6148.コロナ感染再拡大で



ファイザーのワクチンが11月にも米国で緊急承認されて、出荷する
ことになるが、マイナス80度で運ぶ必要があり、輸送保管体制に問
題がありそうだ。そのワクチンの供給前に、コロナ感染拡大で、ど
うなるのかを検討しよう。    津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
そして3月23日18,591ドルまで急落して、9月2日29,099ドルまで上昇
したが、11月6日は28,323ドルで、9日は834ドル高の29,157ドル、10
日は262ドル高の29,420ドル、11日は23ドル安の29,397ドル、12日は
317ドル安の29,080ドル、13日は399ドル高の29,479ドル。

NYダウは、13日に29,479ドルまで行ったが、2月12日の高値を抜けて
いない。10日までは、ファイザーのワクチンの高い有効性で株価は
上昇したが、冬に向かい、米国では1日に18万人のコロナ感染拡大が
起き、米国での死亡者数が28万人になるとCDCは述べている。

そして、それによる景気後退をパウエル議長が警告したことで、11、
12日は下落した。13日はワクチン期待が復活。

もう1つ、ナスダックGAFAの上げが止まり、ナスダックの下げも目
立った。バリュー株に投資を振り向け始めたことで、NYダウが上昇
したとも見える。そして、出遅れの日本株やインド株への投資も行
ったようにも見える。しかし、バラテリティが拡大したが、強いこ
とには変わりがない。いつまで続くのかな。

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日終値24,270円でバブル崩壊後高値
になり、3月19日16,358円まで下げ、11月6日は24,325円で、9日は
514円高の24,839円、10日は65円高の24,905円、11日は444円高の
25,349円、12日は171円高の25,520円、13日は135円安の25,385円。

日経平均もNYダウに引きずられて上昇して、11月11日は25,000円台
に乗せ、12日は8日続伸で25,500円台に乗せた。1991年11月以来29年
ぶりの高値になった。

しかし、25日移動平均線からの乖離率が6%を超え、200日移動平均線
からの乖離率は15%にもなり調整になったが、今後は1989年12月29日
の史上最高値38,915円を目指してほしいものである。

どちらにしても、年末には27,000円台と強気の見通しを各証券会社
や評論家たちは言い出し始めている。下値目途も24,000円を高くな
っている。

しかし、日本のGDPは約500兆円と29年前と同じであり、一部の銘柄
の上昇で25,500円に乗せているのが気になる。特に中国での販売が
好調な自動車と自動車部品メーカー株と半導体・内需株の上昇が目
立っている。

この上昇は、米投資家ラリー・ウィリアムズ氏が、日本株の買いを
推奨しているためで、海外投資家が1兆円という大量の買い越しにな
っていることによる。このため、日本株は上昇したが、25,500円で
売り推奨もしている。よって、短期の上げの可能性もある。

日本株も資産バブルといえる状態になってきた。それでも、日銀は
下げた時には、ETF買いをしている。それでよいのですかね。

2.コロナ感染拡大
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コロナ分科会では、感染拡大でフェーズ3地域に対して、「GOTOトラ
ベル」を中止すると尾身会長は言うが、菅首相は、「GOTOトラベル
」の中止はしないと強く述べた。

しかし、現時点でもGOTO宿泊施設従業員の感染は133人にもなってい
る。地方の感染した従業員たちは、地方のお年寄りに移すことにな
る。地方の死亡者数増加や病院ひっ迫が起きる可能性も視野に入れ
る必要がある。

「ハンマー&ダンス」政策で、コロナ感染拡大時には、経済的な縮
小を伴う感染防止の方向の政策であったはずが、菅首相は経済優先
で、コロナ感染拡大でもハンマーを使わないとした。

西村担当相も、菅首相に追従して「(GoToトラベルを利用するかど
うかは)国民の皆さんの判断だと思います」と述べ、感染拡大でも
GOTOトラベルを中止しないようである。

これは、経済優先でポピュリズムのトランプ路線であり、科学的な
知見を無視することであり、その結果はコロナ感染拡大で重傷者の
増加、死亡者の増加と病院機能の麻痺という結果が待っている。

今現在、日本でもコロナを完全に制御できているわけではないし、
コロナ・ワクチンが急に準備できるわけでもない。期待できるのは
重症化する患者を早期に見つける血液検査で、アトピーの診断で用
いるCCL17の量を計ることだという。CCL17が少ない人は重症化しや
すいという。それでも、感染者数が増加すれば、その分重症化する
人が増えるので、解決にはならない。

ということで、野党は、日本学術会議の任命拒否問題より、コロナ
感染拡大でも、「GOTOトラベル」を行う菅首相を追求した方が、国
民の支持を得ることができる。

そして、来年は総選挙を実施することになるが、国民の審判は、お
そらく、トランプ大統領に向けられた選挙結果と同じことになると
予測できる。選挙では自民党が大幅な減少の敗北になり、しかし政
権は維持できるが、菅首相の任期は1年と短くなるような気がする。

地銀再編や規制緩和・デジタル化を積極的に進める菅首相に期待し
たいので、コロナ感染拡大防止を無視することで辞任する事態だけ
は避けてほしい。

国民の生命と経済とのバランスが重要であるが、最後は生命を重視
する必要がある。菅首相は、業界団体や県知事たちの意見に流され
いるが、最後は国民の生命を優先するという基本的な考えを持って
ほしいものである。哲学が大事な時である。

生命を優先すると、企業のリストラが加速して、中高年の失業者が
溢れて、自殺者も増えるので、中高年失業者への特別給付金のよう
な手当が必要になる。全体的な死亡者数を抑えるためにも必要なこ
とである。国民全員ではなくても、失業者への手当は絶対に必要で
ある。

しかし、自民党の敗北時を想定して、岸田氏は準備していてほしい。
また、安倍前首相は、4年後のトランプ再任時の切り札カードとして
温存してほしいものだ。1年後に再度首相になると、4年後にはトラ
ンプ氏が裏切りとして大変なことになる。それより、今は我慢して
トランプ氏との暖かい交流を続けていてほしい。

バイデン政権は、民主党の左右激突で4年後、米国民はトランプ氏を
再度、大統領にする可能性が大いにあるからだ。

3.株価の高騰抑制
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海外投資家が日本株を買い始めている。日銀のETF買いの契機は、海
外投資の売りによる日本株の下落で、日本経済の過小評価を是正す
るためでもあった。

そして、2020年度の税収も3兆円の大幅な減収が見込まれている。今
、日経平均株価は25,500円であり、日本経済の過大評価しているよ
うに見える。

過大な評価の株価にすることは、資産バブルを放置することでもあ
り、バブル崩壊後の混乱を引き起こすことになるので、日本経済に
とってもよくない。

その上、日銀は国家機関であり、税収の落ち込みを補填する方法が
あるのにしないのは、おかしい。もう1つ、株価と景気がバランス
していない。この調整を日銀がするべきである。株価はPBRやPERの
評価基準で見て、過大な評価なら是正することは、日銀がETF買いを
した時点で、発生した責任でもあるはずだ。

日銀が行うべきは、株価下落時の株買いを行うなら、基準以上で上
昇時の株売りを行うべきなのである。勿論、株価が上がっている時
に、大幅な下落をさせるのは、いかがなものかと思うが、株価の上
昇を抑える程度の少量の株売りを長期に行う必要がある。

そして、ある程度の株を売れば、余剰金が出て、税収の落ち込みを
補填できるはずである。そして、それが資産を適正に保ちながら、
ETF買いの金融政策を長く行えることにもなる。

次の統制資本主義社会にするためには、株価の操作を上方向だけで
はなく、下方向もないと統制できないことは制御理論の鉄則でもあ
る。

4.バイデン政権の4年間
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米国の大統領選挙の開票がすべて終わり、最終結果でもバイデン氏
306でトランプ氏232となり、バイデンの勝ちになっている。
トランプ氏が提訴してもひっくりかえすのは、無理であろう。もう
、バイデン政権の今後を見たほうが良い。

そして、バイデン政権の政策が少し見えてきた。対中政策は強硬的
であるが、制裁関税などではなく、同盟国とともに口頭で非難をす
るだけのようだ。

菅首相との電話会談でも尖閣を日米安保の範囲としたが、中国に気
を使い、公式には尖閣を述べないなど『言行不一致』もある口先外
交になっている。それを見越した中国は、米国を脅す方向になる。
しかし、米国は口先外交で、それ以上には踏み出さない。

北朝鮮に対しても同じであり、口先外交をするだけのようだ。金正
恩委員長は、埒のあかない米国に対していらだち、ICBMの試験を大
々的に行うでしょうね。日本にICBMが飛んできて、その都度、大騒
ぎをすることになる。

バイデン政権は、政権発足と同時にレームダック化する。上院で共
和党多数になり、人事も予算もすべてマコーネル共和党上院院内総
務との了解の元で決まることになる。裏を返せば、何もできないと
いうことになる。

このため、民主党的な大判振る舞いも富裕層への増税、オバマケア
の拡充も、大学無償化もできない。社会主義的な政策は封印される
。できるのは、コロナ対策など限られる。

外交は、同盟国重視というが、中国やロシアに対しても弱腰で、軍
事費も増やさないので、何もできない。中国は南シナ海の領有権を
確保して、次に西太平洋に出てくる。益々、中ロは勢いを増すこと
になる。

バイデン大統領は、中ロとの戦いを避けて、中東などの途上国に、
爆弾を大量に落とすことしかできない。軍産複合体の利益代表であ
るバイデン大統領は、戦争を始めることもないが、戦争を止めるこ
ともない。

その内に、大判振る舞いもないので、デフレになり景気も落ちて、
ワクチンができて特別給付もなくなり、貧困層の生活が苦しくなり
、米国民はトランプ時代の失業率の低い完全雇用状況の経済を懐か
しむことになる。しかし、デフレになるので、MMT理論は有効になり
、財政出動をできるが、共和党が予算を阻むことになる。

この赤字財政と、ワクチンができて特別給付もできず、IT企業への
規制と課税で勢いがなくなり、その上、有効な産業政策も打たない
ので、ドル安になると見通せる。勿論、株価も大幅な下落になり、
経済的な衰退も起きる。

日本企業や韓国企業の工場を誘致するなどの産業政策を行うべきで
あると思う。しかし、韓国は中国陣営になり、米国を振り向かなく
なる。

ワクチンもできて、FRBの金融緩和の名目もなくして、打つ手がない
ことになる。財務長官にイエレン氏がなると、イールドカーブ・コ
ントロールで金利は低い状態をキープできるが、通貨の下落で埋め
合わすしかなくなる。

このため、円高にもなる。日本経済も大きなダメージを受けるが、
米国の投資家が日本株を買うので、株価は上昇する可能性もある。
菅首相のデジタル化政策などの産業政策が重要になる。

一方、米国ではバイデン政権で、米国の衰退を隠すことができなく
なる。軍事費と社会保障費など取り合いで民主党内での穏健派と左
派の戦いは、収拾がつかなくなるはず。

このため、4年後の大統領選挙では、トランプ氏が優位になる。バイ
デン大統領は4年で辞めるので、次の民主党候補はカラマ・ハリス氏
になるが、米国民は再度、トランプ氏を選択することになる。

日本も4年後を見据えて、準備しておくことである。トランプ氏が出
てきたら、日本は安倍さんが出ていくしかない。

さあ、どうなりますか?


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