6140.菅政権の行政改革の進め方



菅政権の改革の中心は、行政改革であろう。その進め方を検討する。
                   津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
そして3月23日18,591ドルまで急落して、9月2日29,099ドルまで上昇
したが、9月18日は27,657ドルで、21日は509ドル安の27,147ドル、
22日は140ドル高の27,288ドル、23日は525ドル安の26,763ドル、24
日は52ドル高の26,815ドル、25日は358ドル高の27,173ドル。

NYダウは、9月3日木曜日に全ての市場で急落後、NYダウもナスダッ
クも乱高下している。

ナスダックも9月2日12,074Pまで上昇後、21日には10,519Pまで下落
した。23日は10,632Pであり、調整の目安である10,749Pを下抜けて
いる。ハイテク・バブル崩壊の様相であるが、一時的な買戻しが増
えてきた。

垂直に上げてきたGAFA+Mとテスラの株価が下落してきたことが大き
い。しかし、乱高下しているが、一時的な買戻しが優勢になってき
た。

これは、株価が下がると、ハイテク株に対する押し目買いとハイテ
ク企業の自社株買いが入り、株価を戻す動きになっているからだ。

そして、ここに来て、トランプ大統領は全体選挙結果で負けても認
めないと言い始めている。故ルース・ベイダー・ギンズバーグ米最
高裁判事の後任人事を行い、判事9人体制にして最高裁で選挙結果の
審判を有利にするようである。郵便投票分を無効化すれば、直接選
挙分では勝てると見ているようだ。これは後で詳しく見る。

このため、大統領選挙後の混乱で株価は、大きく下落になると見込
まれることで、ファンドは、投資を絞り、ハイテク株を売り逃げし
ている。選挙直前10月には、ファンド勢は、空売りになると見る。

しかし、現時点では、ロビンフッダーに市場をかき回されて、アク
ティブ・ファンド勢の成績は良くないという。

ロビンフッダーは、一時は市場の取引の25%を占めていたが、特別
給付金が無くなり余剰金が枯渇して、上がると利益確定売り、下が
ると押し目買いのようだ。追加資金がなく手持ち資金の循環でしか
投資できない。

このため、市場では、民主党の大統領・上下院の完全勝利を期待し
始めた。その理由が、共和党が反対する追加の特別給付金が全額も
らえることになり、株価が上昇するというのである。

そして、為替は、米株高であるとドル売り、米株安だとドル買いと
いうように、米国株に連動した動きになっている。

ユーロ圏は、コロナ感染拡大でマイルド・ロックダウンになり、経
済活動が下降しているので、株安・ユーロ安になっている。

中国市場では、自動車販売が回復してきたが、消費者信頼感の改善
は緩やかなペースにとどまっている。これは、多くの低所得世帯が
、なお精神的なショックが残り、節約志向をやめようとしていない
ことによる。

このためか、不動産会社の中国恒大集団がデフォルトの可能性あり
と、関係会社の株価が大幅な下落になっている。

不動産価格を30%値引きして販売していたが、売れないようである。
中国の借金も行き詰まりを迎えた可能性がある。ここでもバブル崩
壊の可能性がある。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、3月19日16,358円まで下げ、9月18日は23,360円で、23日は13
円安の23,346円、24日は258円安の23,087円、25日は116円高の23,204
円。

日経平均株価は、9月14日に23,559円と戻り高値を抜いたが、米株価
の下げで日経平均も下げたが、週間では23,200円をキープしている。

日本株は、菅新政権への期待、配当取りの株買いに支えられて、し
っかりして強い。米国株との連動がなくなったとも見える。

菅政権期待と配当取りだけではなく、中国市場での売上高増加と、
日銀の日本株ETFの買い支えも効いているとも見える。

しかし、9月28日が権利行使最終日であり、9月29日の株価がどうな
るのか、かつ、9月30日は米大統領の第1回目の討論会であり、米国
の影響を受ける可能性も大いにある。

そして、10月には、株価は下落する可能性が高い。マザーズの新興
株の値上がりが異常であり、その見直しが起きる可能性が高い。

2.スガノミクスの改革ポイント
菅首相の腕力は、強いようで、菅政権期待で株価もしっかりしてい
る。デジタル庁を開設して、省庁横断のデジタル化を推進するとい
うし、平井大臣もやる気満々であり、頼もしい。

武田総務大臣も携帯通信料の引き下げを推進するというが、どう進
めるのかが、見物である。行政改革・規制緩和の河野大臣も面白い。

というように、この3本柱で当面、成果を出すようであるが、この
3本柱は、突き詰めて考えると、日本の社会経済システムの大改革
に繋がることになりそうである。

その他には、21年のオリンピックを開催する方向で、コロナ禍での
開催を目指していくし、冬場を迎えてコロナ対策も必要である。

内政を短期に改革して、次の日本を目指してほしい。

一番の肝は、官庁組織の縦割りをどう改革するかでしょうね。それ
がないと、デジタル革命も起こせないし、規制緩和も行政改革もで
きない。

この官庁の縦割りを解決する方法は、中国共産党の支配体系の中心
にある領導小組の組織であろうと見る。各問題を横串を通して、検
討する組織であり、その領導小組の組長がその問題のトップである。

この事務局を内閣府において、各官庁からの委員と広い分野の有識
者を集めて規制緩和の方向を検討する会議体(分科会)を作り、規
制緩和か否かの結論を出す。その結論を実行するのが、各省庁とい
うことになる。

分科会の結論を基に、各省庁は、各省庁主催の委員会で関係者の説
得や専門家を集めて法律の修正を検討して実行をする。そして、そ
の実行を監視するのも、この内閣府の事務局がすることである。

納得できる実行がないなら、官邸・内閣府は省庁人事も行う。強い
権限がないと規制緩和はできない。

今、行っている内閣府の新型コロナ感染分科会と厚労省の新型コロ
ナ感染専門家会議が、もっとも近いかもしれない。

その事務局のトップに内閣府の大臣、副大臣、政務官、補佐官など
を割り当てる。各省庁に帰属する部分が大きい問題では、トップに
その省の大臣でもいいかもしれないが、事務局は内閣府に置く。

人事体系も変更が必要であり、上級職の国家公務員は、必ず内閣府
への複数回の出向を行い、国益を重視した官僚にすることが必要で
あり、上級職の人事権も内閣府が持つことにするべきである。

これで、官邸を中心とした行政体制が完成することになる。国益中
心で首相の権限を拡大して、官僚の「省益あって国益なし」の体系
と各省OBが行く団体の既得権益重視を打破して、国家の総合的な制
度設計が、やっと可能になる。この仕組みを河野大臣は、作ること
である。腕力が必要であり、菅首相と河野大臣ならできるかもしれ
ない。

これで、小泉元首相が始めた日本の構造改革が完成することになる
。そして、その結果の上でデジタル革命、デジタル庁も有効に機能
できることになる。

ということで、菅政権は、安倍政権の延長と言うより、小泉政権の
復活と見た方が良いかもしれない。

デジタル化推進のためには、各省庁のシステムとのインターフェー
スを確立して、中心に位置づけるマイナンバー・システムを作る必
要がある。

事務局を内閣府に作り、会議体に各省庁のシスム担当者とSIerを参
加させて作るしかない。これだけでも、非常に多岐にわたるはずだ。

その上、地方自治体のシステムとのインターフェースを標準化して
、それに合わせて各自治体で作ってもらうことになる。このため、
標準の自治体システムを複数社が手掛けているが、そのSIerにも参
加いただくことである。

携帯通信料の引き下げは、1つの側面であり、この分野は産業の中
心に位置付ける必要があり、そのための研究開発費や設備投資が必
要である。この分野で出遅れると、デジタル分野全体での遅れにも
繋がり、日本経済発展の芽がなくなる。

NTTドコモとNTTなどの株を50%以上国が持つことで国有化して、しか
し、完全な国有化をすると弊害があるので、株を持つ量を50%以上80
%未満にして、民営化の良いところは残すことが必要である。

その上で、税金を無税にする代わりに、研究開発をその分行い、製
造メーカが、その研究成果で製品を作り、それを各社が導入するこ
とにする。

足りないなら、国家が資金援助もするが、研究開発項目には口も出
すことである。日米先端技術共同研究も国家主導で出来る基盤がで
きる。

もう1つが、国家指導の下で、通信料の引き下げもNTTドコモがまず
行い、それに合わせて、各社が行うことで通信料の引き下げを実現
したらどうであろうか?

そうしないと、ソフトバンクやKDDIなどの民間企業では、利益水準
をキープして、配当を維持したいという意識が働くので、値下げは
しにくい。NTTドコモが料金を下げると、競争上、各社も下げるしか
ない。

勿論、国家指導の上でも、今後の設備投資をどう見るかも必要にな
るし、株主配当などの基準も必要であろう。日本社会での会社の標
準モデルを作る必要がある。この検討にも内閣府に事務局である。

これは、日本の現状を是認した資本主義・統制経済の1つのモデル
を作ることになる。新自由主義的な資本主義の問題点が欧米で出て
いるが、この従前の資本主義より良い資本主義ベースの社会経済シ
ステムを作ることにもなる。

しかし、中国のような統制経済から独裁的全体主義にすることも問
題であり、この社会経済システムでは、首相の権限が強いので歯止
め策も、今後、必要になるはずであるが、問題が出てから考えるし
かない。

一部、安倍政権で法律を無視したような問題が出ていたが、問題の
全体像がまだよくわからないし、首相の権限の分散をしない解決策
も見えていない。

もう1つ、コロナ感染も冬場の流行期になる。その備えも十分行い
、かつ経済活動も行うことが必要であり、観光地の平準化対策も必
要であろうと見る。

そして、流行になり、感染拡大時の規制強化の基準も作った方が良
い。それを見て、経営者が覚悟できる。大きく見て、対応策を考え
てほしいものである。

3.米大統領選挙
11月3日の大統領選挙は、郵便投票もあり、結果が出るまでに多くの
時間が必要になる。トランプ大統領は、スムーズな政権移行をしな
いとしている。

その理由が、ヒスパニック系のトランプ大統領支持が出てきたこと
で、接戦になる気配であり、共和党支持者は直接投票の確率が80%で
、民主党支持者は60%が郵便投票になることで、11月3日時点では、
トランプ大統領の方が優勢になる。

このため、郵便投票を無効にできれば、トランプ大統領の勝ちにな
る。しかし、その後の郵便投票分が合わさると、バイデン候補が勝
ちになり、民主党も共和党も共に選挙結果を認めない。

郵便投票の無効を主張する共和党が提訴することになり、最高裁判
所が判定を下すことになるが、共和党の提訴を通すためには、最高
裁判所の判事を多数化することが必要である。

このため、後任最高裁判事に保守派バレット氏を指名する。これで
、保守派7対リベラル2になる。

12月8日が、選挙結果の異議申し立ての締め切り日であるが、ここま
でに最高裁判所の判決をする必要がある。

しかし、それを越えると、大統領は下院が決め、今回下院の半数の
改選で、各州1票なので下院選挙で勝つであろう民主党議員数が26州
で共和党を上回ればバイデンになり、逆に共和党が26州で上回れば
トランプになるが、共和党の可能性は小さい。

副大統領は上院が決めるが、今回の選挙は上院議員選挙もあり、民
主党が勝つとハリス氏であるが、共和党が勝つとペンス氏になるの
かわからない。

両派の支持者同士が街頭でぶつかる可能性もあり、大変な状況も想
定する必要がある。

しかし、1月20日までに決まらないと、暫定大統領として下院議長で
あるペロシ氏が暫定大統領になる。

勿論、この間は、政策的なことがすべて決まらないことになる。も
う1つが、選挙後、当分トランプ大統領がホワイトハウスでの移行
作業をしないというので、ここでも問題が起きることになる。

大統領と上下院が民主党になると、最高裁判所の定数を15にして、
6人のリベラル派判事を任命して、保守派7人対リベラル8人として、
最高裁も民主党が占めることになる。と計画しているようである。

米国の人口動態からしても、白人優位な最後の選挙でもあり、ここ
で白人下層階級が負けると、以後は、共和党のトランプ的政権は二
度とできないことになる。このため、トランプ大統領も白人下層階
級の支援を受けて、頑張るしかないようである。

さあ、どうなりますか?


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