6153.コロナ感染爆発は必至か?



前回のコラムで感染爆発になる可能性があるとしたが、心配したよ
うに、東京の新規感染者数は増大して、医療崩壊の危険水位になっ
てきた。それを検討する。    津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇が、コロナで3月23日18,591
ドルまで急落し、12月4日は30,218ドルで史上最高値、12月11日は
30,046ドル、14日は184ドル安の29,861ドル、15日は337ドル高の
30,199ドル、16日は44ドル安の30,154ドル、17日は148ドル高の
30,303ドルで最高値、18日は124ドル安の30,179ドル。

追加経済対策9000億ドルの与野党協議で進展したことで、1200ドル
(約12万5000円)の定額給付金の追加支給が決まりそうであるが、
18日以降になるために、つなぎの2日分補正予算を再度通した。

与野党は協議するが、期待に反して採択にはならない。18日はこの
ため、反落している。

FOMCは、2%以上のインフレになっても失業率4%程度の完全雇用にな
るまで金融緩和を続けるとしたことで、株高ドル安が進み17日一時
102円台まで円高ドル安になった。株価は3万ドルを超えても、17日
は高値更新した。

一方、コロナ感染拡大は止まらずに、米コロナ死者、1日3500人と
過去最多になっている。これに伴い新規失業保険申請件数も88.5万
件と先週86.2万件より増えている。株高であるが、景気は後退して
いる。

しかし、投資家が今心配しているのは、コロナワクチンでコロナ感
染が収束して、FRBが金融緩和をいつ止めるのかということである。

因みに、ノルウェー中銀は、2022年前半に利上げ開始としているし
、コロナワクチンにより米国の正常化も、2021年春に実現するとい
う観測もある。

しかし、パウエル議長は、少なくとも2023年まで量的緩和を行うと
したことで、投資家は安心したようである。

今の高すぎる株価でも最高値を更新するのもコロナ感染拡大でFRBが
量的緩和をするためにであり、今のままの方がよいと証券会社はい
う。ロビンフッダーたちの手数料が膨大になり、大きく儲けている
からだ。

テスラの快進撃も止まらないようである。テスラが下落すると、こ
のバブルも終焉になるとみるが、まだ上昇しているので、バブルが
積み上がっている。12月21日SP500採用に向けて上昇しているようだ。

そして、このバブルで、ビットコインも過去最高値を更新し22,765
ドルになっている。この背景にはヘッジファンドが株価が高すぎで
手が出ないために、暗号資産に手を出しているからである。今まで
とは様相が違うようだ。

一方、12月14日に選挙人の投票でバイデン候補が正式に次期大統領
となった。閣僚人事を決めて、バイデン政権が動き始めた。

しかし、トランプ大統領は、その中でも外交政策を積極的に実行し
ている。特にアフガニスタンからの米軍完全撤退をもくろんでいる
し、もう1つが、12月クリスマス明けに、米国内で不穏な行動があ
ると噂が出ている。

ミラー米国防長官代行は、CIAとの関係も停止、バイデン政権移行チ
ームへの引き継ぎも19日から年明けまで休止するとしたが、何か関
係しているのであろうか?戒厳令になるのであろうか?
嫌な感じがする。

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日24,270円で、コロナで3月19日
16,358円まで下げ、12月9日26,817円で1991年4月以来の29年ぶり
の高値、12月11日は26,652円で、14日は79円高の26,732円、15日は
44円安の26,687円、16日は69円高の26,757円、17日は49円高の
26,806円、18日は43円安の26,763円。

17日は東京で822人の感染者が出て、感染爆発状態になっている。投
資家の志向がバリュー株から巣ごもり株に移行していたが、18日は
元に戻っているが、閑散な商いである。

12月2週目、海外投資家は現物2500億円買越しであるが、先物400億
円売越しとなり、またもや大きく買越しになっている。このため、
日経平均は高値安定で強い。12月SQまでは海外投資家の買いが増え
ている。海外投資家の資金流入が続くので、株価は上昇し、特に有
名な5銘柄の大型株だけが大幅に上がっている。

しかし、ドル安円高で102円台になり、輸出企業の平均為替水準は、
105円でこのことを意識されると、有名な大型株も売られないかと心
配である。もう1つが、海外投資家は日本政治の混乱を嫌うので、
政権の支持率と株価が連動している。このため、菅首相の支持率が
重要な要素にもなっている。

その上、コロナ感染者数も増え、医療崩壊なると緊急事態宣言の可
能性も出てくる。しかし、現在はコロナ感染拡大は、金融緩和と財
政出動で株価は上がると見るようで、株価は下がらない。だが、危
機的な状況なので、18日は金価格が上がっている。

コロナ3波が来たことで、3月以降融資条件が厳しくなる予定が、6
ケ月(2022年9月)の融資条件の緩い状態も延期されて、株価も強含
みになっている。

しかし、エリオット波動的には、C波の大暴落の可能性を示唆して
いる。投資家は、利食いをいつ行うべきかを見ている。皆が一斉に
利食いを始めると、下落になり、その下落を見て、多くの投資家が
利食いに走ると、暴落になり、その暴落を見て、個人投資家が投げ
を打つと大暴落になり、そこで買うと、その後は上昇になる。

そのチャンスが、もう少しで、来そうである。

2.感染爆発か?
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菅首相は12月14日、観光需要喚起策「GoToトラベル」事業を12月28
日〜2021年1月11日まで全国一斉に停止すると決めた。コロナウイル
スの感染者が急増し、共同通信社調査(5〜6日)の支持率は前月比
12.7P減の50.3%、不支持率が同13.6P増の32.8%で内閣支持率が急
落したことで転換を迫られたようだ。共同通信の調査が一番信頼性
が高いので、官邸は焦ったはずである。

しかし、「GoToトラベル」一時停止の決定が遅いし、28日までの間
に感染拡大してしまうことになる。GoToトラベル中止前に使おうと
、旅行を行い感染拡大を促進した形になっている。菅政権は、感染
拡大の緊急性を理解していない。

その上に、5人以上での飲食を自粛と宣言しながら、8人という大勢
でステーキ会食したことで、国民世論が沸騰している。自民党内の
岸田前政調会長や田村厚労相からも「自らの行動をしっかり考えて
いかなければいけない」と批判された。

そして、東京は17日、過去最高の822人の新規感染者を出て、全国で
は3211人もの新規感染者が出ている。死亡者も1日で38人、重傷者は
全国で605人となっている。18日も東京で664人の新規感染者と、全
国で48人の死者、609人の重症者になった。19日も東京で736人の新
規感染者になっている。

それと、広島市は18日、直近1週間の10万人当たりのコロナ新規感染
者数が20政令指定都市の中で最多の38.9人になり、医師会は「大規
模災害に匹敵する緊急事態」とし、市民に不要不急の外出を控える
よう訴えた。

同様に、東京でも重症者数が多く、東京の医療警戒度を最高レベル
に引き上げた。相当に医療機関のひっ迫感が強い状態になっている
。入院を70歳以上で基礎疾患がある人と条件を引き上げている。

しかし、それでも東京アラートとは言うが、行動規制を小池都知事
は求めないので、東京の感染爆発は不可避になっているように見え
る。なぜなら、繁華街の人出は減らないし、だれも行動自粛をして
いない。

国民が専門家の見識に耳を傾け、自らの意思で自粛して危機を乗越
えるスタイルはすでに限界と思える。

このままであると、心配した緊急事態再宣言になる可能性が高いよ
うだ。知事も首相も、経済と命の2兎を追いかけるので、どうして
も感染が拡大してしまうことになる。

世界的に見ても、感染拡大したドイツも行動規制の強化になってい
るし、お隣韓国も行動規制強化とPCR検査の拡大をしている。英国は
ロックダウンを再度発出している。

日本の北海道、東京、愛知、三重、大阪、兵庫、高知の7都道府県は
重症者用か中等症者用病床の使用率50%以上のステージ4(爆発的感
染拡大)になっているし、病床の使用率25%以上は22都道府県にな
っている。ステージ4は、兵庫県63.6%、大阪府が60.4%、高知県が
57%、愛知県が54.9%、北海道が54.8%、三重県が51.6%で、重症
者用病床の使用率で東京都66.4%である。

ステージ3は、岩手県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県
、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、長野県、岐阜県、
静岡県、京都府、奈良県、岡山県、広島県、福岡県、熊本県、鹿児
島県、沖縄県だ。

しかし、東京などでは行動規制もなく、この感染拡大を止めようと
いう意思を政治家から感じられない。このため、どこまで医療崩壊
したら、行動規制するのかが問題になっている。分科会の尾身会長
も強く行動規制を菅首相に求めている。

医療崩壊につながるステージ4が行動規制をかける基準だと思った
が、それに反して、小池知事はアラートとはいうだけで、行動規制
を取らないし、菅首相も、GoToトラブル中止だけであり、それでは
、このステージ4の意味は何であったのかということになる。

全国知事会もGoToトラベルについて、再開や延長する場合の条件を
明らかにするよう求めた。医療基準と行動制限の実行条件が曖昧に
なっているので、県としての計画が立てられない状態になっている
からだ。

ということで、行動規制になる基準も示されないで、感染の一層の
拡大(感染爆発)が起きると不安になる。

何度も言うように、小池知事も菅首相も、危機の時には早い対応が
被害を少なくするという緊急時対応の基本を守っていない。

不要不急の外出自粛という強い行動規制をした大阪や北海道は、こ
の1週間で新規感染者数が減少している。早く、東京や首都圏、ス
テージ4になった地域も、明確な行動規制が必要な段階にきている。

感染拡大でもロックダウンなどの行動規制しなかったスウェーデン
のグスタフ国王が7800人の死者を出した自国の政策は失敗であった
と述べ、その直後、マスク着用を初推奨した。

早く行動規制して、早期に感染拡大を止めないと、緊急事態宣言で
交通機関も止まり、日本経済全体も止まってしまうことになる。

事実、現時点でも航空各社の国内線年末年始空の予約が、前年45%
減で、JR各社の予約は61%減にもなっている。年始年末までにコロナ
感染を鎮静化しなかった咎が、交通会社に押し寄せている。

このことで、基本給や賞与などの賃金総額が「減る見通し」と答え
た人も29.9%で、「雇用不安」とした人が58%にもなっている。物
価も0.9%の下落と、いかにコロナ感染拡大を早期で短期に止める必
要があるかを考えさせるデータになっている。「勝負の3週間」は、
正しかったが、それに政策が伴っていなかった。

だらだら、行動規制もせずに感染拡大を放置すると、いつまでたっ
てもコロナ感染が拡大して、飲食店の時短要請も1月11日までの延長
になったが、感染拡大では時短を長期に実施してもらうとともに、
医療崩壊が起きて全面的な行動自粛の緊急事態宣言に追い込まれる。

コロナ対策分科会には経済学者も居て、コロナ感染拡大と経済のバ
ランスをどう取るかを議論したはずである。その分科会の尾身会長
も分科会の総意として、早期の行動規制を求めている。感染拡大を
早期に防止しないと、大拡大した状態から縮小させるのは、行動自
粛のより強固な策を長期間することになる。

このため、強固な策をとるためには、コロナ対策特別処置法で、罰
則規定を設けて、その代わり十分な給付を行うことのできる法律が
必要である。日本はコロナワクチン接種が遅れているので、正常化
するのは2022年春以降になると見込まれるので、早く法律の整備が
必要である。

3.岸田前政調会長に期待か
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日本は、中国の前面に位置して、国力、経済力を感染症で削ぐと、
中国との経済力差が増して、日本の安全保障力が低下することにな
る。

そのためにも、コロナ感染症を早く克服して正常化する必要がある。
菅首相のコロナ対策は、非常に間違っている。その結果、感染拡大
が収束しないので、内閣支持率下落も止まらない。

ここは、岸田氏が対案を出して、次の首相候補として政策を見せて
、自民党内外の支持を得て、その上で通常国会後、臨時の自民党大
会を開催して、総裁の解任決議をすることである。そして、麻生派
、細田派、岸田派が一致して、岸田首相へ向かうべきだ。

このまま、2021年秋を迎えると、自民党はボロ負けになる。そうし
ないためにも、ここは自民党総裁を変える必要があり、そして、政
策を180度転換することである。

その上で、コロナ感染症が下火になったら、すぐに衆議院選挙をす
るしかない。追い込まれ解散だけはしてはいけない。

この日本を海外投資家は見ている。コロナ感染を早期に食い止める
と、海外投資の資金が流入して、日本経済は大きく前進することに
なる。

もし、できないと、コロナワクチンの接種が遅いのでコロナ収束は
、他の先進国より遅れるので、日本売りが起こることになる。

日本の分岐点に差し掛かっている。

さあ、どうなりますか?


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