6135.米中対決で日本復活か?



米中対決により、米国は1980年代の日本方式での研究開発を認める
しかない状態になっている。それを検討する。   津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
そして3月23日18,591ドルまで急落して、8月28日は28,653ドル、31
日は223ドル安の28,430ドル、9月1日は215ドル安の28,645ドル、2日
は454ドル高の29,099ドル、3日は807ドル安の28,292ドル、4日は159
ドル安の28,133ドル。

NYダウは、2日に29,000ドルを超え、2月高値水準になった。そして
、SP500もナスダックも最高値を更新し続けていたが、3日ISMサービ
ス業景況指数が56.9と前月比-1.2と低下。そして、この数日VIXが高
いのに株価は上がったが、出来高も低下していた。

そして、9月3日木曜日に全ての市場で急落した。特にナスダックは
5%値下りで598P安の11,458Pときつかった。急騰していたハイテク
株が売られた。

しかし、4日の雇用統計で、8月の雇用者数は137万人増で、失業率は
8.4%となり、4カ月連続での労働市場改善が続いている。このため
、ナスダックは、4日500P安まで行ったが、その後144P安まで戻して
終えた。

9月1日英資産運用会社ベイリー・ギフォードのテスラ株の保有縮小
がトリガーになって、機関投資家が利益確定売りに走った結果のよ
うである。

この機関投資家が分かった。ソフトバンクがIT銘柄コールオプショ
ン40億ドル購入後売却したと。このコールオプションを売った業者
たちは当該IT銘柄をヘッジで買ってきたが、株価が急落すると一気に
売りに走っている。

プット(売る権利)と特にコール(買う権利)の出来高はここ数週
間に爆発的に増加していたが、その大部分は小口で、個人投資家の
取引であり、大所としてソフトバンクがいた。ということで、裏に
世界最大の機関投資家のコールオプションの売りがあったことにな
る。

このため、テスラの株価は8月31日の終値498.32ドルから、3日間で
下落率18%を超えた。その後、4日にはSP500にも採用されずに、取
引時間外に、さらに一時8%の下げになっている。テスラ株価は、大
幅な下落に見舞われている。

にわか個人投資家のロビンフッダーの多くは、オプション取引で驚
くほどの大損になったことであろう。また、テスラ株を高値で買っ
た投資家も大損したようである。

9月3日は、歴史に残る日になる可能性もある。1929年の株価動向と
同じと見るならば、当分、米株式市場は下落が続く可能性がある。

そして、民主党が主張する特別給付を持続する3兆ドルの追加景気対
策が決まる可能性も出てきたし、かつ株価の持続的な下落になると
、トランプ大統領の当選が危うくなる。1929年と同様な大恐慌と同
様なことになると警戒する必要もある。

特別給付は、今後も長い間持続して、ベーシック・インカム化する
のであろう。勿論、これは米国の衰退とドル下落がセットである。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、3月19日16,358円まで下げ、8月28日は22,882円、31日は257円
高の23,139円、9月1日は1円安の23,138円、2日は109円高の23,247円
、3日は218円高の23,465円、4日は260円安の23,205円。

日経平均株価は、米国株の好調を受けて23,400円台になった。しか
し、4日は、一転米株下落で260円ほど下げたが、500円程度の下げを
想定したので、それより少なかった。日経平均は、思いのほか強い。

菅官房長官が次期首相になるし、そのため、日本の政策に変化がな
いと見て、市場は安心したようだ。しかし、菅さんが、地銀再編と
携帯電話料金の値下げを言ったことで、その銘柄の株価は大きく動
いた。そして、消費税減税もしないという。

また、橋下氏を総務大臣にするとささやかれている。維新の会を与
党に引き込むことである。大阪都構想を実現させて、活性化を図る
ようだ。

また、ホンダとGMが広範な提携を発表した。このため、ホンダ株が
逆行高になっている。米GMは開発費などの費用が出ないために、ホ
ンダに助けを求めたことが真相であろう。

米企業の内部保留の少なさで、研究開発費不足になった可能性があ
る。徐々に米企業の存続が危うくなる時期で、日本企業は、米企業
との提携や買収などのチャンスが出てきたようだ。

一方、ホンダの思惑は、最新ハイブリッド・システム(IMMD)の部
品数が多く、コスト高になっている。このため、ホンダの利益が低
い原因になっていた。このため、部品の共有化で部品コストを抑え
たいのであろう。

もう一つがGMのシリーズ型のハイブリッド技術を取り入れることか
もしれない。日産のe-powerハイブリッドの燃費がすごく良いので、
その技術に対応するためにも同じ方式のGMのハイブリッド技術が欲
しいのかもしれない。

現在、トヨタのハイブリッド技術が古くなり、日産のe-powerの燃費
にも負け、ホンダのIMMDハイブリッドの燃費にも勝てなくなってい
る。このため、トヨタの豊田社長も危機感を感じているようだ。

日産がいうEVの前哨戦としてのエクステンドEVの時代になるようだ
。ホンダのハイブリッドIMMDも低速時はEV走行であり、そのためト
ヨタのハイブリッド車より燃費が良い。

2.菅次期首相の問題点
菅官房長官の自民党総裁選挙での優勢は、動かしがたい。その菅さ
んが、立候補の演説をしたが、非常に分かりやすかった。庶民派の
菅さんらしい演説であった。

その政策は、安倍さんの方針を引き継ぐということで、非常時の今
は、菅さんしかいないということで、細田派、麻生派、竹下派、二
階派は、結束して菅さんを応援するという。その裏には、安倍首相
が菅さんを推していたようだ。

ということで、次回の2011年秋の自民党党大会までの菅暫定政権の
色合いが強い。

菅さんの問題点は、今後の日本の針路というビジョンが出せないこ
とであり、実務や実行力は優れているが、大方針が示せないので、
長期に政権を担うことは無理がある。菅さんは、官房長官が適任で
あったような気がする。

ということで、菅政権での官房長官が誰になるのかが気になる。官
房長官と首相の役割が逆転する可能性もあると見る。

ウイズ・コロナ時代での経済活性化は菅さんでできるが、日本復活
の道筋を付けるには、外部の大きな助けと官房長官や首相補佐官が
重要なことになる。安倍首相の裏からの支えも必要な気がする。

そして、今、米中対立で、日本復活の大きなチャンスが訪れている。

それを逃してはいけない。その道筋を付けるのは、11月の米大統領
選挙までの今しかない。大統領選挙戦後、日本は米大統領の政策に
合わせた日本の道筋を決める必要があるが、その予備交渉は今から
でも両陣営にできる。

3.日本の復活方法
日本が衰退した原因は、日米貿易摩擦で、国主導の研究開発力を封
じられたことにある。中国がイノベーションを起こした要因の多く
が国主導の企業への研究開発費補助金である。

アベノミクスの第3の矢の成長戦略がうまく機能しないのも、この
ためでしたが、制約がある中でできることを探すことになった。そ
れが、農業と観光でだったが、高付加価値産業ではないので労働者
数は増やせたが、労働賃金は低いことで、非正規労働が多くなって
しまった。

20年を経て、米国は、国主導の研究開発方式での中国の最新技術に
負けた状態になってしまった。日本も同様である。

国主導の研究開発とは、半導体開発で取った複数社の企業連合に、
研究開発補助金を出す方法と国鉄や電電公社などの実業の国有企業
の巨大研究所での研究と言う2つの方法があった。

国の単純な研究所での研究開発は事業がないので、実用化研究がで
きないし、事業で金を得るという大きな欲求がないことで、基礎研
究しかできない。

この国家主導研究方式で、国鉄は新幹線を生み、電電公社は携帯電
話を生むことになったのであった。

これで、1980年代に米国の技術に追いつき、追い越したが、そこで
、米国が立ち上がり、日米構造協議と言う形で、日本の研究開発力
を破壊した。

1つに国有企業を分割・弱体化させた民営化、もう1つが、企業へ
の研究補助金を封鎖したことで、以後、企業研究に国が補助できな
くなってしまった。

このことで、米国は日本の研究開発力を破壊して大成功したが、韓
国が国主導の研究開発で日本の技術を奪い、そして、中国が国主導
の研究で、日米韓の技術を抜かすまでになっている。

このように、国主導の研究開発に負けることは明らかで、中国に米
国が技術で負けたことで、米国は中国に構造協議を仕掛けたが、中
国は、反発している。この結果が米中経済対決や米中軍事対決とな
っているのだ。

米国一国で、中国の技術に追いつかないので、日米は、共同して中
国の技術を抜かさないといけないことになった。米中分断経済での
要素技術は、日本が研究開発しないといけない状態になっている。

それは、米国のソフト技術は一流かもしれないが、通信技術や機械
技術の多くが遅れている。細密な加工が必要であるが、その技術の
多くを米国は、1990年代に捨ててしまった。

日本は、この部分ではまだ米国よりも進んでいるので、日米で技術
開発する必要がある。その方法は、国主導の実用化研究投資であり
、それを復活することで、再度、日本のイノベーション力を取り戻
すしかない。

もう1つが、国有企業化である。日銀が株ETF買いをしているが、こ
れをターゲット産業関連の研究開発企業をまとめてETF化して、その
ETFを買えばよい。リートETFの代わりにそれを買えばよいだけだ。

今までのETF買いで、日銀は一部企業のトップ株主であるが、研究企
業の50%程度の株主になって半国有化して、そこに国の研究開発補助
を行えばよいし、米国が文句を言うなら、新規発行株を国が優先的
に買えばよいのである。

国主導で、実用化の研究開発補助を行い、世界的な日本企業を育成
するしかない。米国も中国があるので、日本の復活が必要になって
いる。

日米摩擦で、日本が折れて、仕方なく、農業輸出と観光産業で経済
衰退の急場をしのいだが、やっと、日本の研究開発力の実力が、ま
た出せるチャンスが来たということである。

そして、研究開発をして新技術を出して、早急に日本を復活させる
ことである。それしか本当の意味での日本復活はない。

4.米大統領選挙
株価がどこまで下落するかで、大統領選挙が決まる可能性が出てき
た。ナスダックは調整局面入りしたし、それに伴いNYダウも2000ド
ル程度の下落になるかもしれない。

金融緩和で、お金はジャブジャブであるが、株は調整局面になり、
債券金利はゼロ水準であり、金も上がり、投資できる物がなくなっ
ている。投資と言う意味では、悩ましい状態である。

しかし、トランプ大統領は、黒人たちのBLM運動での都市暴動に対し
て、「法と秩序」との主張に米国民の多くが共感して、賭けサイト
ではバイデン候補を逆転しているし、世論調査でもイーブンになっ
てきた。

トランプ氏が逆転当選になると報道でも言い始めた。BLM運動に資金
を出しているのが、反トランプ派の富裕層である。しかし、この黒
人たちの暴動で、バイデン候補には逆風になっている。資金を出し
て、バイデン落しをしているようなものになっている。

もう1つが、コロナ感染拡大が収まり始めて、トランプ大統領への
風当たりが弱まっていることも大きい。その上に、10月末にはワク
チンの接種も始まるという。

ということで、企業優遇のトランプ優位になってきたが、米国も日
本も景気は悪いので、この経済水準に合わせた株価へ暴落が起きる
と、再度、分配を重視した政策のバイデン候補に有利になる。

もう1つ、トランプ大統領は、無用な戦争をしないことを強調する
ために、第1次世界大戦の米軍人戦死者について「負け犬」「馬鹿者
」と侮辱する発言をしたようだ。失言であるが、トランプ氏が言っ
ても大問題化されないようであるが、このことで、軍関係者の半分
が、トランプ離れを起こしているという。

このため、トランプ大統領は、当選するために、またもや、大判振
舞をする必要になっているようだ。

バイデン米政権になると、ウォール街が嫌いなウォーレン財務長官
と親中と言われるライス国務長官という布陣になると予測されてい
る。そして、分配を重視した政策になる。

バイデンが勝てば、ウォール街を叩くことが確実で、株価は大幅な
下落になり、トランプが勝てば、株価は維持か上昇になるはずで、
よって、市場関係者や投資家達はトランプ氏を応援することになる。

さあ、どうなりますか?


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