6142.トランプ大統領のコロナ感染で



大統領選挙が迫り、株価は乱高下しやすい環境になっているが、そ
の中、トランプ大統領が新型コロナに感染。今後を検討する。
                       津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
そして3月23日18,591ドルまで急落して、9月2日29,099ドルまで上昇
したが、9月25日は27,173ドル、28日は410ドル高の27,584ドル、29
日は131ドル安の27,453ドル、30日は329ドル高の27,781ドル、10月
1日は35ドル高の27,816ドル、2日は134ドル安の27,682ドル。

NYダウは、9月29日までは、大幅な上昇であったが、9月29日の大統
領の第1回討論会で、バイデン氏が逃げ切って株価下落かと思いきや
、ムニューシン財務長官とペロシ下院議長が追加の景気対策予算の
会談を持ったという情報と米民間雇用者数9月は74.9万人増で、NY
ダウは、9月30日は、300ドル以上の上昇になった。

しかし、ISM製造業景況観指数55.4と市場予想値より低く、新規雇用
統計でも66.1万人増となったが、改善が鈍く市場予想を下回ったこ
との上に、トランプ大統領のコロナ感染で、10月2日は134ドル安に
なったが、思いのほか、株価は下落しなかった。

米下院は2.2兆ドルの経済対策を可決したが、ムニューシン財務長官
も共和党上院も認めないことで、当分特別給付がなく、ロビンフッ
ダーの可処分所得は下がったままである。

しかし、株価が落ちないのは、市場の主役であるロビンフッダーた
ちの強気見通しで、株を保持して利食いをしていないことによる。
このため、ナスダックの出来高が少ない。ということで、株価は堅
調に推移している。

しかし、今後、企業収益にはマイナスな政策を打つバイデン有利を
どう見るのか、強気の見方に変化があるのか注視する必要がありそ
うである。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、3月19日16,358円まで下げ、9月25日は23,204円、28日は307円
高の23,511円、29日は27円高の23,539円、30日は353円安の23,185円
、10月1日は休場、2日は155円安の23,029円。

9月30日の米大統領の第1回目の討論会で、討論会終了後、日本時間
30日午後から、NYダウ先物と歩調を合わせて下げ始め、350円安と大
幅な下落になった。

しかし、30日のNYダウは329ドル高と大幅な上昇となったことで、10
月1日の反発を期待したが、東証のシステム障害で取引ができずに終
了した。

10月2日は、大幅高になるはずが、トランプ大統領がコロナに感染し
たという情報で、NYダウ先物が500ドル近い下落になり、日本株も下
げて、155円安になった。総選挙も年内にはないとなり、選挙資金の
捻出のための株価上昇もないようだ。

似鳥会長は、日本の景気は今後雇用調整が起きて、21年、22年は20
年より景気が悪いという。このため、今後、業績を投資家が見たら
株価は下がるはずであるが、今は業績完全無視という状態で、需給
相場が続いている。

それも海外投資は、5週連続で総額1兆2000億円も売り越している。
これは、欧州勢であり、OPEC諸国が石油価格の低迷で、自国の経費
をまかなうために、日本から投資を引き揚げ換金しているからのよ
うである。

その分を、日銀のETF買いと個人投資家の買いが、株価を支えるとい
う構図である。スガノミクスは海外投資には、全然響かないようで
ある。よって、海外投資家の日本株売りは止まらない。

ドル円も104円ー106円のレンジ相場が続いている。本来なら日米の
金利差がなくなっているので、円高になるはずが、日本人の米株へ
の投資と公的な介入などでそうなっていない。当分、レンジ相場が
続き、FRBの追加の量的緩和がないなら、米株価が暴落した時点で円
高になるのかもしれない。

もう1つ、気になるのが横浜や横須賀で頻発する異臭騒ぎである。
この現象の裏に関東直下型地震を感じるのは、私だけであろうか?
これに関係しているのか、耳鳴りも続いている。仙台に行くと治る
が、東京に戻ると再度耳鳴りがする。

2.時代の変化が起きている。
来年のダボス会議のテーマは「グレート・リセット」ということで
資本主義の見直しをテーマにするようである。

2020年代は、デジタル化しかないが、これによる社会の変化と、そ
れに対応するには、今までの新自由主義的資本主義では無理であり
、どのような資本主義に変化させるのかを話し合うようだ。

コロナ感染抑制には、中国や韓国などの個人の自由を大幅に制限し
て、感染拡大を止める必要があるが、どこまでが制限の許容範囲か
も議論になる。

これに成功したことで、自信を深めて中国は、国家資本主義から独
裁的な全体主義になってしまった。その上に戦狼外交と世界を相手
に戦うというから大変である。

グローバリゼーションの巻き戻しも必要であり、中国は、マスクや
薬品原料などの感染予防品の輸出を制限したことで、日本企業が中
国の工場で生産した製品を日本に輸送できないという問題が起きた。

このように国家が自由な貿易を阻害したことで、グローバリゼーシ
ョンの前提が大きく崩れてしまった。もう1つが、グローバリゼー
ションの拡大で、先進国に製造業がなくなり、サービス業が中心と
なり、国民の所得が下がったことと、経済の脆弱化が問題視されて
いる。

もう1つが、デジタル化とAI化で、経済のより広範なレベルが影響
を受ける。何百万人もの人々が今までの職を失ったり、収入を減ら
したりするなか、貧富の格差はさらに拡大することになる。とくに
、専門職という人たちが影響を受けることになる。

もう1つが、日本の問題として、政治家の2世や3世たちや、高級官
僚などエリートたちの危機対応が国民の期待値以下であり、国民の
気持ちに寄り添えていないことが判明した。初期のコロナ対応が完
全な失敗になった。

ということで、大きく歴史の転換点に来ていることがわかる。新自
由主義的な資本主義から、ある程度統制された資本主義に変わる必
要がある。

国益を重要視した産業政策や国民所得を真に引き上げる政策が必要
になっている。それと、エリートたちから庶民に権力の移行期にあ
るような気がする。

SNSなどで庶民たちが本音を発言でき、その発言を無視できなくなっ
た。このため、エリートたちが発言する新聞やテレビの報道も下火
になっている。

しかし、野党もエリート化していて、庶民の気持ちに寄り添ってい
ない。大企業のエリート化した労働組合の要求や年金生活の70歳以
上の老人層の理想とか理念で動くが、それは若い人や庶民たちの本
音とは大きく違う。野党の支持率が低い原因でもある。

3.改革の時代
という意味では、貴族から武士に政権が移行した承久の乱以降の鎌
倉幕府の時代が来たようである。1955年体制の完全な移行をする時
代になったようである。

老人層やエリートたちの理想や理念から、国民全員の本音の時代に
なったようである。それに伴い指導者も変化することになる。政治
家の2世たちから実力のある政治家に移ることになる。庶民の気持ち
のわかる政治家が必要なのである。

先に米国は、白人たちの本音を語るトランプ大統領が出て、米国一
国主義に転換して、製造業を中国から米国に戻し、労働者の賃金を
上げる方向であり、米中の経済分離政策を進め、かつ軍事費削減の
ために中東からは米軍撤退していくようである。そして、この方向
は、バイデン候補が勝っても継続するしかない。

グローバリゼーションの大きな後退であり、移民も入れないとした
ことで、今後は人と物の移動はできなくなる。しかし、知識や資金
の移動はできる時代である。

白人たちは、黒人など多民族より特権的な地位を要求しているが、
その部分で、分断が起きている。このままいくと「南北戦争2.0」な
どと言われているが、多くの部分では米国民の共通利益になってい
る。

要するに、自国民全員の所得を増やすことや自国民だけの安全な生
活ができることで、一部資本家・企業家の利益を増やすことではな
いことに、米国の白人も黒人も気が付いたことで、企業の経営は大
きく転換する必要になっている。

バイデン候補が当選しても、企業の法人税を上げて、富裕税も上げ
て、製造業を戻し、国民全員の所得を上げる方向になる。

国民の多くは、自分だけの安全な生活や自分の所得を増やしてほし
いのである。それが本音だ。企業経営者は、企業利益最大を目標と
するが、それでは国民と乖離しているので、国民から選ばれる政治
家が、その変更をすることになるのだ。

米国は軍産学複合体が支配しているので、抜本的な改革ができなか
った。それを最初に壊したのが、トランプ大統領である。一度壊す
と皆が目を覚ますので、元の体制にはできなくなる。

トランプ大統領を見ると、室町時代初期の婆娑羅大名のような感じ
である。権威も権力も否定して、派手な行動をする。時代を変える
には、そのくらいの行動をしないとできないのであろう。そして、
時代がそのような人を必要としていたのである。

同じように、日本でも庶民首相が出てきた。菅首相であるが、エリ
ートとは違い、ビジョンを示さないが、1つ1つの指示がある方向を
示している。

それは、グローバリゼーションを見直し、国民全員の所得が真に上
げられる政策を行うことで、それは、製造業や電子産業やデジタル
産業の復興である。そのための研究開発である。

観光業などのサービス産業や土地が少ない農業の拡大では、国民全
員の所得拡大は、できない。それと同時に、産業育成の規制緩和や
デジタル化での官庁の縦割りを打破することにであるようだ。

もちろん、農業の高収益化はできるが、北海道のような大土地農業
が必要になり、多くの人が働くことはできない。

また、安全な生活を阻害する中国や北朝鮮からの紛争を防ぐ軍事研
究を止める総理直轄の日本学術会議の委員任命を拒否した。これは
、庶民の本音に基づいた判断である。

ということで、日本にも、庶民の本音を理解する面白い首相が出て
きたようである。

4.大統領選挙
現時点でも、バイデン候補が優勢であり、トランプ大統領がコロナ
感染で第2回の討論会15日はできないし、第3回の討論会22日もでき
ないか、電子会議になる可能性も出てきた。

これは、断然、バイデン候補に有利になった。現時点で9ポイントの差
があるが、この差を埋めるトランプ陣営の選挙集会もできない。で
きるのは、入院中でありツイッターでの発言だけである。

トランプ大統領の逆転は、コロナ感染症を治して、コロナ感染症の
方針を大きく変えることができれば、その可能性が出てくるが、重
症化して1ケ月入院となる可能性もある。

今後は、バイデン氏が大統領になった後の経済政策を推測した株価
になるような気がする。当分、法人税や富裕税、キャピタルゲイン
税の引き上げなどから株価も下落であろう。

どちらにしても、VIXの高い状態が続くことになる。下落すると強気
のロビンフッダーたちが買いを入れるので、そうなる。

さあ、どうなりますか?


コラム目次に戻る
トップページに戻る