来は、感染症対策は安全保障事項なのだ。海外では非常事態を想
定して様々な対策を長期にわたって進めてきたが、日本は感染症を
安全保障事項としてこなかった。それが今回、大きく出た。ワクチ
ン開発でも治療薬開発でも負けている。

ということで、もし年明け、一層のコロナ感染拡大になり医療崩壊
になったら、その時は緊急事態再宣言を考える必要が出てくる。不
要な外出にも罰則を設ける必要が出てくる。その代わりに、給付も
必要になる。この給付金を第3次補正予算では計上していない。

コロナ後のデジタル化やグリーン化、人口減少対策費が補正に計上
されて、コロナ抑え込みの費用が計上されていないことに怒りを感
じている。

日本感染症学会理事長の舘田一博・東邦大学教授(感染症学)も、
「ワクチンが普及しない感染症の拡大を止めるには、人の移動を抑
えて、人と人が接触する機会を減らしていくしかない。」と強調し
ている。

そして、ワクチンの早期の接種ができるように、承認を早めて、2月
中には接種を開始するしかない。なるべく、経済縮小になる緊急事
態宣言の期間を短くする必要がある。

緊急事態宣言をいつ発出するか、東京と首都圏に限定して行うかな
どの基準値を発表して、急に宣言を発出しないで、皆に心の準備を
させる必要がある。後手ではなく、先手で手を打ってほしものであ
る。

どちらにしても、このコラムで心配した方向に事態は行っている。

やるべき方向が明確化したら、それを実行する力を菅首相は持って
いるので、それに期待したいが。

さあ、どうなりますか?


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