6152.コロナ感染爆発の危険性



GOTOトラベルの一時中止をコロナ分科会も提言しているが、菅首相
は、頑なに堅持するようである。その結果は感染爆発になる危険が
出ている。その後を検討する。    津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇した。3月23日18,591ドルま
で急落して、12月4日は30,218ドルで史上最高値、12月7日は148ドル
安の30,069ドル、8日は104ドル高の30,173ドル、9日は105ドル安の
30,068ドル、10日は69ドル安の29,999ドル、11日は47ドル高の
30,046ドル

追加経済対策9000億ドルの与野党協議が難航し、コロナ死亡者が1日
3000人も出て、経済活動も制限され、新規失業者申請件数85.3万件
と増加した。このため、NYダウも下落傾向にあり、11日も上値が重
い展開であった。

また、FBやGOOGLEなどが独占禁止法で提訴されているからか、GAFA
+Mの株価もあまり上がっていない。テスラだけが、株価を上昇させ
ていたが、増資を決めたことでか週後半に下がっている。

というように、テスラ株価がどうなるかにより、米国株の動向も見
えてくることになる。下げ始めると空売りが大きく出るので、急速
な下げになるはず。それをヘッジファンドは狙っている。そして、
ロビンフッダーの個人投資家が大損することになると見る。

欧州では、ECBがパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規
模を5000億ユーロ(約63兆円)拡大し、2021年末まで延長し、銀行
への超低金利の資金供給も拡充する。続いて15-16日にFOMCが、16-
17日に日銀政策決定会合が行われる。

一方、米テキサス州が大統領選の結果確定阻止裁判で、連邦最高裁
は11日訴えを退ける決定で、トランプ大統領の不正投票提訴も限界
になり、次の手を探しているように見える。

その1つが、イラン核施設攻撃であったが、ポンペオ国務長官など
から止められて、イスラエルにイランの原子力技術者を暗殺させて
、イランの暴発を待っている。

戦争がはじまると、戦時大統領として、当面大統領でいられること
になる。イスラエルとサウジ、UAE、バーレーンなどと国交を開き、
イスラエルとアラブ諸国の間での戦争を抑止し、イラン対抗の戦争
体制を構築している。

それと、国防総省はCIAの国際反テロ作戦への支援を停止し、イラン
などのテロ活動を止めないようにしている。また、米国は戦争をし
ないという雰囲気を作るためと、集中してイラン戦争に派遣できる
ように米軍を多くの地点から引き上げている。これも戦争準備の一
環である。

そして、イランがイスラエルに戦争を仕掛けることを待っているよ
うに見える。このため、戦争景気が起こるとみて、追加の経済対策
にも関心がない。

中東で戦争になると、ロシアの参戦が予想できる。いやな感じにな
るが、トランプ大統領は何が何でも大統領にしがみ付きたいようで
ある。そして、戦争が始まれば、米国の株価も維持できることにな
る。

バイデン次期大統領は、見ているしかないし、イランの最高指導者
のハメネイ師もトランプ大統領の意図を読み、戦争にならないよう
に注意しているが、イラン議会は対米強硬派が多数になっているの
で、心配ではある。

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日24,270円で、3月19日16,358円まで
下げ、12月3日は26,809円で1991年4月以来の29年ぶりの高値、12月
7日は203円安の26,547円、8日は80円安の26,467円、9日は350円高の
26,817円、10日は61円安の26,756円、11日は103円安の26,652円。

12月9日26,817円で1991年4月以来の29年ぶりの高値更新した。12月
7日の朝一番でザラ場の高値26,894円になった。しかし、12月SQ確定
後、下げている。

12月1週目、海外投資家は現物1593億円買越しであるが、先物2100億
円売越しになって、先週より売越し量が増えている。12月SQまでは
上げる力があったが、今後、海外投資家の売りにより下げる展開に
なる。海外投資家の資金流入により上昇し、資金流出により下落せ
ざるを得ない。

その上に、高すぎる日経平均株価で、コロナ感染者数も増え、医療
崩壊なると外出自粛になり、さらに急落になる可能性もある。

海外投資家の先物売り主体で、主要大型株の下落になりやすく、代
わりに、個人投資家主体の一部テーマ株などに物色が移り始めてい
るが、こちらも高いので小型株が多いマザーズの下げもきつい。

後で述べるが、持続化給付金が1月で終わり、3月以降融資条件が厳
しくなるので、小型株への投資には慎重にならざるを得ない。企業
の倒産が春以降、増えることになるからだ。

そして、日経平均株価は下がる方向になり、そうなると海外投資家
は空売りをしてくるので、下げを加速させることになる。その点、
海外投資家が来ない小型株の方が下げが小さいことになるが、個人
投資家もリスクを感じて、株投資から撤退してしまう可能性もある。

当面の下げの目途は、PBR1倍になる22,500円前後であり、リーマン
ショック時と同じ14%下落の23,200円で収まれば、儲けものである。

しかし、米国が戦争を始めれば、戦争特需になり、様相は一変する
ことになる。

2.命より経済の方が重要
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11日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、GoToトラベ
ル・GoToイート事業の一時停止と、飲食店の営業時間短縮を「午後
8時」に前倒しするよう求める提言をまとめた。

しかし、11日朝加藤官房長官は、政府が観光支援策GoToトラベルの
一時停止の検討を始めたなどとする一部報道について、政府として
はGoToトラベルを維持する方向であると語った。

GoToトラベルによって、「大きな感染のなかった地域でも感染拡大
になっている」と専門家は言う。事実、岩手県は、第1波時には感
染者ゼロであったが、12日43人感染で感染者累計295人となっている。

感染爆発した地域では外出自粛をする必要も出るが、大阪市、札幌
市、旭川市、広島市に広がっている。11日現在、病床使用率20%以上
「ステージ3」(感染急増)の水準は24都道府県で、北海道、兵庫
、高知が病床の使用率50%以上で、緊急事態宣言発令となる「ステー
ジ4」(爆発的な感染拡大)の水準に達した。

東京は、12日621人の感染者を出しているが、再生産指数が1近辺で
あり、大きく増えていないが、東京の若者が旅行に行く地方の感染
が拡大している。地方の方が病床数が少ないので東京より地方の方
が心配になっている。

山中教授は、大阪とサンフランシスコの2つの都市に住んでいるが
、サンフランシスコより大阪の方が感染規模が大きいと言っている。

特にPCR検査量が、大阪はサンフランシスコの10分の1以下であり、
隠れ感染者が多数いる可能性が高いという。

日本は米国の50分1の感染規模というが、米国の先端地域に比べると
日本の方が感染爆発しやすいことになる。

その上、専門家は、この規模の感染者数では、追跡ができずに、ク
ラスターを見つけることができなくなり、PCR検査を面的に広げて、
感染者を見つけるしかないと言っている。もししないと、感染爆発
を起こすと警告している。

このコラムで毎週感染者数、重症者数を追っているが、感染爆発を
起こす危機的で心配した方向に、状況は推移している。

このため、専門家は「現状よりも強い措置が必要」で「経済対策と
感染防止策の両立は困難だ」と指摘している。中でも、日本医療法
人協会の太田圭洋副会長は「『勝負の3週間』の3分の2が終わり
つつある。感染者が減らないなら、より強い措置を取らないといけ
ない」と強調。「冬場は心筋梗塞などが増えるため、病床はもとも
と逼迫(ひっぱく)する。今の新型コロナ患者数の状態で冬場に突
入するのは非常に厳しい」と危機感を示した。

しかし、「経済を壊してしまったら大変なことになる」。首相は11
日のインターネット番組でこう強調し、菅首相はGoToトラベルを継
続すると。

これから、本格的な冬になり、まだまだ、GoToトラベルという感染
拡大を奨励することで、地方の感染拡大は止まらないとともに、国
民の「気のゆるみ」も解消しないことになる。

12日、近くのスーパーにいたが、非常に混んでいた。皆はマスクを
しているが、話すときにマスクを取る人を見た。気のゆるみはいろ
いろなところで見る。

政権支持をすることが多い産経新聞も社説で、菅首相も専門家の意
見を聞くべきであるいう。

もう1つ、「持続化給付金」と「家賃支援給付金」について来年1月
に終了する。「雇用調整助成金」の特例措置は来年2月末まで延長し
、3月以降、段階的に縮減するという。コロナ3波で苦しむ人達への
給付金を無くして、自殺者を増やすようである。コロナ対策も不十
分、給付金も削減して自殺者も増やすようだ。

このため、コロナ死者と自殺者の二重の意味で、死亡者が今後増え
ることが予想できる。

期待した第3次補正予算73.6兆円のほとんどはデジタル化の推進やマ
イナンバーカードの普及促進、GoToトラベル旅行促進などといった
経済対策に費やされて、コロナ感染防止策、医療機関への補助や雇
用失業対策はたったの6兆円である。

それと、実質無利子・無担保の融資についても来年3月末までは延長
するが、それ以後は融資条件厳格化となる。このことで、中小企業
の倒産が、来年春以降、多発することになる。

どこまで経済中心で行くのか、菅首相の責任は大きいし、国民の命
を守らないなら、自民党は野田派、麻生派、岸田派など大派閥を中
心に結束して、早く辞めさせることである。

国民の命を守ることは安全保障上の問題で、経済より優先する必要
がある。命を守らないことで、医療崩壊などで緊急事態宣言を出さ
ざるを得なくなり、経済も大きなダメージになる。

3.院政に戻す
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日本の歴史を本郷和人教授がいろいろな角度から本を出している。
日本は、政権交代後、すぐに世襲主義になる。

しかし、実力者が這い上がる仕組みを作り、トップ世襲者で、ナン
バー2以下を実力者にする平安後期の院政政治が日本では、一番理
想的な政治形態なのであるという。

そして、この仕組みを作ると長期政権になる。江戸時代も徳川政権
トップは世襲で、老中は実力主義にしたことで長く続いた。

この典型が、安倍首相と菅官房長官であった。目配りのトップと実
力のナンバー2という理想的な政権スタイルになったことで、長期
政権ができたのである。

実行力のある実力者をトップにすると、自分の望む方向とは違う状
況になると、望む方向とは違う意見を聞けずに、転身できないよう
である。

しかし、世間の状況が自分の望む方向と同じ時は、大きな力を発揮
するが、状況が違うときは、多くの人から批判を受けて、政権崩壊
になる。

小泉元首相は自分の望む方向と同じ状況であり、長期政権になった
が、菅首相は違う状況で、短命政権になりそうである。

菅首相は、国民の怨嗟の声が、大きくなっていることを気付くべき
である。日本の将来にとって目指している方向は正しいので、非常
に惜しいが、今は命を大切にした政治が必要な時である。

さあ、どうなりますか?


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