6134.米中軍事対決の方向か?



南シナ海で、中国軍がミサイルを4発発射して、米艦隊を牽制する
など、米中経済対決から軍事対決の様相になってきた。今後を検討
しよう。      津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
そして3月23日18,591ドルまで急落して、8月21日は27,930ドルで、
24日は378ドル高の28,308ドル、25日は60ドル安の28,248ドル、26日
は83ドル高の28,331ドル、27日は160ドル高の28,492ドル、28日は
161ドル高の28,653ドル。

NYダウは28,000ドルを超え、2月下旬と同じ水準になった。そして、
SP500も連続で最高値を更新、ナスダックも最高値を更新し続けてい
る。というように米国株は、好調を持続している。

回復期の人の血漿を重症者へ投与する治療を認可され、英アストラ
ゼネカのワクチンを特別認可するとしたこと、モデルナのワクチン
が中高年にも治験良好なこと、パウエル議長がインフレ率2%を越え
てもゼロ金利を維持するとしたことなどを好感して、株価は上昇を
続けている。

しかし、パウエルFRB議長は、もう1つのYCC(長短金利コントロール
)については明確化しなかった。

どちらにしても、リスクオン相場が続いている。少し上がり過ぎの
傾向もあるが、米株価の先行指標である木材先物価格がピークアウ
トしたと見えるのが、気になる。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、3月19日16,358円まで下げ、8月21日は22,920円で、24日は65
円高の22,985円、25日は311円高の23,296円、26日は5円安の23,290
円、27日は82円安の23,208円、28日は326円安の22,882円。

日経平均株価は、23,000円台を再度復活した。しかし、そこから上
値が重い展開になっている。27日までの相場は上げと下げが交互に
なっている状態で、それを鯨幕相場というが、28日安倍首相の辞任
で、一時614円安になったが、326円安まで戻して終えた。しかし、
23,000円台割れになった。

このようなことで、普通なら、米国株高、円安で追従するはずの日
経平均株価が追従できない状態になっている。

しかし、米国株が上がりすぎであり、米投資家は、出遅れの日本株
への投資を考え始めたという情報もあり、日本株は安倍首相辞任で
下げたので押し目買いが増えるような気もする。

ということで、大反発して、24,000円台に向かう可能性も出てきた
ようである。

しかし、コロナの再拡大が11月に起こるとか、今後半年で31万件の
倒産が出ると調査会社は予測している。ここからは、景気と株は完
全に連動しなくなる。米投資家が参入して、勢いと乗りで株価だけ
が上昇するのであろうか、心配である。

2.米中貿易対立から軍事対決へ
トランプ大統領が開催しないし、現在は話もしないとした米中貿易
協議を8月25日に行ったが、翌日には香港で民主派議員など16人を逮
捕している。この裏で、米中の取引が行われたようである。

ドル決済システムからの追放はしない代わりに、第1次貿易協議で決
めた農産物などを買うこととなったようである。米国の農民票を得
るためには、中国が農産品を大量買いしてもらう必要があったため
である。

もし、不十分な場合は、米国としては、損失額に相当する規模の関
税を課す可能性があるが、中国はそこを問題視しているわけではな
い。

米国からの輸入を増やすため、オーストラリアからの牛肉の輸入を
止める必要から、禁止薬物を検出したと中国は、一部停止した。

中国としても、現時点では、ドル決済システムから追放されるとた
いへんであるので、仕方がない。中国は、今までは輸出で外貨を稼
ぎ、その外貨で「一帯一路」などの中国拡張政策をしていたが、今
後、双循環ということで、内需と外需の両輪で経済を回すとした。
そのようにして、ドル決済が必要な米国経済圏から離脱を目指すこ
とになるようだ。

そして、今は、中国経済は成長軌道に乗り始めているが、米国は、
コロナ感染蔓延で当分経済は縮小になる。もしかすると、今年中に
経済規模で米中逆転も起こりえる状態になる。勿論、中国の公式見
解ではの話であるが。

もう1つ、中国も長雨と洪水で農産物の不作が予想できるので、米
国産農産物の輸入は必要なことである。両国の利害が一致している。

そして、その場で中国は、香港の統制強化を条件に出したようだ。
米国は香港での民主派逮捕に対して、何も抗議していないというこ
とは、中国は、その条件を勝ち取ったようである。

米国は、中国のハイテク製品の米国内での販売を禁止することで、
中国のハイテク産業発展阻止を図っている。中国は米国アプリを現
時点で中国国内で禁止しているので、対抗策がない。

そこで、中国は次の一歩を踏み出すことになる。ハイテク経済戦争
に対して、南シナ海の領有権を米国に認めさせることである。

サラミ戦略の次の一歩として、ミサイルを南シナ海に発射して、米
空母の南シナ海への航行をけん制した。

これに対して、エスパー国防長官は、中国の試みに一歩も譲らない
と声明を出した。

嫌な感じなのは、大統領選挙年であり、トランプ大統領が劣勢であ
ると、挽回のためにオクトーバ・サプライズを行う可能性があるこ
とだ。その選択肢の1つに、南シナ海の部分軍事衝突もありえるか
らである。そして、米長距離ミサイルを南シナ海に向けて発射する
可能性を示唆した。

そして、バイデンの受諾演説のTV視聴率よりトランプ大統領の受諾
演説の視聴率が低く、Qanonなどの陰謀主義的な演説は、正常な感覚
がある人には、聞いていられない。

その上、中国は福建省でミサイルを大量輸送し、大陸東部で病院を
徴用して、戦争の準備をし始めている。中国の台湾侵攻作戦を行う
可能性もある。きな臭い感じになってきた。

しかし、南シナ海への米空母派遣は、中国の対艦長距離ミサイルが
あるのでできないので、米ミサイル発射などの戦術をとるしかない
ことになる。場合によっては、秘密で開発していた米軍の宇宙兵器
が何かが見えるかもしれない。

しかし、下手をすると、第3次世界大戦になるかもしれないので、注
視が必要である。

3.北朝鮮の惨めな状況で東アジアが変わる
北朝鮮の何かが変である。金正恩委員長から権限の多くを金与正氏
に移譲されたということは、おかしい。金正恩氏の健康問題もあり
、経済問題もあり、大変なことが起きていると想像できる。

特に、中国の洪水被害を前回問題視したが、それよりも北朝鮮の方
が大変なようである。梅雨前線や台風8号もあり、農産物の不作が中
国と同様に起こり、秋の収穫が大減収になるようだ。

事実、平壌でも配給が停止して、多くの北朝鮮民が飢え始めている
という。このため、収穫期の秋には体制の維持ができない事態で、
援助の大幅な増加を図る必要になる。しかし、中国も食料不足で、
北朝鮮への援助もできないはずである。

このため、韓国への援助を期待するしかないが、米国の経済制裁を
解かないと、韓国も援助できない。しかし、中国が韓国へ接近して
北朝鮮への援助を依頼する可能性がある。このため、近々、習近平
主席が韓国を訪問するようである。

韓国を米国から切り離すとともに、北朝鮮の援助もさせて、その代
わりに、北朝鮮と韓国を統一して中国経済圏に取り込めることにな
る。一石三鳥の外交政策である。

韓国の文政権としても、米国経済より中国経済の方が大きいとなる
と望んでいることであり、習近平訪韓歓迎であるので、それに伴い
在韓米軍撤退などが起こりえる状態になっている。勿論、GSOMIAの
終了もその時になる。

コロナで世界の仕組みは、企業経営もデジタル技術に変わるが、世
界の支配体系も大きく変わることになりそうである。

それも中国が世界を変えるトリガーを引くことになる。その意味で
は、米国同様、中国の動向にも目が離せないことになっている。

4.安倍首相の辞任で次の首相は誰か?
健康上の理由で、安倍首相の辞任が決まった。安倍首相は、国際的
に日本の地位を上げ、国家安全保障局設立、国家安全保障戦略策定、
平和安保法制、機密保護法、日豪関係や日印関係の強化、CPTPPのリ
ード、特にトランプ大統領と関係を密にして、日本の国益を守り、
日本の経済的な苦境を脱した。安倍首相、ご苦労様でした。療養し
て病気をお直してください。

健康を害しても、次の自民党総裁が決まるまで、安倍首相が務める
という。しかし、緊急時は党大会に代わる両院議員総会で実施でき
ると規定されているので、これで総裁選挙を行うようである。

ということは、議員の派閥別の数が重要な要素となる。
細田 派 97人、麻生 派 56人、竹下 派 54人 、二階 派 47人 
岸田 派 47人、石破 派 19人 、石原 派 11人、谷垣G 15人
菅G 9人、無派閥 41人 総数396
となっている。数名の移動があるが、総裁選挙の行方は推測できる。

現在、候補として取りざたされているのは、石破氏、岸田氏、菅氏
、河野氏などであるが、麻生さんが河野さんに今回は自粛しろと言
ったような気がする。しかし、河野氏は出る気満々。ネット世論は
、断然河野氏となっていることも、強気にしているようだ。

安倍首相も影響力をある院政を引きたいので、石破さんや関係がこ
じれた菅さんでは院政が引けないので、自己主張の少ない岸田さん
が良いのであろう。安倍首相の会見でも、リーダーの条件は、皆と
の関係が良い人とも一致している。

ということで、細田派と岸田派は、岸田さんで144が決まり、二階派
と菅Gと複数派は、菅さんで80程度が決まり、石破派と無所属の数名
は、石破さんで19+αと劣勢。

ということは、竹下派、麻生派が誰にするのかで情勢が決まる。河
野さんが立つと、麻生派は河野さんになるが、岸田氏支持になると
、岸田さんに決まり、菅氏支持になると、菅さんが有利になる。麻
生派が誰にするかで情勢が決まる状況である。河野さんが立つと竹
下派で決まる。という構図でしょうね。どちらにしても、岸田氏か
菅氏になる。

麻生さんは、近い将来の首相として河野さんと考えているので、岸
田支持となるか、または、神奈川県のドンである菅さんの方が将来
的には河野さんにとって良いと考えるか。

どちらにしても、次の首相の後釜として、河野氏という約束を取り
付けておくような気がする。そして、河野さんを将来を見据えて、
官房長官にするのであろうか。

勿論、政界の約束はあまり守られないが、岸田さんは安倍さんに首
相を譲って、その代わりに次は自分としたことが、今回、岸田さん
になることができる可能性になったので、守られないわけではない。

党員選挙であれば、石破さんに目があるが、両院議員総会で総裁を
選ぶとなると、石破さんの目はない。残念ながら。それと、ネット
世論で、石破氏はぼろ負けなのもきつい。

しかし、アベノミクスの後始末とコロナ大不況で、日本経済は大き
く落ち込むので、この挽回策は、大変である。ここ半年で31万社の
中小企業の倒産が起こると調査会社は言っている。

安倍首相の健康とやる気を失わせたのも、コロナ感染拡大もあるが
、今後の経済情勢が良くないことであろうから、次の首相は大変だ。
次の首相は、この大変な時、有効な政策を打たないと、支持率が上
がらずに、短命政権に終わる可能性もある。

そのため、このコラムで提案する政策を参考にして実施しないと、
日本沈没になる危険性がある。世界的な大変革期でもある。米国の
衰退と中国の横暴な外交が益々増してくる。

当面、経済面では、一層の統制経済化をする必要があるが、次には
、どう自由経済体制に戻すか、難しい課題に取り組む内閣になるは
ず。外交も難しい局面を迎えることになる。

さあ、どうなりますか?


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