6131.コロナ感染は「自己責任」



新型コロナ感染拡大でも、国は対応を取らないとした。これは、経
済優先のためで、国民のコロナ感染は、「自己責任」ということに
なる。この結果を検討しよう。 津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
3月2日は26,703ドル、その後急落して3月23日18,591ドルまで下げて
、7月31日は26,428ドルになり、8月3日は236ドルの26,664ドル、4日
は164ドル高の26,828ドル、5日は373ドル高の27,201ドル、6日は185
ドル高の27,386ドル、7日は46ドル高の27,433ドル。

NYダウは27,000ドルを回復した。ナスダックは1108pと史上最高値を
更新している。と米国株は好調である。

2019年3月以来、16カ月ぶりの高水準を付けたISM米非製造業景況感
指数が58.1であることや新規失業申請件数は119万件とパンデミック
以降で最少になっている。失業率は10.2%と前月11.1%に続き3ケ月連
続で改善。また、米中対決があるが、雇用統計で176万人増と市場予
想より高かったことと、コロナワクチンの期待などもあり、連日の
株高になっている。

しかし、このコロナ禍での2Qの企業決算では、IT大手、ECやゲーム
などの巣ごもり消費関連企業の業績は、好調であるが、リアル系企
業業績は悪いという二極分化が起きている。このため、勝ち組企業
だけがV字回復で、多くの負け組は下降が続くと言うことで、K字
回復と言い始めている。

そして、この勝組企業株の上昇で、米国株価は上昇している。

もう1つ、米FRBは、無制限の量的緩和を持続するので、外交問題評
議会CFRは、「ドル覇権を放棄する時代が来た」と論文で述べている。

このため、ドルインデックスが下落して、ユーロが上昇している。
ドルが基軸通貨を放棄したら、第2の基軸通貨はユーロということで
、ドル売りユーロ買いで大規模な資金移動が起こっている。

このため、ドルで持つと目減りすることになると、金や銀も買われ
ている。ドル安のために、円高にもなっている。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、2月21日は23,427円で、3月19日16,358円まで下げ、6月10日は
23,124円まで戻したが、7月31日は21,710円で、8月3日は485円高の
22,195円、4日は378円高の22,573円、5日は58円安の22,514円、6日
は96円安の22,418円、7日は88円安の22,329円。

日経平均株価は、22000円を復活したが、上値が重い。

しかし、日本でも巣ごもり消費関連企業の業績が良い。ゲーム、EC
、電子出版系などの41社の企業が過去最高益を出している。

しかし、全体では3社に1社が赤字になり、日本全体の景気は悪いし
、コロナ禍が続くので、赤字が続くことになる。特に鉄道、空運、
旅行関連などは今後も厳しいことが予想できる。

2.ウイズコロナ時代の政府と国民
p0620「新型コロナ感染再拡大」で評価関数として、死者数を
評価基準とすることを提案した。

この評価基準で、コロナ感染した国内の入院患者の死亡率は7・5
%で、20%台の欧米などと比べ非常に低いことが分かったという
。原因は不明だが、欧米と比べ糖尿病や肥満の割合が少ないことが
影響しているという。

ということは、第1波で欧米とは断然少ない1000人程度の死者が出
ているので、第2波以降も同様な死者数であると見ているようだ。

ところが、1Qの企業決算を見ると、多くの企業で赤字になり、こ
のままコロナ禍が続くとなると中小企業だけではなく大企業でも雇
用調整が秋口には始まり、多くの人が失業して生活ができなくなり
、その結果、自殺者が相当に増えると見ているようだ。

そして、第2波、第3波が来てもコロナ死者数は全体で5000人と見込
むと、コロナで死ぬ人より、生活苦で自殺する人の方が断然大きい
ことになる。

政府がコロナ対策として予備費の中から1兆1257億円を支出して、業
績が悪化した中小企業などを支援する「持続化給付金」に追加分9150
億円を充てるとした。これも雇用維持のためである。

政府の分科会で、4段階のパターンと緊急事態宣言を出す指標値を出
したが、菅官房長官は、政府として「縛られすぎるのは良くない」
などと後ろ向きな発言をしている。この理由が死者数という評価基
準では、生活苦での自殺者が多く出るということのようである。

このため、「GoToトラベル」を今後も継続して、参加する宿泊施設
でコロナ感染者が出ても情報を公表しないとした。また、安倍首相
も帰省をしてくださいと言うし、65歳以上の旅行も自粛勧告をしな
いようである。

この施策を支持する論拠として、上久保教授の既に日本人の多くが
免疫を持っているので、重症化しないという論文である。しかし、
第2波が始まって、6月下旬に重症者は80人程度であったが、8月上旬
で130名程度に増加している。8月に入り毎日10名程度の重症者が出
ているし、今後も続くことになる。それも65歳以上の人口が多い地
方、特に沖縄県などで出ている。

このため、台湾は、日本の警戒レベルを引き上げ、入国時の対応を
強化して、入国後2週間の待機が必要になった。

65歳以上の人や肥満症や高血圧の人達の重症化への傾向は、第1波と
同様にようである。このため、この人達は、十分注意が必要である
ことは、変わりがない。特に、重症化すると後遺症などで、元の生
活に、簡単には戻れないことになる。長いリハビリが必要だ。

というように、安倍政権は、死者数を評価基準に置き、経済優先で
今後も政策運営をするようである。その意味では米国のトランプ政
権と同じような対応になる。そして、感染防止策は、知事に丸投げ
している。

よって、今後、対策が十分でなかった4月と同じようになる可能性も
あり、4月と同様な処置が必要になる。

このため、元厚労省医系技官の木村盛世(もりよ)氏は、「新型コ
ロナを指定感染症から外し、軽症者を退院させるべきだ。そして重
症者を受け入れるICU(集中治療室)の崩壊を防ぐことに注力す
ることだ。人員や人工呼吸器などの拡充のほか、高齢の患者を医療
態勢が逼迫していない県外の医療施設にも搬送できるようにするな
ど整備を推進すべきだ」と提言している。

これは4月の状況になる事を見越して、準備した方が良いということ
である。特に地方の医療体制の脆弱な県が危ないと見ている証拠で
もある。

というように、経済優先の政府の対応で、感染防止のための法規制
もしないので、コロナ感染予防は、政府の責任ではなく、国民自身
の責任であり、「自己責任」で行動してくれと言うことである。

このため、感染拡大でコロナ蔓延の状況になり、感染が恐ろしいの
で、65歳以上の人口は多いのに、この65歳以上のお金と時間に余裕
がある人達は、行動を控えることになる。このため、コロナ感染拡
大を防止しないことで、消費活動が低調に推移することになる。

政府の経済優先政策が、結果的に消費活動にダメージを与え、そし
て経済全般でもダメージになることを、安倍政権の政治家は考えな
いのかしらね?

ということで、日本経済は、政府の超短期目線の不作為による感染
拡大で、非常に心配な状況になってきた。日本沈没になって、初め
て、この不作為が、どれだけ大きな代償になったかを知るのであろ
う。死者数もコロナで死ぬ人と生活苦の自殺者とで両方ともに多く
なるはず。と強く予言しておく。

そして、感染拡大阻止は、韓国や中国で成功しているので、それと
同じことをするだけである。特定した感染拡大地域で、全員検査を
して感染者を探すので、精度はいらなくて、手間暇がかかるPCR検査
でなくても、簡単な抗原検査でもよいはずで、実施しようとすれば
、直ぐにできることである。感度が鈍い抗原検査で陽性なら、感染
者であり隔離するだけである。

感染拡大を止めること、言い換えると皆が安心できる環境を作るこ
とが、経済活性化に非常に重要なのである。

それをしない事が魔訶不思議であると見える。

3.米国の対中強硬策
米国の制裁は、華為技術(ファーウェイ)の通信機器に代表される
ハードウエアから、アプリなどのソフトウエアに広がっている。

米国務省は、個人や企業情報を守るため国内通信分野での中国企業
の排除に向けた新たな指針を発表した。中国製アプリの排除を米配
信事業者に促し、中国企業が関与するクラウドサービスの利用は望
ましくないとの見方を示した。

トランプ大統領は、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」
の米国事業を9月15日までに売却するよう求めた。

また、ポンペオ氏は、対話アプリ「微信(WeChat)」をあげ
て「米国民の個人情報に対して大きな脅威だ」と重ねて主張した。

ポンペオ氏は米国内で中国企業が関わるクラウドサービスもやり玉
にあげた。アリババ集団や百度(バイドゥ)、騰訊控股(テンセン
ト)を名指しして「外国の敵がアクセスできるクラウドシステムに
米国民にとって最も重要な個人情報や企業の知的財産を保管すべき
ではない」と訴えた。

このため、香港市場のテンセント株が一時10%程度も下げた。この下
げで、日経平均も下げに転じた。

中国外務省報道官は、ポンペオ米国務長官が米国での中国製アプリ
の使用禁止などを目指す政策構想を発表したことについて「国家安
全保障を守ることを口実に、国の力を乱用して中国のハイテク企業
を抑圧・阻止している」と非難した。

しかし、中国では、米国製アプリを禁止や制限しているので、同等
の処置を米国がし始めたと見える。もし、国家安全保障の口実が悪
いというなら、中国は外国製アプリを制限するのも止める必要があ
る。自国は、国家安全保障を口実にして、相手国には認めないのは
横暴というものだ。

そして、米国の大統領作業部会は、米国に上場する中国企業の監視
強化案として、2022年1月までに規制に対応しなければ上場廃
止となるようルールを改正する。米議会によると、19年2月時点
で米主要株式市場に上場する中国企業は156社に上る。この企業
の株式が上場廃止になる可能性が出てきた。

もう1つ、トランプ米政権は、林鄭月娥行政長官ら中国・香港政府
高官11人に米国資産凍結という制裁を科した。

これらの米国の中国制裁を受けて、中国の1~7月の対米輸入は前年
同期比3.5%減った。大豆は全世界からの輸入が増えるなか米国産の
輸入減少が続く。政治的駆け引きの材料として対米輸入が抑えられ
ているようだ。

トランプ大統領は、農産物輸出より対中強硬政策の方が支持率の上
昇には効果的であると、対中強硬策にシフトしている。

しかし、米国は、対中でのドル取引停止などの制裁はしないし、中
国も1兆ドル持つ米国債を売ることはしない。裏で交渉していること
をうかがわせている。

このような対中強硬策で、実際、トランプ大統領の支持率は上昇し
て、バイデン候補の支持率を追い上げてきた。

これを見たバイデン候補も対中強硬政策を出して、国民にアピール
している。ということで、バイデン大統領になったとしても対中政
策は変わらないようである。

この中国製アプリを使用禁止処置を米国は、同盟国にも同調させよ
うとしている。

このため、次期駐日米大使に指名されたケネス・ワインスタイン氏
が指名承認公聴会で「日本に(防衛)能力の一層の強化と、同盟の
枠内でより大きな責任を負うよう促したい」と強調したことに関し
「日米同盟をさらに強化しつつ、自由で開かれたインド太平洋の実
現に向けて緊密に協力したい」と述べた。

9月に行われるG7サミットで、米国はドイツなどEU諸国や日本に
同調を依頼してくることが濃厚である。

ということで、日本でも使用制限処置が必要になる。

さあ、どうなりますか?


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