6150.コロナで日本経済はどうなるか?



コロナ感染拡大でまた、緊急事態宣言を出す事態になりそうである
。このコロナ感染拡大で自粛モードになると、日本経済はどうなる
のか検討する。        津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇した。3月23日18,591ドルま
で急落して、11月16日は29,950ドルになった。20日は29,263ドル、
23日は327ドル高の29,591ドル、24日は441ドル高の30,033ドル、25
日は173ドル安の29,872ドル、26日は感謝祭で休み、27日は37ドル高
の29,910ドル。

NYダウは、24日に3万ドルを超え、史上最高株価になった。ワクチン
の接種が11月にも始まり、また、バイデン政権の政権移行が開始し
て、その政権の財務長官に財政出動積極派であるイエレン前FRB議長
になるとの観測が出て、市場は安心したようである。

このため、「強欲と恐怖指数」が91で、米国相場は強気相場になっ
ている。景気上昇ということか、銅が上昇し金は下落して、ドル安
になっている。

完全なパンデミック・バブル相場になっている。パウエルとイエレ
ンが金融緩和と財政出動を行うので、お金がじゃぶじゃぶになると
いうのだ。今期の企業利益は下がっているし、来期以降、ワクチン
で正常化しても利益は、それほどには増えないのに、企業の株価は
過去最高になっている。企業業績の完全無視になっている。

もう1つ、バイデン政権は、上院を共和党が多数を占めて、政策を
自由に実行できないことになる。このため、いつか、市場はバイデ
ン・イエレンで沸いた強気を反省する局面も出てくる。

今は、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々でしょうね。
しかし、いつ、この相場なら降りるのがよいか、よく見えない。

私は、すでに降りているので、見る阿呆になっているが。

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日24,270円の高値を付けたが、3月19
日16,358円まで下げ、11月20日は25,527円で、23日は労働感謝の日
、24日は638円高の26,165円、25日は131円高の26,296円、26日は240
円高の26,537円、27日は107円高の26,644円。

27日も1991年4月以来の29年ぶりの高値になった。日経平均もNYダウ
に引きずられて上昇して、29年ぶりの高値が続いている。米国より
強い株式市場だ。

11月11日は25,000円台に乗せ、17日には26,000円台に乗せて、1週間
で1000円づつ上昇している。そして、NYダウが下落しても日経平均
は上昇が続いている。1ドル=103円台後半から104円前半と円高に振
れたが強い。

株価上昇の原因は、1週間ごとに1兆円の海外投資家の大幅な買い越
し、NTTドコモの買収費用4兆円が投資家に入り、他の銘柄に再投資
したこと、個人の日経ダブルインバース投資の買越し額が8000億円
あり、それが踏み上げを食らい、損切りしていることで、株価は上
昇している。

そして、11月に海外投資家の買い越し額は2.7兆円にもなっている。

GPIFは、この株価で大量に売り、大きな儲けを出しているが、日銀
は、下落するとETF買いを続けている。GPIFの大量売りで下落しない
ように、日銀が買いに回っているとも見える。

そして、完全な需給相場である。このため、この上昇が、いつまで
続くかはわからない。

一方、第3波のコロナ感染拡大で、多くの企業は業績最悪になる。
失業者も多くなり、ホームレスも増えて、社会も荒んでいくことに
なる。

何かがおかしいと思うが、下手に空売りすると踏上げを食らうこと
になる。こちらも見る阿呆に徹するしかない。または、価格が下落
する金でも買うしかない。

2.今のコロナ感染状況と経済
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フェーズ3の地域が、札幌市、東京都23区、名古屋市、大阪市の4
つ。しかし、GOTOトラベルの規制は札幌市と大阪市だけであり、そ
れも目的地としてのみで、出発はOKとしていたが、28日にやっと、
出発も規制した。

地方経済の原動力を、製造業から観光業にシフトしたことで、それ
も海外からのインバウンドに頼った観光業で、かつ、その上に東京
オリンピックまで誘致しての安倍政権の経済政策が大失敗になって
しまった。

コロナで、すべてが裏目に出ている。五輪の海外からの観光客を目
当てに、多くのホテルが作られたが、その多くが倒産の危機になっ
ている。地方経済もそちらに投資を加速したが、それが裏目になっ
ている。これにより、地方銀行も危ない。

やはり、地道に産業政策を打ち、製造業復活やデジタル化の推進を
するべきであったのだ。特に、地道ではない安易な金融緩和政策に
頼っていたことが大きい。と過去の話をしていても仕方がなく、今
後、どうするかである。

おそらく、コロナ感染拡大の第3波は、1波や2波より相当大きく
なり、その分、日本経済は大きなダメージを受けることになる。コ
ロナの感染力が強いようで、死亡者数も大きくなっているし、医療
崩壊で、コロナ以外の病気で死ぬ人も増えるはず。自殺者は特別給
付などで救える道があるが、病気での死者を助ける方法は、感染拡
大を防止するしかない。

このため、感染拡大で、フェーズ4になり緊急事態宣言となると、
飲食業、観光業、鉄道・航空産業、地方交通などの広範な産業で、
今まで以上の大きなダメージを受ける。

強烈な3波に対して、菅首相は対応が後手になっている。前回のこ
のコラムでの警告から2週間もたっているが、心配したように、状
況は悪化の一途になっている。

早めの対策を打ち、フェーズ4になることを抑える必要があるのに
、GOTOトラベル規制地域を大阪と札幌だけにしている。

危機の時には早い対応が被害を少なくするという緊急時対応の基本
を守っていない。

このため、札幌や大阪、東京、名古屋などがフェーズ4になること
が想定できる。事実、フェーズ4に近い大阪では医療トリアージを
開始したというし、11月26日には1日で12人も死亡している。全国の
新規感染者も約2600人を上った。27日、北海道は252人感染と過去最
多の9人死亡、東京は570人感染で過去最多、愛知も234人感染で最多
大阪は383人感染。

東京の重症者数は、東京独自の基準では67人であるが、国の基準で
は250人にもなる。全国の重症者数440人中、東京が半分を占めてい
るのだ。27日の全国死亡者数は29人と非常に多くなってきた。

尾身分科会会長も「個人の努力だけでは、感染防止はできない状況
になっている」と警告し、「問題の核心は、コロナではない一般の
医療との両立が難しくなっていることだ」と述べ、医療現場の負担
が急増する状況に強い危機感を示した。

そもそも、1日2600人感染、重症者440人で医療崩壊を心配しなけれ
ばならないということは、医療体制が欧米に比べて著しく脆弱だか
らであろう。

病床数は欧米と遜色がないが、ICUではドイツと比べると大きく劣っ
ているし、病院を経営するためには、90%の病床を常に埋める必要が
あるという。コロナシフトで4月以降、手術が少なくなり、病院経営
が赤字になっている。医療体制に余裕がないことを示している。

今後、医療体制の強化も必要になるが、現時点では、今の医療体制
で乗り越えるしかない。

ということで、この状態が続くと医療崩壊を起こして、緊急事態宣
言を出す必要にもなるが、菅義偉首相も同日、「この3週間が極めて
重要な時期だ」と訴えたが、それでもGOTOトラベルを続けるつもり
のようだ。特に東京から地方への旅行を止めたくないようである。

菅首相は、GOTOトラベルで感染拡大したエビデンスがないと述べて
いるが、医学的な見地から論理的に推論した結果で、GOTOトラベル
を問題視している。

それなのに、エビデンスがないというのはおかしくて、論理的推論
に反証する責任は政府にあるので、感染拡大がないというエビデン
スを示すのは、政府の側である。

医療専門家や経済学者で構成する分科会でも、フェーズ3地域の
GOTOトラベル中止で東京と名古屋を含めることを進言しているが、
菅首相は判断を保留にしている。しかし、遅延すると代償は大きく
なる。

小池東京知事は、GOTOトラベル中止を国の判断と言い、政府は都知
事の判断と言って、お互いに相手を批判して時間を失っている。こ
の代償も大きくなる。

一旦、GOTOトラベルを全面的に中止して、政府が率先してコロナ感
染拡大を抑え込んだ方が、日本経済の損失は小さいと思うが、GOTO
トラベル継続で感染拡大を放置するようである。

国民も政府のGOTOトラベルの旅行奨励に乗り、フェーズ3でも旅行
に出るという「気のゆるみ」が出ている。私も3連休はGOTOトラベ
ルを利用して、仙台に行っているので、他人を批判できない。

この原因は、日本の人口1億2千万人中14万人しか罹っていない。率
にすると1.1%であり、多くの人には身の回りにも感染者がいないこ
とになる。そして、罹った人たちも80%はすぐに治るが、20%の人た
ちが重症化する。しかも、死亡者に占める50歳以下は8%程度であり
、若い人は死なないので「気のゆるみ」も、うなづけるのである。

しかし、政府が率先して、感染拡大防止をしっかりとやらないと、
国民の「気のゆるみ」を排除できない。コロナ死亡者より、働けな
くなることや医療崩壊の方が、問題が大きい。そのためには、緊急
事態宣言になるフェーズ4にしない必要があり、そのためには、予
防処置を充実させるしかない。

時短要請はもちろんのこと、飲食店、カラオケ、ホテル、観光業、
交通業の従業員に定期的にPCR検査をして、観光客にも抗体検査をし
て、感染なしの確認を義務付けるなどの、それ相応な対策をとるべ
きである。

3.フェーズ4での緊急事態宣言では
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フェーズ4での緊急事態宣言の場合、外出の自粛などと自粛の強化
をする必要になり、観光業、鉄道、航空、地方交通、飲食店、デパ
ート、アパレルなど多くのリアル産業で働く多くの人たちが失業し
て、社会が荒んでいくことが想定できる。その前に防止策を打つべ
きである。政府が国民に旅行を奨励するのは、非常に危険であるし
、危機時対応としてもおかしい。

先日、ある駅からJRの電車に乗ったが、駅でロッカーやエレベータ
ーに唾を吐き、電車内でも至る所に唾を吐く人を見た。感染するの
ではないかと恐ろしかった。

その顔を見ると目が怒っている。コロナ感染で会社を辞めさせられ
たのかなと思った。

このような人がいると、電車も危ないと思うし、無関係な人たちに
感染を広げることにもなる。このような人たちに対して、特別給付
や生活保護、職業訓練を充実することである。それが感染防止につ
ながる。

それと、このような人が増えると、社会が荒んでいくと同時に、犯
罪も増えて、自殺者や感染拡大の死者だけではないことになる。

その結果、来年の総選挙でも自民党は大きく議席数を減らすことに
なる。死者数、凶悪な犯罪数などが増えて、社会混乱になることの
当然の報いが待っているような気がする。

1月に予定していた衆議院選挙を秋に延期するとしたが、経済縮小
に伴う社会的な混乱は、そう簡単には収まらない。そうならないた
めにも、コロナ感染拡大防止を先にやるべきなのである。

そして、菅首相のGOTOトラベル推進を止められなかった自民党議員
たちも覚悟する必要がある。相当、厳しい選挙になる。

それでも、世界的にみると、日本はコロナ対応がよく、コロナでの
持続性は世界で2番目に良いという。1位はニュージーランドで2位が
日本とのことである。

景気は、この冬最悪になるが、この日本より厳しい欧米も日本も株
価は、最高値である。中央銀行の量的緩和と政府の財政出動による
パンデミック・バブルというようであるが、何か社会がおかしくな
っていると感じる。

そして、一番大きい問題は、貧富の差がますます開くことだ。

さあ、どうなりますか?


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